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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 for Enterprise Applications


8.3.2 インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御機能に関するトラブル

インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御機能を使用しているときに発生したトラブルについて説明します。

〈この項の構成〉

(1) SAP BWシステムとの接続に関するトラブル

SAP BWシステムとの接続で発生したトラブルについて説明します。

なお,発生したトラブルが以下のどの原因にも該当しない場合には,SAP社が提供するRFC APIの問題が考えられます。KAJM2802-EメッセージにRFC APIのエラーの詳細が出力された場合は,この情報を採取の上,SAP BWシステムの管理者に連絡してください。

(a) SAP BWシステムに接続できません。または,SAP BWシステムとの通信中にエラーが発生します。

次の原因が考えられます。

  • SAP BWシステムの定義情報に誤りがあります。

    まず,指定したSAP BWシステムのIPアドレス(またはホスト名,SAPルーターアドレス)が有効かどうかを確認してください。指定したIPアドレスが無効な場合は,有効なIPアドレスを指定し,SAP BWシステムに再接続してください。

    指定したIPアドレスが有効な場合は,セットアップに問題があります。セットアップ時に指定した内容に間違いがないかを再確認してください。

  • 通信ポートの定義に誤りがあります。

    システムIDに対応したポート番号がservicesファイルに定義されているかどうかを確認してください。servicesファイルにシステムIDに対応したポート番号が定義されていない場合は,システムIDに対応したポート番号を定義してください。

  • 一時的な通信エラーが発生しています。

    ネットワーク負荷の増大や通信ポートの枯渇などによって,一時的な通信エラーが発生していることが考えられます。一時的な通信エラーであれば,通信エラーに対してリトライ(SAP BWシステムに接続回復を試みる)を実行することによって,接続を回復できます。

    通信エラー時にリトライを実行する設定をしていない場合は,環境設定ファイルのcommandセクションのRetryCountキーまたはRetryTimeキーでリトライを実行するように設定してください。

(b) SAP BWシステムにログオンできません。

次の原因が考えられます。

  • SAP BWシステムにログオンするときのユーザー情報が正しくありません。

    ログオンのときに指定したユーザー情報(クライアント番号,ユーザー名,パスワード)がSAP BWシステムで有効かどうかを確認してください。ログオンのときに指定したユーザー情報が無効な場合は,SAP BWシステムで有効なユーザー情報でSAP BWシステムにログオンし直してください。

  • 指定したユーザーには,外部システムからログオンする権限がありません。

    次のどちらかの方法で,外部システムからログオンする権限を取得します。

    • 外部システムからログオンできるユーザー名でログオンし直す。

    • SAP BWシステムの管理者に,外部システムからログオンできる権限を与えてもらう。

  • ログオン先のSAP BWシステムのリリースが正しくありません。

    ログオン先のSAP BWシステムのリリースがサポートされているバージョンかどうかを確認してください。

(2) インフォパッケージ制御時のトラブル

インフォパッケージ制御時に発生したトラブルについて説明します。

なお,発生したトラブルが以下のどの原因にも該当しない場合には,SAP社が提供する外部管理インターフェースの問題が考えられます。KAJM0812-Eメッセージが出力された場合は,外部管理インターフェースの問題が考えられますので,このメッセージに出力された,エラーが発生した外部管理インターフェースの関数名と例外コードの情報を採取の上,SAP BWシステムの管理者に連絡してください。

(a) SAP BWシステムのインフォパッケージを開始できません。

次の原因が考えられます。

  • インフォパッケージがバックグラウンド処理で実行できるようにスケジュールされていません。

    SAP BWシステム上のインフォパッケージの定義([スケジュール]パネル)で,インフォパッケージがバックグラウンドで実行できるようになっているか確認してください。なお,インフォパッケージをバックグラウンド処理で開始するには,開始条件を「即時実行」に設定する必要があります。

  • インフォパッケージの外部データの読み込み先がアプリケーションサーバではありません。

    インフォパッケージをバックグラウンド処理で実行する場合,データの読み込み先は,アプリケーションサーバにする必要があります。SAP BWシステム上のインフォパッケージの定義([外部データ]パネル)で,インフォパッケージの外部データの読み込み先がアプリケーションサーバとなっているか確認してください。

  • インフォパッケージの定義が更新中です。

    開始しようとしたインフォパッケージの定義を,SAPフロントエンドソフトウェアから更新中でないか確認してください。

  • ログオンしたユーザーには,インフォパッケージを実行する権限がありません。

    インフォパッケージを実行するユーザーを作成するときは,SAP BWシステムで用意されているバックグラウンドユーザーのための権限プロファイル(S_BI-WHM_RFC)を基に作成してください。

    次のどちらかの方法で,インフォパッケージを実行する権限を取得します。

    • インフォパッケージを実行できるユーザー名でログインし直す。

    • SAP BWシステムの管理者に,インフォパッケージを実行できる権限を与えてもらう。

  • SAP BWシステムのシステムリソースが不足しています。

    インフォパッケージを実行するためには,バックグラウンドワークプロセス(BGD)とダイアログワークプロセス(DIA)が各1個必要です。SAP BWシステムのインフォパッケージを実行するためのワークプロセスが確保されてから,インフォパッケージを再度開始してください。

  • SAP BWシステムに既知の問題があります。

    このメッセージより先に表示されるKAJM0813-Eメッセージの詳細テキストに「ジョブXXXは(まだ)開始されていません」のメッセージが出力される場合は,SAP BWシステムに問題がある可能性があります。接続先のSAP BWシステムにSAPノート693703が適用されているかどうかを確認し,適用されていない場合は,このノートを適用してください。

(b) インフォパッケージの終了監視が失敗します。

このメッセージより先に表示されるKAJM0813-Eメッセージに「依頼XXXを生成できませんでした」のメッセージが出力される場合は,データロード依頼の登録監視でタイムアウトが発生しています。データロード依頼の登録監視時間(環境設定ファイルのCommandセクションのRequestMonitorTimeキー)の値が妥当かどうかを見直してください。

(c) 開始したインフォパッケージがSAP BWシステム上で異常終了します。

次の原因が考えられます。

  • インフォパッケージが警告終了したときの表示設定に誤りがあります。

    KAJM2827-Eメッセージの詳細テキストに「処理は時間超過しました」のメッセージが出力される場合は,インフォパッケージが警告終了したあと,SAP BWシステム上でインフォパッケージから生成された依頼の監視時間がタイムアウトして,最終的に異常終了となっていることが考えられます。

    インフォパッケージが警告終了した場合に,信号が青信号または赤信号に遷移するように設定されているかどうかを確認してください。アドミニストレータワークベンチのモニター画面から[設定→依頼の評価(信号)]メニューを選択したときに表示される画面で,「システムにデータがない場合の依頼の表示方法」および「処理中の依頼で警告が発生した場合の表示方法」が「正常終了(青信号)」または「異常終了(赤信号)」になっていることを確認してください。

  • SAP BWシステムに既知の問題がります。

    インフォパッケージの実行直後に,KAJM2827-Eメッセージの詳細テキストに「処理は時間超過しました」のメッセージが出力される場合は,SAP BWシステムに問題がある可能性があります。接続先のSAP BWシステムに,SAPノート633981,641466,647855,および655528が適用されているかどうかを確認し,適用されていない場合は,これらのノートを適用してください。

(d) インフォパッケージの後続ジョブが異常終了します。

JP1/AJS3 for EAPでは,インフォパッケージのデータロード後に実行される,QMアクション(ロードしたデータの有効化処理)やインフォパッケージの後続処理(重複依頼の削除など)の終了は監視できません。これらの処理と後続ジョブとの間でリソースの競合が発生した場合には,後続ジョブが異常終了することがあります。

この場合には,QMアクションやインフォパッケージの後続処理の終了後に,インフォパッケージを実行するジョブが終了するように設定する必要があります。そのためには,jbwipstaコマンドの-qmwait_timeオプションに,インフォパッケージが正常終了してからそのインフォパッケージを実行するジョブが終了するまでの時間(待ち時間)を設定してください。

(e) JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリにdev_rfc.trcまたはdev_rfcという名称のファイルが作成されています。

SAP BWシステム用のカスタムジョブの実行中,またはJP1/AJS3 for EAPのコマンドの実行中にエラーが発生した場合,JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリにRFCトレースファイル(dev_rfc.trcまたはdev_rfcという名称のファイル)が作成されます。RFCトレースファイルには,SAP BWシステムとの通信トレース情報(エラーとなった情報)が記録されています。

なお,重大なエラーが発生した場合にだけ,RFCトレースファイルが必要です。重大なエラーが発生していない場合には,RFCトレースファイルを定期的に削除することをお勧めします。

(3) プロセスチェーン制御時のトラブル

プロセスチェーン制御時に発生したトラブルについて説明します。

なお,発生したトラブルが以下のどの原因にも該当しない場合には,SAP社が提供する外部管理インターフェースの問題が考えられます。KAJM0812-Eメッセージが出力された場合は,外部管理インターフェースの問題が考えられますので,このメッセージに出力された,エラーが発生した外部管理インターフェースの関数名と例外コードの情報を採取の上,SAP BWシステムの管理者に連絡してください。

(a) SAP BWシステムのプロセスチェーンを開始できません。

次の原因が考えられます。

  • ログオンしたユーザーには,プロセスチェーンを実行する権限がありません。

    jbwipstaコマンドでプロセスチェーンを実行するには,プロセスチェーンを構成する各プロセスをバックグラウンドで実行するための権限のほかに,外部システムからログオンするための権限(S_RFC)が必要です。

    次のどちらかの方法で,プロセスチェーンを実行する権限を取得します。

    • プロセスチェーンを実行できるユーザー名でログインし直す。

    • SAP BWシステムの管理者に,プロセスチェーンを実行できる権限を与えてもらう。

  • プロセスチェーンの定義が不完全です。

    SAP BWシステム上で,開始しようとしたプロセスチェーンの定義を確認してください。プロセスチェーンが正しく開始できるように定義されていることを確認してから,コマンドを再実行してください。

(b) 開始したプロセスチェーンがSAP BWシステム上で異常終了します。

次の原因が考えられます。

  • ログオンしたユーザーには,プロセスチェーンを実行する権限がありません。

    jbwipstaコマンドでプロセスチェーンを実行するには,プロセスチェーンを構成する各プロセスをバックグラウンドで実行するための権限のほかに,外部システムからログオンするための権限(S_RFC)が必要です。

    次のどちらかの方法で,プロセスチェーンを実行する権限を取得します。

    • プロセスチェーンを実行できるユーザー名でログインし直す。

    • SAP BWシステムの管理者に,プロセスチェーンを実行できる権限を与えてもらう。

  • プロセスチェーンが更新中です。

    プロセスチェーンを構成するプロセスの定義を,SAPフロントエンドソフトウェアから更新中でないか確認してください。

なお,JP1/AJSから実行したプロセスチェーンが異常終了した場合は,次のどちらかの方法でジョブのリカバリーをしてください。

  • プロセスチェーンの先頭から再実行する。

    JP1/AJSから,異常終了したプロセスチェーンのジョブを再実行してください。

  • 異常が発生したプロセスから再実行する。

    SAPのフロントエンドソフトウェアで,異常終了したプロセスチェーンの状態を確認し,異常が発生したプロセスから再実行してください。JP1/AJSでは,再実行したプロセスチェーンの終了を待って,後続のジョブを実行してください。

(c) JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリにdev_rfc.trcまたはdev_rfcという名称のファイルが作成されています。

SAP BWシステム用のカスタムジョブの実行中,またはJP1/AJS3 for EAPのコマンドの実行中にエラーが発生した場合,JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリにRFCトレースファイル(dev_rfc.trcまたはdev_rfcという名称のファイル)が作成されます。RFCトレースファイルには,SAP BWシステムとの通信トレース情報(エラーとなった情報)が記録されています。

なお,重大なエラーが発生した場合にだけ,RFCトレースファイルが必要です。重大なエラーが発生していない場合には,RFCトレースファイルを定期的に削除することをお勧めします。