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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 for Enterprise Applications


2.3.1 JP1/AJS3 for EAP(インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御)の動作環境を設定する

JP1/AJS3 for EAP(インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御)の動作環境は,インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用の環境設定ファイルを編集することで変更できます。

インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用の環境設定ファイル(confファイル)は,以下に示すパスにあります。インストール時に環境設定ファイルが存在しなかった場合は,同じディレクトリ下にあるモデルファイルと同じものが,環境設定ファイルとしてインストール時に自動的に作成されます。

インストール時に作成される環境設定ファイルの基になるモデルファイルの内容を次の図に示します。

OSがWindowsで,ファイルシステムにNTFS形式を使用している場合,環境設定ファイルの情報の改ざんを防ぐために,環境設定ファイルに対して,Administrators権限を持つ管理者だけが環境設定ファイルを編集できるようなアクセス権を設定しておくことをお勧めします。

なお,環境設定ファイルを再編集する場合は,JP1/AJS3 for EAPのコマンドが実行されていないことを確認してください。

環境設定ファイルでの文法は,次のとおりです。

[section]
key=string

次の場合,JP1/AJS3 for EAPは項目のデフォルトを使用して動作します。

次に,環境設定ファイルに指定できるkeyをセクションごとに説明します。

トレースセクションでは,トレースレベル,トレースファイルサイズ,およびトレース情報を格納するトレースファイル名を指定します。traceに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒10 traceに指定できるkey

key

stringに指定できる値

説明

Level

0

採取しない

1

標準レベル

2

詳細レベル

3

デバッグレベル

トレースレベルを指定します。

このkeyの指定を省略した場合のトレースレベルは,「2」です。

各トレースレベルでの1コマンド当たりのトレース量は,次のとおりです。

  • インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視をする場合

    1(標準レベル):5.7 KB

    2(詳細レベル):7.2 KB +(インフォパッケージまたはプロセスチェーン実行時間/終了監視間隔)×0.3 KB

    3(デバッグレベル):27.7 KB +(インフォパッケージまたはプロセスチェーン実行時間/終了監視間隔)×2.5 KB

  • インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視をしない場合

    1(標準レベル):2.0 KB

    2(詳細レベル):7.2 KB

    3(デバッグレベル):27.7 KB

通常は,「詳細レベル」を指定してください。トラブルが発生した場合にだけ,「デバッグレベル」を指定します。なお,「採取しない」を指定すると,JP1/AJS3 for EAPの使用時の情報を採取できないので注意してください。

Size

0,または1〜1,280,000(単位:キロバイト)

トレースファイルのサイズを指定します。

0を指定した場合,トレースファイルのサイズは,2ギガバイトになります。

このkeyの指定を省略した場合,トレースファイルのサイズは,307,200キロバイト※1になります。

なお,トレースファイルのサイズを小さくする場合には,作成されているトレースファイルを削除してから変更してください。

TargetFile

Windowsの場合:

"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名※2

Linuxの場合:

"/"で始まる文字列

指定したファイルに,すべてのアプリケーションのトレース情報を格納します。

このkeyの指定を省略した場合は,トレースファイルが標準で格納されるディレクトリ※3に,アプリケーション単位のトレースファイルが作成されます。

注※1 トレースファイルサイズを307,200キロバイトに設定した場合,トレースレベル2(デフォルト)で100件/時間のジョブを実行したときに,少なくとも7日間分のトレースデータを記録できます。

注※2 UNC形式で表されるリモート資源名とは,Microsoft社が提供しているネットワーク上のフォルダおよびファイル名を指定する,「\\コンピュータ名\共有名」を指しています。このフォルダおよびファイルは,常時アクセスできるようにする必要があります。

注※3 トレースファイルが標準で格納されるディレクトリについては,「付録A ディレクトリ名一覧」を参照してください。

重要

トレースファイルの出力時に一時ディレクトリを使用します。

Windowsの場合,環境変数TMPで指定したフォルダを使用します。環境変数TMPには,コマンド実行ユーザーの権限でアクセスできるフォルダを指定してください(JP1/AJSで実行する場合,JP1/AJSのサービスに対するアカウントがデフォルトのときは,システム環境変数のTMP環境変数になります)。

Windowsの場合,event(イベントセクション)では,Windowsのアプリケーションログで使用されるイベントを生成するかどうかを指定します。

Linuxの場合,event(イベントセクション)では,syslogメッセージを生成するかどうかを指定します。

eventに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒11 eventに指定できるkey

Key

stringに指定できる値

説明

ntevent

YESまたはNO

Windowsの場合に指定できます。Windowsのイベントを生成するかどうかを指定します。

このkeyの指定を省略した場合のイベント生成条件は,「YES」です。

Syslog

YESまたはNO

Linuxの場合に指定できます。syslogメッセージを生成するかどうかを指定します。

このkeyの指定を省略した場合,syslogメッセージの生成条件は,「YES」です。

command(コマンドセクション)では,JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリ,インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視時間間隔,および通信エラーが発生したときの接続回復を試みる時間・時間間隔を指定します。また,接続先のUnicode版 SAPシステムで,文字コードの変換時に使用するコードページ番号も指定します。commandに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒12 commandに指定できるkey

Key

stringに指定できる値

説明

WorkDir

Windowsの場合:

"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名※1

Linuxの場合:

"/"で始まる文字列

コマンドの作業ディレクトリを絶対パスで指定します。コマンドを実行するときに,この作業ディレクトリが設定されます。

なお,このkeyの指定を省略した場合,各コマンドの実行時のカレントディレクトリが使用されます(JP1/AJSを使用した場合は,JP1/AJSのジョブ実行時のワークパス※2が使用されます)。

MonitorInterval

1〜65,535(単位:秒)

インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視時間間隔を指定します。この値は,JP1/AJS3 for EAPのjbwipstaのコマンドラインでインフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視時間間隔の指定を省略した場合に使用されます。

このkeyの指定を省略した場合のジョブの終了監視時間間隔は,5秒です。

RetryTime

0〜65,535(単位:分)

SAP BWシステムとの通信中に通信エラーが発生したとき,SAP BWシステムとの接続回復を試みる時間を指定します。エラーが発生してから,ここで指定した時間が過ぎるまで,接続回復を試みます。

0を指定した場合は,接続回復を試みないですぐにエラーを報告します。

RetryCountと同時に指定した場合,このkeyの指定は無視されます。RetryTime,およびRetryCountを指定していない場合,RetryCountのデフォルト値(3回)が有効になります。※3

接続回復を試みる時間間隔は,RetryIntervalで指定できます。

RetryCount

0〜65,535(単位:回)

SAP BWシステムとの通信中に通信エラーが発生したとき,SAP BWシステムとの接続回復を試みる回数を指定します。

0を指定した場合には,接続回復を試みないですぐにエラーを報告します。

このkeyの指定を省略した場合のデフォルト回数は,3回です。

RetryTimeと同時に指定した場合,RetryCountの指定が優先されます。

RetryTime,およびRetryCountを指定していない場合,RetryCountのデフォルト回数(3回)が有効になります。※3

接続回復を試みる時間間隔はRetryIntervalキーで指定できます。

RetryInterval

1〜65,535(単位:秒)

RetryTime,またはRetryCountを指定した場合に,SAP BWシステムとの通信中に通信エラーが発生したとき,SAP BWシステムとの接続回復を試みる時間間隔を指定します。※4

RetryTimeを指定した場合,このkeyの値にはRetryTimeに指定した時間よりも長い時間は指定できません。

このkeyの指定を省略した場合の時間間隔は180秒となります。

次の場合,RetryIntervalの値は無効となります。

  • RetryCountに0を指定した場合

RetryCountを指定しないでRetryTimeに0を指定した場合

RequestMonitorTime

-1,または0〜65,535(単位:分)

インフォパッケージの依頼の登録を監視する時間(依頼登録監視時間)を指定します。この時間を過ぎても依頼が登録されない場合には,インフォパッケージの終了監視が異常終了します。

-1を指定した場合は,依頼登録監視時間は,jbwipstaコマンドの-timeオプション(終了を監視する時間)の値と同一になります。

0を指定した場合は,最初の状態問い合わせ時に依頼が登録されていなければ,すぐにインフォパッケージの終了監視が異常終了します。

このkeyの指定を省略した場合は,「-1」が仮定されます。

QMActionWaitTime

0〜65,535(単位:秒)

インフォパッケージが正常終了してからそのインフォパッケージを実行するジョブが終了するまでの時間(待ち時間)を指定します。JP1/AJS3 for EAPでは,インフォパッケージのデータロード後に実行される,QMアクション(ロードしたデータの有効化処理)やインフォパッケージの後続処理(重複依頼の削除など)の終了は監視できません。これらの処理の終了を待って後続ジョブを実行したい場合には,この待ち時間を設定します。

この値は,JP1/AJS3 for EAPのjbwipstaのコマンドラインで待ち時間(-qmwait_timeオプション)の指定を省略した場合に使用されます。

このkeyの指定を省略した場合の待ち時間は,0秒です。

Codepage

0〜9999(単位:コードページ番号)

接続先のUnicode版 SAPシステムで,文字コードの変換時に使用するコードページ番号を指定します。

Unicode版 SAPシステムと日本語の文字データを送受信する場合は,シフトJISのコードページとして「8000」を指定してください。文字コードに日本語UTF-8コードを使用する場合も,「8000」を指定してください。日本語の文字データを送受信しない場合は,このkeyの指定は不要です。

注※1 UNC形式で表されるリモート資源名とは,Microsoft社が提供しているネットワーク上のフォルダ名を指定する,「\\コンピュータ名\共有名」を指しています。このフォルダは,常時アクセスできるようにする必要があります。

注※2 JP1/AJSのジョブ実行時のワークパスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)」を参照してください。

注※3  RetryCountまたはRetryTimeを指定する場合は,互いに他方のkeyを指定するかどうかによって,有効となるkeyが異なります。

keyの指定

RetryCount

指定なし

指定あり

0

N(>0)

RetryTime

指定なし

(1)3回リトライ

(4)即座にエラー

(5)N回リトライ

指定あり

0

(2)即座にエラー

(4)即座にエラー

(5)N回リトライ

T(>0)

(3)T分間リトライ

(4)即座にエラー

(5)N回リトライ

(1) RetryTimeとRetryCountを両方とも指定がない場合,RetryCountのデフォルト値3回リトライ。

(2) RetryTimeが0でRetryCountが指定なしのためエラー。

(3) RetryTimeの指定が有効。T分間リトライ。

(4) RetryCountが0のため,即座にエラー。

(5) RetryCountの指定が優先のため,N回リトライ。

注※4 RetryCount,RetryTimeを指定した場合の動作を次に示します。

[図データ]