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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 for Enterprise Applications


2.2.1 JP1/AJS3 for EAP(ジョブ制御)の動作環境を設定する

JP1/AJS3 for EAP(ジョブ制御)の動作環境は,ジョブ制御用の環境設定ファイルを編集することで変更できます。

ジョブ制御用の環境設定ファイル(confファイル)は,以下に示すパスにあります。インストール時に環境設定ファイルが存在しなかった場合は,同じディレクトリ下にあるモデルファイルと同じものが,環境設定ファイルとしてインストール時に自動的に作成されます。

インストール時に作成される環境設定ファイルの基になるモデルファイルの内容を次の図に示します。

OSがWindowsで,ファイルシステムにNTFS形式を使用している場合,環境設定ファイルの情報の改ざんを防ぐために,環境設定ファイルに対して,Administrators権限を持つ管理者だけが環境設定ファイルを編集できるようなアクセス権を設定しておくことをお勧めします。

なお,環境設定ファイルを再編集する場合は,JP1/AJS3 for EAPのコマンドが実行されていないことを確認してください。

環境設定ファイルでの文法は,次のとおりです。

[section]
key=string

次の場合,JP1/AJS3 for EAPは項目のデフォルトを使用して動作します。

次に,環境設定ファイルに指定できるkeyをセクションごとに説明します。

トレースセクションでは,トレースレベル,トレースファイルサイズ,およびトレース情報を格納するトレースファイル名を指定します。

traceに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒1 traceに指定できるkey

key

stringに指定できる値

説明

Level

0

採取しない

1

標準レベル

2

詳細レベル

3

デバッグレベル

トレースレベルを指定します。

このkeyの指定を省略した場合のトレースレベルは,「2」です。

各トレースレベルでの1コマンド当たりのトレース量は,次のとおりです。

  • ジョブの終了監視をする場合

    1(標準レベル):10.2 KB

    2(詳細レベル):12.0 KB +(ジョブ実行時間/終了監視間隔)×0.4 KB

    3(デバッグレベル):40.8 KB +(ジョブ実行時間/終了監視間隔)×0.9 KB

  • ジョブの終了監視をしない場合

    1(標準レベル):2.0 KB

    2(詳細レベル):12.0 KB

    3(デバッグレベル):40.8 KB

通常は,「詳細レベル」を指定してください。トラブルが発生した場合にだけ,「デバッグレベル」を指定します。なお,「採取しない」を指定すると,JP1/AJS3 for EAPの使用時の情報を採取できないので注意してください。

Size

0,または1〜1,280,000(単位:キロバイト)

トレースファイルのサイズを指定します。

0を指定した場合,トレースファイルのサイズは,2ギガバイトになります。

このkeyの指定を省略した場合,トレースファイルのサイズは,307,200キロバイト※1になります。

なお,トレースファイルのサイズを小さくする場合には,作成されているトレースファイルを削除してから変更してください。

TargetDir

Windowsの場合:

"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名※2

Linuxの場合:

"/"で始まる文字列

トレースファイルを格納するディレクトリを指定します。トレースファイルはアプリケーション単位で作成されます。このkeyの指定を省略した場合は,トレースファイルが標準で格納されるディレクトリ※3に,アプリケーション単位のトレースファイルが作成されます。

注意

TargetFileを指定した場合は,このkeyの指定は無視されます。

TargetFile

Windowsの場合:

"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名※2

Linuxの場合:

"/"で始まる文字列

指定したファイルに,すべてのアプリケーションのトレース情報を格納します。

注意

このkeyを指定した場合は,TargetDirの指定は無視されます。

注※1 トレースファイルサイズを307,200キロバイトに設定した場合,トレースレベル2(デフォルト)で100件/時間のジョブを実行したときに,少なくとも7日間分のトレースデータを記録できます。

注※2 UNC形式で表されるリモート資源名とは,Microsoft社が提供しているネットワーク上のフォルダおよびファイル名を指定する,「\\コンピュータ名\共有名」を指しています。このフォルダおよびファイルは,常時アクセスできるようにする必要があります。

注※3 トレースファイルが標準で格納されるディレクトリについては,「付録A ディレクトリ名一覧」を参照してください。

重要

トレースファイルの出力時に一時ディレクトリを使用します。

Windowsの場合,環境変数TMPで指定したフォルダを使用します。環境変数TMPには,コマンド実行ユーザーの権限でアクセスできるフォルダを指定してください(JP1/AJSで実行する場合,JP1/AJSのサービスに対するアカウントがデフォルトのときは,システム環境変数のTMP環境変数になります)。

Windowsの場合,event(イベントセクション)では,Windowsのアプリケーションログで使用されるイベントを生成するかどうかを指定します。

Linuxの場合,event(イベントセクション)では,syslogメッセージを生成するかどうかを指定します。eventに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒2 eventに指定できるkey

Key

stringに指定できる値

説明

ntevent

YESまたはNO

Windowsの場合に指定できます。Windowsのイベントを生成するかどうかを指定します。

このkeyの指定を省略した場合のイベント生成条件は,「YES」です。

Syslog

YESまたはNO

Linuxの場合に指定できます。syslogメッセージを生成するかどうかを指定します。

このkeyの指定を省略した場合,syslogメッセージの生成条件は,「YES」です。

command(コマンドセクション)では,JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリ,ジョブの終了監視時間間隔,指定したR/3オブジェクトの妥当性をチェックするかどうか,通信エラーが発生したときの接続回復を試みる時間・時間間隔,およびR/3ジョブログを標準エラー出力ファイルにも出力するかどうかを指定します。また,接続先のUnicode版 SAPシステムで,文字コードの変換時に使用するコードページ番号も指定します。commandに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒3 commandに指定できるkey

Key

stringに指定できる値

説明

WorkDir

Windowsの場合:

"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名※1

Linuxの場合:

"/"で始まる文字列

コマンドの作業ディレクトリを絶対パスで指定します。コマンドを実行するときに,この作業ディレクトリが設定されます。

なお,このkeyの指定を省略した場合,各コマンドの実行時のカレントディレクトリが使用されます(JP1/AJSを使用した場合は,JP1/AJSのジョブ実行時のワークパス※2が使用されます)。

MonitorInterval

1〜65,535(単位:秒)

ジョブの終了監視時間間隔を指定します。この値は,JP1/AJS3 for EAPのjr3bjsub,jr3bjcpy,またはjr3bjrelのコマンドラインでジョブの終了監視時間間隔の指定を省略した場合に使用されます。

このkeyの指定を省略した場合のジョブの終了監視時間間隔は,5秒です。

CheckLevel

0

指定値の妥当性をR/3システムに問い合わせない

1

ジョブを登録する前に,指定値の妥当性として次の項目をR/3システムに問い合わせる(一時バリアントのチェックはしない)※3

・指定したABAPプログラムの有無

・指定したABAPプログラムに対するバリアントの必要性

・指定したバリアントの有無

2

ジョブを登録する前に,指定値の妥当性として次の項目をR/3システムに問い合わせる(一時バリアントのチェックはしない)※3

・指定したABAPプログラムの有無

・指定したバリアントの有無

ジョブの登録時(jr3bjsubコマンドの実行時)に,ジョブステップ情報に指定したR/3オブジェクト(ABAPプログラム,バリアント)の妥当性をR/3システムに問い合わせるかどうかのレベルを指定します。

このkeyの指定を省略した場合のレベルは,2です。

RetryTime

0〜65,535(単位:分)

R/3システムとの通信中に通信エラーが発生したとき,R/3システムとの接続回復を試みる時間を指定します。エラーが発生してから,ここで指定した時間が過ぎるまで,接続回復を試みます。

0を指定した場合は,接続回復を試みないですぐにエラーを報告します。

RetryCountと同時に指定した場合,このkeyの指定は無視されます。RetryTime,およびRetryCountを指定していない場合,RetryCountのデフォルト値(3回)の指定が有効になります※4

接続回復を試みる時間間隔は,RetryIntervalで指定できます。

RetryCount

0〜65,535(単位:回)

R/3システムとの通信中に通信エラーが発生したとき,R/3システムとの接続回復を試みる回数を指定します。

0を指定した場合には,接続回復を試みないですぐにエラーを報告します。

このkeyの指定を省略した場合のデフォルト回数は,3回です。

RetryTimeと同時に指定した場合,RetryCountの指定が優先されます。

RetryTime,およびRetryCountを指定していない場合,RetryCountのデフォルト回数(3回)が有効になります。※4

接続回復を試みる時間間隔はRetryIntervalで指定できます。

RetryInterval

1〜65,535(単位:秒)

RetryTime,またはRetryCountを指定した場合に,R/3システムとの通信中に通信エラーが発生したとき,R/3システムとの接続回復を試みる時間間隔を指定します。※5

RetryTimeを指定した場合,このkeyの値にはRetryTimeに指定した時間よりも長い時間は指定できません。

このkeyの指定を省略した場合,時間間隔は180秒となります。

次の場合,RetryIntervalの値は無効となります。

  • RetryCountに0を指定した場合

  • RetryCountを指定しないでRetryTimeに0を指定した場合

JoblogAddToStderr

YES または NO

R/3ジョブログをファイルに出力する場合に,指定した出力先と同時に標準エラー出力にも出力するかどうかを設定します。

このkeyの指定を省略した場合,R/3ジョブログの標準エラー出力ファイルへの出力条件は「NO」です。

Codepage

0〜9999(単位:コードページ番号)

接続先のUnicode版 SAPシステムで,文字コードの変換時に使用するコードページ番号を指定します。

Unicode版 SAPシステムと日本語の文字データを送受信する場合は,シフトJISのコードページとして「8000」を指定してください。文字コードに日本語UTF-8コードを使用する場合も,「8000」を指定してください。日本語の文字データを送受信しない場合は,このkeyの指定は不要です。

注※1 UNC形式で表されるリモート資源名とは,Microsoft社が提供しているネットワーク上のフォルダ名を指定する,「\\コンピュータ名\共有名」を指しています。このフォルダは,常時アクセスできるようにする必要があります。

注※2 JP1/AJSのジョブ実行時のワークパスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)」を参照してください。

注※3 checklevelに「0」を指定した場合に比べて,ネットワークに掛かる負荷が大きくなります。また,コマンドの実行時間も長くなります。

注※4 RetryCountまたはRetryTimeを指定する場合は,互いに他方のkeyを指定するかどうかによって,有効となるkeyが異なります。

keyの指定

RetryCount

指定なし

指定あり

0

N(>0)

RetryTime

指定なし

(1)3回リトライ

(4)即座にエラー

(5)N回リトライ

指定あり

0

(2)即座にエラー

(4)即座にエラー

(5)N回リトライ

T(>0)

(3)T分間リトライ

(4)即座にエラー

(5)N回リトライ

(1) RetryTimeとRetryCountを両方とも指定がない場合,RetryCountのデフォルト値3回リトライ。

(2) RetryTimeが0でRetryCountが指定なしのためエラー。

(3) RetryTimeの指定が有効。T分間リトライ。

(4) RetryCountが0のため,即座にエラー。

(5) RetryCountの指定が優先のため,N回リトライ。

注※5 RetryCount,RetryTimeを指定した場合の動作を次に示します。

[図データ]

XMI(XMIセクション)では,XMIインターフェースセッションの監査レベルを指定します。XMIに指定できるkeyを次の表に示します。

表2‒4 XMIに指定できるkey

Key

stringに指定できる値

説明

AuditLevel

0

データの書き込み(変更)を記録する

1

データの読み込み時のエラーを記録する

2

データの読み込みを記録する

3

外部管理システムへのアクセスを記録する

XMIインターフェースセッションの監査レベルを指定します。

このkeyの指定を省略した場合,既存のXMIインターフェースセッションの監査レベルは変更されません。