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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド


2.2.2 メールシステム連携のセットアップ手順

メールシステム連携を使用して,Outlookを使用しないでメールを送信するには,メール送信ジョブの実行先ホストで,次に示す手順でセットアップをします。

Outlookを使用してメールを送信する場合,またはメール受信監視ジョブを使用してメールを受信する場合は,「2.3 メールシステム連携のセットアップ(WindowsホストでOutlookを使用する場合)」を参照してください。

図2‒9 メールシステム連携時のセットアップ手順

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) 環境設定パラメーターを設定する

次のコマンドを実行して,メールシステム連携に必要な環境設定パラメーターを設定します。

jajs_config -k [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\mail_link] 
"環境設定パラメーター名1"=定義内容1 
["環境設定パラメーター名2"=定義内容2] 
["環境設定パラメーター名3"=定義内容3] 
["環境設定パラメーター名4"=定義内容4] 
["環境設定パラメーター名5"=定義内容5] 
["環境設定パラメーター名6"=定義内容6] 
["環境設定パラメーター名7"=定義内容7] 
["環境設定パラメーター名8"=定義内容8] 

これらの環境設定パラメーターの設定後に,JP1/AJS3サービスを再起動する必要はありません。

メールシステム連携機能の環境設定に必要な環境設定パラメーターの内容を次に示します。

表2‒1 メールシステム連携機能に使用する環境設定パラメーター一覧

項番

定義キー

環境設定パラメーター

定義内容

1

[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\mail_link]

"EmbeddedMailSender"=

Outlookを使用しないでメール送信ジョブを使用するかどうか

2

"ConnectTimeout"=

通信接続タイムアウトの時間

3

"RecvTimeout"=

応答待ちタイムアウトの時間

4

"RetryInterval"=

メール送信に失敗してから次のリトライ処理を実行するまでの時間

5

"RetryCount"=

メール送信に失敗した場合,成功するまで何回リトライするか

6

"EmbeddedMailTimeout"=

メール送信ジョブのタイムアウト時間

7

"LogSize_EmbeddedMail"=

Outlookを使用しないメール送信用の,動作ログのサイズ

8

[JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT\mail_link]

"SendCutOffExcessiveData"=

データのサイズが規定のバイト数を超過する場合に,メールを送信するかどうか

環境設定パラメーターの定義内容の詳細を次に示します。

"EmbeddedMailSender"="{Y|N}"

Outlookを使用しないでメール送信するかどうかを指定します。

この環境設定パラメーターに「Y」を設定した場合,環境設定パラメーターExecModeに設定している値に関係なく,Outlookを使用しないでメールが送信されます。

この環境設定パラメーターを設定していない場合,または「N」を設定している場合は,Outlookを使用したメールシステム連携の動作に従います。

指定できる値

Y

Outlookを使用しないでメールを送信します。

N

Outlookを使用したメールシステム連携の動作に従います。

デフォルト値

N

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

注意事項

このパラメーターの設定を変更する場合,事前にすべてのメール送信ジョブを終了状態にしてください。

"ConnectTimeout"=dword:設定値

Outlookを使用しないでメールを送信する場合の,メールサーバへの接続待ちタイムアウト時間を指定します。

指定できる値

16進数で000003E8〜0036EE80(10進数で1,000〜3,600,000)(単位:ミリ秒)

デフォルト値

dword:00002710(10進数で10,000:10秒)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

注意事項

接続待ちタイムアウト時間に小さい値を指定すると,接続が完了する前にタイムアウトとなり,TCP/IP通信の接続エラーが発生することがあります。OSで設定されているTCP/IPの接続待ちタイムアウト時間が,この環境設定パラメーターに設定した値より短い場合,OSの設定が有効になります。

"RecvTimeout"=dword:設定値

Outlookを使用しないでメールを送信する場合の,メールサーバからの応答待ちタイムアウト時間を指定します。

指定できる値

16進数で000003E8〜0036EE80(10進数で1,000〜3,600,000)(単位:ミリ秒)

デフォルト値

dword:00002710(10進数で10,000:10秒)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

"RetryInterval"=dword:設定値

Outlookを使用しないでメールを送信する場合に,メール送信に失敗してから次のリトライ処理を実行するまでの待ち時間を秒単位で指定します。

指定できる値

16進数で000003E8〜0000EA60(10進数で1,000〜60,000)(単位:ミリ秒)

デフォルト値

dword:00001388(10進数で5,000:5秒)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

"RetryCount"=dword:設定値

Outlookを使用しないでメールを送信する場合,メールサーバとの通信に失敗したときに成功するまで何回リトライするかを指定します。

指定できる値

16進数で00000000〜000005A0(10進数で0〜1,440)(単位:回)

デフォルト値

dword:00000000(10進数で0)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

"EmbeddedMailTimeout"=dword:設定値

Outlookを使用しないでメールを送信する場合の,メール送信ジョブ全体のタイムアウト時間を指定します。

指定できる値

16進数で00002710〜0036EE80(10進数で10,000〜3,600,000)(単位:ミリ秒)

デフォルト値

dword:000927C0(10進数で600,000:600秒)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

注意事項

一つのメール送信ジョブに設定する添付ファイルの合計サイズが10メガバイトを超える場合,「添付ファイルサイズ(単位:メガバイト)*2(単位:秒)」以上の値を設定してください。

"LogSize_EmbeddedMail"=dword:ログのサイズ

Outlookを使用しないでメールを送信する場合に,出力されるログファイルのサイズを指定します。

指定できる値

16進数で00080000〜009C3C00(10進数で524,288〜10,238,976)(単位:バイト)

デフォルト値

dword:00200000(10進数で2,097,152)(単位:バイト)

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

"SendCutOffExcessiveData"="{Y|N}"

本文または件名にマクロ変数を定義したメール送信ジョブを実行する場合,次にどちらかに該当するときに,超過する部分を切り捨ててメールを送信するかどうかを指定します。

  • 次のデータの長さの合計が512バイトを超えるとき

    ・本文に定義した文字列の長さ

    ・本文に定義したマクロ変数の,ジョブ実行時の文字列の長さ

  • 次のデータの長さの合計が256バイトを超えるとき

    ・件名に定義した文字列の長さ

    ・件名に定義したマクロ変数の,ジョブ実行時の文字列の長さ

指定できる値

Y

超過する部分を切り捨てたデータを使用して,メールを送信します。

メッセージKAVT3207-Wが統合トレースログおよび実行結果詳細に出力されます。

N

メールを送信しないで,ジョブを「異常終了」状態にします。

メッセージKAVT4255-Eが実行結果詳細に出力されます。

デフォルト値

N

推奨値

運用環境に応じて設定してください。

設定が有効になるタイミング

メール送信ジョブ実行時

(2) プロファイルを作成する

jpomailprofコマンドに-addオプションを指定して実行し,必要な情報(送信元メールアドレス,SMTPサーバ名など)を記述したプロファイルを作成します。プロファイルは,16個まで作成できます。

認証が必要ないプロファイル「profile1」を作成する場合の実行例を次に示します。

jpomailprof -add -n profile1 -m mail@mail.com -s smtp.com

作成したプロファイルの一覧や,作成したプロファイルの内容を確認するには,jpomailprofコマンドに-showオプションを指定して実行します。

jpomailprofコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド jpomailprof(Windows限定)」を参照してください。

クラスタ環境の場合,共有ディスクにアクセスできる状態で,実行系だけでプロファイルを作成してください。待機系では,プロファイルを作成する必要はありません。

(3) プロファイルの権限を設定する

jpomailprofコマンドを実行すると,プロファイルやログファイルを格納するため次に示すフォルダが作成されて,プロファイルが格納されます。

プロファイル格納フォルダ\sys\prf

プロファイル格納フォルダ」の部分は,定義キー[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT]の環境設定パラメーターWaitInfFileOutDirに設定している値に置き換えてください。環境設定パラメーターWaitInfFileOutDirについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.6.2(16) WaitInfFileOutDir(エージェントプロセス用)」を参照してください。

jpomailprofコマンドを実行した時点では,作成されたフォルダや格納されるファイルに対して,すべてのユーザーに読み取り,書き込み,および削除する権限があります。すべてのユーザーが読み書きできる状態では問題がある場合,次の権限を満たす範囲で,フォルダまたはファイルの権限の設定を変更してください。

表2‒2 プロファイル格納フォルダに必要な権限

フォルダまたはファイル

権限が必要なユーザー

必要な権限

  • prf_path」フォルダ

  • prf_path」フォルダ直下のファイル

Administrators権限を持つユーザー

  • 読み取り

  • 書き込み

  • 削除

  • prf_path\作成したプロファイル名」フォルダ

  • prf_path\作成したプロファイル名」フォルダ配下のフォルダおよびファイル

  • Administrators権限を持つユーザー

  • 作成したプロファイル名」フォルダと同じ名称のプロファイルを指定したメール送信ジョブを実行する,JP1ユーザーにマッピングされたOSユーザー

  • 読み取り

  • 書き込み

  • 削除

(凡例)

prf_path:プロファイルが格納されているフォルダ

注意事項

クラスタ環境では,実行系のユーザーだけではなく,待機系のユーザーにも権限の設定が必要です。

(4) 通信環境を設定する

Outlookを使用しないでメールを送信する場合,次の設定が必要です。

(a) 名前解決

メールサーバ名の名前解決ができるように,hostsファイルやDNSを設定してください。

Outlookを使用しないでメールを送信する場合,名前解決にjp1hosts情報またはjp1hosts2情報を参照しません。

名前解決で複数のIPアドレスを取得した場合,接続が成功するまで,取得した順に接続を試みます。

(b) ファイアウォール

メール送信ジョブが直接メールサーバに通信するため,ジョブの実行先ホストとメールサーバ間で通信できるように,ファイアウォールの通信設定が必要です。

接続するポート番号のデフォルトと接続先のメールサーバは,認証方式によって次のように異なります。

表2‒3 接続するポート番号

項番

認証方式

ポート番号

接続先のメールサーバ

1

認証なし

25/tcp

SMTPサーバ

2

POP before SMTP

110/tcp

POP3サーバ

25/tcp

SMTPサーバ

3

SMTP-AUTH PLAIN

または

SMTP-AUTH LOGIN

587/tcp

SMTPサーバ

ファイアウォールの通過については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.3.2 ファイアウォールと通信に関する基礎知識」を参照してください。