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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング


2.7.2 組み込みDBが開始できないときの対処方法

組み込みDBが開始できないときの対処方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 組み込みDBが正常開始できないときの対処方法

組み込みDBが正常開始できないときに考えられる原因と,その対処方法を次の表に示します。

表2‒8 組み込みDBが正常開始できないときに考えられる原因とその対処方法

考えられる原因

対処方法

組み込みDBが正しくインストールまたはセットアップされていません。

組み込みDBのインストールまたはセットアップをし直してください。

システム定義に誤りがあります。

システム定義に誤りがある旨のメッセージが出力されます。そのメッセージを参考にして,システム定義を修正してください。

メモリーまたはファイル容量が不足しています。

メモリーまたはファイル容量が不足している旨のメッセージが出力されます。不要なプロセスを停止させるか,または不要なファイルを削除してください。

なお,共有メモリーの場合は,システム定義を見直してください。プロセス固有のメモリーの場合は,必要のないプロセスを停止してください。

UNIXの場合は,必要に応じてOSの共有メモリー関連のオペレーティングシステムパラメタを見直してください。オペレーティングシステムパラメタについては,リリースノートを参照してください。

組み込みDBの開始に必要なファイルがありません。

組み込みDBの開始に必要なファイルがない旨のメッセージが出力されます。そのメッセージを参考にして,必要なファイルを作成してください。

組み込みDBの開始に必要なファイルにトラブルが発生しました。

メッセージを参照してトラブルが起こったファイルを調べてください。障害の要因を取り除いて再開始させてください。

OSの構成が組み込みDBの実行環境として不適当です。

OSを構築し直してください。

現用のシステムログファイルを割り当てられません。

ajsembdbaddlogコマンドでシステムログファイルを追加してください。

(2) 組み込みDBが再開始できないときの対処方法

組み込みDBの再開始に失敗した場合,再開始処理時に出力されるメッセージを参照してください。再開始できないときに考えられる原因と,その対処方法を次の表に示します。

表2‒9 組み込みDBが再開始できないときに考えられる原因とその対処方法

考えられる原因

対処方法

マスタディレクトリ用RDエリアにトラブルが起こったため,組み込みDBを再開始できません。

(3) システム領域にトラブルが起こったときの対処方法」を参照してください。

ログを追加して,シングルサーバ定義を編集したら,再開始に失敗しました(メッセージKFPS00715-Eが出力)

ajsembdbstartコマンドに-Rオプションを指定して実行してください。

UNIXの場合で,上記以外のトラブルが起こったため,組み込みDBを再開始できません。

(4) その他のトラブルが起こったときの対処方法(UNIXの場合)」を参照してください。

(3) システム領域にトラブルが起こったときの対処方法

システム領域にトラブルが起こった場合,組み込みDBは再開始できません。この場合,次に示す手順でシステム領域を回復してください。システム領域とは,組み込みDBのシステムの内部情報を格納している領域のことです。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド」を参照してください。

  1. ajsembdbstartコマンドに-rオプションを指定して,組み込みDBを開始します。

  2. ajsembdbrstrコマンドで,システム領域を回復します。

  3. ajsembdbstopコマンドで,組み込みDBを終了させます。

  4. ajsembdbstartコマンドで,組み込みDBを開始させます。

  5. ajsembdbrstrコマンドで,トラブルが起こったRDエリアを回復します。

コマンドの実行後,実行結果が正しいかどうかを確認することを推奨します。

(4) その他のトラブルが起こったときの対処方法(UNIXの場合)

UNIXの場合で,ここまで説明した以外のトラブルが起こったときの対処方法を次に示します。

なお,対処方法で使用しているコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド」またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド」を参照してください。

(a) OSに登録した組み込みDBプロセスが起動していない場合

OSに登録した組み込みDBプロセスが,何らかの障害によって起動していないことがあります。OSは繰り返しプロセスを起動しようとしますが,一定回数起動できないとプロセスが起動しなくなります。この状態では,ajsembdbstartコマンドを実行しても組み込みDBを開始できません。この場合,次に示す手順で対策してください。

  1. ajsembdbinstlコマンドを実行します。

なお,組み込みDBの稼働中に電源断となってサーバマシンが停止した場合など,電源を入れ直してOSを起動した直後にも,組み込みDB運用ディレクトリのディスクが障害状態となって,上記と同じ現象が起こることがあります。この場合にも,同様の運用方法で対処してください。

(b) OSに登録した組み込みDBプロセスが起動している場合

OSに登録した組み込みDBプロセスが起動している場合の対処手順を次に示します。

  1. ajsembdbstartコマンド実行時にメッセージが出力されるので,そのメッセージに従って障害の原因を取り除いてください。