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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング


2.7.1 トラブルが起こったときの組み込みDBの処理と組み込みDBシステム管理者の処置

トラブルが起こったときの組み込みDBの処理と組み込みDBシステム管理者(システム管理者)の処置について説明します。

〈この項の構成〉

(1) トラブルが起こったときに組み込みDBシステム管理者がすること

トラブルが起こった場合,組み込みDBシステム管理者は次の個所にトラブルシュート情報が出力されるので,情報を採取します。

Windowsの場合
  • 組み込みDB運用ディレクトリ\spool下のファイル

  • 組み込みDB運用ディレクトリ\tmp下のファイル

  • 組み込みDB運用ディレクトリ\uxpldir下のファイル

  • Windowsイベントログ

UNIXの場合
  • 組み込みDB運用ディレクトリ/spool下のファイル

  • 組み込みDB運用ディレクトリ/tmp下のファイル

  • syslog

備考

トラブルシュートに必要な情報を「2.7.7 採取が必要な情報」に記載してあります。組み込みDBシステム管理者は必ず参照してください。

(2) トラブルが起こったときに組み込みDBが取得する情報

トラブルが起こったときに組み込みDBが取得するトラブルシュート情報を次の表に示します。

表2‒7 トラブルが起こったときに組み込みDBが取得するトラブルシュート情報

取得情報

説明

メッセージログファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\pdlog1,pdlog2

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/pdlog1,pdlog2

組み込みDBが出力するメッセージです。トラブル時には,バックアップを取得してください。

コマンド実行時の標準出力,標準エラー出力

コマンドの出力情報,およびエラーメッセージです。コマンドを入力した画面に表示されます。ファイルに残したい場合は,必要に応じてリダイレクトしてください。

Windowsの場合

Windowsイベントログ

UNIXの場合

syslog

組み込みDBが出力するメッセージです。

UNIXの場合は,OSのエディターで参照してください。syslogへのアクセスが集中すると,メッセージを出力できない場合があります。

退避コアファイル

(UNIXの場合)

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/save/ファイル名

UNIXの場合に取得される,組み込みDBの関連プロセスのデータ,およびスタック情報です。3個までしか退避されないので,残しておきたい退避コアファイルは,バックアップを取得してください。

ファイル名の形式は「ajs2n」となります。nは退避コアファイルの通し番号(1〜3)です。ただし,通し番号は付けられないことがあります。

アボート情報ファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\save\ファイル名

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/save/ファイル名

アボート情報です。出力された場合は,バックアップを取得してください。アボートコードだけなら任意のテキストエディターで参照できます。ファイル名の形式は「abcode.サーバプロセスのプロセスID」となります。

トラブル時のスナップ

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\save\ファイル名

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/save/ファイル名

トラブル時のスナップ情報です。出力された場合は,バックアップを取得してください。ファイル名の形式は「ajs2n.deb」となります。nはトラブル時のスナップの通し番号(1〜3)です。ただし,通し番号は付けられないことがあります。

共有メモリーダンプファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\pdshmdump\ファイル名

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/pdshmdump/ファイル名

組み込みDBが共有メモリーに保持するデータです。出力された場合は,バックアップを取得してください。ファイル名の形式は「ajs2.rmb.サーバプロセスのプロセスID」となります。

簡易ダンプファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\各サーバ対応のディレクトリ\ファイル名

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/各サーバ対応のディレクトリ/ファイル名

組み込みDBが共有メモリーおよびプロセス固有メモリーに保持するデータです。出力された場合は,バックアップを取得してください。ファイル名は日付とプロセスIDを組み合わせた形式になります。

コマンドトレースファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\cmdlog1,cmdlog2

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/cmdlog1,cmdlog2

実行したコマンド(組み込みDBが内部で生成するコマンドも含む)の履歴情報です。任意のテキストエディターで参照するときは,バックアップを取得してください。

エラーログファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\errlog\errlog1,errlog2

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/errlog/errlog1,errlog2

組み込みDBが出力する内部情報です。出力された場合は,バックアップを取得してください。

接続ユーザ情報ファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\cnctusrinf

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/cnctusrinf

組み込みDB終了時の接続ユーザ情報です。任意のテキストエディターで参照してください。

接続ユーザ詳細ファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\cnctusrdtl

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/cnctusrdtl

排他資源管理テーブル情報ファイル

Windowsの場合

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\pdlckinf\出力日時.mem

UNIXの場合

組み込みDB運用ディレクトリ/spool/pdlckinf/出力日時.mem

組み込みDBの排他制御でデッドロック,排他待ちタイムアウト,または排他資源管理テーブル不足エラーが発生したときのユーザ情報です。任意のテキストエディターで参照してください。出力された場合は,バックアップを取得してください。

注※

組み込みDBのサーバプロセスが異常終了したときに出力されるトラブルシュート情報です。組み込みDBのサーバプロセスが異常終了したことは,メッセージKFPS01820-Eの出力によって確認できます。メッセージKFPS01820-Eからはサーバ名,プロセスID,終了状態(end state)を確認できます。ただし,次に示す場合,トラブルシュート情報は出力されません。

  • 終了状態(end state)の最初がcまたはdで始まる場合,トラブルシュート情報は出力されません。

  • 終了状態(end state)がWindowsの場合は007f,UNIXの場合は0009であれば,アボート情報ファイル,退避コアファイル,および共有メモリーダンプファイルは出力されません。

(3) トラブルが起こったときの組み込みDBの処理

トラブルが起こったときの組み込みDBの処理について説明します。

(a) 組み込みDBが異常終了したときのシステムの回復

組み込みDBが異常終了した場合,トラブルの原因を取り除いたあとに組み込みDBを再開始すると,組み込みDBはシステムの状態をトラブル発生時点まで回復します。

(b) 組み込みDBが連続して異常終了したときの処理

組み込みDBが異常終了した場合,組み込みDBは再開始処理を実行します。ただし,30分以内に3回連続して組み込みDBが異常終了すると,組み込みDBは再開始処理を中止します。この場合,組み込みDBシステム管理者はトラブルの原因を対策したあと,ajsembdbstartコマンドで組み込みDBを再開始してください。

(4) 組み込みDBの処理プロセスでトラブルが起こったときの対処方法

組み込みDBのプロセスに障害が発生すると,そのプロセスは異常終了します。このとき,組み込みDBは回復プロセスを起動してロールバック処理を実行します。そのあと,該当するプロセスが自動的に再起動されるため,組み込みDBシステム管理者が対処することはありません。ただし,トラブルの影響度によっては組み込みDBが異常終了します。この場合,組み込みDBは自動的に再開始します。組み込みDBシステム管理者はトラブルの原因を取り除いたあとに操作を再実行してください。