2.6.2 標準ジョブ,HTTP接続ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブのトラブルへの対処
標準ジョブ,HTTP接続ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブの実行に関するトラブルの対処方法を次に示します。
- 〈この項の構成〉
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(1) 標準ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブを実行すると起動失敗となる
次の要因が考えられます。
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NFSなどの,ネットワークを介したファイルシステムにマウントされたディスク上のディレクトリおよびファイルを定義パラメーターで使用している場合
JP1/AJS3が作成または参照するディレクトリおよびファイルとして,NFSなどの,ネットワークを介したファイルシステムにマウントされたディスク上のディレクトリおよびファイルを使用しないでください。使用した場合の動作については保証できません。ただし,次に示す定義パラメーターで使用するディレクトリおよびファイルに限定して,NFSなどの,ネットワークを介したファイルシステムにマウントされたディスク上のディレクトリおよびファイルを使用できます。
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ジョブの実行ファイル名
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ジョブの標準出力ファイル名
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ジョブの標準エラー出力ファイル名
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ジョブの環境変数ファイル名
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ジョブの転送元ファイル名
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ジョブの転送先ファイル名
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ジョブの作業用パス
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ジョブ環境設定の作業用ディレクトリ
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実行OSユーザーのホームディレクトリ
上記の定義パラメーターを使用している場合に,ネットワークにアクセスできないときは,ジョブの起動に失敗したりジョブの実行が遅延したりすることがあります。
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キューレスジョブ([実行先サービス]に[キューレス]を指定したPCジョブ,UNIXジョブ,およびアクションジョブ)では,[実行エージェント]に指定されたホスト名の大文字と小文字を区別します。[実行エージェント]にキューレスジョブ実行ホスト上で設定されているホスト名が正しく設定されていることを確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4571-W エージェント(エージェントホスト名)でユーザーマッピング(ユーザー名)に失敗しました」が出力される場合
ジョブを実行するホストにユーザーマッピングが設定されていない,指定したJP1ユーザーまたは実行ユーザーが登録されていないなど,ユーザーマッピングが正しく設定されていないおそれがあります。
ユーザーマッピングの設定を確認し,ジョブを再実行(再登録)してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4580-W エージェント(エージェントホスト名)にてユーザー(ユーザー名)に管理者権限がありません」が出力される場合(UNIX限定)
ジョブの実行優先順位として4または5が指定されたジョブを,スーパーユーザー権限を持たない実行ユーザーで実行したおそれがあります。
UNIXの場合,ジョブの実行優先順位として4または5を指定するときは,スーパーユーザー権限を持つ実行ユーザー(rootユーザー)でジョブを実行してください。
なお,Windowsの場合は,ジョブの実行優先順位として4または5を指定しても,実行ユーザーの権限にAdministrators権限は不要です。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4512-W 指定されたキュー(キュー名)がありません」や,「KAVU4511-W 指定されたエージェント(エージェントホスト名)がありません」が出力される場合
QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行ホスト名やキュー名が不適切であるおそれがあります。
QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境が正しく作成されていることを確認してください。
確認時は,jpqexportコマンドを実行し,現在定義されているエージェント名(ジョブ実行ホスト名)やキュー名をファイルに出力してください。エージェント名は大文字・小文字が区別されませんが,キュー名は大文字・小文字が区別されるため注意してください。
エージェント名とキュー名の確認終了後,QUEUEジョブ,サブミットジョブを再実行(再登録)してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4514-W キュー(キュー名)の受付口がクローズされているためジョブ登録ができません」が出力される場合
キューがQUEUEジョブ,サブミットジョブを受け付ける状態になっていないおそれがあります。
jpqqueshowコマンドを実行し,キューのジョブ受付口の状態(ENTRYSTATUS)を確認してください。エージェントのデフォルトキューのジョブ受付口の状態を確認する場合は,-ahオプションとともにエージェントホスト名を指定してください。その他のキューのジョブ受付口の状態を確認する場合は,-qオプションとともにキュー名を指定してください。
ジョブ受付口が閉じられている場合(「ENTRYSTATUS:CLOSE」の場合),jpqqueopenコマンドを実行し,ジョブ受付口を開いてください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4515-W キュー(キュー名)のジョブ最大数(最大数)に達したためジョブ登録ができません」が出力される場合
QUEUEジョブ,サブミットジョブのキューイング中および実行中のジョブ数の最大値に達したおそれがあります。
jpqqueshowコマンドを実行し,QUEUEジョブ,サブミットジョブ数の最大値(MAXQUEUE)を確認してください。運用時は,QUEUEジョブ,サブミットジョブ数が最大値以下になるようにしてください。
QUEUEジョブ,サブミットジョブ数の最大値を変更する場合は,jpqquealtコマンドを使用してキュー内のジョブ数の最大値を変更するか,またはjpqimportコマンドを使用してQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベースを再作成してください。データベース再作成の流れについては,「2.11.2 QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベースの再作成手順」を参照してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4520-W 環境設定(論理ホスト名)のシステム内の最大ジョブ数(最大数)に達したためジョブ登録ができません」が出力される場合
QUEUEジョブ,サブミットジョブのシステム内でキューイング中および実行中のジョブ数の最大値に達したおそれがあります。
システム内の最大ジョブ数は,環境設定パラメーターMaximumContentJobに指定した値です。
運用時は,QUEUEジョブ,サブミットジョブ数がシステム内の最大ジョブ数以下になるようにしてください。
システム内の最大ジョブ数を変更する際は,リリースノートを参照し,適切な値を設定してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU3586-W サービスのアカウントに必要な権限が設定されていません」,またはメッセージ「KAVU3571-W ユーザーマッピング(ユーザー名)に失敗しました」が出力される場合(Windows限定)
JP1/AJS3のサービスのアカウントをユーザーアカウントに設定していないおそれがあります。さらに,そのユーザーアカウントに必要な権限を与えていないおそれがあります。
JP1/AJS3のサービスのアカウントをユーザーアカウントに設定して,必要な権限を与えてください。JP1/AJS3のサービスに対するアカウントの設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 4.2 JP1/AJS3のサービスの設定について検討する」を参照してください。なおJP1/AJS3のサービスのアカウントを変更した場合は,JP1/AJS3のサービスを再起動してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4581-W エージェント(エージェントホスト名)の実行ファイル(ファイル名)は実行可能ファイルではありません」が出力される場合
ファイルタイプに関連づけられているアプリケーションファイル名に空白文字が含まれているおそれがあります。
Windowsのエクスプローラで[表示]−[オプション]を実行し,表示される[オプション]ダイアログボックスの[ファイルタイプ]タブで,関連づけられているアプリケーションを確認してください。アプリケーションファイル名に空白文字が含まれている場合は,そのファイル名を「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4531-W エージェント(エージェントホスト名)のホスト名に誤りがあると思われます」が出力される場合
エージェントのホスト名が不適切であるか,IPアドレスが解決できない名称であるおそれがあります。
エージェントのホスト名が適切であること,またはhostsファイルなどを見直してIPアドレスが解決できる設定になっていることを確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4530-W エージェント(エージェントホスト名)が停止もしくは障害が発生したと思われます」が出力される場合
エージェント(ジョブ実行ホスト)のJP1/AJS3サービスが停止していたり,マシン自体が停止していたり,ネットワークで障害が発生していたりするおそれがあります。
エージェント,JP1/AJS3サービス,およびネットワークの状態を確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU3521-W ジョブ(ジョブ番号)のプロセス生成に失敗しました」が出力される場合
メモリー不足のために,ジョブの起動に失敗しているおそれがあります。
メモリー容量の見積もりを確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4597-W エージェント(エージェントホスト名)で消失したジョブを強制終了します」や,メッセージ「KAVU4538-W エージェント(エージェントホスト名)で消失したジョブ(ジョブ番号)を回復状態(状態名)にします」が出力される場合
上記のメッセージが出力されるケースを次に示します。
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JP1/AJS3 - Managerに実行中ジョブがある状態で,JP1/AJS3 - Managerホストのダウン,またはJP1/AJS3プロセスのダウンが発生したあと,そのJP1/AJS3 - Managerを再起動したケース。
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リモートの実行ホスト(エージェント)に実行中のジョブがある状態で,実行ホストのダウン,またはJP1/AJS3プロセスのダウンが発生したあと,実行ホストのJP1/AJS3を再起動したケース。
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リモートの実行ホスト(エージェント)に実行中のジョブがある状態で,最初にJP1/AJS3 - Managerホスト,次に実行ホストの順に停止したあと,JP1/AJS3 - Managerホスト,および実行ホストを再起動したケース。
QUEUEジョブ,サブミットジョブの場合,実行中ジョブの終了状態がジョブ実行環境のデータベースに反映されないまま強制停止されると,ジョブの終了状態が不明となり,メッセージKAVU4597-WやKAVU4538-Wが出力されます。
必要に応じて,ジョブネットまたはジョブを再実行登録してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4546-W エージェント(エージェントホスト名)でユーザーの環境変数PATHの取得に失敗しました」が出力される場合(UNIX限定)
実行OSユーザーのログインスクリプト内に,処理を途中で終了してしまう条件がないかどうかを確認してください。
ログインスクリプト内に,JP1/AJS3によるジョブ実行に不要な記述がある場合,不要な記述を削除してください。または,環境変数JP1JobIDで不要な記述をスキップするようにしてください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU5282-W データベース処理にてシステムコールエラーが発生しました(要因個所,要因番号)」が出力される場合
QUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ情報の件数が20万件を超えているおそれがあります。
次に示す手順に従ってジョブ情報の保存日数を変更し,QUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ実行環境データベースを再作成してください。
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ジョブ情報の保存日数を変更する。
ジョブ情報の件数が20万件を超えないような日数を指定します。
jajs_configコマンドで環境設定パラメーターPreserveTermを設定してください。
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jpqimportコマンドでQUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ実行環境データベースを再作成する。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU3577-W ジョブ実行処理でシステムコール(関数名)でエラーが発生しました(要因番号)」が出力される場合(UNIX限定)
ジョブを実行するときにワークパスに指定したディレクトリがカレントディレクトリとして扱われていないおそれがあります。ワークパスの指定内容がカレントディレクトリとして動作します。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4548-W エージェント(エージェントホスト名)の一時作業用ファイルへのアクセスに失敗しました」,またはメッセージ「KAVU4583-W エージェント(エージェントホスト名)に実行シェルがありません」が出力される場合,JP1ユーザーにマッピングするOSユーザーがOSにログインできないおそれがあります。これらのメッセージが出力された場合は,メッセージごとに,次に示す項目を確認してください。
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メッセージKAVU4548-Wが出力された場合
/etc/passwdに指定したホームディレクトリがあるかどうか。
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メッセージKAVU4583-Wが出力された場合
/etc/passwdに指定したログインシェルがあるかどうか。
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統合トレースログに,「KAVU7533-E JP1ユーザー(論理ホスト名,ユーザー名)からユーザーマッピングした実行ユーザー(ユーザー名)は使用できません(要因番号:1326)」というメッセージが出力される場合,Windowsでは,ジョブを実行するOSユーザーのアクセストークンを取得できなかったおそれがあります。次の要因が考えられます。
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Win32API関数の一時的エラーによって,アクセストークンを取得できなかった。
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ジョブの実行ユーザーがドメインユーザーの場合,ドメインコントローラーが起動していないなど,ドメインユーザーが一時的にログオンできる状態になっていなかった。
JP1/AJS3では,ジョブ実行時にアクセストークンを取得しますが,ドメインコントローラーの数や状態を意識して動作していないため,ジョブの実行中にドメインコントローラーを再起動するような場合は注意してください。
なお,これらの一時的にアクセストークンを取得できないエラーの場合,アクセストークンを再利用する設定を行うことで,アクセストークンの取得の回数を最小限に減らし,エラーの発生頻度を抑えることができます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.17 ジョブ実行時にアクセストークンを再利用するための設定」を参照してください。
また,アクセストークンを再利用した場合,デスクトップヒープの使用方法が変わります。
そのため,システム全体で十分に検証した上で適用してください。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.17(3) 注意事項」を参照してください。アクセストークンの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 5.4.1 ジョブ実行時のユーザーアカウント」も参照してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4721-E 要求が拒否されました(ジョブ番号)」が出力される場合
ジョブの実行先ホストの統合トレースログに出力されているメッセージKAVU3296-Eを確認してください。必要なIPアドレスをエージェント用接続許可設定ファイルに追加し,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVS8029-E 要求が拒否されました(ユニット名)」が出力される場合
ジョブの実行先ホストの統合トレースログに出力されているメッセージKAVS8039-Eを確認してください。必要なIPアドレスをエージェント用接続許可設定ファイルに追加し,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
(2) HTTP接続ジョブを実行すると起動失敗となる
次の要因が考えられます。
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NFSなどの,ネットワークを介したファイルシステムにマウントされたディレクトリを次に示す定義パラメーターで使用している場合
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ジョブの標準出力ファイル名
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ジョブの標準エラー出力ファイル名
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実行OSユーザーのホームディレクトリ
ネットワークにアクセスできないときは,ジョブの起動に失敗したりジョブの実行が遅延したりすることがあります。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4571-W エージェント(エージェントホスト名)でユーザーマッピング(ユーザー名)に失敗しました」が出力される場合
ジョブを実行するホストにユーザーマッピングが設定されていない,指定したJP1ユーザーまたは実行ユーザーが登録されていないなど,ユーザーマッピングが正しく設定されていないおそれがあります。
ユーザーマッピングの設定を確認し,ジョブを再実行(再登録)してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4580-W エージェント(エージェントホスト名)にてユーザー(ユーザー名)に管理者権限がありません」が出力される場合(Linux限定)
ジョブの実行優先順位として4または5が指定されたジョブを,スーパーユーザー権限を持たない実行ユーザーで実行したおそれがあります。
Linuxの場合,ジョブの実行優先順位として4または5を指定するときは,スーパーユーザー権限を持つ実行ユーザー(rootユーザー)でジョブを実行してください。
なお,Windowsの場合は,ジョブの実行優先順位として4または5を指定しても,実行ユーザーの権限にAdministrators権限は不要です。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU3586-W サービスのアカウントに必要な権限が設定されていません」,またはメッセージ「KAVU3571-W ユーザーマッピング(ユーザー名)に失敗しました」が出力される場合(Windows限定)
JP1/AJS3のサービスのアカウントをユーザーアカウントに設定していないおそれがあります。さらに,そのユーザーアカウントに必要な権限を与えていないおそれがあります。
JP1/AJS3のサービスのアカウントをユーザーアカウントに設定して,必要な権限を与えてください。JP1/AJS3のサービスに対するアカウントの設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 4.2 JP1/AJS3のサービスの設定について検討する」を参照してください。なおJP1/AJS3のサービスのアカウントを変更した場合は,JP1/AJS3のサービスを再起動してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4531-W エージェント(エージェントホスト名)のホスト名に誤りがあると思われます」が出力される場合
エージェントのホスト名が不適切であるか,IPアドレスが解決できない名称であるおそれがあります。
エージェントのホスト名が適切であること,またはhostsファイルなどを見直してIPアドレスが解決できる設定になっていることを確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4530-W エージェント(エージェントホスト名)が停止もしくは障害が発生したと思われます」が出力される場合
エージェント(ジョブ実行ホスト)のJP1/AJS3サービスが停止していたり,マシン自体が停止していたり,ネットワークで障害が発生していたりするおそれがあります。
エージェント,JP1/AJS3サービス,およびネットワークの状態を確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU3521-W ジョブ(ジョブ番号)のプロセス生成に失敗しました」が出力される場合
メモリー不足のために,ジョブの起動に失敗しているおそれがあります。
メモリー容量の見積もりを確認してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4597-W エージェント(エージェントホスト名)で消失したジョブを強制終了します」や,メッセージ「KAVU4538-W エージェント(エージェントホスト名)で消失したジョブ(ジョブ番号)を回復状態(状態名)にします」が出力される場合
上記のメッセージが出力されるケースを次に示します。
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JP1/AJS3 - Managerに実行中ジョブがある状態で,JP1/AJS3 - Managerホストのダウン,またはJP1/AJS3プロセスのダウンが発生したあと,そのJP1/AJS3 - Managerを再起動したケース。
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リモートの実行ホスト(エージェント)に実行中のジョブがある状態で,実行ホストのダウン,またはJP1/AJS3プロセスのダウンが発生したあと,実行ホストのJP1/AJS3を再起動したケース。
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リモートの実行ホスト(エージェント)に実行中のジョブがある状態で,最初にJP1/AJS3 - Managerホスト,次に実行ホストの順に停止したあと,JP1/AJS3 - Managerホスト,および実行ホストを再起動したケース。
必要に応じて,ジョブネットまたはジョブを再実行登録してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4546-W エージェント(エージェントホスト名)でユーザーの環境変数PATHの取得に失敗しました」が出力される場合(Linux限定)
実行OSユーザーのログインスクリプト内に,処理を途中で終了してしまう条件がないかどうかを確認してください。
ログインスクリプト内に,JP1/AJS3によるジョブ実行に不要な記述がある場合,不要な記述を削除してください。または,環境変数JP1JobIDで不要な記述をスキップするようにしてください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4548-W エージェント(エージェントホスト名)の一時作業用ファイルへのアクセスに失敗しました」,またはメッセージ「KAVU4583-W エージェント(エージェントホスト名)に実行シェルがありません」が出力される場合,JP1ユーザーにマッピングするOSユーザーがOSにログインできないおそれがあります。これらのメッセージが出力された場合は,メッセージごとに,次に示す項目を確認してください。
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メッセージKAVU4548-Wが出力された場合
/etc/passwdに指定したホームディレクトリがあるかどうか。
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メッセージKAVU4583-Wが出力された場合
/etc/passwdに指定したログインシェルがあるかどうか。
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統合トレースログに,「KAVU7533-E JP1ユーザー(論理ホスト名,ユーザー名)からユーザーマッピングした実行ユーザー(ユーザー名)は使用できません(要因番号:1326)」というメッセージが出力される場合,Windowsでは,ジョブを実行するOSユーザーのアクセストークンを取得できなかったおそれがあります。次の要因が考えられます。
-
Win32API関数の一時的エラーによって,アクセストークンを取得できなかった。
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ジョブの実行ユーザーがドメインユーザーの場合,ドメインコントローラーが起動していないなど,ドメインユーザーが一時的にログオンできる状態になっていなかった。
JP1/AJS3では,ジョブ実行時にアクセストークンを取得しますが,ドメインコントローラーの数や状態を意識して動作していないため,ジョブの実行中にドメインコントローラーを再起動するような場合は注意してください。
なお,これらの一時的にアクセストークンを取得できないエラーの場合,アクセストークンを再利用する設定を行うことで,アクセストークンの取得の回数を最小限に減らし,エラーの発生頻度を抑えることができます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.17 ジョブ実行時にアクセストークンを再利用するための設定」を参照してください。
また,アクセストークンを再利用した場合,デスクトップヒープの使用方法が変わります。
そのため,システム全体で十分に検証した上で適用してください。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.17(3) 注意事項」を参照してください。アクセストークンの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 5.4.1 ジョブ実行時のユーザーアカウント」も参照してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4721-E 要求が拒否されました(ジョブ番号)」が出力される場合
ジョブの実行先ホストの統合トレースログに出力されているメッセージKAVU3296-Eを確認してください。必要なIPアドレスをエージェント用接続許可設定ファイルに追加し,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVS8029-E 要求が拒否されました(ユニット名)」が出力される場合
ジョブの実行先ホストの統合トレースログに出力されているメッセージKAVS8039-Eを確認してください。必要なIPアドレスをエージェント用接続許可設定ファイルに追加し,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
(3) 標準ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブを実行すると異常終了となる
次の要因が考えられます。
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ジョブ実行時に使用した環境変数が不適切であるおそれがあります(環境変数には,ジョブに直接定義した環境変数と,環境変数ファイルとして定義したファイル内に指定された環境変数があります)。
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 1.4 環境変数一覧」を参照して,不適切な環境変数を使用していないか確認してください。
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ジョブに指定したファイル名が不適切であるおそれがあります。
ファイル名について,次の点を確認してください。
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ジョブ実行ファイル名(Windowsの場合は実行ファイル名,UNIXの場合はスクリプトファイル名),環境変数ファイル名,標準入力ファイル名,標準出力ファイル名・標準エラー出力ファイル名が重複していないこと(標準出力ファイル名と標準エラー出力ファイル名だけは,重複していてもかまいません)。
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同時に実行するジョブについて,標準出力ファイル名と標準エラー出力ファイル名が重複していないこと。
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ジョブに指定した実行ファイル内の処理で,標準出力・標準エラー出力のリダイレクト先が競合しているおそれがあります。次の点を確認してください。
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ジョブに指定した標準出力ファイルまたは標準エラー出力ファイルが,実行ファイルに指定した標準出力・標準エラー出力のリダイレクト先のファイルと重複していないこと。
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実行ファイルを指定したジョブを複数同時に実行した場合,実行ファイルに指定した標準出力・標準エラー出力のリダイレクト先のファイル名が,同一のファイル名とならないこと。
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「/etc/logingroup」の設定が不適切であるおそれがあります(実行ホストがHP-UXの場合)。
ジョブを実行するOSユーザーが複数のグループに属し,かつ,複数のグループへのアクセスを有効にする場合は,「/etc/logingroup」の設定が必要です。「/etc/logingroup」を設定していない場合,「/etc/passwd」で定義されているグループIDだけが有効になり,定義されていないグループIDは無効になります。具体的には,jp1userというOSユーザーが複数のグループ(第1グループとしてAグループ,第2グループとしてグループB)に属しているにもかかわらず,グループBのファイルを参照できないなどの不具合が発生します。複数のグループへのアクセスを有効にするには,「/etc/group」のグループ定義を「/etc/logingroup」にコピーするか,または「/etc/group」と「/etc/logingroup」にシンボリックリンクを設定してください。詳細については,OSのドキュメントを参照してください。
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次に示すコマンドが正常に動作しないおそれがあります(実行ホストがWindowsの場合)。
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net useコマンドを使用したジョブの実行時に,ネットワークフォルダの切断ができない場合
2とおりの対処方法を示します。
一つ目の対処方法として,一つのバッチファイル中にnet useコマンドを指定し,ネットワークフォルダを接続・切断するようにしてください。
二つ目の対処方法として,JP1/AJS3のサービスのアカウントをユーザーアカウントにして,net useコマンドを使用したジョブをサービスのアカウントと同じアカウントで実行してください。JP1/AJS3のサービスのアカウントのユーザーアカウントへの変更については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 4.2.3 JP1/AJS3のサービスの設定を変更する必要がある場合(Windows限定)」も参照してください。
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ftpコマンドを使用したジョブの実行時に,標準出力データが出力されない場合
2とおりの対処方法を示します。
一つ目の対処方法として,ftpコマンドに-vオプションを指定してください。
二つ目の対処方法として,ジョブ定義時に標準入力ファイル名,標準出力ファイル名,および標準エラー出力ファイル名に「CON」を指定してください。「CON」を指定すると,標準出力ファイル,および標準エラー出力ファイルにはデータが出力されます。ただし,JP1/AJS3 - Viewでジョブの実行結果の詳細を表示したとき,ジョブの標準エラー出力メッセージが出力されなくなります。また,jpqjobgetコマンドで標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイルの情報が取得できなくなります。
注意事項
ftpコマンド使用時以外で同様の現象が発生した場合も,「CON」を指定する方法で対処してください。
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上記以外のコマンドを使用したジョブの実行時に,ジョブが正しく動作しない場合
JP1/AJS3のジョブは,OSユーザーがWindowsにログオンしていない状態でも実行できるように,OSユーザーのログオンセションとは独立した「サービス」と呼ばれる形態で実行されます。このため,JP1/AJS3を使ってジョブを実行した場合と,コマンドプロンプトを使ってジョブを実行した場合とで,ジョブの実行結果が異なることがあります。
Windowsが提供するATコマンド,または[タスクスケジューラ]を使用すると,ジョブがサービスから正しく実行できるかどうかを検証することができます(このとき,WindowsのScheduleサービスまたはTask Schedulerサービスがジョブを起動します)。Windowsのサービスからジョブが正しく動作しない場合は,JP1/AJS3のサービスからもジョブは正しく動作しません。その際は,ジョブで使用しているコマンドやプログラムを見直す必要があります。
ブラウザーにIE 4.0以降を使用している場合の検証手順を示します。
IE 4.0以降を使用している場合
1. WindowsのTask Schedulerサービスに対して,Windowsの[サービス]ダイアログボックスで,[デスクトップとの対話をサービスに許可]がチェックされていない状態にする。
2. Task Schedulerサービスを再起動する。
3. デスクトップ上にある[マイコンピュータ]アイコンをクリックし,[予定されているタスク]フォルダを開く。
4. ウィザードを使ってタスクを設定する。
タスク設定時は,実行するジョブ,および実行ユーザーのアカウントを設定してください。
5. ジョブの実行結果を確認する。
なお,Scheduleサービス,Task Schedulerサービス,およびJP1/AJS3サービスでは,ジョブのプロセスの生成方法が若干異なります。そのため,JP1/AJS3を使うと正しく動作しないジョブも,Windowsのサービスを使えば正しく動作する場合があります。例えば,JP1/AJS3では,OSユーザーのログオンセションに設定されたプリンタやアプリケーションに関する情報で,かつ,レジストリーに格納されている情報については,例えそのOSユーザーのアカウントをジョブの実行ユーザーに設定しても,参照できないことがあります(ジョブからのプリンタへの印刷やアプリケーションの起動などが正しく動作しないことがあります)。この現象が発生した場合は,ジョブを実行するOSユーザーでWindows(JP1/AJS3の実行ホスト)にログオンし,その状態で運用してください。
または,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.16 ユーザープロファイルを必要とするジョブを実行するための設定」を参照して,設定をしてください。
また,実行ユーザーのアクセス権をローカルサーバのユーザーに限定させたい場合は,OSユーザーの指定方法を「サーバ名\ユーザー名」としてください。
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メモリー不足のために,ジョブの起動に失敗しているおそれがあります。
メモリー容量の見積もりを確認してください。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合(Windows限定)
これは,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行時にジョブ実行環境のISAMファイルにアクセスできないために発生するエラーです。次の事項を同時に実行していないかどうか確認してください。
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JP1/AJS3の資料採取ツールを実行している。
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JP1/BaseまたはJP1/AJS3のISAMデータベースの検証やコンデンスなどISAMデータベースを操作するコマンドを実行している(jpqdbcond -L コマンドは含まない)。
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バックアッププログラムを実行している。
上記のほかにも,QUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ実行環境のデータベースファイルを占有モード,またはファイルの読み込みだけを共有するモードでオープンするようなプログラムを実行していると,このような現象が起こるおそれがあります。これらの作業をスケジュールする際は,ジョブの実行時間と重ならないように運用してください。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合(UNIX限定)
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「KAVU4560-W エージェント(エージェントホスト名)の標準出力ファイル(ファイル名)に対してアクセス権がありません」
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「KAVU4563-W エージェント(エージェントホスト名)の標準エラー出力ファイル(ファイル名)に対してアクセス権がありません」
メッセージKAVU4547-Wが出力されている場合は,ワークディレクトリの所有グループがジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループで,かつワークディレクトリの権限が「770」であるおそれがあります(ワークディレクトリは,定義キー[JP1_DEFAULT\JP1NBQAGENT\Process]の環境設定パラメーターWorkPathに指定したディレクトリになります)。
また,メッセージKAVU4560-W,KAVU4563-Wが出力されている場合は,指定したファイル(上記のメッセージ中のファイル名)があるディレクトリの所有グループがジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループで,ディレクトリの権限が「770」であるおそれがあります。
次に示す方法のどれかで対処してください。
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メッセージKAVU4547-Wが出力されている場合は,ワークディレクトリに対してセカンダリーグループでもアクセスできる権限に変更する。
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指定したファイルがあるディレクトリの権限をセカンダリーグループでもアクセスできる権限に変更し,かつ指定したファイルの権限をセカンダリーグループでも読み込み,書き込みができる権限に変更する。
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ディレクトリおよび指定したファイルの所有グループをジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループからプライマリーグループに変更する。
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.2.18 ジョブ実行時のファイル権限チェックでアクセス制御リストやセカンダリーグループの設定を有効にする」の設定に従い,オプションを有効にする。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU4551-W エージェント(エージェントホスト名)の実行ファイル(ファイル名)に対してアクセス権がありません」が出力されている場合(UNIX限定)
指定した実行ファイル(上記のメッセージ中のファイル名)があるディレクトリの所有グループがジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループで,かつ権限が「770」であるおそれがあります。
次に示す方法のどれかで対処してください。
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指定したファイルがあるディレクトリの権限を「771」に変更し,かつ指定したファイルの権限を「774」に変更する。
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ディレクトリおよび指定したファイルの所有グループをジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループからプライマリーグループに変更する。
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.2.18 ジョブ実行時のファイル権限チェックでアクセス制御リストやセカンダリーグループの設定を有効にする」の設定に従い,オプションを有効にする。
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ジョブの実行ファイル名を正しく求められない場合があります。
UNIXの場合
スクリプトファイル内で「$0」(スクリプトファイル名)を参照する場合,「$0」がジョブの定義に指定したスクリプトファイル名にならず,「JPQ_EXEC_」から始まるスクリプトファイル名になる場合があります。
このファイル名は,次の場合のどれかにJP1/AJS3が一時的に作成するスクリプトファイル名です(スクリプトファイルはジョブ実行時に使用するワークパスに作成します)。
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JP1/AJS3 - Viewの[詳細定義 -[UNIX Job]]ダイアログボックスの[定義]タブで,[コマンド文]にコマンドを指定したジョブを実行する。
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JP1/AJS3 - Viewの[詳細定義 -[UNIX Job]]ダイアログボックスの[定義]タブで,[スクリプトファイル名]に#![シェル名]を先頭行に記述していないスクリプトファイル名を指定して実行する。※
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jpqjobsubコマンドの-scオプションに,#![シェル名]を先頭行に記述していないスクリプトファイル名を指定して実行する。
- 注※
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[スクリプトファイル名]に指定したスクリプトファイルの先頭行に実行シェル名の記述がない場合,先頭行に実行シェル名を付加したスクリプトファイルを一時的に作成し,ジョブとして実行します。
[コマンド文]と[スクリプトファイル名]を同時に指定した場合,[コマンド文]と[スクリプトファイル名]の内容をコマンド文,スクリプトファイルの内容の順でマージした一時ファイルを作成します。このため,[コマンド文]の記述がある場合は,スクリプトファイルの実行シェル名の記述の有無にかかわらず,一時ファイルを作成します([コマンド文]欄にタブやスペースがある場合にも一時ファイルを作成します)。
一時的なスクリプトファイルを作成しないようにするには,これらの条件に該当しないようにジョブを定義してください。
Windowsの場合
Windowsの実行ファイル内で第1引数(バッチファイルの場合は「%0」)を参照する場合,第1引数がジョブの定義に指定した実行ファイル名にならない場合があります。これは,JP1/AJS3がジョブを起動するときに実行ファイル名を8.3形式のショートファイル名に変換するためです。
実行ファイル名の変換を行わないでジョブを起動する場合には,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.15 ジョブをロングファイル名で実行するための設定」を参照してください。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合(Windows限定)
JP1/AJS3サービスのアカウントと異なるユーザーアカウントでジョブを実行しているときに,Net Logonサービスが起動されていない場合,このメッセージが出力されてジョブが異常終了することがあります。このメッセージが出力されたときは,Net Logonサービスが起動されているかどうかを確認してください。
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次のどちらかでジョブが異常終了した場合(Windows限定)
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次のメッセージを出力してジョブが終了コード259または-1で異常終了する。
「KAVU3284-W 内部処理(論理ホスト名)でシステムコールエラーが発生しました(要因個所:要因個所,要因番号:0x2013000a)」
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ジョブの標準エラー出力に次のメッセージを出力してジョブが異常終了する。
「プロセスはファイルにアクセスできません。別のプロセスが使用中です。」
これらは次の条件が重なる場合に発生することがあります。
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次のどちらかの方法でジョブを登録する際に,標準出力ファイル,または標準エラー出力ファイルを明示的に指定する。
・ジョブの詳細定義で指定する。
・ジョブ実行制御のコマンドでジョブを登録する際に指定する。
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1.で指定したファイルに対して次のどちらかの処理をしている。
・ジョブとして実行するプログラム内で,関数を使用してオープンしている。その際,オブジェクトの共有方法を読み取り不可または,書き込み不可の設定にしている。
・ジョブとして実行するバッチファイル内で,リダイレクトを使用してオープンしている。
ジョブとして実行するプログラム内でオープンするファイル,またはバッチファイル内のリダイレクトでオープンするファイルを,ジョブを登録する際の標準出力ファイル,または標準エラー出力ファイルとして指定しないでください。ただし,プログラム内で関数を使用してオープンする場合に限って,共有の読み取りまたは共有の書き込みを許可する設定でオープンすることで回避することもできます。
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統合トレースログに,次のどちらかのメッセージが出力されている場合
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「KAVU5290-E データベースのファイルサイズが制限値を超えているかメモリーの確保に失敗しました(要因個所,要因番号)」
ISAMファイルが不正な状態になっているおそれがあります。
次のことを行っているとこれらのエラーが発生することがあります。
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JP1/AJS3サービスを停止しない状態で,強制的なシャットダウン操作や電源断を行う。
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ディスク容量不足が発生している状態でISAMファイルへの書き込みを行う。
ISAMファイルの状態を確認し,不正な状態になっている場合はISAMファイルを再作成してください。ISAMファイルの状態確認,ISAMファイルの再作成の手順については,「2.11 ISAMファイルが不正になった場合の対処」を参照してください。
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AIXまたはLinuxの実行ホストでジョブを実行したとき,ジョブの実行ユーザーに設定したリソースの制限値が有効にならないで,リソース不足でジョブが異常終了することがあります。
AIXおよびLinuxの場合,ジョブの実行ユーザーに対して,/etc/security/limits(Linuxの場合は/etc/security/limits.conf)でリソースの制限値の定義をしても,ジョブ実行時に値は有効になりません。JP1/AJS3起動時のユーザー(root)に対してリソース制限値を定義してください。
詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.4 UNIXジョブ使用時の注意事項」の「UNIXジョブ実行時のリソース制限値についての注意事項」を参照してください。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合
マネージャーホストとエージェントホストで通信暗号化機能の有効・無効が異なっています。JP1/AJS3サービスを停止して,通信暗号化機能の有効・無効を一致させてから,JP1/AJS3サービスを再起動してください。
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実行したジョブプロセスから,さらにバックグラウンドで子プロセスを実行した場合に,次に示す現象が発生することがあります(実行ホストがWindowsの場合)。
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実行したジョブプロセスの終了に時間が掛かる
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バックグラウンドで実行したプロセスが実行し続けて終了しない場合,リソース不足となる
対処方法として,ジョブ定義時に標準入力ファイル名,標準出力ファイル名,および標準エラー出力ファイル名に「CON」を指定してください。「CON」を指定すると,標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイルにはデータが出力されます。ただし,JP1/AJS3 - Viewでジョブの実行結果の詳細を表示したとき,ジョブの標準エラー出力メッセージが出力されなくなります。また,jpqjobgetコマンドで標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイルの情報が取得できなくなります。
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(4) HTTP接続ジョブを実行すると異常終了となる
次の要因が考えられます。
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ジョブに指定したファイル名が不適切であるおそれがあります。
ファイル名について,次の点を確認してください。
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同時に実行するジョブについて,標準出力ファイル名と標準エラー出力ファイル名が重複していないこと。
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メモリー不足のために,ジョブの起動に失敗しているおそれがあります。
メモリー容量の見積もりを確認してください。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合(Linux限定)
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「KAVU4560-W エージェント(エージェントホスト名)の標準出力ファイル(ファイル名)に対してアクセス権がありません」
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「KAVU4563-W エージェント(エージェントホスト名)の標準エラー出力ファイル(ファイル名)に対してアクセス権がありません」
メッセージKAVU4547-Wが出力されている場合は,ワークディレクトリの所有グループがジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループで,かつワークディレクトリの権限が「770」であるおそれがあります(ワークディレクトリは,定義キー[JP1_DEFAULT\JP1NBQAGENT\Process]の環境設定パラメーターWorkPathに指定したディレクトリになります)。
また,メッセージKAVU4560-W,KAVU4563-Wが出力されている場合は,指定したファイル(上記のメッセージ中のファイル名)があるディレクトリの所有グループがジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループで,ディレクトリの権限が「770」であるおそれがあります。
次に示す方法のどれかで対処してください。
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メッセージKAVU4547-Wが出力されている場合は,ワークディレクトリに対してセカンダリーグループでもアクセスできる権限に変更する。
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指定したファイルがあるディレクトリの権限をセカンダリーグループでもアクセスできる権限に変更し,かつ指定したファイルの権限をセカンダリーグループでも読み込み,書き込みができる権限に変更する。
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ディレクトリおよび指定したファイルの所有グループをジョブ実行ユーザーのセカンダリーグループからプライマリーグループに変更する。
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.2.18 ジョブ実行時のファイル権限チェックでアクセス制御リストやセカンダリーグループの設定を有効にする」の設定に従い,オプションを有効にする。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合(Windows限定)
JP1/AJS3サービスのアカウントと異なるユーザーアカウントでジョブを実行しているときに,Net Logonサービスが起動されていない場合,このメッセージが出力されてジョブが異常終了することがあります。このメッセージが出力されたときは,Net Logonサービスが起動されているかどうかを確認してください。
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Linuxの実行ホストでジョブを実行したとき,ジョブの実行ユーザーに設定したリソースの制限値が有効にならないで,リソース不足でジョブが異常終了することがあります。
Linuxの場合,ジョブの実行ユーザーに対して,/etc/security/limits.confでリソースの制限値の定義をしても,ジョブ実行時に値は有効になりません。JP1/AJS3起動時のユーザー(root)に対してリソース制限値を定義してください。
詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.9 HTTP接続ジョブ使用時の注意事項」の「ジョブ実行時のリソース制限値についての注意事項」を参照してください。
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統合トレースログに,次のメッセージが出力されている場合
マネージャーホストとエージェントホストで通信暗号化機能の有効・無効が異なっています。JP1/AJS3サービスを停止して,通信暗号化機能の有効・無効を一致させてから,JP1/AJS3サービスを再起動してください。
(5) 標準ジョブ,HTTP接続ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブの状態が変化しない
次の要因が考えられます。
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統合トレースログに,メッセージ「KAVU3531-W マネージャー(論理ホスト名)のホスト名に誤りがあると思われます」が出力される場合
マネージャーのホスト名が不適切であるか,またはIPアドレスが解決できない名称であるおそれがあります。
マネージャーのホスト名が適切であること,またはhostsファイルなどを見直してIPアドレスが解決できる設定になっていることを確認してください。DNS運用をしている場合は,FQDN形式のホスト名がIPアドレス解決できるように設定してください。
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現在の実行ジョブ数がジョブ実行多重度に達しているおそれがあります。
ajsagtshowコマンドを実行し,現在の実行ジョブ数(JOB)と,ジョブ実行多重度(CON-EXE)を確認してください。
ジョブの実行時間,単位時間当たりのジョブ実行数を考慮したジョブ実行多重度を設定するようにしてください。ジョブ実行多重度を変更する場合は,ajsagtaltコマンドを使用してください。
ajsagtshowコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsagtshow」を参照してください。
また,ジョブ実行多重度に達しているためにジョブが登録できない場合に,統合トレースログにメッセージを出力するようにあらかじめ設定しておくことで,ジョブの実行に時間が掛かった要因がジョブ実行多重度到達であるかどうかを確認できます。設定方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.2.13 ジョブ実行多重度到達を確認するメッセージを出力する設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.2.13 ジョブ実行多重度到達を確認するメッセージを出力する設定」(UNIXの場合)を参照してください。
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バックアップ強化機能を有効にしている場合,jajs_dbbackupコマンドでバックアップを取得している間は,ジョブの状態が変化しなくなります。ジョブを実行している時間帯に,jajs_dbbackupコマンドを実行しないでください。バックアップ強化機能の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 5.2.5 バックアップ強化機能による組み込みDBのバックアップとリカバリー」を参照してください。
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JP1/AJS3の運用中に,バックアッププログラムを実行して,JP1/AJS3で使用しているファイル,またはディレクトリをバックアップしているおそれがあります。
JP1/AJS3の運用中は,バックアップしないでください。
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キューレスジョブ([実行先サービス]に[キューレス]を指定したPCジョブ,UNIXジョブ,およびアクションジョブ)が実行待ちのままで,Windowsイベントログまたはsyslogに,メッセージKAVS1922-Wが出力されている場合,マネージャーホストとエージェントホストで通信暗号化機能の有効・無効が異なっているおそれがあります。JP1/AJS3サービス,キューレスエージェントサービス,およびキューレスファイル転送サービスを停止して,通信暗号化機能の有効・無効を一致させてから,停止したサービスを再起動してください。
(6) 標準ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブを登録したりキューを操作したりするとアクセス権限エラーとなる
JP1/Base認証サーバのアクセス権限の設定が不適切です。
JP1_Queue資源グループに対して,正しいアクセス権限を設定してください。ジョブの登録やキューの操作などには,JP1_JPQ_Admin,JP1_JPQ_Operator,またはJP1_JPQ_Userのどれかの権限が必要です。
(7) シェルが環境変数を読み込まない(AIX限定)
AIXでは,/etc/environmentの情報は引き継ぎません。
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.4.2 ログインスクリプトの変更」の説明を参考に,ログインスクリプトを変更してください。ログインスクリプトの変更例を次に示します。
if [ "$JP1JobID" != "" ] ; then . /etc/environment export 設定したい環境変数 fi
/etc/environmentを読み込んだあと,設定したい環境変数に対して[export]コマンドを実行してください。
- 注意事項
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上記の設定は,sh,ksh(.profile)だけで有効です。その他のcshなどでは無効です。
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上記の設定をした場合,ログインスクリプトの中で/etc/environmentを読み込むため,各情報の設定順序が変わってしまうおそれがあることを考慮する必要があります。このため,ログインスクリプトに/etc/environmentの読み込みを追加する際は,/etc/environmentで設定している環境変数をログインスクリプトでも設定している個所がないかを確認し,挿入個所に十分注意してください。ログインスクリプトの最初で/etc/environmentを読み込むように変更することを推奨します。
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(8) ジョブプロセスを実行しないままジョブが正常終了となる
UNIXの場合,JP1/AJS3ではジョブ実行時に,ログインスクリプトを実行します。その際,次のようにログインスクリプトの中に,exitコマンドのようなログインスクリプトを終了するコマンドがあると,ジョブプロセスを実行する前にジョブが正常終了します。
/usr/bin/sh ; exit
このような場合は,exitコマンドを実行しないようにログインスクリプトを変更してください。
ログインスクリプトの変更方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.4.2 ログインスクリプトの変更」を参照してください。
(9) リトライ間隔を経過しても自動リトライが実行されない
ジョブ量が多く,自動リトライが遅延することが考えられます。ジョブネットのスケジュールを一時変更したり,実行中のユニットをいったん強制終了したりして,同時に実行されるジョブの量を減らしてください。
自動リトライを設定する場合,リトライ実行を含めたジョブ量を見積もる必要があります。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 1.3 設計のポイント」を参照してください。
(10) 自動リトライが一度に実行され業務が遅延する
エージェントホストの障害などで,そのエージェントホストで実行されるジョブが同時に異常終了すると,自動リトライが一度に実行されてジョブ量が増えます。
自動リトライの実行でジョブ量が増えたために業務が遅延しているのを検知したら,ajsagtaltコマンドを実行して,障害が起きている実行エージェントのジョブ受付を制限してください。エージェントホストが復旧したら,再度ajsagtaltコマンドを実行してジョブ受付の制限を解除してください。
なお,すぐに回復できない障害が発生したときに自動リトライが発生すると,ジョブの実行数が増加してジョブ実行性能に影響を与えるおそれがあります。そのため,自動リトライの設定をする際には,終了コードの範囲を必要最小限で指定してください。自動リトライについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.13 ジョブの異常終了時に自動でリトライする」を参照してください。