Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング


1.4.1 Windowsの場合

〈この項の構成〉

(1) 資料採取ツールを実行する

JP1/AJS3では,次の表に示す資料採取ツールを提供しています。運用に応じてどちらかの資料採取ツールを実行してください。

表1‒37 JP1/AJS3で提供する資料採取ツール(Windowsの場合)

資料採取ツール

用途

jajs_log.bat

ログファイルなどの出力先をデフォルトから変更していない場合や,その他の情報の採取が必要ない場合に使用します。

_04.bat

ログファイルなどの出力先をデフォルトから変更した場合や,その他の情報を採取したい場合に,カスタマイズして使用します。

資料採取ツール(_04.bat)のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 7.1 ログ情報の採取方法」を参照してください。

資料採取ツールの実行例を次に示します。

jajs_log.batを使用する場合
C:\>C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools\jajs_log.bat
_04.batをカスタマイズし,trouble.batとして使用する場合
C:\>C:\usertools\trouble.bat

資料採取ツールの実行結果は,デフォルトでは「%TEMP%\jp1ajs2\backlog」下のフォルダに出力されます。これらのフォルダをバックアップしてください。

資料採取ツールは,クラスタ運用時,論理ホスト名を指定して資料を採取できます。また,採取する資料を限定するオプションも提供しています。Windowsで使用する資料採取ツールの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド jajs_log.batまたは_04.bat(Windows限定)」を参照してください。

注意事項

資料採取ツールを実行する場合,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要があります。コマンドプロンプトを管理者として実行しないと,資料採取ツール実行中にUAC機能による確認ダイアログボックスが何度も表示されます。

(2) ダンプファイルを採取する

WindowsでSTOPエラーが発生した場合や,アプリケーションがクラッシュした場合,ダンプファイル(メモリーダンプおよびクラッシュダンプ)や問題レポートが必要となることがあります。

ダンプファイルおよび問題レポートの採取方法を次に示します。

(a) ダンプファイルの採取方法

トラブル発生時に出力されたダンプファイルは,手動で採取してください。

注意事項

トラブル発生時にダンプファイルが出力されるには,事前の設定が必要です。ダンプファイルの出力設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 7.1.2 ダンプファイルの出力設定手順」を参照してください。

(b) 問題レポートの採取方法

ホスト上の問題点を検出し,それぞれの問題に対する解決策を調査できます。JP1/AJS3のプロセスがアプリケーションエラーで停止した場合,次の手順で問題レポートを採取してください。

  1. コントロールパネルの[アクション センター]をクリックする。

    [アクション センター]ダイアログボックスが表示されます。

  2. [メンテナンス]をクリックする。

    メンテナンスメニューが表示されます。

  3. [問題レポートの解決策を確認]から,[信頼性履歴の表示]をクリックする。

    [信頼性モニター]ダイアログボックスが表示されます。

  4. [問題レポートをすべて表示]をクリックする。

    [問題レポート]ダイアログボックスが表示されます。

  5. 該当する問題をダブルクリックする。

    問題レポートの詳細が表示されます。

  6. [クリップボードにコピー]を選択する。

  7. テキストエディターなどにコピーし,保存する。

    テキストファイルに保存した問題レポートを,障害調査用の資料として利用してください。

(3) プロセスの状態を確認する

Windowsの[タスクマネージャー]ウィンドウの[プロセス]タブで,プロセスの動作状態を確認してください。

JP1/AJS3のプロセスの情報については,「付録B.2 プロセス一覧(Windowsの場合)」を参照してください。

(4) オペレーション内容を確認する

トラブル発生時のオペレーション内容を確認し,記録しておいてください。確認が必要な情報を次に示します。

  1. オペレーション内容の詳細

  2. トラブル発生時刻

  3. マシン構成(各OSのバージョン,ホスト名,JP1/AJS3 - ManagerとJP1/AJS3 - Agentの構成など)

  4. 再現性の有無

  5. JP1/AJS3 - Viewからログインしている場合は,ログインユーザー名

  6. JP1/AJS3 - Web Consoleを利用していて,Web GUIまたはユーザーアプリケーションからログインしている場合は,ログインユーザー名

(5) 画面上のエラー情報を採取する

次に示すハードコピーを採取してください。

  1. アプリケーションエラーが発生した場合は,操作画面のハードコピー

  2. エラーメッセージダイアログボックスのハードコピー

    詳細ボタンがある場合はその内容をコピーしてください。

  3. コマンド実行時にトラブルが発生した場合は,[コマンドプロンプト]ウィンドウのハードコピー

    [コマンドプロンプト]ウィンドウのハードコピーを採取する際は,[コントロールパネル]の[コンソール]で,[コマンドプロンプト]ウィンドウについて次のように設定しておいてください。

    [オプション]タブ

    [簡易編集モード]がチェックされた状態にする。

    [レイアウト]タブ

    [画面バッファのサイズ]の[高さ]に「500」を設定する。

(6) 組み込みDBの情報を採取する

組み込みDB使用時にエラーが発生した場合,次に示す情報が必要です。

それぞれの情報を採取する方法について説明します。

(a) 原因を調査するために必要な情報

原因を調査するために必要な資料は,大別すると,OSの情報と組み込みDBの情報に分かれます。OSの情報はOSのコマンドなどで採取します。組み込みDBの情報は組み込みDBのコマンドなどで採取します。

問題解決支援のサポートサービスを利用する場合,原因調査に必要な情報と取得方法をトラブルの形態ごとに次の表に示します。優先順位が最も高い場合を1として,7段階で示しています。

各トラブル形態の詳細は,次のとおりです。

性能

次の処理および操作の所要時間が長い場合

  • 組み込みDBシステムの開始(正常開始,再開始,障害除去後開始を含む)

  • 組み込みDBシステムの停止(正常停止,強制停止を含む)

  • 組み込みDB操作コマンドの実行

無応答

次の処理および操作時に応答が返らない場合

  • 組み込みDBシステムの開始(正常開始,再開始,障害除去後開始を含む)

  • 組み込みDBシステムの停止(正常停止,強制停止を含む)

  • 組み込みDB操作コマンドの実行

異常終了

次のうち,どれか一つ以上発生した場合

  • 組み込みDBシステムの異常終了

  • 組み込みDBプロセスの異常終了

  • 組み込みDB操作コマンドの異常終了

表1‒38 障害の原因調査のために必要な情報と取得方法

項番

区分

取得する情報

取得方法

性能

無応答

異常終了

1

OS

Windowsイベントログ

OSの機能(コマンド)で取得します。

1

1

1

2

CPU利用率およびデバイス状況

パフォーマンスモニタで取得します。

3

4

3

3

組み込みDB

組み込みDB障害情報

次のフォルダ下にあるファイルをDATなどに取得してください。

  • 組み込みDB運用ディレクトリ\spool

  • 組み込みDB運用ディレクトリ\tmp

上記のフォルダ下にはエラーログファイル,コマンドログファイル,リモート系コマンド情報ファイル,および系切り替え機能情報ファイルが出力されます。

2

2

2

4

エラーログファイル

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\errlog下のファイルに出力されます。

2

2

2

5

コマンドログファイル

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\cmdlog下のファイルに出力されます。

2

2

2

6

リモート系コマンド情報ファイル

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\pdrshs1およびpdrshs2に出力されます。

2

2

2

7

系切り替え機能情報ファイル

組み込みDB運用ディレクトリ\spool\pdshs1およびpdshs2に出力されます。

2

2

2

8

仕様差吸収ライブラリーエラー情報ファイル

組み込みDB運用ディレクトリ\UXPLDIR\SPOOL\uxpllog1およびuxpllog2に出力されます。

2

2

2

9

組み込みDBシステム定義の情報

組み込みDB運用ディレクトリ\conf下のファイルをDATなどに取得してください。

4

5

4

10

SQLトレースファイルおよびエラーログファイル

出力されたファイルをDATなどに取得してください。ファイル名はpderrまたはpdsqlで始まっています。

6

5

11

システムログファイル

ajsembdboplogコマンドでシステムログをアンロードします。アンロードログファイルをDATなどに取得してください。

6

7

6

(凡例)

−:情報を取得する必要はありません。

リダイレクトで追加書きするファイルはファイル容量が単調増加するため,ディスク容量を圧迫します。したがって,ファイルを切り替えて一定世代で再使用するbatファイルを作成してください。

(b) 組み込みDBの環境を再作成するために必要な情報

組み込みDBの運用中にトラブルが発生した場合,再現テストや原因究明のためにトラブルが発生した環境を作成する必要があるときがあります。そのため,次に示す,組み込みDBの環境を再作成するために必要な情報を採取してください。

  • 組み込みDB運用ディレクトリの下にあるconf(ユーザーが定義ファイルを変更した場合)

  • 組み込みDBに関連する環境変数

  • 組み込みDBのデータ

    組み込みDBのデータは,ajsembdbrorgコマンドを実行して採取してください。

組み込みDBの環境を再作成するために必要な情報を採取する手順を次に示します。

  1. 組み込みDBを起動する。

  2. ajsembdbrorgコマンドに-k unldオプションを指定して実行する。

  3. 組み込みDB運用ディレクトリの下にあるconfを任意のフォルダに退避する。

  4. 組み込みDBに関連する環境変数を収録する。

ajsembdbrorgコマンドの操作の説明や詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 9.2.3 データベースを再編成する場合」を参照してください。