Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド


13.1.9 クラウドのオートスケール環境でジョブを実行したい

クラウドサービスの普及に伴って,処理に必要な分だけクラウド上でインスタンスを起動して,処理が完了したら停止するなどといった,効率的なジョブ運用が求められるようになりました。

これまでJP1/AJS3システムをオンプレミス環境で運用していた企業がクラウドサービスを導入し,ジョブの定義は既存のオンプレミス環境で,ジョブの実行はクラウドのオートスケール環境で実施するとします。この場合,マネージャーホストが直接管理していないエージェントでも処理を実行できる,フレキシブルジョブを使用します。また,オンプレミス環境のマネージャーホストと,クラウド環境のエージェントホストが通信できるように,中継エージェントを配置します。

ここでは,オンプレミス環境でフレキシブルジョブを定義し,クラウドのオートスケール環境で実行する事例について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 運用

各部門には,次のようなユーザーがいるとします。

表13‒8 ユーザーの例

項番

ユーザーの所属部門

ユーザーの役割

1

営業部門

ジョブ運用管理者

営業部門で運用しているジョブを設計・構築・運用する。

2

総務部門

ジョブ運用管理者

総務部門で運用しているジョブを設計・構築・運用する。

3

情報システム部門

JP1/AJS3システム管理者

JP1/AJS3システム全体を管理する。

この企業では,各部門で独立して業務を運用できるようにするため,JP1/AJS3を次のように運用しています。

各部門がオンプレミス環境でマネージャーホスト・エージェントホストを運用している例を次の図に示します。

図13‒17 各部門がオンプレミス環境でマネージャーホスト・エージェントホストを運用している例

[図データ]

(2) 実現したいこと

(3) 解決方法

フレキシブルジョブを使用すれば,クラウドのオートスケール環境のエージェントホストなど,マネージャーホストが直接管理していないエージェントホストでジョブを実行できます。

また,ジョブの実行要求を中継するエージェント(中継エージェント)を設けることで,設定変更は最小限に抑えつつ,ジョブの実行環境だけクラウド化できます。

ジョブの実行環境をクラウド化した例を次に示します。

図13‒18 ジョブの実行環境をクラウド化した例

[図データ]

(4) 設定手順

  1. 中継エージェント(AGT1)をセットアップする。

  2. クラウド環境で,宛先エージェントをセットアップする。

  3. クラウド環境で,ロードバランサー(LB1およびLB2)やオートスケールなどを設定する。

  4. オンプレミス環境のJP1/AJS3 - Managerでフレキシブルジョブを定義したジョブネットを作成する。

    営業部門のフレキシブルジョブの場合,宛先として「LB1」を,中継エージェントとして「AGT1」を定義します。総務部門のフレキシブルジョブの場合,宛先として「LB2」を,中継エージェントとして「AGT1」を定義します。

  5. フレキシブルジョブを定義したジョブネットを実行登録する。

(5) マニュアル記載個所

項目

詳細項目

参照個所

概要

フレキシブルジョブ

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.1.1(1)(a) 標準ジョブ」

フレキシブルジョブの定義例

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.10 クラウド環境でジョブを実行する(フレキシブルジョブを使ったジョブネットの定義例)」

フレキシブルジョブ使用時の注意事項

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.8 フレキシブルジョブ使用時の注意事項」

システム構成例

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.9 クラウド環境でのジョブ実行について検討する」

設定手順

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 21.3 フレキシブルジョブを実行するための設定」

画面

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.4.12 [詳細定義−[フレキシブルジョブ]]ダイアログボックス」

(6) 注意事項

複数のマネージャーホストからのジョブ実行要求が中継エージェントに集中すると,中継エージェントの負荷が高くなるおそれがあります。この場合,中継エージェントを複数設けて,負荷を分散させることを検討してください。