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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド


13.1.1 ユーザーごとのジョブの稼働実績を知りたい

情報システム部門でJP1/AJS3 - Managerを統合して運用している場合,JP1/AJS3を使用するユーザーのうち,だれがどれだけJP1/AJS3を使用したか,ユーザーごとのジョブの稼働実績が必要となる場合があります。ここでは,ユーザーごとのジョブの稼働実績の収集方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 背景

従来,企業では部門ごとにシステムを構築し,運用していました。しかし,部門ごとに別々に運用するシステムでは,情報の共有やリソースの転用が困難であり,多大な運用コストが発生していました。この問題を解決するため,システムを集約して最適化し,情報システム部門が運用するシステム上のアプリケーションをそれぞれの部門が利用するようになりました。

図13‒1 情報システムの統合の例

[図データ]

(2) 実現したいこと

JP1/AJS3を情報システム部門で統合して運用するために,ジョブを「だれが」「いつ」「何を」「どこで」「どれだけ」実行したかという稼働実績を収集したい。

図13‒2 稼働実績を収集する例

[図データ]

(3) 解決方法

JP1/AJS3が出力するJP1イベント(ジョブ正常終了イベント,ジョブ異常終了イベント,およびジョブ警告終了イベント)を参照すれば,ジョブを「だれが」「いつ」「何を」「どこで」「どれだけ」実行したかという稼働実績を取得できます。

取得できる稼働実績と,対応するJP1イベントの属性を次の表に示します。

表13‒2 取得できる稼働実績と対応するJP1イベントの属性

項番

知りたいこと

対応するJP1イベントの属性

1

だれが

  • ジョブネット登録ユーザ名

  • 実行先でのジョブ実行JP1ユーザ名

2

いつ

  • 開始時刻

  • 終了時刻

  • 実行先での開始時刻

  • 実行先での終了時刻

3

何を

  • ルートジョブネット名

  • ネストジョブネット/ジョブ名

  • ユニット種別

4

どこで

  • ジョブネット登録元ホスト名

  • 実行先ホスト名

5

どれだけ

実行先でのジョブ実行時間

注※

JP1/AJS3 - Managerのバージョンが09-50以降の場合にだけ出力されます。

(4) 機能概要

JP1/AJS3が出力したJP1イベントを,jevexportコマンドでcsvファイルに出力して,ユーザーが任意の形式でジョブの稼働実績を編集できます。

図13‒3 稼働実績の編集の例

[図データ]

(5) 設定例

2011年8月1日以降の毎週日曜日の午前1時に,過去1週間分(7日前から前日まで)のジョブ稼働実績を収集する例を次に示します。

  1. jevexportコマンドで使用するフィルターファイルを作成する。

    フィルターファイルは,次のように設定します。

    • 次のジョブ終了イベントを抽出する。

      ・ジョブ正常終了イベント(イベントID:4106)

      ・ジョブ異常終了イベント(イベントID:4107)

      ・ジョブ警告終了イベント(イベントID:4109)

      JP1イベントの属性値については,「付録A.2 JP1イベントの属性」を参照してください。

    • 7日前から前日まで(7日前から今日までの8日間のうち,今日を除いた7日間)に発生したイベントを抽出する。

    フィルターファイルの記述例を次に示します。

    B.ID IN 4106 4107 4109
    B.TIME WITHIN D 8
    EXCLUDE
    B.TIME WITHIN D 1

    フィルターファイルについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

  2. JP1/AJS3で,ジョブネットを作成する。

    次のようなジョブネットを作成します。

    [図データ]

    ルートジョブネットのスケジュールルール

    次のように設定します。

    ・開始年月日:2011年8月の第1日曜日

    ・開始時刻:01:00

    ・処理サイクル:毎週

    PCジョブの詳細定義

    次のように設定します。

    ・実行ファイル名:jevexport

    ・パラメーター:-o△出力ファイル名△-f△フィルターファイル名

  3. 手順2で作成したジョブネットを計画実行登録する。

    2011年8月1日以降の毎週日曜日の午前1時になると,PCジョブが実行されます。PCジョブの実行が終了すると,出力ファイル名に指定したファイルに,過去1週間分の稼働実績が出力されます。

  4. 表計算ソフトなどを使用して,出力ファイルから稼働実績を編集する。

(6) マニュアル記載個所

項目

詳細項目

参照個所

概要

フィルターファイル

マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」

JP1イベントの属性値

付録A.2 JP1イベントの属性

コマンド(jevexportコマンド)

マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」

(7) 注意事項