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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド


2.5.3 リカバリー

バックアップ強化機能を使用してJP1/AJS3 - Managerをリカバリーする方法を説明します。

〈この項の構成〉

(1) 組み込みDBのデータ以外をリカバリーする

ディスク障害などでJP1/AJS3を使用するシステムの環境が壊れた場合,まず組み込みDBのデータ以外をリカバリーします。このとき,システム全体のバックアップがある場合は,システム全体のバックアップを使用して,システム環境をリカバリーしてください。システム全体のバックアップがない場合は,次の作業を実施してください。

(a) JP1/Baseのインストールとセットアップ

JP1/Baseをインストールし,セットアップします。JP1/Baseのインストールおよびセットアップの手順については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

(b) JP1/AJS3 - Managerのインストール

JP1/AJS3 - Managerをインストールします。JP1/AJS3 - Managerのインストール手順は,OSによって異なります。JP1/AJS3 - Managerのインストールの手順については,次の個所を参照してください。

項番

OS

参照先

1

Windows

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 2.2.3(1) 新規インストールの場合」

2

HP-UX

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 12.2.3 HP-UXの場合のインストール」

3

Solaris

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 12.2.4 Solarisの場合のインストール」

4

AIX

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 12.2.5 AIXの場合のインストール」

5

Linux

マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 12.2.6 Linuxの場合のインストール」

(c) JP1/Baseの設定情報のリカバリー

JP1/Baseの設定情報のリカバリーについては,「2.3.3 JP1/Baseの設定情報のリカバリー」を参照してください。

(d) 物理ホストおよび論理ホスト環境のリカバリー

リカバリーのためにセットアップする物理ホストおよび論理ホストは,バックアップを取得した時点の物理ホストおよび論理ホストの環境と同一にする必要があります。次の項目について,バックアップを取得した環境とリカバリー先の環境が一致するように物理ホストおよび論理ホストをリカバリーしてください。

  • JP1/AJS3 - Managerのバージョン

  • 組み込みDBのバージョン

  • 組み込みDBの構成

  • スケジューラーサービス構成

  • 追加したデータベース領域(バックアップ環境で,組み込みDBのデータベース領域をajsembdbaddareaコマンドで追加した場合)

  • 組み込みDBのシステム定義

バックアップ強化機能を有効にして物理ホストをセットアップする手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 21.6.1(1) 新規インストール後にスケジューラーサービスと組み込みDBを新規作成する場合」を参照してください。バックアップ強化機能を有効にして論理ホストをセットアップする手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 21.6.2(1) 論理ホストを新規作成する場合」を参照してください。

(2) 組み込みDBのデータをリカバリーする

jajs_dbrestoreコマンドで,組み込みDBのデータをリカバリーします。リカバリーの手順を次に示します。

  1. jajs_dbbackupコマンドで取得したバックアップデータを,リカバリー後の環境に配置する。

    注意事項

    バックアップデータは,ネットワークドライブ上に配置しないでください。ネットワークドライブに配置したバックアップデータを指定した場合の動作は保証できません。

  2. リカバリー対象のホストのJP1/AJS3サービスを停止する。

  3. リカバリー対象の組み込みDBの起動状態を確認する。

    ajsembdbstatus -s ust -id 組み込みDBセットアップ識別子
  4. リカバリー対象の組み込みDBが起動している場合,組み込みDBを正常停止する。停止している場合,一度起動してから正常停止する。

    組み込みDBを起動する場合

    ajsembdbstart -id 組み込みDBセットアップ識別子

    組み込みDBを正常停止する場合

    ajsembdbstop -id 組み込みDBセットアップ識別子
  5. jajs_dbrestoreコマンドを実行する。

    リカバリーしたい組み込みDBのセットアップ識別子と,リカバリーに使用するバックアップデータを指定して,コマンドを実行します。実行例を次に示します。

    jajs_dbrestore -id 組み込みDBセットアップ識別子 -i バックアップデータ

    指定したバックアップデータが,組み込みDBにリカバリーされます。

    jajs_dbrestoreコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド jajs_dbrestore」を参照してください。

  6. JP1/AJS3サービスを起動する。

    jajs_spmd_statusコマンドを実行して,すべてのプロセスが正常に起動しているか確認してください。

(3) リカバリー後に必要な作業を実施する

ジョブネットおよびジョブの状態の確認,およびジョブの実行抑止の解除など,リカバリー後に必要な作業を実施します。次に示す手順を実施してください。

  1. 障害発生時のジョブネットおよびジョブの状態を確認し,状態を変更したり,再実行したりする。

    jajs_dbrestoreコマンドを使用して組み込みDBをリカバリーすると,リカバリー後の初回起動時に,スケジューラーサービスはディザスターリカバリースタートします。このため,スケジューラーサービスは実行を抑止した状態で起動され,ジョブおよびジョブネットの状態が変更されます。JP1/AJS3 - Viewまたはコマンドでジョブの状態を確認し,必要に応じてジョブの状態を変更したり,再実行したりして対処してください。

    ディザスターリカバリースタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態については,「6.2.1(3)(a) マネージャーホストのJP1/AJS3サービスを再起動する場合」の,ディザスターリカバリースタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態についての説明を参照してください。

    ジョブの実行状態を確認する方法,および状態変更や再実行の方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド」を参照してください。

  2. エージェントホストに残っているイベントジョブに関するマネージャーホストの情報を削除する。

    次のコマンドをマネージャーホストで実行して,エージェントホストに残っているリカバリー前のマネージャーホストの情報を削除してください。

    -aオプションには,対象の実行エージェント名に対応する実行ホスト名を指定してください。

    jpomanevreset -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名 -dh マネージャーホスト名 -a 実行ホスト名

    リカバリー対象のマネージャーホストが物理ホストの場合,-hオプションの指定は不要です。

    論理ホストの場合,-hオプションと-dhオプションには論理ホストのマネージャーホスト名を指定してください。

  3. ジョブの実行抑止を解除する。

    次のコマンドを実行してジョブの実行抑止を解除し,業務を再開してください。

    ajsalter -s none -F スケジューラーサービス名