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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド


6.2.22 UAC機能有効時にAdministrators権限でジョブを実行するための設定

WindowsのUAC機能を有効にしていると,ビルトインAdministratorを除く,すべてのAdministratorsグループのOSユーザーは,Administrators権限が無効な状態で動作します。JP1/AJS3では,Administrators権限を必要とするジョブが実行できなくなる場合があります。

注※

PCジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブ,およびWindows版のJP1/AJS3上で実行されるQUEUEジョブが該当します。jpqjobsubコマンドで実行するサブミットジョブも含まれます。

Administrators権限を必要とするジョブには,例えばnet startコマンドでサービスを開始するものなどがあります。UAC機能が有効な場合,Administrators権限を必要とするジョブを実行できるのは,ビルトインAdministratorおよびJP1/AJS3のサービスアカウントと同じOSユーザーです。

なお,「UAC機能有効時にAdministrators権限でジョブを実行するための設定」を有効にすることによって,UAC機能が有効の場合でもAdministratorsグループのOSユーザーでAdministrators権限が必要なジョブを実行できます。

ジョブ実行時のOSユーザーの種類とUAC機能が有効なときのジョブ実行の可否の関係を次の表に示します。

表6‒41 ジョブ実行時のOSユーザーの種類とUAC機能有効時のジョブ実行の可否の関係

ジョブの実行先サービス

ジョブ実行時のOSユーザーの種類

Administrators権限の必要なジョブの実行可否

設定無効(デフォルト)

設定有効

[標準]を指定している場合

AdministratorsグループのOSユーザー

ビルトインAdministrator

ビルトインAdministrator以外

サービスアカウントと同じOSユーザー

サービスアカウントと異なるOSユーザー

×

Administratorsグループ以外のOSユーザー

×

×

[キューレス]を指定している場合

AdministratorsグループのOSユーザー

ビルトインAdministrator

ビルトインAdministrator以外

サービスアカウントと同じOSユーザー

×

サービスアカウントと異なるOSユーザー

×

Administratorsグループ以外のOSユーザー

×

×

(凡例)

○:実行できる。

×:実行できない。

注意事項

設定を有効にする場合,JP1/Baseのユーザーマッピング機能で実行先ホストに登録されているOSユーザーの中で,ジョブを実行するすべてのOSユーザーを確認し,セキュリティポリシーで「バッチジョブとしてログオン」の権限を設定する必要があります。権限を設定していないOSユーザーでジョブを実行すると,Administrators権限が必要でないジョブもメッセージKAVU7201-EまたはKAVS1880-Eを出力して起動失敗となります。

また,「バッチジョブとしてログオンを拒否する」の権限を設定している場合も同様に,メッセージKAVU7201-EまたはKAVS1880-Eを出力してジョブが起動失敗となります。

次に示す手順でUAC機能の設定を有効にしてください。

なお,この設定はジョブの実行先ホスト上で有効にしてください。

〈この項の構成〉

(1) 定義手順

  1. Windowsの[コントロールパネル]−[管理ツール]−[ローカルセキュリティポリシー]で,ジョブを実行するすべてのOSユーザーに「バッチ ジョブとしてログオン」の権限を設定する。

    ドメインユーザーの場合は,ドメインのセキュリティポリシーでも設定できます。また,「バッチ ジョブとしてログオンを拒否する」の権限が設定されていないことも確認してください。

  2. Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]で[サービス]を選択し,次に示すサービスを停止する。

    • ジョブの実行先サービスに[標準]を指定している場合

      JP1/AJS3サービス

    • ジョブの実行先サービスに[キューレス]を指定している場合

      JP1/AJS3 Queueless Agentサービス

    注意事項

    クラスタシステムの場合は,クラスタの設定を確認し,論理ホストのJP1/AJS3サービスも停止してください。

  3. 次のコマンドを実行して,「(2) 環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名"=定義内容

    定義キー名に指定できる定義キーは一つです。異なる定義キーの環境設定パラメーターを設定する場合は,定義キーごとにjajs_configコマンドを実行する必要があります。

  4. 手順2で停止したサービスを再起動する。

    設定した内容が反映されます。

(2) 環境設定パラメーター一覧

表6‒42 UAC機能有効時にAdministrators権限でジョブを実行するための環境設定パラメーター

定義キー

環境設定パラメーター

定義内容

[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQAGENT\Job]※1

"UACAdministratorsExec"=

ジョブの実行先サービスに[標準]を指定している場合に,UAC機能の有効時にAdministrators権限でジョブを実行するための設定

[JP1_DEFAULT\JP1QLAGENT]※2

"UACAdministratorsExec"=

ジョブの実行先サービスに[キューレス]を指定している場合に,UAC機能の有効時にAdministrators権限でジョブを実行するための設定

注※1

{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

注※2

この設定は,物理ホストと論理ホストの両方に有効です。

環境設定パラメーターの定義内容の詳細については,次の個所を参照してください。