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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)


2.1.4 ジョブの定義内容を検討する

ジョブに定義する内容について検討します。

ジョブに定義する詳細な項目については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12. ウィンドウとダイアログボックス」にある各ジョブの詳細定義ダイアログボックスの説明を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) 実行エージェント

ジョブの実行先となる実行エージェント名を指定します。実行エージェント制限を使用している場合は,実行エージェントプロファイルの一覧から選択できます。実行エージェントは,ジョブの実行先となるエージェントホストの論理的な名称です。マネージャーに定義した実行エージェント情報に従って,ジョブに指定した実行エージェントとエージェントホストの物理的なホスト名がマッピングされ,ジョブが配信されます。

ジョブ実行環境が実行エージェントグループによって負荷分散させる構成の場合は,実行エージェントグループを指定すると,グループ化された実行エージェントの優先順位に従ってジョブを配信します。

実行エージェントを指定できるジョブは次のものです。

注※

イベントジョブは,実行エージェントグループでの運用に対応していません。詳細については,「7.6 イベントジョブ使用時の注意事項」を参照してください。

キューレスジョブの場合は,実行ホスト名を指定します。指定する実行ホスト名を実行エージェントプロファイルに設定しておくと,キューレスジョブの場合も実行エージェント制限を使用することができます。

(2) 実行優先順位

JP1/AJS3では,実行ファイルを実行したときに起動するプロセスの優先順位を設定できます。処理を優先させ,できるだけ早く終了させたい実行ファイルがある場合など,ジョブに実行優先順位を設定する必要があるかどうかを検討します。

ジョブの実行優先順位を指定しない場合,JP1/AJS3から実行するジョブの実行優先順位は低く設定されます。これは,JP1/AJS3から実行したジョブがループするなど,一部のジョブの沈み込みによってJP1/AJS3全体の沈み込みを防止するためです。ただし,ジョブの実行優先順位が低いとCPU割り当ての優先順位が低くなります。このため,実行優先順位の高いプロセスに処理が集中すると,JP1/AJS3から実行したジョブがCPUの割り当てを長時間待つことになり,ジョブ終了までに時間が掛かったり,ジョブプロセスが停止した状態が続いたりする事象が発生します。そのジョブプロセスが資源にロックを掛けた状態でCPUの割り当てを待つようなプロセスであった場合,同じ資源の解放待ちをしている他プロセスの実行にも影響を与えることになります。

このような事象は,1プロセッサのシステム構成や実行優先順位の高い複数のプロセスが集中的に処理している場合など,CPU使用率が比較的高くなりやすいシステム構成で顕著に発生しやすくなります。システム環境や運用に応じてジョブの実行優先順位が高くなるように変更する必要がないかどうかを検討してください。

(3) 終了判定

処理の終了状態を判定するための方法を検討します。標準ジョブおよびHTTP接続ジョブでは,実行結果の終了判定ができます。終了判定には,次の五つの方法があります。

しきい値による判定では,ジョブ終了時の戻り値と設定したしきい値の大小関係で正常終了,警告終了,異常終了を判定します。終了時の戻り値が警告しきい値以下であれば正常終了,警告しきい値より大きく異常しきい値以下であれば警告終了,異常しきい値より大きければ異常終了とします。

なお,戻り値は符号なしの整数値として判定されます。例えば,「-1」はWindowsでは「4,294,967,295」,UNIXでは「255」として扱われます。

(4) 異常終了時リトライ

ジョブに定義した実行ファイルが異常終了した場合に,ジョブを「異常検出終了」状態にしないで自動的にリトライさせるかどうかを検討します。実行ファイルの一時的なエラーであれば,自動的にリトライさせることでジョブのエラーを回復し,運用を継続できます。詳細については,「2.4.13 ジョブの異常終了時に自動でリトライする」を参照してください。

(5) 転送ファイル

標準ジョブの場合,実行ファイルが実行先のエージェントホスト上にないときに,マネージャーホストからエージェントホストにファイルを転送して実行させることもできます。また,jpqjobsubコマンドを使用してサブミットジョブを実行する場合は,jpqjobsubコマンドを実行したホストから,実行先のエージェントホストにファイルを転送して実行することができます。なお,標準ジョブ,サブミットジョブのどちらも,転送できるファイルは,テキスト形式のファイルだけです。

なお,フレキシブルジョブはファイルを転送できません。

(6) 実行先サービス

キューレスジョブを使用する場合は,ジョブの実行先サービスとして[キューレス]を指定します。デフォルトでは[標準]が設定されています。

キューレスジョブを使用すると,[標準]を設定しているジョブと比べて処理性能が高く,一定の時間により多くのジョブを実行できます。キューレスジョブについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 10.5 キューレスジョブ」を参照してください。

ただし,キューレスジョブでは,実行エージェントや実行エージェントグループなどが使用できないため,通常は実行先サービスを[標準]のまま使用してください。

(7) 打ち切り時間

ジョブを打ち切る時間を設定し,ジョブの実行が開始されてからの経過時間によってジョブの実行を打ち切ることができます。何らかの要因で処理が終了しない場合を想定し,打ち切り時間について検討してください。ジョブの実行を打ち切ることで,原因を調査したり,システム管理者に異常を通知する処理を実行させたり,異常終了した場合だけ特定の処理を実行させたりできます。

(8) 終了遅延監視

ジョブの実行所要時間を設定して,ジョブの実行が開始されてからの経過時間によって終了遅延を監視できます。詳細については,「5. 監視方法の検討」を参照してください。

(9) JP1資源グループ

ジョブに対するユーザーのアクセス権限を検討します。詳細については,「6. アクセス権の検討」を参照してください。

(10) 注意事項