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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)


2.1.3 ジョブの種類を検討する

ジョブにはさまざまな種類があり,処理の形態に合わせて定義するジョブを選べます。ジョブの種類には,次のものがあります。

それぞれのジョブの特性について,次に説明します。

〈この項の構成〉

(1) 標準ジョブ

実行ファイルを指定して処理を実行させるジョブです。それぞれのジョブの内容と指定できる実行ファイルを次の表に示します。

表2‒2 標準ジョブの内容と指定できる実行ファイル

項番

ジョブの種類

ジョブの内容

指定できる実行ファイル

1

UNIXジョブ

UNIXホストで処理を実行させる。

  • 実行ファイル

  • シェルスクリプト

2

PCジョブ

Windowsホストで処理を実行させる。

  • .exeファイル

  • .comファイル

  • .cmdファイル

  • .batファイル

  • .sptファイル(JP1/Scriptで作成したスクリプトファイル)

  • アプリケーションに関連づけられているファイルタイプ(拡張子)を持つデータファイル

3

QUEUEジョブ

特定のキューにジョブを送って処理を実行させる。

JP1/NQSEXECやJP1/OJEなど,他システムと連携する場合に使用する。

  • 実行ファイル

  • シェルスクリプト

  • .exeファイル

  • .comファイル

  • .cmdファイル

  • .batファイル

  • .sptファイル(JP1/Scriptで作成したスクリプトファイル)

  • アプリケーションに関連づけられているファイルタイプ(拡張子)を持つデータファイル

4

フレキシブルジョブ

  • マネージャーホストが直接管理していないエージェントホストで,処理を実行させる。

  • 一つのジョブを複数の実行エージェントに一斉に配信する。

  • クラウド環境で処理を実行させる。ロードバランサーにも対応している。

  • 実行ファイル

  • シェルスクリプト

  • .exeファイル

  • .comファイル

  • .cmdファイル

  • .batファイル

注※

.sptファイルを指定した場合,実行先ホスト側にもJP1/Scriptがインストールされていないと実行されません。

補足事項

ホスト名やIPアドレスが固定されていて,マネージャーホストでエージェントホストを管理できる場合は,フレキシブルジョブではなく,PCジョブやUNIXジョブの使用を推奨します。

(2) ORジョブ

事象の発生を監視するジョブ(イベントジョブ)を先行ジョブとして複数定義しておき,それらが監視する事象が一つでも発生した場合に後続ジョブを実行させるジョブです。ORジョブの先行ジョブには,イベントジョブを定義します。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.1.1(1)(b) ORジョブ」を参照してください。

(3) 判定ジョブ

実行する条件に合致しているか,していないかを判定するジョブです。

判定ジョブによる判定条件には,次の三つがあります。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.1.1(1)(c) 判定ジョブ」を参照してください。

(4) イベントジョブ

事象(イベント)の発生を監視するジョブです。ジョブフローやジョブネットの起動条件などにイベントジョブを定義することによって,事象の発生を契機にジョブやジョブネットを実行させることができます。

それぞれのジョブの内容を次の表に示します。

表2‒3 イベントジョブの種類

項番

イベントジョブ名

ジョブの内容

1

JP1イベント受信監視ジョブ

JP1/Baseから特定のイベントを受け取ったときにイベントジョブが終了する。

2

ファイル監視ジョブ

特定のファイルが作成,削除,または更新されたときにイベントジョブが終了する。

3

メール受信監視ジョブ

特定のメールを受信したときにイベントジョブが終了する。

4

ログファイル監視ジョブ

JP1/Baseのログファイルトラップ機能と連携し,指定したログファイルに,特定の情報が書き込まれたときにイベントジョブが終了する。

5

Windowsイベントログ監視ジョブ

JP1/Baseのイベントログトラップ機能と連携し,Windowsイベントログファイルに特定の情報が書き込まれたときにイベントジョブが終了する。

6

実行間隔制御ジョブ

指定した時間が経過したらイベントジョブが終了する。

7

メッセージキュー受信監視ジョブ

TP1/Message QueueまたはMQSeriesから特定のメッセージを受信したときにイベントジョブが終了する。

8

MSMQ受信監視ジョブ

MSMQから特定のメッセージを受信したときにイベントジョブが終了する。

メール受信監視ジョブ,メッセージキュー受信監視ジョブ,およびMSMQ受信監視ジョブは,JP1/AJS3とそれぞれのプログラムとの連携が必要です。プログラムとの連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド」を参照してください。

注※

Linuxは対象外です。

イベントジョブの動作は,JP1ユーザーの権限およびジョブに定義されている権限(所有者,JP1資源グループ,および実行ユーザー種別)には依存しません。Windowsの場合は,JP1/AJS3サービスのアカウント権限に依存するため,JP1/AJS3サービスにあらかじめ権限を設定しておく必要があります。

(5) アクションジョブ

特定の処理を実行するジョブです。イベントジョブと組み合わせることによって,事象の発生を契機にJP1イベントやメールを送信したり,状態を通知したりなどの処理(アクション)を実行させたりできます。

それぞれのジョブの内容を次の表に示します。

表2‒4 アクションジョブの種類

項番

アクションジョブ名

ジョブの内容

1

JP1イベント送信ジョブ

JP1イベントをJP1/Baseのイベントサービスに登録する。

2

メール送信ジョブ

メールを送信する。

3

JP1/Cm2状態通知ジョブ

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMに状態を通知する。

4

ローカル電源制御ジョブ

JP1/Power Monitorと連携して,ローカル電源制御ジョブを実行したホストをシャットダウンする。

5

リモート電源制御ジョブ

JP1/Power Monitorと連携して,ネットワーク上のホストの電源を投入したり,システムを終了したりする。

6

メッセージキュー送信ジョブ

TP1/Message QueueまたはMQSeriesのメッセージを送信する。

7

MSMQ送信ジョブ

MSMQのメッセージを送信する。

メール送信ジョブ,メッセージキュー送信ジョブ,MSMQ送信ジョブ,JP1/Cm2状態通知ジョブ,ローカル電源制御ジョブ,およびリモート電源制御ジョブは,JP1/AJS3とそれぞれのプログラムとの連携が必要です。プログラムとの連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド」を参照してください。

注※

Linuxは対象外です。

(6) カスタムジョブ

JP1/AJS3以外のプログラムがJP1/AJS3と連携して処理を実行するジョブです。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 4. カスタムジョブ」を参照してください。

(7) 引き継ぎ情報設定ジョブ

先行ジョブが出力した標準出力ファイルから必要な情報を切り出して,後続ジョブに引き継ぐジョブです。動的に変化する情報を標準出力ファイルに出力すれば,引き継ぎ情報設定ジョブでその情報を切り出し,後続ジョブで使用することができます。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.1.1(1)(g) 引き継ぎ情報設定ジョブ」を参照してください。

(8) HTTP接続ジョブ

HTTP接続ジョブは,HTTPプロトコルでリクエストの送信およびレスポンスの受信ができるジョブです。クラウド上やWebサーバ上で公開されているWeb API(例えばREST API)を,JP1/AJS3で呼び出すことができます。HTTP接続ジョブを使用すると,JP1/AJS3で構築された業務システムとWeb上の業務システムとを連携させることができます。

詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.1.1(1)(h) HTTP接続ジョブ」を参照してください。