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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


付録G.3 ジョブの実行数のカウントについて

この項では,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionの1日当たりのジョブの実行数のカウントについて説明します。

〈この項の構成〉

(1) ジョブの実行数のカウント方法

ジョブの実行数は,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionが管理します。JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionでは,マネージャーホストからジョブの実行要求を受け付けた時点でジョブの実行数を加算します。

JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionでジョブを再実行または自動リトライする場合は,ジョブ実行履歴ログファイルに,再実行したいジョブの実行IDを含むメッセージKAVU3607-Iが出力されてから48時間以内に実施してください。

ジョブ実行履歴ログファイルにメッセージKAVU3607-Iが出力されてから48時間以内にジョブを再実行または自動リトライした場合は,ジョブの実行数は加算されません。48時間が経過したあと,ジョブを再実行または自動リトライした場合は,ジョブを再実行または自動リトライした日の実行分としてジョブの実行数が加算されます。その結果,ジョブを再実行または自動リトライした日に実行を予定していたジョブが実行数の上限を超えて実行できないことがあります。このようなトラブルを避けるために,48時間以内にジョブの再実行や自動リトライを実施できないことが想定される場合は,JP1/AJS3 - Agentの利用を推奨します。

補足事項
  • JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionでは,JP1/AJS3 - Managerからのジョブの実行要求に含まれる次の情報を用いて,ジョブの実行数を管理します。

    ・マネージャーホスト名

    ・スケジューラーサービス名

    ・ジョブ名

    ・実行ID

    これらの情報が一致するジョブの再実行や自動リトライでは,ジョブの実行数が加算されません。ただし,これらの情報が一致する場合でも,48時間が経過したあとは加算されます。

  • 再実行や自動リトライではなく,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行されるジョブが含まれるジョブネットを即時実行登録したり,登録解除やコールドスタートしたあとに再度実行登録したりした場合など,異なる実行IDでジョブが実行されると,ジョブの実行数が加算されます。マネージャーホストのシステム全体のリカバリーやシステム障害発生後のリカバリーでは,マネージャーホストのコールドスタートが必要な場合があるため,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行するジョブ数は,1日あたり5件以内で運用設計することを推奨します。

  • JP1/AJS3 - Agentで実行されるジョブとは異なり,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行されるジョブの実行登録や登録解除は,実行数を考慮して実施する必要があります。実行登録や登録解除の操作の対象をJP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行されるジョブとそれ以外のジョブとで分離するために,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行されるジョブは,ジョブごとにルートジョブネットを作成して管理することを推奨します。

  • JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行されるジョブの実行をテストする場合は,JP1/AJS3 - Managerで即時実行登録を繰り返すのではなく,再実行してください。即時実行登録を繰り返すと,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionでジョブの実行数が加算されます。

1日当たりのジョブの実行数は,マシンごとにカウントされます。同一マシン上にエージェントホスト(物理ホストと論理ホスト)が複数ある場合は,それぞれのホストのジョブの実行数を合計して10件まで実行できます。

同一マシン上に複数のエージェントホストがある場合の例を,次の図に示します。

図G‒2 同一マシン上に複数のエージェントホストがある場合のジョブの実行数のカウント

[図データ]

ジョブの実行数は,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionをインストールしたマシンのタイムゾーンに従って,毎日00:00にリセットされます。ジョブの実行数をリセットする時刻は,JP1/AJS3 - Managerでスケジューラーサービスのローカル日時を設定していても,影響を受けません。また,1日当たりのジョブの実行数が10件に満たない場合でも,ジョブの実行数の残数は翌日に持ち越しません。

なお,イベントジョブは,件数の制限はありません。

また,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで接続元制限機能を使用する場合,接続を許可しないマネージャーホストからのジョブ実行要求を拒否したときは,ジョブの実行数を加算しません。

(2) ジョブの実行数を確認する方法

JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで実行している1日当たりのジョブの実行数は,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionを運用しているエージェントホストで確認できます。

エージェントホストで1日当たりのジョブの実行数を確認する方法を次に示します。

  1. ジョブ実行履歴ログファイル(jpqjobhistory{0|1}.log)を開く。

    ジョブ実行履歴ログファイルの格納ディレクトリは,次のとおりです。

    Windowsで,インストール先フォルダがデフォルトまたはシステムで保護されたフォルダ配下の場合

    %ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log

    %ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\ProgramData」です。

    「システムで保護されたフォルダ」とは,次のパスを指します。

    ・「システムドライブ\Windows」配下

    ・「システムドライブ\Program Files」配下

    ・「システムドライブ\Program Files (x86)」配下

    Windowsで,インストール先フォルダが上記以外の場合

    JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionのインストール先フォルダ\log

    Linuxの場合

    /var/opt/jp1ajs2/log

  2. ジョブ実行履歴ログファイルに出力されたメッセージKAVU3607-Iのうち,実行数を確認したい日付で最後に出力されたものを探す。

  3. メッセージ内に出力されたジョブ数を確認する。

注意事項

ジョブ実行履歴ログファイルは,ラップアラウンドしてファイルを切り替える場合に,ラップアラウンド前のファイルを削除しません。ファイルの先頭からログを上書き出力します。ラップアラウンドの前後を判別するため,最新のログの末尾には,次の文字列(終端識別子)を出力します。

----------< End of Data >----------

ジョブを実行するたびに,直前のログの末尾に出力された終端識別子を削除し,ログを出力したあと,再度終端識別子を出力します。このため,ジョブ実行履歴ログファイルを参照する場合は,次の点に注意してください。

  • 最新のログを確認するには,終端識別子より前のログを確認してください。終端識別子よりあとのログは,ラップアラウンド前に出力されたログです。

  • ラップアラウンドするタイミングによって,一つのジョブ実行履歴ログファイルに,二つ以上の終端識別子が残ることがあります。その場合,ファイルの先頭から数えて一つ目の終端識別子が,有効な終端識別子です。

(3) 1日当たりのジョブの実行数が10件を超えた場合

JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionで1日当たりのジョブの実行数が10件を超えた場合,11件目以降に実行したジョブは「起動失敗」状態になります。また,JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionを運用しているマシンの統合トレースログ,ジョブ実行履歴ログファイル,およびJP1/AJS3 - Viewの実行結果詳細画面に,メッセージKAVU3608-Eが出力されます。

JP1/AJS3 - Agent Minimal Editionでジョブが「起動失敗」状態となり,メッセージKAVU3608-Eが出力される場合は,1日当たりのジョブの実行数が10件以内になるよう運用を見直してください。

なお,11件目以降に実行したジョブの定義に転送ファイルを指定していた場合,ジョブは「起動失敗」状態になりますが,ファイルは転送先のエージェントホストに転送されます。「起動失敗」状態になったジョブで転送されたファイルを削除したいときは,[詳細定義]ダイアログボックスの[転送ファイル]タブで,[ファイルを削除する]をチェックしてください。