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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


3.4.1 スケジューラーログファイルのサイズを見積もる

スケジューラーログファイルのサイズの見積もりについて説明します。スケジューラーログには,ジョブネットやジョブの実行ログや操作ログが出力され,主に業務の実行状況を監視するために使用します。スケジューラーログファイルが必要とするサイズは,次に示す項目によって大きく異なります。

そのため,必要に応じて,スケジューラーログファイルの適切なサイズを見積もり,デフォルトのディスク占有量を変更してください。スケジューラーログファイルのデフォルトのディスク占有量と最大ディスク占有量については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.5 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。

スケジューラーログファイルの見積もりの流れを,次の図に示します。

図3‒1 スケジューラーログファイルの見積もりの流れ

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) スケジューラーログファイルの見積もり式

スケジューラーサービス単位でスケジューラーログファイルのサイズを見積もるのに必要な式の数は,環境設定パラメーターの設定値によって異なります。次に示す表の条件に従って必要な式を選択してください。

表3‒14 スケジューラーログファイルのサイズの見積もり式

スケジューラーサービスの構成定義での設定値

見積もり式(サイズ:キロバイト)

環境設定パラメーターAJSLOGに「all」を指定している場合

A =

80*(スケジューラーサービス開始の回数 + スケジューラーサービス終了の回数)

/ 1,024

環境設定パラメーターNETLOGに「none」以外を指定している場合

B =

{ (90 + ジョブネット名称の最大長)

* (1日に実行するジョブネットの開始回数 + 1日に実行するジョブネットの終了回数 + 起動条件の監視開始回数 + 起動条件の監視終了回数 + 保留設定をするジョブネット数 + 開始および終了遅延監視を設定するジョブネット数) }

/ 1,024

環境設定パラメーターJOBLOGに「none」以外を指定している場合

C =

{ (120 + ジョブ名称の最大長 + ジョブ実行エージェント名の最大長)

* (1日に実行するルートジョブネット下のジョブ開始回数 + 1日に実行するルートジョブネット下のジョブ終了回数 + 保留設定をするジョブ数) }

/ 1,024

環境設定パラメーターOPELOGおよびREFLOGに「none」以外を指定している場合

D =

{ (100 + コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長 + 論理ホスト名の最大長 + ユニットを操作するコマンドで,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの最大長)

* (ユニットを操作しないコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの実行回数の合計 + ユニットを操作するコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計) }

/ 1,024

環境設定パラメーターINFOLOGに「none」以外を指定している場合

E =

{ (100 + コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長 + 論理ホスト名の最大長 + コマンドに指定するオプションの最大長)

* (ユニットを操作しないコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの実行回数の合計 + ユニットを操作するコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計*2) }

/ 1,024

上記の表の見積もり式に従って値を算出したら,算出した値を合計します。

ホスト単位でログを出力するように指定している場合は,該当するスケジューラーサービスすべてについて上記を見積もり,合計したものが一日分となります。また,必要に応じて保存したい日数を掛けます。

なお,設定する場合は,算出された値より,少し大きめの値を設定してください。

(2) スケジューラーログファイルの見積もりの例

5日分のスケジューラーログを一つのファイルに保存する場合の見積もり例を示します。

表3‒15 スケジューラーログファイルの見積もりの例

条件

見積もり式の例

環境設定パラメーターAJSLOGの設定値

all

スケジューラーサービス開始回数

1回

スケジューラーサービス終了回数

1回

A(キロバイト)=

80*(1 + 1) / 1,024 = 約0.16

環境設定パラメーターNETLOGの設定値

all

ジョブネット名称の最大長

40バイト

1日に実行するジョブネットの開始回数

1,000回

1日に実行するルートジョブネット下のジョブネットの終了回数

1,000回

保留設定をするジョブネット数

10個

開始および終了遅延監視を設定するジョブネット数

20個

B(キロバイト)=

{ (90 + 40)*(1,000 + 1,000 + 10 + 20) } / 1,024 = 約258

環境設定パラメーターJOBLOGの設定値

all

ジョブ名称の最大長

50バイト

ジョブ実行エージェント名の最大長

10バイト

1日に実行するジョブの開始回数

3,000回

1日に実行するジョブの終了回数

3,000回

保留設定をするジョブ数

30個

C(キロバイト)=

{ (120 + 50 + 10)*(3,000 + 3,000 + 30) } / 1,024 = 約1,060

環境設定パラメーターOPELOGまたはREFLOGの設定値

all

コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長

10バイト

論理ホスト名の長さ

11バイト

ユニットを操作するコマンド(ajschangeajsplanなど)で,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの長さ

300バイト

ユニットを操作しないコマンドで,ログに出力されるように指定したコマンドの実行回数の合計

200回

ユニットを操作するコマンドで,ログに出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計

50個

D(キロバイト)=

{ (100 + 10 + 11 + 300)*(200 + 50) } / 1,024 = 約103

環境設定パラメーターINFOLOGの設定値

all

コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長

10バイト

論理ホスト名の長さ

11バイト

ユニットを操作するコマンド(ajschangeajsplanなど)で,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの長さ

300バイト

ユニットを操作しないコマンドで,ログに出力されるように指定したコマンドの実行回数の合計

200回

ユニットを操作するコマンドで,ログに出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計

50個

E(キロバイト)=

{ (100 + 10 + 11 + 300)*(200 + 50*2) } / 1,024= 約123

1日分のスケジューラーログファイル容量(単位:キロバイト)=

A + B + C + D + E= 約1,544キロバイト

6日分のスケジューラーログファイル容量のサイズ(単位:キロバイト)=

1,544*6日 = 約9,264キロバイト

スケジューラーログファイルのサイズは,初期値で10,240キロバイトです。また,ファイルは2面保存されます。1週間6営業日とすると,見積もり例の運用形態だとスケジューラーログファイルのサイズが初期値の場合,1面当たり1週間分のログを保存できます。

ホスト単位でログを出力するように指定している場合は,物理ホストまたは論理ホスト単位で,設定しているスケジューラーサービスすべてについてスケジューラーログファイルのサイズを見積もり,合計したものが1日分となります。

(3) スケジューラーログファイルのサイズの拡張方法

スケジューラーログファイルのサイズの拡張は,jajs_configコマンドで,環境設定パラメーターLOGSIZE(スケジューラーサービス単位で出力する場合)またはHOSTLOGSIZE(ホスト単位で出力する場合)に「(1) スケジューラーログファイルの見積もり式」で算出した値を設定します。

環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.4 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。