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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


3.1.5 イベント監視の処理性能

JP1/AJS3のイベントジョブおよび起動条件付きジョブネットでイベントを監視する場合は,実行数や発生するイベントの量をあらかじめ見積もり,JP1/AJS3の処理性能の範囲内で使用してください。

ここでは,JP1/AJS3のイベント監視の処理性能の見積もりと設定について説明します。

イベント監視の処理性能は,一つのイベントジョブまたは起動条件付きジョブネットが,1件のイベント発生から次のイベントを処理できるようになるまでの時間で見積もります。見積もり時間よりも短い時間内にイベントが発生する場合,イベントジョブ,または起動条件付きジョブネットがボトルネックとなり,ほかのジョブネットの処理遅延を引き起こすおそれがあります。そのため,イベント発生頻度を事前に予測できる場合は,予測した時間よりも短い時間内にイベントが発生しないような監視条件を設定することを推奨します。

また,複数のイベント監視に対して,ほぼ同時に複数のイベントが発生する場合も,同じようにボトルネックとなるおそれがあります。同時に発生するおそれがあるイベントを監視しないようにしてください。

なお,イベント監視1件当たりの処理時間は約0.6秒ですが,使用しているハードウェアなどによって異なります。

また,スケジューラーサービスでの単位時間当たりのイベント発生数で,スケジューラーサービスのイベント監視についての処理能力を見積もれます。スケジューラーサービスに通知されるイベントの発生数が,次に示す式で算出される値を十分に下回るような運用を推奨します。イベント監視の処理性能を見積もるときの計算式を次に示します。

ジョブネット登録時

イベントジョブが実行できるようになる時間(単位:秒) = イベントジョブ数*0.8

注※

同時に実行登録されるイベントジョブ(起動条件を含む)の総数です。

イベント発生時

処理できるイベントの件数 = 単位時間(単位:秒) / 0.6

(例)60秒間で処理できるイベントの件数を算出する場合

処理できるイベントの件数 = 60 / 0.6 = 100

したがって,60秒間に処理できるイベントの数は100です。

上記の式で算出した値(「処理できるイベントの件数」)が,ピーク時の性能(イベントジョブ,起動条件だけを実行させる場合に処理できる数)です。

なお,イベントの発生量は,ピーク時も含めて1スケジューラーサービス当たり1時間で1,000件以内の発生量になるようにしてください。

イベント順序保証オプションを使用した場合の性能

イベント順序保証オプションを使用した場合,エージェントはマネージャーにイベントを通知すると,マネージャーからの返信があるまで次のイベントを通知しません。また,マネージャーからの返信の有無を確認する処理は,一定時間(10秒)ごとに行い,次のイベントを通知するのは,マネージャーからの返信の確認後になります。そのため,1時間当たりのイベント処理の最大件数は360件となります。ただし,イベント順序保証オプションを使用した実際の運用では,運用しているシステムでのイベントの発生状況にもよりますが,1時間当たりのイベント処理件数を180件として見積もることを推奨します。