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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


3.1.4 APIを利用したユーザーアプリケーションのレスポンス

APIを利用した独自のユーザーアプリケーションを作成する場合,JP1/AJS3 - Managerからの応答時間は,次の式で近似値を算出できます。

レスポンス時間 =

JP1/AJS3 - Managerでの処理時間

+ データ転送時間

+ Web Consoleサーバでの処理時間

+ ユーザーアプリケーションでの処理時間

〈この項の構成〉

(1) JP1/AJS3 - Managerでの処理時間

JP1/AJS3 - Managerをインストールしたマシンの処理性能が低い場合は,処理時間が長くなります。JP1/AJS3 - Managerでの処理を次に示します。

(a) 接続(ユーザー認証)

ユーザーアプリケーションからJP1/AJS3 - Managerに接続する場合は,ユーザー認証の処理のため,認証サーバにアクセスします。このため,認証サーバのマシンが起動していない場合や,複数の認証サーバを使用するような運用をしている場合は,その分処理時間が長くなります。

また,ユーザーアプリケーションでのユーザー認証は,APIのリクエストを発行するたびに認証を受ける必要があります。そのため,リクエストの発行が多発するような場合,その分処理時間が長くなります。

(b) ユニットの実行予定・実行結果データの取得

JP1/AJS3 - Manager側の処理は,ユーザーアプリケーションからの要求の種類によって異なりますが,ディスクに格納されているユニットの状態を検索・参照することが中心になるため,ディスク性能に影響を受ける傾向があります。

構成要素が多く,かつ実行世代の多いジョブネットを表示する場合などは処理に時間が掛かります。実行計画の算出処理には,CPU性能にも影響を受けます。

より安定した性能を実現するためには,ほかの業務のディスクアクセス頻度やCPU使用状況など,サーバマシン全体の負荷を見積もる必要があります。

(c) ユニットに対する操作

構成要素の多いジョブネットに対して長期間にわたる確定実行登録を行っている場合や,保存世代数の設定が非常に大きいジョブネットに対して登録解除を行う場合などは,JP1/AJS3 - Managerの処理時間が長くなります。このような状況では,通信処理がJP1/AJS3 - Managerでタイムアウトされることがあります。確定登録期間を短くしたり,保存世代数を小さく設定したりするなど,JP1/AJS3 - Managerの処理時間が長くならないようにユーザーアプリケーションの設計を検討してください。

(d) 実行エージェントに対する操作

複数の実行エージェントに対して同時に操作する場合は,操作の対象となる実行エージェントの数が多いほど処理時間は長くなります。

(2) データ転送時間

データ転送時間は,ユーザーアプリケーション,Web Consoleサーバ,およびJP1/AJS3 - Manager間のネットワーク性能の影響を受けます。

(3) Web Consoleサーバでの処理時間

JP1/AJS3 - Web Consoleをインストールしたマシンの処理性能が低い場合は,処理時間が長くなります。JP1/AJS3 - Web Consoleでの処理を次に示します。

(a) ユーザーアプリケーションからの要求の処理

Web Consoleサーバは,ユーザーアプリケーションからの認証やユニットの操作,情報取得などのリクエストを処理して,JP1/AJS3 - Managerへと送信します。ユーザーアプリケーションからの処理要求が多発する場合や,接続するユーザーアプリケーションの数が多いと,処理に時間が掛かります。より安定した性能を実現するためには,同時接続できるユーザーアプリケーションの数やCPU使用状況などを考慮して,サーバマシン全体の負荷を見積もる必要があります。

(4) ユーザーアプリケーションでの処理時間

ユーザーアプリケーションの処理時間は,マシンの処理性能やユーザーアプリケーションの実装方法などの影響を受けます。ユーザーアプリケーションの処理速度が遅い場合は,次に示すような内容を検討してください。