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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


2.4.1 システムのタイムゾーンについて検討する

システムのタイムゾーンについて,次に説明します。

〈この項の構成〉

(1) JP1/AJS3 - ViewからJP1/AJS3 - Managerにログインする場合

JP1/AJS3 - Viewを使ってマネージャーホストにログインし,ジョブネットの実行状況や実行結果を確認する場合,表示される時刻はJP1/AJS3 - ViewがインストールされているマシンのOSに設定されたタイムゾーンに従います。

Windowsの場合

Windows上のJP1/AJS3 - Managerは,OSの構造上,プロセス単位にタイムゾーンを扱えません(1台のマネージャーホストで複数のタイムゾーンを扱うことはできません)。したがって,複数のタイムゾーンで運用する場合は,タイムゾーン別にマネージャーホストおよびJP1/AJS3 - Viewを複数台用意してください。

UNIXの場合

UNIXではプロセス単位にタイムゾーンを設定できるため,マネージャーホストに実行登録するジョブネットに対して,実行登録するユーザーごとに環境変数TZを選択できます(1台のマネージャーホストで複数のタイムゾーンを扱えます)。ただし,ユニットを操作する場合は,次の制限があります。

  • JP1/AJS3 - Viewから操作する場合は,一つのタイムゾーンしか扱えないため,タイムゾーン別にユニット定義を用意し,タイムゾーンごとにJP1/AJS3 - Viewを起動する。

  • 実行登録する場合は,タイムゾーン別に環境変数TZを設定した環境で,ajsentryコマンドを使用する。

  • 日時変更などの時刻に関する指定は,相対指定だけとする。

  • 実行登録した内容をコマンドで確認する場合は,実行登録したときと同じ環境変数TZを設定した環境で,ajsshowコマンドを使用する。

ジョブネットの実行先が海外であっても,日本時間に設定されているJP1/AJS3 - Viewを使って実行状況や実行結果を表示させると,現地時間ではなく日本時間で時刻が表示されます。Windowsの場合は,タイムゾーンが異なるエリアのジョブネットの実行状況や実行結果を現地時間で確認するには,現地のタイムゾーンに合わせたJP1/AJS3 - Viewマシンを別途用意する必要があります。例えば,ニューヨークでの実行状況をニューヨーク時間で表示させるにはニューヨークのタイムゾーンに合わせて時刻を調整したJP1/AJS3 - Viewマシンを用意してください。

タイムゾーンが異なるマネージャーホストのジョブネットの実行状況を確認する場合のシステム構成例を次の図に示します。

図2‒44 タイムゾーンが異なるマネージャーホストのジョブネットの実行状況を確認する場合のシステム構成例

[図データ]

マネージャーホスト・エージェントホスト間でタイムゾーンが異なる場合の注意事項を次に示します。

なお,次に示す注意事項は,スケジュールされ実行されているジョブに対する注意事項です。ジョブネットの実行スケジュールを定義するときの注意事項ではありません。

ジョブネットの実行スケジュールは,マネージャーホストのタイムゾーンに従ってスケジュールされます。

注意事項
  • ジョブは,エージェントホストのタイムゾーン環境で実行されます。標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイル(実行結果詳細)のメッセージ中の時刻は,エージェントホストのタイムゾーンの時刻です。

  • ジョブの打ち切り時間は経過時間でカウントするため,タイムゾーンには従いません。

  • イベントジョブの引き継ぎ情報(EVDATE,EVTIME,FLCTIME,およびMLRCVTIME)に含まれる時刻は,イベントが発生したエージェントホストのタイムゾーンの時刻です。また,JP1イベント受信監視ジョブが別のホストから転送されてきたJP1イベントを検知した際,引き継ぎ情報(EVDATEおよびEVTIME)に含まれる時刻は,転送元のタイムゾーンの時刻です。マネージャーホストのタイムゾーンや,引き継ぎ情報を使用するジョブを実行するときのタイムゾーンの時刻ではありません。

  • リモート電源制御ジョブの[次回電源投入時刻の設定]に[次回電源投入時刻の変更]を指定した場合,設定した次回電源投入時刻はジョブを実行するホストの実行ユーザーのタイムゾーンで指定された時刻で動作します。

  • 起動条件の有効範囲に指定した時刻は,マネージャーホストのタイムゾーンに従って動作します。

(2) Web Consoleサーバを使用している場合

Web GUIまたはユーザーアプリケーションでユニットの日時情報や実行エージェント情報を表示する場合,表示される時刻はマネージャーホストのタイムゾーンに従います。Web Consoleサーバとマネージャーホストでタイムゾーンが異なる場合は,Web Consoleサーバの環境設定ファイル(ajs3web.conf)に,マネージャーホストのタイムゾーンを設定してください。

Web Consoleサーバのタイムゾーンの詳細については,「4.6.1(2) Web Consoleサーバのタイムゾーン」を参照してください。