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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド


10.1.1 プランニンググループの機能と運用概要

プランニンググループの機能,およびプランニンググループを使用した運用の概要を説明します。

〈この項の構成〉

(1) プランニンググループの機能

プランニンググループを使うと,運用中にルートジョブネットを切り替えても,GUIでの監視時やコマンドの指定時に名称を変えないで済み,一貫した運用ができます。

切り替えて実行する複数のルートジョブネットには,実行させる異なる業務(処理)をあらかじめ定義しておきます。例えば,一つのジョブネットには,受注データ集計と受注伝票作成という業務を定義しておきます。もう一つのジョブネットには,受注データ集計,受注伝票作成,および棚卸という業務を定義しておきます。

その後,切り替えて実行する複数のルートジョブネットを,それぞれ実行期間を指定して実行登録します。例えば,一つのジョブネットは2月まで実行するように,もう一つのジョブネットは3月から実行するように登録します。このように登録すると,月の変わり目にジョブネットが切り替わり,2月と3月で異なる業務が,一つのジョブネットのように実行されます。

プランニンググループの運用イメージを,次の図に示します。

図10‒1 プランニンググループの運用イメージ

[図データ]

プランニンググループを使用したユニットの構成例を,次の図に示します。

図10‒2 プランニンググループを使用したユニットの構成例

[図データ]

プランニンググループはジョブグループ(スケジューラーサービスを含む)の直下にだけ作成できます。ジョブグループの下には,プランニンググループを複数作成できます。プランニンググループの下にプランニンググループは作成できません。

プランニンググループの直下には,ジョブネットまたはリモートジョブネットが作成できます。プランニンググループの下に作成したジョブネットまたはリモートジョブネットの定義内容や定義方法は,通常のジョブネットまたはリモートジョブネットと同じです。

プランニンググループ直下のルートジョブネットまたはルートリモートジョブネットを実行登録する場合は,期間を指定した確定実行登録だけができます。計画実行登録や,未来世代数を指定した確定実行登録はできません。

また,プランニンググループには,カレンダー情報を定義できます。上位のジョブグループのカレンダー情報を引き継ぐこともできます。プランニンググループは,マネージャージョブグループやカレンダー定義の参照先としても指定できます。

(a) ルートジョブネット間で有効になるユニット定義情報

プランニンググループの下にあるルートジョブネットは,確定実行登録すると同じプランニンググループの下にある,ほかのルートジョブネットと連携して実行されます。連携すると,プランニンググループのルートジョブネット間で,次に示すユニット定義情報の設定が有効になります。

  • 多重起動とスケジューリング方式

  • 前回異常終了時/前回異常警告時の保留

8月と9月でジョブネットを切り替えて実行するプランニンググループを例にして,設定が有効になるユニット定義情報の項目について説明します。

■ 多重起動とスケジューリング方式

プランニンググループの下にあるルートジョブネットに対して,多重起動とスケジューリング方式(スケジュールスキップ,多重スケジュール)を設定できます。多重起動とスケジューリング方式については,「3.3.3 多重起動とスケジューリング方式」を参照してください。

  • スケジュールスキップ

    9月に実行されるジョブネットのスケジューリング方式にスケジュールスキップを設定した例を,次の図に示します。

    図10‒3 スケジュールスキップを設定した場合

    [図データ]

    この場合,8/31の実行世代が次の世代の開始予定時刻までに終了していません。そのため,9/1の世代は実行されないで繰り越し未実行になります。

  • 多重スケジュール(多重起動なし)

    9月に実行されるジョブネットのスケジューリング方式に多重スケジュールを,多重起動に[不可能]を設定した場合の例を,次の図に示します。

    図10‒4 多重スケジュールを設定し,多重起動を設定しなかった場合

    [図データ]

    この場合,8/31の実行世代が次の世代の開始予定時刻までに終了していません。そのため,9/1の世代は8/31の世代の実行が終了したあとで実行されます。

  • 多重スケジュール(多重起動あり)

    9月に実行されるジョブネットのスケジューリング方式に多重スケジュールを,多重起動に[可能]を設定した場合の例を,次の図に示します。

    図10‒5 多重スケジュールと多重起動を設定した場合

    [図データ]

    この場合,8/31の実行世代が次の世代の開始予定時刻までに終了していません。そのため,9/1の世代は8/31の世代の実行が終了する前に実行されます。

なお,次の場合は,多重起動を設定しても,後続の世代は実行されません。

  • 実行世代が保留中の場合

  • 実行世代がない場合

前の実行世代が保留中の場合

前の実行世代が保留中のため,多重起動を設定しても実行されない例を,次の図に示します。

図10‒6 前の実行世代が保留中の場合

[図データ]

この場合,8/31の実行世代が保留中のまま,9/1の世代の開始予定時刻に到達しています。前の実行世代が開始されていないため,9/1の世代は実行されません。

前の実行世代がない場合

前の実行世代がないため,多重起動を設定しても実行されない例を,次の図に示します。

図10‒7 前の実行世代がない場合

[図データ]

この場合,8/30の実行世代は打ち切り時間を無制限としています。そのため,実行中のまま9/1になっても終了しません。8/31の世代は多重起動を設定していないため,8/30の世代が終了するまで実行されません。その結果,9/1の世代は前の世代に実行されている世代がないため,実行されません。

■ 保留(前回異常時と前回異常警告時)

プランニンググループの下にあるルートジョブネットに対して,前回の実行が異常または異常警告のときに,次の実行を保留するように設定できます。

9月に実行されるジョブネットの保留属性に,前回異常時だけ保留,または前回異常警告時だけ保留を設定した場合の例を,次の図に示します。

図10‒8 保留属性を設定した例

[図データ]

8/31の世代の実行が異常終了して,9/1の世代の開始予定時刻に到達しました。9/1の世代の状態は保留中になります。

(b) プランニンググループの排他スケジュール

ジョブネットの排他スケジュールには,プランニンググループも設定できます。

プランニンググループに対して排他スケジュールを使用する場合,指定できる組み合わせと指定できない組み合わせがあります。プランニンググループの排他スケジュールの指定可否を,次の図と表に示します。

なお,排他スケジュール指定元のジョブネットの基準時刻と,排他スケジュール指定先の基準時刻は合わせてください。

図10‒9 プランニンググループの排他スケジュールの指定可否

[図データ]

表10‒1 プランニンググループの排他スケジュールの指定可否

図中の番号

指定可否

排他スケジュール指定元のジョブネット

排他スケジュールの指定先

(1)

ジョブネット

同一階層のプランニンググループ

(2)

プランニンググループの下にあるジョブネット

プランニンググループと同一階層のジョブネット

(3)

プランニンググループの下にあるジョブネット

プランニンググループと同一階層の別のプランニンググループ

(4)

×

プランニンググループの下にあるジョブネット

同じプランニンググループ下のジョブネット

(5)

×

ジョブネット

異なる階層にあるプランニンググループ

(凡例)

○:指定できる

×:指定できない

プランニンググループの排他スケジュール設定例を,次の図に示します。

図10‒10 プランニンググループの排他スケジュール

[図データ]

排他スケジュールとしてプランニンググループを指定した場合,プランニンググループ配下のジョブネットの実行予定に対して排他スケジュールされます。上記の例で,ジョブネットAは排他スケジュールにプランニンググループを指定しているため,プランニンググループ配下のジョブネットB,ジョブネットCの実行予定に対して排他スケジュールされます。また,ジョブネットB,ジョブネットCにはそれぞれ排他スケジュールとしてジョブネットDが設定されているため,ジョブネットAの実行予定はジョブネットDの実行予定に対しても排他スケジュールされます。

プランニンググループ同士を排他スケジュールにした場合の例を,次の図に示します。

図10‒11 プランニンググループ同士の排他スケジュールの設定例

[図データ]

プランニンググループ1配下のジョブネットB,ジョブネットCともに排他スケジュールとしてプランニンググループ2が設定されているため,プランニンググループ2配下のジョブネットD,ジョブネットEの実行予定に対して排他スケジュールされます。したがって,プランニンググループAが排他スケジュールとして設定されているジョブネットAの実行予定は,ジョブネットD,ジョブネットEの実行予定に対しても排他スケジュールされます。

(2) プランニンググループの定義・実行の流れ

プランニンググループを使用したルートジョブネットの定義・実行の流れを次に示します。

(3) JP1/AJS3 - Viewでのプランニンググループの表示

プランニンググループのスケジュール情報や,ユニットの状態(実行予定)と結果(実行結果)をJP1/AJS3 - Viewのウィンドウで表示したときの動作について説明します。ここでは,次の図に示すユニット構成を持つプランニンググループを例に,JP1/AJS3 - Viewの表示内容を説明します。

図10‒12 プランニンググループのユニット構成例

[図データ]

(a) スケジュール情報を[マンスリースケジュール]ウィンドウで表示する

プランニンググループのスケジュール情報を[マンスリースケジュール]ウィンドウで表示する場合,プランニンググループの下にあるユニットのスケジュール情報がスケジュールエリアにマージされて表示されます。

[マンスリースケジュール]ウィンドウを初めて表示させたときと,最新情報に更新したときに,スケジュール情報がマージされて表示されます。スケジュール情報がマージされて表示されるときは,開始時刻が最も遅いスケジュールが表示されます。

図10-12のユニット構成を例として,プランニンググループを選択して[マンスリースケジュール]ウィンドウを表示させたときのスケジュールエリアのイメージを,表10-2に示します。

表10‒2 プランニンググループを選択して表示した場合の表示イメージ(4/29の実行終了時)

ユニット

4/26

4/27

4/28

4/29

4/30

5/1

5/2

5/3

5/4

発注処理

 Weekday

  受注集計

  出庫指示

  日報出力

 Holiday

  受注集計

  日報出力

集計処理

日次締め処理

(凡例)

●:正常終了

○:実行予定

−:実行予定なし

注※

「発注処理」がプランニンググループです。

表10‒3 プランニンググループの上位のジョブグループを選択して表示した場合の表示イメージ(4/29の実行終了時)

ユニット

4/26

4/27

4/28

4/29

4/30

5/1

5/2

5/3

5/4

発注処理

集計処理

日次締め処理

(凡例)

●:正常終了

○:実行予定

注※

「発注処理」がプランニンググループです。

なお,プランニンググループを[マンスリースケジュール]ウィンドウに表示するかどうかは,[環境設定]ダイアログボックスの[スケジュール]タブで設定できます。[環境設定]ダイアログボックスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」を参照してください。

(b) 状態と結果を[JP1/AJS3 - View]ウィンドウで表示する

プランニンググループの状態(実行予定)および結果(実行結果)を[JP1/AJS3 - View]ウィンドウのリストエリアで表示する場合,現在日にいちばん近い日のユニットの状態および結果が自動的に表示されます。

プランニンググループの実行状態と実行結果の例を,次の表に示します。

表10‒4 プランニンググループの実行状態と結果の例(5/5の実行終了時)

ユニット

4/30

5/1

5/2

5/3

5/4

5/5

5/6

5/7

発注処理

 Weekday

  受注集計

  出庫指示

  日報出力

 Holiday

  受注集計

  日報出力

(凡例)

●:正常終了

◆:異常検出終了

○:実行予定(開始時刻待ち)

−:実行予定なし

注※

「発注処理」がプランニンググループです。

5/5の実行が終了した時点のプランニンググループの結果を,上位ユニットを選択して表示する場合,ジョブネット「Weekday」とジョブネット「Holiday」の結果を比べると,ジョブネット「Holiday」の結果の方が現在日時の近くにあります。そのため,[JP1/AJS3 - View]ウィンドウの[結果]には,ジョブネット「Holiday」の結果が表示されます。

ユニットの状態を表示する場合,ジョブネット「Weekday」とジョブネット「Holiday」の状態を比べると,ジョブネット「Weekday」の状態の方が現在日時の近くにあります。そのため,[JP1/AJS3 - View]ウィンドウの[状態]には,ジョブネット「Weekday」の状態が表示されます。

プランニンググループの状態と結果を[JP1/AJS3 - View]ウィンドウのリストエリアで表示したときの例を,次の図に示します。

図10‒13 [JP1/AJS3 - View]ウィンドウでのプランニンググループの状態と結果の表示例

[図データ]

(4) プランニンググループの定義構成例

プランニンググループの定義構成例を次に示します。

プランニンググループの下に定義されたルートジョブネットの例と,その定義を[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアで表示したときのイメージを次に示します。

(a) 月ごとに定義を切り替える場合

2月に実行されるジョブネットと,3月に実行されるジョブネットを定義する例を,次の図と表に示します。

図10‒14 月ごとに切り替わる場合のジョブネットの定義例

[図データ]

表10‒5 月ごとに切り替わる場合の[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアでの表示イメージ

ユニット

2/22

2/23

2/24

2/25

2/26

2/27

2/28

3/1

3/2

3/3

3/4

3/5

発注処理

 2月の処理

 3月の処理

(凡例)

○:実行予定

−:実行予定なし

注※

「発注処理」がプランニンググループです。

(b) 二つのルートジョブネットを交互に切り替える場合

平日の運用日に実行されるジョブネットと,休日の休業日に実行されるジョブネットを定義する例を,次の図と表に示します。

図10‒15 交互に切り替わる場合のジョブネットの定義例

[図データ]

表10‒6 交互に切り替わる場合の[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアでの表示イメージ

ユニット

2/22

2/23

2/24

2/25

2/26

2/27

2/28

3/1

3/2

3/3

3/4

3/5

発注処理

 Weekday

 Holiday

(凡例)

○:実行予定

−:実行予定なし

注※

「発注処理」がプランニンググループです。

(c) 1日の中でジョブネットを切り替える場合

午前に実行されるジョブネットと,午後に実行されるジョブネットを定義する例を,次の図と表に示します。

図10‒16 同じ日で切り替わる場合のジョブネットの定義例

[図データ]

表10‒7 同じ日で切り替わる場合の[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアでの表示イメージ

ユニット

2/22

2/23

2/24

2/25

2/26

2/27

2/28

3/1

3/2

3/3

3/4

3/5

集計処理

 午前

 午後

(凡例)

○:実行予定

−:実行予定なし

注※

「集計処理」がプランニンググループです。

補足事項

確定実行登録したスケジュール情報に従って,ジョブネット「午前」とジョブネット「午後」が実行されます。

ジョブネット「午前」とジョブネット「午後」の実行開始時刻が重複した場合には,スケジューリング方式,多重起動の設定によって動作が異なります。プランニンググループのスケジューリング方式および多重起動については,「(1)(a) ルートジョブネット間で有効になるユニット定義情報」を参照してください。

  • スケジューリング方式がスケジュールスキップの場合,あとから実行される世代が繰り越し未実行になります。

  • スケジューリング方式が多重スケジュールで,多重起動を設定していない場合,あとから実行されるルートジョブネットは,先に実行されているルートジョブネットの終了を待って実行されます。

  • スケジューリング方式が多重スケジュールで,多重起動を設定している場合,あとから実行されるルートジョブネットは,先に実行されるルートジョブネットの終了を待たないで実行されます。

(d) 既存のプランニンググループの予定を変更してジョブネットを追加する場合

平日の運用日と休日の休業日に交互に実行されるプランニンググループがあります。そのプランニンググループの実行登録期間の,4/29から5/5の間だけ登録を解除,または実行中止します。その後,登録解除,または実行中止した期間に実行するジョブネットを追加した場合の定義例を,次の図と表に示します。

図10‒17 ジョブネットを追加した場合の定義例

[図データ]

表10‒8 ジョブネットを追加した場合の[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアでの表示イメージ

ユニット

4/26

4/27

4/28

4/29

4/30

5/1

5/2

5/3

5/4

5/5

5/6

5/7

発注処理※1

 Weekday

 Holiday

 GW※2

(凡例)

○:実行予定

−:実行予定なし

注※1

「発注処理」がプランニンググループです。

注※2

「GW」が追加したジョブネットです。

(5) 補足事項

プランニンググループについての補足事項について説明します。

(a) プランニンググループをコマンドで操作する場合のユニット名指定方法

プランニンググループの下にあるユニットをコマンドのオプションに指定するとき,ユニットの完全名ではなく,ルートジョブネット名を省略してユニット名を指定できます。ルートジョブネット名を省略してユニット名を指定した場合,コマンドを実行したときに世代があるユニットが操作対象として自動的に選択されます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 1.1 コマンドの記述形式」を参照してください。

(b) プランニンググループの統計情報と実行シミュレーション

ユニットの実行時間は,ユニットが正常終了した実行時間の平均を基に算出されます。正常終了した実行時間と回数の合計は,ルートジョブネットごとに統計情報として保持されます。プランニンググループの統計情報の保持について,次の図に示します。

図10‒18 プランニンググループの統計情報

[図データ]

この統計情報を基に実行シミュレーションが実施されます。実行シミュレーションについては,「4.4.2(2) 実行シミュレーション」を参照してください。

図10-18の場合,Jobnet1の下のJob1,Job2,Job3の平均実行時間は,それぞれ60秒,70秒,30秒になります。Job1,Job2,Job3の順に実行順序が関連づけられている場合,Job1の開始予定時刻が12:00:00のときは,Job2,Job3の開始予定時刻は12:01:00,12:02:10と表示されます。Jobnet2の下のJob1,Job3の平均実行時間は,それぞれ30秒,25秒になります。プランニンググループを使用した場合でも,実行シミュレーションは,ルートジョブネット単位で実施されます。

(c) プランニンググループでの世代の順序

プランニンググループでの世代番号は,基本的にはジョブグループの下にあるルートジョブネットと同様に,開始予定時刻順に割り振られます。詳細については,「4.2 ジョブネットの世代管理」を参照してください。ただし,プランニンググループの下にある複数のルートジョブネットの開始予定時刻が同じ場合は,世代番号の割り振られ方が通常のルートジョブネットと異なります。この場合,世代番号はルートジョブネット名の文字コード順に割り振られます。英数字の場合はASCII文字コード順に,日本語の場合は日本語シフトJIS,日本語EUC,またはUTF-8の文字コード順に世代番号が割り振られます。世代番号がルートジョブネット名の文字コード順に割り振られる例を,次の図に示します。

図10‒19 プランニンググループの下にあるユニットの世代番号の順序

[図データ]

(d) プランニンググループでの実行登録順序

同じ日に複数回実行されるジョブネットをプランニンググループに定義する場合,実行登録は,開始予定時刻の早いジョブネットから行ってください。

開始予定時刻の遅いジョブネットを先に実行登録した場合,世代番号が実行順序と反対に割り振られ,ジョブネットの実行状態が監視しにくくなることがあります。

開始時刻の遅いジョブネットから実行登録した場合の世代番号の割り振られ方を,次の図に示します。

図10‒20 開始時刻の遅いジョブネットから実行登録した場合の世代番号の順序

[図データ]

この図の場合にajsshowコマンドの-lオプションや,-gオプションで1を指定したときは,ジョブネットAの実行世代ではなく,ジョブネットBの実行世代が対象になります。登録したジョブネットの世代番号が世代1ではないため,ジョブネットの状態を監視する場合には,世代1だけでなく,世代2も監視の対象にする必要があります。

開始予定時刻の早い順にジョブネットを実行登録する場合は,一つ目のジョブネットの実行が終了したあと,次に開始予定時刻の早いジョブネットを実行登録すると,登録したジョブネットの世代番号は,常に世代1になります。そのため,ジョブネットを監視する場合の監視対象は世代1だけでよいことになります。

(e) プランニンググループでの保存世代

切り替えられるルートジョブネットの下にあるユニットの保存世代は,ルートジョブネットごとに設定できます。保存世代については,「4.2.3 ジョブネットの保存世代数の管理」を参照してください。

例えば,保存世代数を「2」と設定した場合は,2世代分の結果だけが保存,表示されます。それより前の世代の実行結果は削除されます。プランニンググループの下のルートジョブネットに保存世代数を設定した場合の例を,次の図に示します。

図10‒21 ルートジョブネットに保存世代数を設定した場合の定義例

[図データ]

前述の図の定義で,5/8まで実行が終了した場合の[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアでの表示イメージを,次の表に示します。

表10‒9 保存世代数を設定した場合の[マンスリースケジュール]ウィンドウのスケジュールエリアでの表示イメージ

ユニット

4/27

4/28

4/29

4/30

5/1

5/2

5/3

5/4

5/5

5/6

5/7

5/8

発注処理

 Weekday

 Holiday

 GW

(凡例)

●:正常終了

−:実行予定なし

注※

「発注処理」がプランニンググループです。

この例の場合,例えば5/6にも「Weekday」が実行されますが,「Weekday」の保存世代数は2であるため,5/6に実行された「Weekday」の実行結果は削除されます。