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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド


6.2.1 [JP1/AJS3 - View]ウィンドウでの監視

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(メイン画面)では,ルートジョブネットおよびジョブグループの実行状態や実行結果を監視できます。また,[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)では,ルートジョブネットの進行状況,およびルートジョブネットと配下のジョブの実行状態を監視できます。それぞれの画面について次に説明します。

〈この項の構成〉

(1) [JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(メイン画面)

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(メイン画面)では,ルートジョブネットおよびジョブグループの状態や開始時刻など,実行情報を一覧で監視できます。

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(メイン画面)を,次の図に示します。

図6‒1 [JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(メイン画面)

[図データ]

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(メイン画面)でユニットの実行状態や実行結果を確認するには,機能メニューの[ステータス監視]を選択してください。リストエリアおよび詳細情報エリアに,ジョブグループおよび実行登録済みのジョブネットの情報を表示できるようになります。

(a) リストエリアでルートジョブネットを監視する

リストエリアでルートジョブネットを監視するには,ツリーエリアでその上位のジョブグループを選択します。上位のジョブグループを選択すると,直下に定義されているルートジョブネットがリストエリアに一覧で表示されます。

リストエリアの[状態]にどの世代の実行状態が表示されるかは,現在ログインしているJP1/AJS3 - Managerの環境設定パラメーターVIEWSTATUSRANGEの設定値に従います。設定値と世代決定の優先度を次に示します。

なお,表示対象の世代がない場合,[状態]には「未計画」と表示されます。

  • VIEWSTATUSRANGE=allの場合(デフォルト)

    1. 開始日時または再実行開始日時が現在時刻に最も近い実行中世代

    2. 再実行されていて待ち状態の予定世代

    3. 次回実行する予定世代,または「閉塞」状態の世代

  • VIEWSTATUSRANGE=todayの場合

    1. 開始日時または再実行開始日時が現在時刻に最も近い実行中世代

    2. 再実行されていて待ち状態の予定世代

    3. 当日の予定世代のうち次回実行する世代,または「閉塞」状態の世代

    4. 当日に実行終了している結果世代のうち,終了日時が現在時刻に最も近い世代

注※

ルートジョブネットの各世代は,実行状態によって「実行中世代」「予定世代」「結果世代」のどれかに分類されます。実行状態と世代の分類について,次の表に示します。

表6‒2 実行状態と世代の分類

項番

分類

状態

1

実行中世代

  • 実行中

  • 警告検出実行中

  • 異常検出実行中

  • 監視中

  • 起動条件待ち

2

予定世代

  • 開始時刻待ち

  • 保留中

3

結果世代

  • 正常終了

  • 警告検出終了

  • 異常検出終了

  • 中断

  • 強制終了

  • 順序不正

  • 繰り越し未実行

  • 監視正常終了

  • 監視未起動終了

  • 監視打ち切り終了

  • 監視中断

補足事項

リストエリアの[名前]列で表示されるアイコンは,[状態]列または[結果]列のどちらかを示す表示色で表示されます。また,[状態]列および[結果]列には,状態を示す表示色のカラーイメージを表示させることもできます。これらの設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」の[メイン]タブの説明を参照してください。各状態を示す表示色については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」の[全般]タブの説明を参照してください。

(b) 詳細情報エリアでルートジョブネットを監視する

詳細情報エリアでルートジョブネットを監視するには,リストエリアでルートジョブネットを選択して,[表示]ボタンをクリックします。[表示]ボタンをクリックすると,リストエリアで選択したルートジョブネットの世代の情報が表示されます。

詳細情報エリアには次の世代の情報が表示されます。

  • 当日※1の世代

    • 実行中世代※2

    • 開始予定日時が当日に含まれる予定世代※2

    • 終了日時が当日に含まれる結果世代※2

  • 前日以前の世代

    当日の世代に含まれない世代のうち,終了日時が最後の世代

  • 翌日以降の世代

    当日の世代に含まれない世代のうち,開始予定日時が最初の世代

  • 「閉塞」状態の世代

注※1

ここでいう「当日」とは,接続先スケジューラーサービスのローカル日時で現在の日付のことです。

注※2

当日の世代は,実行状態によって「実行中世代」「予定世代」「結果世代」のどれかに分類されます。実行状態と世代の分類については,表6-2を参照してください。

詳細情報エリアに表示される世代を次の図に示します。

図6‒2 詳細情報エリアに表示されるジョブネットの世代

[図データ]

起動条件付きジョブネットの場合に表示される世代を次の図に示します。

図6‒3 詳細情報エリアに表示されるジョブネットの世代(起動条件付きジョブネットの場合)

[図データ]

補足事項
  • 「未登録」および「未計画」状態は表示対象外です。

  • 再実行による「開始時刻待ち」および再実行による「保留中」状態は,「実行中」状態として分類されます。

  • 起動条件を設定している場合,「保留中」状態の実行世代は「実行中」状態として分類されます。

(c) モニタ詳細−[ジョブネット]]ダイアログボックスでルートジョブネットを確認する

[モニタ詳細−[ジョブネット]]ダイアログボックスでは,ユニットの状態のほか,開始日時,終了日時,遅延状態などの情報や実行結果の詳細を確認できます。

[モニタ詳細−[ジョブネット]]ダイアログボックスでルートジョブネットを確認するには,リストエリアでルートジョブネットを選択して,[表示]−[詳細情報]−[状態],[結果],または[次回予定]を選択します。選択した項目によって,次のように[モニタ詳細−[ジョブネット]]ダイアログボックスで表示する世代が異なります。

  • [状態]を選択する

    リストエリアの[状態]列に表示された状態の世代を表示します。

  • [結果]を選択する

    リストエリアの[結果]列に表示された状態の世代を表示します。

  • [次回予定]を選択する

    次回実行予定の世代を表示します。

[モニタ詳細−[ジョブネット]]ダイアログボックスを,次の図に示します。

図6‒4 [モニタ詳細−[ジョブネット]]ダイアログボックス

[図データ]

(d) リストエリアおよび詳細情報エリアでユニットの遅延状態を監視する

リストエリアおよび詳細情報エリアでは,ユニットの遅延状態を監視することもできます。遅延状態は,例えば「正常終了(遅延)」のように,状態名の文字列に続けて括弧書きで表示されます。

リストエリアおよび詳細情報エリアで表示されるジョブグループまたはルートジョブネットの遅延状態には,次の表に示す優先順位があります。

表6‒3 遅延状態の優先順位

優先順位

遅延状態

ルートジョブネットとジョブグループの遅延表示

1

ルートジョブネットの終了遅延

(遅延)

2

ネストジョブネットまたはジョブの終了遅延

(ネスト遅延)

3

ルートジョブネットの開始遅延

(遅延)

4

ネストジョブネットの開始遅延

(ネスト遅延)

5

遅延なし

表示なし

ルートジョブネットに定義されているジョブやネストジョブネットの実行状態および実行結果は,[ジョブネットモニタ]ウィンドウで監視・確認します。

補足事項

リストエリアおよび詳細情報エリアで表示される遅延ユニットのアイコンは,遅延状態を示す表示色で表示されます。しかし,異常状態や警告状態になると,デフォルトでは異常や警告の表示が優先されます。異常や警告よりも遅延状態の色を優先して表示する場合は,遅延表示色の優先度の設定が必要です。遅延表示色の優先度については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」の[全般]タブの説明を参照してください。

(e) リストエリアでジョブグループを監視する

リストエリアでジョブグループを監視するには,ツリーエリアでスケジューラーサービス(デフォルトでは「AJSROOT1」)または上位のジョブグループを選択します。スケジューラーサービスまたは上位のジョブグループを選択すると,直下に定義されているジョブグループがリストエリアに一覧で表示されます。

リストエリアには,配下に定義されているジョブネットの状態に対応したジョブグループの状態を表示できます。リストエリアでジョブグループの状態を表示させるには,設定が必要です。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」の[メイン]タブの説明を参照してください。

リストエリアに表示されるジョブグループの状態は,その配下に定義されたルートジョブネットの状態のうち,最も優先順位が高い状態に対応した状態が表示されます。ジョブグループの状態と,ルートジョブネットの状態の優先順位の対応を,次の表に示します。

表6‒4 ジョブグループとルートジョブネットが取得する状態の優先順位

優先順位

ジョブグループの状態

ルートジョブネットの状態

1

閉塞

閉塞

2

異常検出実行中

異常検出実行中

3

異常検出終了

異常検出終了

中断

強制終了

順序不正

4

警告検出実行中

警告検出実行中

5

警告検出終了

警告検出終了

6

実行中

開始時刻待ち

保留中

起動条件待ち

実行中

監視中

7

正常終了

正常終了

繰り越し未実行

監視未起動終了

監視正常終了

監視打ち切り終了

監視中断

8

未計画

未計画

9

(なし)

未登録

(2) [JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)では,監視対象日に実行予定のユニット数や,実行が終了したユニット数,およびその進捗度など,業務の進捗状況を監視できます。また,遅延が発生しているユニット数や終了予定日時などから,業務の終了日時を予測することもできます。

進捗度について

進捗度は,ユニットが正常に実行されている場合の進捗状況を表示することを目的としています。ユニットの実行に異常が発生した場合は,実行予定のユニット数や進捗度が監視途中で減少することがあります。この場合,異常終了したユニット数としてカウントされるので,[ジョブネットモニタ]ウィンドウなどから原因を調べて対処したあとで再実行し,再度監視を継続してください。

なお,監視対象はルートジョブネット単位で設定できます。

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)を,次の図に示します。

図6‒5 [JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)

[図データ]

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)でユニットの進行状況を確認するには,機能メニューの[サマリー監視]を選択してください。[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)が表示されます。

監視対象一覧でユニットを監視する

監視対象一覧では,監視対象日に実行予定のユニット数や,ルートジョブネットの終了予定時刻,進捗度,およびその配下のユニットの状態分布を一覧で監視できます。

監視対象一覧でルートジョブネットを監視するには,[設定]ボタンをクリックすると表示される[監視対象選択]ダイアログボックスから,監視対象のジョブネットを設定します。

ユニット詳細情報一覧でユニットを監視する

ユニット詳細情報一覧では,ルートジョブネットおよびその配下のジョブの実行状態を一覧で監視できます。

ユニット詳細情報一覧でユニットを監視するには,監視対象一覧でユニットを選択して,[表示]−[ユニット詳細情報一覧]−[実行状態]を選択します。選択されたジョブネットおよびその配下のユニットのうち,実行状態で指定した状態のユニットが一覧で表示されます。

(a) 監視対象日と監視対象世代

監視対象日は,1日単位で任意に指定できます。1日の範囲は基準時刻から基準時刻までです。そのため,基準時刻が異なるジョブネットは,監視対象日となる時間帯も異なります。監視対象日の範囲について,次の図に示します。

図6‒6 監視対象日の範囲

[図データ]

この例では監視対象日は7/5に指定しています。

ジョブネットAの基準時刻は00:00であるため,監視対象日の範囲は絶対時刻の7/5の00:00〜7/5の23:59になります。

ジョブネットBの基準時刻は08:00であるため,監視対象日の範囲は絶対時刻の7/5の08:00〜7/6の07:59になります。

ジョブネットCの基準時刻は16:00であるため,監視対象日の範囲は絶対時刻の7/5の16:00〜7/6の15:59になります。

また,監視対象となる世代は,次の条件のどれかを満たしている必要があります。

  • 監視対象日に開始時刻または開始予定時刻が含まれている。

  • 監視対象日に終了時刻または終了予定時刻が含まれている。

  • 監視対象日の間,常に実行中である。

監視対象日に当日以降を指定した場合は,擬似予定も監視対象になります。

監視対象となる世代の判定について,次の図に示します。

図6‒7 監視対象となる世代の判定

[図データ]

この例では監視対象日は7/5に指定しています。

世代AおよびGは開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれていないため,監視対象になりません。

世代BおよびCは,終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象となります。

世代Dは,開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象となります。

世代EおよびFは開始時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象となります。

世代Hは監視対象日の間,常に実行中だったため,監視対象となります。

世代Cや世代Eのように監視対象日にまたがった世代の場合,その配下のユニットのうち監視対象日に含まれないユニットは監視対象になりません。

図6-7の世代Cについて,監視対象となるユニットの判定例を次の図に示します。

図6‒8 監視対象となるユニットの判定(終了時刻が監視対象日に含まれる場合)

[図データ]

ルートジョブネット(世代C)は終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象になります。

ジョブaは開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれていないため,監視対象になりません。

ジョブbは終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象になります。

ジョブcは開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象になります。

これによって,例えば監視対象日の前日中に終了する予定だった実行スケジュールが遅延などによって監視対象日にまたがるような場合でも,その状況が監視対象日当日の実行スケジュールとして確認できます。

図6-7の世代Eについて,監視対象となるユニットの判定例を次の図に示します。

図6‒9 監視対象となるユニットの判定(開始時刻が監視対象日に含まれる場合)

[図データ]

ルートジョブネット(世代E)は開始時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象になります。

ジョブaは開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象になります。

ジョブbは,開始時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象になります。

ジョブcは開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれていないため,監視対象になりません。

これによって,例えば監視対象日の当日中に終了する予定だった実行スケジュールが,遅延などによって翌日にまたがるような場合でも,その状況が終了予定日時で確認できます。

補足事項
  • 再実行したジョブネットの場合,再実行開始日時ではなく開始日時を使用して判定されます。

  • 監視対象となる時間帯は,JP1/AJS3 - Managerでの24時間制スケジュール/48時間制スケジュールの設定に関係なく,基準時刻から24時間です。

起動条件付きジョブネットを監視する場合

起動条件付きジョブネットについては,監視世代と実行世代の両方が監視対象となります。

監視対象となる世代の判定について,次の図に示します。

図6‒10 起動条件付きジョブネットの監視対象となる実行世代の判定

[図データ]

この例では,監視対象日は7/5に指定しています。

監視世代は監視対象日の間,常に「監視中」状態のため,監視対象となります。

実行世代1および実行世代5は,開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれていないため,監視対象になりません。

実行世代2は,終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象となります。

実行世代3は,開始時刻および終了時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象となります。

実行世代4は,開始時刻が監視対象日に含まれているため,監視対象となります。

監視対象となるユニットは,実行世代では通常のルートジョブネットと同様にその世代の開始日時または終了日時が監視対象の範囲に含まれるかどうかで判定されますが,監視世代の場合は監視世代の状態によって次のように判定されます。

表6‒5 監視世代の状態と監視対象ユニット

項番

監視世代の状態

監視対象ユニット

1

開始時刻待ち

保留中

ルートジョブネットおよび配下のすべてのユニットが対象

2

監視中

監視正常終了

監視打ち切り終了

監視未起動終了

監視中断

繰り越し未実行

ルートジョブネットだけが対象

3

未計画

すべてのユニットが対象外

また,監視世代が擬似予定の場合も,ルートジョブネットおよび配下のすべてのユニットが監視対象となります。

(b) 進捗度

進捗度(単位:%)は次の式で算出されます。

進捗度=(終了状態ユニットの数※1)/(監視対象日に実行予定のユニットの数※1,※2)*100

注※1

ユニットの数には,ジョブだけでなくルートジョブネットやネストジョブネットなどの数も含みます。

注※2

監視対象のユニットの数です。日をまたいで実行するジョブネットを監視する場合は,開始時刻(開始予定時刻)または終了時刻(終了予定時刻)が監視対象日に含まれるユニットの数になります。このため,ルートジョブネット配下の総ユニット数よりも少なくなる場合があります。

注意事項

起動条件の有効範囲を時間,回数ともに無制限としている場合,監視世代が常に「監視中」状態となるため,進捗度が100%になりません。

進捗度の計算の例を次に説明します。

(例1)監視対象日に3回実行するジョブネットの場合

監視対象日に3回実行するジョブネットの例を次の図に示します。

図6‒11 監視対象日に3回実行するジョブネットの例

[図データ]

この例の場合,監視対象日に実行される予定のユニットの数は,ジョブが9個とジョブネットが3個(世代1〜世代3)の合計12個になります。現在時刻では世代2のジョブAまでが正常終了していて,その次のジョブBが実行中です。したがって,終了状態のユニットの数はジョブが4個にジョブネットが1個(世代1)の合計5個になります。これらの値を進捗度の計算式に代入すると,進捗度は41%と求められます。

(例2)進捗度が監視途中で減少する場合

進捗度の計算は保存世代数に依存します。そのため,監視対象日に複数回実行するジョブネットの場合,保存世代数の設定によって進捗度が監視途中で減少する場合があります。

進捗度が監視途中で減少する例を次に示します。

図6‒12 進捗度が監視途中で減少する例

[図データ]

この例では,監視対象日にジョブネットを3回実行していて,保存世代数を1としています。現在時刻がA〜Cであると,保存世代の世代1および予定世代の世代2と世代3が監視対象となるため,実行予定ユニット数は12個です。しかし,世代2が実行開始されると,保存世代数が1であるため,世代2が保存世代となり世代1は削除されます。したがって,時刻D〜Fになると,予定世代の世代3と保存世代の世代2が監視対象になり,実行予定ユニットは8個になります。同様に,時刻G〜Iになると,保存世代の世代3だけが監視対象になるため,実行予定ユニットは4個になります。したがって,時刻Cから時刻Dの間および時刻Fから時刻Gの間で進捗度は減少します。

(例3)関連線で接続されているジョブが異常終了した場合

関連線で接続されたジョブを含むジョブネットを監視対象にした場合の進捗度は,その実行結果に依存します。例えば,次のような構成の,関連線で接続されたジョブを含むジョブネットについて考えます。

図6‒13 関連線で接続されたジョブを含むジョブネットの例

[図データ]

ジョブネット実行前の待ち状態のジョブネットでは,終了ユニット数 / 実行予定ユニット数は0 / 5となり,進捗度は0%になります。

このジョブネットの実行が開始し,ジョブ2が異常終了すると後続のジョブ(ジョブ3およびジョブ4)が未実行終了になります。この場合,終了ユニット数 / 実行予定ユニット数が1 / 3となり,進捗度は33%になります。

なお,監視対象一覧の[異常終了]は「2」となり,異常終了を確認できます。

(例4)リカバリーユニットを含むジョブネットを監視する場合

リカバリーユニットを含むジョブネットを監視対象にした場合の進捗度は,その実行結果に依存します。

例えば,次のような構成の,リカバリージョブを含むジョブネットについて考えます。

図6‒14 リカバリージョブを含むジョブネットの例

[図データ]

ジョブネット実行前の待ち状態のジョブネットでは,終了ユニット数 / 実行予定ユニット数は0 / 5となり,進捗度は0%になります。

このジョブネットの実行が開始し,ジョブ2が正常終了するとジョブ2の後続のリカバリージョブ(ジョブ4)が「未実行終了」状態でジョブネットの実行が終了しますが,この場合,終了ユニット数 / 実行予定ユニット数が4 / 4となり,進捗度が100%になります。

このように,正常終了時には実行されないリカバリーユニットを監視対象外にして,正常に監視できます。

(例5)日をまたいで実行するジョブネットを監視する場合

日をまたいで実行するジョブネットを監視する場合の進捗度は,開始時刻(開始予定時刻)または終了時刻(終了予定時刻)が監視対象日に含まれるユニットの数に依存します。このため,監視対象となるユニット数が,ルートジョブネット配下の総ユニット数よりも少なくなることがあります。

例えば,次のような構成の,日をまたいで実行するジョブネットについて考えます。

図6‒15 日をまたいで実行するジョブネットの例

[図データ]

監視対象日を7/5に指定したとき,7/6のジョブcの実行中の世代は,監視対象に含まれません。したがって,「正常終了」状態のユニット数がジョブaおよびジョブbの2個,監視対象日に実行予定のユニット数が,ルートジョブネット,ジョブaおよびジョブbの3個になります。これらの値を進捗度の計算式に代入すると,進捗度は66%と求められます。

また,監視対象日を7/6に指定したとき,7/5のジョブaの正常終了の世代は監視対象に含まれません。したがって,「正常終了」状態のユニット数がジョブbの1個,監視対象日に実行予定のユニット数がルートジョブネット,ジョブbおよびジョブcの3個になります。これらの値を進捗度の計算式に代入すると,進捗度は33%と求められます。

(c) 状態分布

ユニットの状態は,次のように分類されて表示されます。

  • 異常終了

  • 警告終了

  • 遅延

  • 保留中

  • 開始待ち

  • 実行中

  • 正常終了

状態の分類を次の表に示します。

表6‒6 状態の分類

項番

分類された状態

状態

1

異常終了

  • 異常検出終了

  • 順序不正

  • 中断

  • 強制終了

  • 起動失敗

  • 終了状態不明

  • 繰り越し未実行※1

  • 監視打ち切り終了

2

警告終了

警告検出終了

3

遅延

  • 開始遅延※2

  • 終了遅延※2

4

保留中

保留中

5

開始待ち

  • 開始時刻待ち

  • 先行終了待ち

  • 実行待ち

  • キューイング

  • 起動条件待ち

6

実行中

  • 実行中

  • 警告検出実行中

  • 異常検出実行中

  • 監視中

7

正常終了

  • 正常終了

  • 正常終了−偽

  • 監視未起動終了

  • 監視中断

  • 監視正常終了

次の状態のユニットは監視対象外です。

  • 未登録

  • 未計画

  • 計画未実行

  • 閉塞

  • 未実行終了

  • ネスト開始遅延

  • ネスト終了遅延

注※1

ネストジョブネットと上位ジョブネットのスケジュール不一致や,実行中止のために実行予定がないユニットは,「未計画」状態になります。この「未計画」状態のユニットは,ルートジョブネットの繰り越し未実行によって「繰り越し未実行」状態に遷移します。この場合,「繰り越し未実行」状態のユニットでも監視対象外として扱われます。

注※2

一つのユニットに開始遅延と終了遅延が同時に発生した場合でも,遅延したユニット数は一つとしてカウントされます。配下のユニットに遅延(ネスト開始遅延またはネスト終了遅延)が発生した場合,対象ユニット自体は遅延ユニットとしてカウントされません。

ユニットの遅延状況と遅延ユニットのカウント数の関係を次の表に示します。

表6‒7 ユニットの遅延状況と遅延した遅延ユニットのカウント数

項番

ユニット遅延状況

遅延ユニットのカウント増分

開始遅延

終了遅延

ネスト

開始遅延

ネスト

終了遅延

1

×

×

×

×

0

2

×

×

×

0

3

×

×

×

0

4

×

×

0

5

×

×

×

1

6

×

×

1

7

×

×

1

8

×

1

9

×

×

×

1

10

×

×

1

11

×

×

1

12

×

1

13

×

×

1

14

×

1

15

×

1

16

1

(凡例)

○:遅延あり

×:遅延なし

対象ユニットがジョブの場合,配下にユニットがなく,ジョブには開始遅延がないため,ジョブ自体が終了遅延しているかどうか(項番1または項番5)で遅延ユニットとしてカウントされます。

例えば,次のようなユニットについて考えます。

図6‒16 ユニットの構成の例

[図データ]

(例1)ネスト遅延だけが発生している場合(項番2)

ルートジョブネット1やネストジョブネット1は遅延していないが,ジョブBだけが遅延している場合,ルートジョブネット1やネストジョブネット1自体は遅延ユニットとしてはカウントされません。全体の遅延ユニット数としては,ジョブBの遅延だけがカウントされ,「1」となります。

(例2)上位ユニットの遅延とネスト遅延がどちらも発生している場合(項番6)

ルートジョブネット1,ネストジョブネット1,およびジョブBがすべて遅延している場合,ルートジョブネット1とネストジョブネット1は遅延ユニットのカウント対象になりますが,配下のユニットの遅延状況は考慮されません。そのため,ルートジョブネット1,ネストジョブネット1,およびジョブBで遅延ユニットのカウントの増分はそれぞれ「1」なので,全体の遅延ユニット数としては「3」となります。

(例3)開始遅延と終了遅延がどちらも発生している場合(項番13)

ルートジョブネット1で開始遅延と終了遅延が同時に発生した場合,ルートジョブネット1は遅延のカウント対象になりますが,カウントの増分は「1」となります。そのため,全体の遅延ユニット数としては「1」となります。