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JP1 Version 12 ジョブ管理 基本ガイド(ジョブスケジューラー編)


はじめにお読みください

〈はじめにの構成〉

■ JP1/Automatic Job Management System 3でできること

コンピュータを使った毎日の業務の中には,毎日の売り上げデータの集計と日報の作成,月末ごとの締め処理,受注伝票の発行など,定型的・定期的な業務が数多くあります。また,多くの業務は,一つの作業だけで完結するものではなく,複数の作業を決まった順序で実行したり,さまざまな条件に従って実行したりしています。

このような業務を自動化できれば,コストを削減できるだけでなく,貴重な人的資源をより創造的な業務に専念させることができます。また,少ない人員で確実にシステムを運用できます。

JP1/Automatic Job Management System 3(以降,JP1/AJS3と省略します)は,定型的・定期的な業務を自動化するための製品です。

JP1/AJS3を使うと,複数の業務の内容と実行順序を定義することで,業務を自動で処理できるようになります。また,業務の実行を開始する時刻をあらかじめ定義しておいたり,何らかの事象が起こったときに業務を開始するように定義したりすることもできるため,複雑な業務も自動化できます。

[図データ]

JP1/AJS3で業務を自動化するには,業務を構成する一つ一つの作業を切り出し,作業の実行順序や階層構造を定義します。業務を構成する要素(ユニット)には,ジョブ,ジョブネット,ジョブグループの3種類があります。

ジョブ

JP1/AJS3での業務処理の最小単位です。ジョブには,コマンド,アプリケーションプログラム,シェルスクリプトなどの処理を定義できます。

ジョブネット

複数のジョブをまとめて,作業の順序を定義したものです。JP1/AJS3で自動化される業務は,ジョブネット単位で実行されます。

ジョブグループ

複数のジョブネットをまとめて管理するためのフォルダです。ジョブグループの下に,さらにジョブグループを作成することもできます。

JP1/AJS3で定義するユニットの階層の例を次の図に示します。

[図データ]

■ このマニュアルで説明すること

このマニュアルは,JP1/AJS3の基本的な構築方法や操作方法について説明しています。このマニュアルを読んだ方が,JP1/AJS3の基本的な使い方を一とおり理解できるようになることを目的としています。

このマニュアルは,次の方にお読みいただくことを前提に説明します。

このマニュアルでは,次のシステム構成を前提に説明します。ここで示す構成以外での運用については,JP1/AJS3のほかのマニュアルを参照してください。

[図データ]

JP1/AJS3 - Manager

ジョブネットの定義情報や実行スケジュールの情報を保存し,ジョブネットの実行を管理するプログラムです。ジョブの実行時には,実行するジョブをJP1/AJS3 - Agentに転送し,実行状況や実行結果の情報を受け取ります。

JP1/AJS3 - Managerは,ジョブ実行制御のエージェント機能も持っているので,自らエージェントとしてジョブを実行することもできます。

JP1/AJS3 - Web Console

WebサーバおよびWebアプリケーションサーバとしての機能を持ち,クライアントからのリクエストに応じてJP1/AJS3 - Managerと応答し,クライアントにレスポンスを送信するプログラムです。

JP1/AJS3 - Web Consoleは業務を監視するためのインターフェースを持っており,クライアントとしてWebブラウザー(Web GUI)を使用できます。また,JP1/AJS3で公開しているAPIを利用して独自にユーザーアプリケーションを作成し,クライアントとして使用することもできます。

JP1/AJS3 - Agent

JP1/AJS3 - Managerから転送されたジョブを実行するプログラムです。

JP1/AJS3 - View

GUIを使ってJP1/AJS3を操作するためのプログラムです。JP1/AJS3 - Managerに接続し,ジョブネットの定義,操作,実行状況の確認などを行います。

JP1/Base

JP1/AJS3の前提製品で,ユーザー権限を管理するプログラムです。JP1/AJS3 - Managerをインストールするマネージャーホスト,およびJP1/AJS3 - Agentをインストールするエージェントホストの両方にインストールします。

■ マニュアルの読み方

JP1/AJS3のマニュアルは11冊に分かれています。このマニュアルでは,JP1/AJS3の構築方法(WindowsまたはLinuxの場合),JP1/AJS3 - Viewを使用した基本的な操作方法,およびJP1/AJS3 - Web ConsoleのWeb GUIを使用した業務の監視方法について説明しています。

構築方法の説明については,マネージャーホストとエージェントホストのOSによって,読む場所が異なります。OSがWindowsの場合は「1. JP1/AJS3の構築(Windowsの場合)」を,Linuxの場合は「2. JP1/AJS3の構築(Linuxの場合)」を参照してください。

また,JP1/AJS3では,さまざまな環境・運用を実現するため,その他多くの機能を用意しています。JP1/AJS3の導入や運用など各フェーズで応用的な機能や操作を知りたい場合は,次の図を参考に,基本ガイド以外のマニュアルをお読みください。

[図データ]

JP1/AJS3の利用目的に合わせて機能や操作を知りたい場合は,次のようにお読みください。

利用目的

必ず読むマニュアル

必要に応じて読むマニュアル

JP1/AJS3の基本的な操作を体験したい。

  • 基本ガイド

    (3021-3-D20)

  • 操作ガイド

    (3021-3-D27)

JP1/AJS3の機能について知りたい。

  • 導入ガイド

    (3021-3-D21)

  • 連携ガイド

    (3021-3-D29)

ジョブの自動運転システムを構築したい(インストール,セットアップなど)。

  • 設計ガイド(システム構築編)

    (3021-3-D22)

  • 構築ガイド

    (3021-3-D24)

  • 連携ガイド

    (3021-3-D29)

自動化する業務を設計したい(ジョブ定義,スケジュール定義など)。

  • 設計ガイド(業務設計編)

    (3021-3-D23)

  • 操作ガイド

    (3021-3-D27)

運転中のシステムの監視やメンテナンス方法について知りたい。

  • 運用ガイド

    (3021-3-D25)

  • トラブルシューティング

    (3021-3-D26)

  • メッセージ

    (3021-3-D30)

運用中のトラブルの対処方法について知りたい。

  • トラブルシューティング

    (3021-3-D26)

  • メッセージ

    (3021-3-D30)

JP1/AJS3の操作方法について知りたい。

  • 操作ガイド

    (3021-3-D27)

  • コマンドリファレンス

    (3021-3-D28)

図中および表中の「基本ガイド」は,「JP1 Version 12 ジョブ管理 基本ガイド(ジョブスケジューラー編)」を指します。それ以外のマニュアル名称は,「JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3」を省略しています。

なお,このマニュアルでの各画面の操作は,次に示す環境を前提として説明しています。

ネットワーク環境

マネージャーホスト,Web Consoleサーバ,エージェントホスト,JP1/AJS3 - Viewホスト,およびクライアント間でネットワーク通信ができていて,各ホスト名を解決できる環境

なお,ファイアウォールを使用している場合,JP1/AJS3が使うポートが通過できるように設定してください。ファイアウォールの通過方向については,「付録B.1 関連マニュアル」に記載されているマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)」を参照してください。

マネージャーホスト,Web Consoleサーバ,またはエージェントホストでの操作

Windows Server 2012またはLinux 7.1を使用している環境

JP1/AJS3 - Viewホストでの操作

Windows 7を使用している環境

クライアントでの操作

Windowsの場合はInternet Explorer 11,Linuxの場合はFirefoxを使用している環境

また,製品の改良などによって,このマニュアルに掲載されている画面はご使用の製品画面と一部異なることがあります。あらかじめご了承ください。