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JP1 Version 12 JP1/Automatic Operation 導入・設計ガイド 


2.3 操作対象を管理するための機能

JP1/AOには,操作対象を管理するため,次のような機能があります。

運用や業務に応じた細やかなアクセス制御 - グループの管理

サービスグループをユーザーグループに割り当てることで,ユーザーが参照できるサービスやタスクを制限できます。このとき,権限(ロール)を設定すれば,サービスへの操作(サービス管理やサービス実行など)をユーザーグループごとに制限できます。

サービスグループとユーザーグループを利用したアクセス制御の例を次に示します。

図2‒4 サービスグループとユーザーグループを利用したアクセス制御

[図データ]

図中の例では,ユーザーグループ1に所属するユーザーA,B,Cは,サービスグループ1のサービスを使用できます。ユーザーグループ2に所属するユーザーC,D,Eは,サービスグループ2とサービスグループ3のサービスを使用できます。ビルトインユーザーグループに所属するユーザーFは,All Service Groups(ビルトインサービスグループ)が割り当てられているため,JP1/AO上の全サービスを使用できます。

ユーザーグループ1だけに所属するユーザーAおよびユーザーBからは,サービスグループ2,サービスグループ3およびサービスグループ4のサービスは参照できません。

このように,グループの管理を利用すると,ユーザーの利用目的に合わせて,使用できるサービスを効率良く制御できるようになります。

例えば,データセンターでのIT運用を複数のテナントで分割する場合なども,テナントごとに使用するサービスをサービスグループで分類して,各ユーザーグループが実行できるサービスを限定できます。これによって,誤って別テナントのサービスを実行してしまうことを防いだり,テナントごとに参照できるタスクの範囲を制限したりできます。

管理の負荷を減らすエージェントレス運用 - エージェントレス接続先の管理

エージェントレス接続先ごとの接続先情報(サービスグループ名,ホスト名など)や認証情報(接続先ホストにログインするためのユーザーID,パスワード,プロトコルなど)を管理する機能を,エージェントレス接続先管理機能と呼びます。

JP1/AOに接続先情報を登録しておくと,サービスを実行する際,接続先ホストへのアクセスをサービスグループごとに制御できます。さらに,接続先情報に加えて,認証情報も登録しておけば,サービス間で共通して使用するパスワードなどをJP1/AOで管理できるため,サービスの実行ごとに認証情報を入力する手間を軽減できます。また,接続ホストごとにプロトコルと認証方式を設定できます。

図2‒5 エージェントレス接続の例

[図データ]

この図では,Adminロールを持つ管理者ユーザーが操作画面で接続先情報と認証情報を登録したあと,サービスグループRに対してSubmitロールを持つサービス実行ユーザーがサービスを実行しています。この場合,サービス実行ユーザーは接続先情報が登録されたhost1にだけ接続でき,それ以外のホストへの接続は制限されます。このように,サービスグループごとに接続先ホストを制限しておくことで,誤った接続先ホストに対してサービスを実行してしまうことを防げます。

また,JP1/AOにhost1の認証情報が登録されているため,サービス実行時にユーザーIDやパスワードを入力する必要がありません。