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JP1 Version 11 ョブ管理 基本ガイド(スクリプト言語編)


はじめにお読みください

〈はじめにの構成〉

■ JP1/Advanced Shellでできること

ここでは,JP1/Advanced Shellでできることを説明します。

JP1/Advanced Shellの目的

JP1/Advanced Shellは,バッチ業務の開発生産性や運用効率を向上するための製品です。バッチジョブのためのジョブ定義スクリプト(シェルスクリプト)を効率的に作成・実行できます。

JP1/Advanced Shellには,次に示す特長があります。

バッチ業務のOS間での資産の継承

  • 既存資産の活用

    UNIX環境で作成したシェルスクリプトを利用してWindows環境でジョブ定義スクリプトを開発できます。

    JP1/Advanced Shellで使用するジョブ定義スクリプトでは,シェル標準互換の言語仕様を採用しています。したがって,習得しやすく,既存のシェルスクリプトからの移行も容易です。

  • クロスプラットフォームの対応

    クロスプラットフォームとは,複数のOS基盤のことです。クロスプラットフォームに対応した機能が利用できます。

    • Windows環境で開発したジョブ定義スクリプトをWindows環境でもUNIX環境でも実行できます。

    • UNIX互換コマンドを,Windows環境でもUNIX環境でも使用できます。

バッチ業務の構築のスピードアップ

  • ジョブの実行の制御

    JP1/Advanced Shellでは,バッチ業務で繰り返し使用される処理を自動化したり,簡潔に記述したりできるようにジョブ定義スクリプトを拡張しています。

    次の機能を使用してジョブ定義スクリプトの記述量を削減し,ジョブ定義スクリプトの可読性や保守性を向上できます。

    • ジョブステップの実行条件を指定できます。

    • ジョブステップ内で有効な変数を使用できます。

    • バッチジョブがエラー終了した場合,エラーメッセージを出力したり,終了コードを設定したりできます。

    • バッチジョブがエラー終了した場合,自動的に子プロセスを強制終了して,バッチジョブで使用した一時ファイルを自動的に削除できます。

  • エディタでのジョブ定義スクリプトの開発(開発環境)

    GUI(Graphical User Interface)のJP1/Advanced Shellエディタ(デバッグ機能付き専用エディタ)を使用した開発環境でジョブ定義スクリプトを開発し,デバッグできます。

    • ジョブステップ単位で実行したり,ブレークポイントを設定したりできます。

    • ジョブ定義スクリプトのカバレージ情報を蓄積できます。

    JP1/Advanced Shellエディタウィンドウを次の図に示します。

    JP1/Advanced Shellエディタウィンドウ

    [図データ]

  • ファイルの割り当ておよび後処理の効率化

    通常ファイルの存在チェックや一時ファイルの割り当てと削除などの処理を自動化でき,簡潔に記述できます。

    • バッチジョブの実行中に自動的に一時ファイルを割り当て,バッチジョブ終了時に削除できます。

    • バッチジョブの実行中に通常ファイルの存在チェック,およびジョブステップまたはジョブの結果によるファイルの後処理ができます。

バッチジョブの実行結果の一元管理による運用性・保守性の向上

ジョブ実行ログを自動的に出力し,一元管理することで,障害時などの保守性を向上できます。

従来,オープンシステムでのバッチジョブの実行結果は,格納先が一元化されていなかったため管理が煩雑でした。JP1/Advanced Shellで運用した場合,ジョブ実行ログを採取することで,バッチジョブの実行結果をスプールに集めて一元管理できます。また,JP1/AJS - Viewを使用することで,ジョブ定義スクリプトの実行を自動化して定期的にバッチジョブを実行したり,バッチジョブの実行結果も参照したりできます。

各ジョブの実行結果は,スプールディレクトリの下にスプールジョブのディレクトリとして出力されます。バッチジョブの実行結果の一元管理を次の図に示します。

バッチジョブの実行結果の一元管理

[図データ]

ジョブ実行ログの出力内容については,「4.2.1 ジョブ実行ログ」を参照してください。

業務への応用例

JP1/Advanced Shellは,次のような業務に応用できます。

日中にオンラインシステムで多数の取引があり,夜間にその集計をする業態であれば,例えば,売り上げや商品の販売数,在庫数などを集計するバッチジョブを開発し,実行できます。また,日次処理,月次処理,期末処理といった定型集計用だけでなく,特定の用途や,臨時のタイミングで使用するバッチジョブも開発・実行できます。

JP1/Advanced Shellの運用例(日々の営業集計の場合)を次の図に示します。

JP1/Advanced Shellの運用例(日々の営業集計の場合)

[図データ]

  1. 日々の営業を開始し,ユーザーは商品などの取引をします。

  2. オープン基盤製品は,各種売り上げデータなどを更新します。

  3. 日々の営業が終了して,JP1/AJSは指定された時間にジョブ定義スクリプトの自動実行を指示します。

  4. JP1/Advanced Shellは各種売り上げデータを処理するためのジョブ定義スクリプトを実行します。

  5. JP1/Advanced Shellはジョブ定義スクリプトの実行結果を出力します。

  6. 経営者は,実行結果を基に集計情報や商品の売り上げの推移などを把握できます。

■ このマニュアルで説明すること

このマニュアルは,JP1/Advanced Shellの基本的な構築方法および運用方法について説明しています。このマニュアルを読んだ方が,JP1/Advanced Shellの概念や基本的な使い方をひととおり理解できるようになることを目的としています。

このマニュアルは次の方にお読みいただくことを前提に説明します。

JP1/Advanced Shellは次の製品で構成されます。

基本ガイドでは,これらの製品のうち,JP1/Advanced Shellを対象に説明します。

このマニュアルでは,次のシステム構成を前提に説明します。ここで示す構成以外での運用については,マニュアル「JP1/Advanced Shell」のシステム構成の説明を参照してください。

[図データ]

システムの各構成要素の役割を次に説明します

■ マニュアルの読み方

JP1/Advanced Shellのマニュアルには,この基本ガイドのほかに,マニュアル「JP1/Advanced Shell」があります。 基本ガイドで説明していないシステム構成の構築手順や運用手順の詳細,コマンドやメッセージといったリファレンス情報などについては,そちらをお読みください。

なお,このマニュアルではWindowsとLinuxの手順を記載します。本文中にUNIX環境の説明がありますが,それらは「UNIX」を「Linux」に読み替えてください。ただし,「UNIX互換コマンド」と「UNIXジョブ」については,機能名のため,「Linux」への読み替えは不要です。

他マニュアルへの参照先は,『〜については,マニュアル「△△」の「○○」の説明を参照してください。』の形式で記載しています。「○○」をキーワードとしてマニュアル「△△」内を検索して,該当する説明をお読みください。

製品の改良などによって,このマニュアルに掲載されている画面はご使用の製品画面と一部異なることがあります。あらかじめご了承ください。