17.2.2 クラスタシステムの環境設定の手順(UNIX版JP1/AJS3 - Manager)
JP1/AJS3 - Managerのクラスタシステムの環境設定では,実行系と待機系のそれぞれで,「17.2.1 クラスタシステムの環境設定の項目」で説明した項目を定義します。
環境設定の手順を次に示します。
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- 〈この項の構成〉
(1) 実行系での作業
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JP1/Baseの実行系での設定作業をする。
JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
jp1hosts2情報を使用する場合は,物理マージ機構で,物理ホストに設定したjp1hosts2情報を,論理ホストへ反映してください。物理マージ機構については,「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
なお,ネットワーク構成や運用環境によってjp1hosts情報またはjp1hosts2情報の設定が必要な場合があります。マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用に関する注意事項,およびjp1hosts情報またはjp1hosts2情報の設定方法を参照し,必要な設定を行ってください。
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物理ホストのJP1/AJS3 - Managerをセットアップする。
物理ホストのJP1/AJS3 - Managerをセットアップします。JP1/AJS3 - Web ConsoleをJP1/AJS3 - Managerと同じホストで使用する場合は,JP1/AJS3 - Web Consoleのセットアップもします。
詳細については,「13. セットアップ」を参照してください。
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jajs_setup_clusterコマンドを実行して論理ホストを設定し,共有ディスク上に共有ファイル,共有ディレクトリを作成する。
すべての論理ホストと物理ホストのJP1/AJS3サービスを停止します。セットアップ対象とする論理ホストのIPアドレスを使って通信できる状態にしたあと,jajs_setup_clusterコマンドを実行してください。
jajs_setup_clusterコマンドの入力形式を次に示します。
jajs_setup_cluster [-h 論理ホスト名] -F スケジューラーサービス名 -d 共有ディレクトリ名 [-n スケジューラーサービスの識別番号] [-m {cold|warm|hot}] {-P 組み込みDBポート番号 -I 組み込みDBセットアップ識別子 [-M {s|m|l}] [-E {byte | sjis}] | -S }
jajs_setup_clusterコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド jajs_setup_cluster」を参照してください。
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-hオプションには,JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
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-Fオプションは必ず指定してください。
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-dオプションは,実行系の環境設定時には必ず指定してください。このオプションには,共有ディレクトリと共有ファイルを作成する,共有ディスク上のディレクトリを指定します。共有ディレクトリとして,「指定したディレクトリ名/jp1ajs2/」を作成し,ローカルディスクの定義ファイル(/etc/opt/jp1ajs2/conf/下のファイル)をコピーします。実行するときには,必ず共有ディスクをマウントしておいてください。省略した場合は,待機系の環境設定を行います。
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-nオプションを省略した場合は,使用していない識別番号のいちばん小さい値が仮定されます。
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-mオプションには,スケジューラーサービスの起動モードを指定します。実行系の環境設定時にだけ有効です。省略した場合は,環境設定パラメーターDEFAULTSERVICENAMEに指定されたスケジューラーサービスの値を引き継ぎます。
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-Pオプションおよび-Iオプションは,論理ホストのセットアップ時に,同時に組み込みDBのセットアップを実行する場合に指定します。
-Pオプションには,論理ホストで使用する組み込みDBのポート番号を指定します。
-Iオプションには,論理ホストで使用する組み込みDBのセットアップ識別子を指定します。
この場合は次の設定で組み込みDBがセットアップされます。
・システムログ運用:行わない
・システムファイルの二重化 :行わない
・アンロードログファイル:使用しない
・データ領域ディレクトリ:共有ディレクトリ/jp1ajs2/embdb/-Iオプション指定値/dbarea
・作業領域ディレクトリ:/opt/jp1ajs2/embdb/-Iオプション指定値/dbarea
・組み込みDB運用ディレクトリ:/opt/jp1ajs2/embdb/-Iオプション指定値
・データベース領域の自動増分:行う
・システムログの自動増分:行う
その他はデフォルト値が設定されます。
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-Mオプションには,データベースモデルを指定します。省略した場合は,s(小規模)が仮定されます。
このオプションは,JP1/AJS3のバージョンが10-00以降の場合にだけ使用できます。
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-Sオプションは,組み込みDBの高度なセットアップを実行する場合に指定します。
-Sオプションを指定した場合,論理ホストのセットアップ時に組み込みDBのセットアップは実行されません。別途,組み込みDBをセットアップする必要があります。
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ジョブ実行環境を作成するために,次のコマンドを実行する。
jpqimport -dt isam -ci QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイル名 [-mh 論理ホスト名]
jpqimportコマンドの詳細については,「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド jpqimport」を参照してください。
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組み込みDBの高度なセットアップを実行する。
手順3で-Sオプションを指定した場合,組み込みDBの高度なセットアップを実施します。
組み込みDBの高度なセットアップについては,「23.5 組み込みDBの高度なセットアップ(クラスタ構成の場合)」を参照してください。
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キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetup -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
- 注意事項
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ajsqlsetupコマンドを実行すると,共有ディスク上にキューレスジョブの実行に必要なファイルを作成してチェックするため,必ず共有ディスクをマウントしてから実行してください。
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接続元制限を設定する。
接続元制限の有効/無効や,接続を許可するIPアドレスが物理ホストと異なる場合は,論理ホストで接続元制限の設定をしてください。
物理ホストと同じ設定で問題ない場合でも,自ホストのIPアドレスとして論理ホスト用IPアドレスが新たに割り当てられることになるため,接続元制限が有効な物理ホストおよび論理ホストの接続許可設定ファイルに論理ホスト用IPアドレスを追加してください。
接続元制限の設定方法については,「21.2 JP1/AJS3への接続を制限する設定」を参照してください。
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論理ホストの環境設定パラメーターEventServerNameの設定値を変更する。
物理ホストの環境設定パラメーターEventServerNameにFQDN形式の物理ホスト名を指定している場合は,論理ホストの環境設定パラメーターEventServerNameの設定値をFQDN形式の論理ホスト名に変更してください。
環境設定パラメーターEventServerNameについては「15.3.17 DNSを使ったシステムでのイベントサーバ名の設定」を参照してください。
これで実行系での作業は終了です。
- 注意事項
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設定は論理ホストごとに実施してください。
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実行系の論理ホストの設定(jajs_setup_clusterコマンド)は,環境設定パラメーターDEFAULTSERVICENAMEに指定されたスケジューラーサービスの環境をコピーして,論理ホスト環境を作成します。
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論理ホストでスケジューラーサービスを追加する設定が必要な場合は,「17.2.9(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを追加する」を参照して設定してください。
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実行系の論理ホストの設定(jajs_setup_clusterコマンド)を実行すると,論理ホスト用の設定ファイルが共有ディレクトリのconfディレクトリ配下に作成されます。論理ホストの設定を変更する場合は,論理ホスト用の設定ファイルを編集してください。
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(2) 待機系での作業
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物理ホストのJP1/BaseとJP1/AJS3 - Managerをセットアップする。
物理ホストのJP1/BaseとJP1/AJS3 - Managerをセットアップします。JP1/AJS3 - Web ConsoleをJP1/AJS3 - Managerと同じホストで使用する場合は,JP1/AJS3 - Web Consoleのセットアップもします。
詳細については,「13. セットアップ」を参照してください。
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実行系でのJP1/AJS3,JP1/Base,JP1/IMの作業を完了させたあと,実行系の共通定義情報を退避し,待機系に共通定義情報を設定する。
実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行して,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定したjbssetcnfコマンドを実行します。実行するコマンドを次に示します。
- 実行系
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jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
- 待機系
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jbssetcnf 退避ファイル名
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JP1/Baseの待機系での作業をする。
JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
jp1hosts2情報を使用する場合は,物理マージ機構で,物理ホストに設定したjp1hosts2情報を,論理ホストへ反映してください。物理マージ機構については,「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。また,待機系の物理ホストには,実行系の物理ホストのjp1hosts2情報と同じ内容のjp1hosts2情報を設定してください。
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jajs_setup_clusterコマンドを実行して,論理ホストを設定する。
jajs_setup_clusterコマンドの入力形式を次に示します。
jajs_setup_cluster [-h 論理ホスト名] -F スケジューラーサービス名 [-S|-C 組み込みDB設定ファイル名]
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-hオプションには,JP1/Baseで設定した論理ホスト名を指定します。
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-Fオプションは,実行系で指定したスケジューラーサービス名を必ず指定してください。
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-Sオプションは,組み込みDBの高度なセットアップを実行する場合に指定します。
-Sオプションを指定した場合,論理ホストのセットアップ時に組み込みDBのセットアップは実行されません。別途,組み込みDBをセットアップする必要があります。
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-Cオプションは,実行系で組み込みDBを構築する際に,高度なセットアップを行った場合,または実行系でjajs_setup_clusterコマンドに-Mオプションを指定して実行した場合に指定します。このオプションを指定する場合,コマンドの実行前に,組み込みDB設定ファイルを実行系から待機系にコピーしておいてください。
また,実行系で組み込みDBの高度なセットアップを行っている場合,ajsembdbinstlコマンドおよびajsembdbbuildコマンド実行時に指定した次のディレクトリを,jajs_setup_clusterコマンドを実行する前に待機系であらかじめ作成してください。
・アンロードログファイル作成ディレクトリ
・組み込みDB作業領域ディレクトリ
・組み込みDBインストール先ディレクトリ
なお,アンロードログファイル作成ディレクトリは,実行系のセットアップ時にローカルディスク上のディレクトリを指定した場合,待機系でも作成が必要です。
このオプションを指定すると,論理ホストの組み込みDBが,実行系と同じ内容でセットアップされます。
組み込みDB設定ファイルの出力先を次に示します。
組み込みDB運用ディレクトリ/conf/ajsdbst/ajsembdbセットアップ識別子.conf
バージョン09-50以前のJP1/AJS3で構築された組み込みDBには,このオプションは指定できません。
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組み込みDBの高度なセットアップを実行する。
手順3で-Sオプションを指定した場合,組み込みDBの高度なセットアップを実施します。
組み込みDBの高度なセットアップについては,「23.5 組み込みDBの高度なセットアップ(クラスタ構成の場合)」を参照してください。
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キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetup -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名 -nc
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
これで待機系での作業は完了です。
- 注意事項
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設定は論理ホストごとに実施してください。
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論理ホストでスケジューラーサービスを追加する設定が必要な場合は,「17.2.9(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを追加する」を参照して設定してください。
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