15.2.7 ファイル受信制限をするための設定
ファイル受信制限を設定すると,ジョブ実行時にマネージャーホスト,またはエージェントホストが受信するファイルのサイズを制限できます。ここでは,ファイル受信制限の設定について説明します。
- バージョン11-00以降でファイル受信制限を利用する場合
-
JP1/AJS3のバージョン11-00以降のエージェントホストでは,ファイル送信制限ができます。ジョブ実行先のエージェントホストがバージョン11-00以降の場合,マネージャーホストのファイル受信制限に加えて,エージェントホストのファイル送信制限も使用してください。
ファイル送信制限の詳細については,「15.2.24 ファイル送信制限をするための設定」を参照してください。
JP1/AJS3では,ジョブ※実行時に結果ファイル(標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイル)や転送ファイルを,マネージャーホストとエージェントホスト間,またはクライアントホストとマネージャーホスト間で送受信します。これらのファイルのサイズが非常に大きい場合,ファイルのデータ解析処理に負荷が掛かり,CPU使用率の増加や,メモリー使用量の増加など,ジョブの実行が遅延するだけでなく,システム全体の処理に影響を与えるおそれがあります。
- 注※
-
PCジョブ,UNIXジョブ,カスタムジョブ,JP1/AJS3で実行するQUEUEジョブ,およびサブミットジョブが対象です。イベントジョブ,引き継ぎ情報設定ジョブ,HTTP接続ジョブ,フレキシブルジョブ,およびキューレスジョブは対象外です。
ファイル受信制限をするための設定を行うと,ジョブ実行時にマネージャーホスト側で受信する結果ファイルのサイズ(標準出力ファイルと標準エラー出力ファイルを合わせた合計のサイズ),または,エージェントホストが受信する転送ファイルのサイズ(転送ファイルを複数指定した場合はその合計サイズ)の上限値を設定できます。
また,上限値を超えた場合の動作(ジョブの終了状態)や出力するメッセージを指定できます。
ファイル受信サイズの上限値を超えた場合の動作と上限値を超えたファイルデータの扱いについて次に示します。
上限値を超えたファイルの種類 |
動作内容 |
環境設定パラメーターReceiveFileSizeStatusの指定 |
|||
---|---|---|---|---|---|
0 |
1 |
2 |
3 |
||
結果ファイル |
ジョブの状態 |
実際の終了状態を引き継ぐ |
異常検出終了 |
警告検出終了※ |
実際の終了状態を引き継ぐ |
出力するメッセージの種別 |
情報 |
異常 |
警告 |
情報 |
|
ファイルデータの扱い |
すべてのファイルデータを受信する |
上限値を超えたデータを破棄する |
上限値を超えたデータを破棄する |
上限値を超えたデータを破棄する |
|
転送ファイル |
ジョブの状態 |
実際の終了状態を引き継ぐ |
起動失敗 |
起動失敗 |
実際の終了状態を引き継ぐ |
出力するメッセージの種別 |
情報 |
異常 |
異常 |
情報 |
|
ファイルデータの扱い |
すべてのファイルデータを受信する |
すべてのファイルデータを受信しない |
すべてのファイルデータを受信しない |
すべてのファイルデータを受信しない |
- 注※
-
エージェントホストでジョブの状態が「異常検出終了」だった場合はその状態を引き継ぎます。
(1) 定義手順
-
次のコマンドを実行して,「(2) 環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。
jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名"=定義内容
-
JP1/AJS3を再起動する。
設定した内容が反映されます。
(2) 環境設定パラメーター一覧
定義キー |
環境設定パラメーター |
定義内容 |
---|---|---|
|
"ReceiveFileSizeStatus"= |
ファイルサイズが上限値に達したときの動作 |
"LimitReceiveFileSize"= |
ファイルサイズの上限値 |
- 注※
-
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
環境設定パラメーターの定義内容の詳細については,次の個所を参照してください。
(3) ファイル受信サイズが上限値を超えた場合の動作
ファイル受信サイズが上限値を超えたときの動作を次に示します。
-
結果ファイル
-
環境設定パラメーターReceiveFileSizeStatusの値を1,2,3のどれかで指定しているときに,受信サイズの上限値に達した場合,標準出力ファイル,標準エラー出力ファイルは上限値のサイズまでマネージャーホスト側に残ります。結果ファイルは完全に作成された状態ではないため,後続ジョブなどで結果ファイルを参照する場合は,不完全なファイルでも問題がないことを確認して使用してください。
-
結果ファイルのサイズが上限値を超えた場合のジョブの終了コードおよび終了状態を次の表に示します。
表15‒18 結果ファイルサイズが上限値を超えた場合の終了状態と終了コードの関係 実際のジョブの状態
設定項目
環境設定パラメーターReceiveFileSizeStatusの指定
1
2
0または3
正常終了
(常に正常を指定した場合も含む)
状態
異常検出終了
警告検出終了
正常終了
終了コード
ジョブの戻り値※
ジョブの戻り値※
ジョブの戻り値※
警告検出終了
状態
異常検出終了
警告検出終了
警告検出終了
終了コード
ジョブの戻り値※
ジョブの戻り値※
ジョブの戻り値※
異常検出終了
状態
異常検出終了
異常検出終了
異常検出終了
終了コード
ジョブの戻り値※
ジョブの戻り値※
ジョブの戻り値※
強制終了
状態
強制終了
強制終了
強制終了
終了コード
PCジョブ(-1),
UNIXジョブ(255)
PCジョブ(-1),
UNIXジョブ(255)
PCジョブ(-1),
UNIXジョブ(255)
起動失敗
状態
起動失敗
起動失敗
起動失敗
-
-
転送ファイル
-
環境設定パラメーターReceiveFileSizeStatusの値を1,2,3のどれかで指定しているときに,受信サイズの上限値に達した場合,転送ファイルは受信しません。複数指定している場合はすべての転送ファイルのデータを破棄します。
-
転送ファイルのサイズが上限値を超えた場合のジョブの終了コードおよび終了状態を次の表に示します。
表15‒19 転送ファイルサイズが上限値を超えた場合の終了状態と終了コードの関係 実際のジョブの状態
設定項目
環境設定パラメーターReceiveFileSizeStatusの指定
1
2
0または3
なし※1
状態
起動失敗
起動失敗
実際のジョブの終了状態
終了コード
PCジョブ(-1),
UNIXジョブ(-1)
PCジョブ(-1),
UNIXジョブ(-1)
ジョブの戻り値※2
-
(4) 注意事項
ファイルを送受信するホストがシフトJIS以外の日本語環境の場合に,ファイル受信制限を使用すると,実際のファイルサイズと上限値として指定したサイズが異なる場合があります。
結果ファイルの受信時および転送ファイルの転送時の,ファイルサイズのチェックは,ファイルデータがシフトJISの状態で行われます。サイズチェック後に,結果ファイル受信ホストおよび転送ファイル転送先ホストで,各ホストに対応した文字コードに変換してファイルを作成します。
転送ファイルおよび結果ファイルは,対象ファイルの文字コードをシフトJISに変換してからサイズをチェックします。そのため,ファイル送信元ホストがシフトJIS以外の日本語環境の場合,シフトJISに文字コード変換を行った際に,変換後のファイルサイズが変換前のファイルサイズより小さくなる場合があります。この場合,ファイル送信元ホスト上ではファイルサイズが上限値より大きなファイルでも,ファイル受信制限が動作しません。
また,ファイルが作成されるホストがシフトJIS以外の日本語環境の場合,サイズチェック後にシフトJISからホスト上の文字コードに変換するため,チェック時のサイズより実際のファイルサイズが大きくなる場合があります。この場合,ファイル受信制限を使用し,上限値を超えるファイルを受信しないように設定しても,上限値より大きなサイズのファイルが作成されます。このように,上限値より大きなサイズのファイルが作成されることで,ディスク領域を予想以上に消費するおそれがあるため注意してください。
引き継ぎ情報設定ジョブを実行する場合,環境設定パラメーターLimitReceiveFileSizeの値を適切に設定してください。環境設定パラメーターLimitReceiveFileSizeの値よりファイルサイズの大きい標準出力ファイルを出力した場合,引き継ぎ情報設定ジョブによる情報の切り出しに失敗するおそれがあります。