3.4.2 Storeバージョン2.0への移行
Storeデータベースの保存形式には,バージョン1.0と2.0の2種類あります。Storeバージョン2.0の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management設計・構築ガイド」を参照してください。
Storeバージョン2.0は,PFM - BaseまたはPFM - Managerのバージョン08-10以降の環境に,08-10以降のPFM - Agent for Service Responseを新規インストールした場合にデフォルトで利用できます。それ以外の場合は,Storeバージョン1.0形式のままとなっているため,セットアップコマンドによってStoreバージョン2.0に移行してください。
何らかの理由によってStoreバージョン1.0に戻す必要がある場合は,Storeバージョン2.0のアンセットアップを行ってください。
インストール条件に対応するStoreバージョン2.0の利用可否と利用手順を次の表に示します。
インストール条件 |
Storeバージョン2.0の利用可否 |
Storeバージョン2.0の利用手順 |
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---|---|---|---|
インストール済みのPFM - Base,またはPFM - Managerのバージョン |
PFM - Agentのインストール方法 |
||
08-10より前 |
上書きインストール |
利用できない |
PFM - Base,または,PFM - Managerを08-10以降にバージョンアップ後,セットアップコマンドを実行 |
新規インストール |
|||
08-10以降 |
上書きインストール |
セットアップ後利用できる |
セットアップコマンドを実行 |
新規インストール |
利用できる |
設定不要 |
(1) Storeバージョン2.0のセットアップ
Storeバージョン2.0へ移行する場合のセットアップ手順について説明します。
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システムリソース見積もりと保存期間の設計
Storeバージョン2.0導入に必要なシステムリソースが,実行環境に適しているかどうかを確認してください。必要なシステムリソースを次に示します。
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ディスク容量
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ファイル数
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1プロセスがオープンするファイル数
これらの値は保存期間の設定によって調節できます。実行環境の保有しているリソースを考慮して保存期間を設計してください。システムリソースの見積もりについては,リリースノートを参照してください。
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フォルダの設定
Storeバージョン2.0に移行する場合に,Storeバージョン1.0でのフォルダ設定では,Agent Storeサービスが起動しないことがあります。このため,Agent Storeサービスが使用するフォルダの設定を見直す必要があります。Agent Storeサービスが使用するフォルダの設定はjpcconf db defineコマンドを使用して表示・変更できます。
Storeバージョン2.0は,Storeデータベースの保存先フォルダやバックアップ先フォルダの最大長がStoreバージョン1.0と異なります。Storeバージョン1.0でフォルダの設定を相対パスに変更している場合,絶対パスに変換した値がStoreバージョン2.0でのフォルダ最大長の条件を満たしているか確認してください。Storeバージョン2.0のフォルダ最大長は214バイトです。フォルダ最大長の条件を満たしていない場合は,Agent Storeサービスが使用するフォルダの設定を変更したあと,手順3以降に進んでください。
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セットアップコマンドの実行
Storeバージョン2.0に移行するため,次のコマンドを実行します。
jpcconf db vrset -ver 2.0 -key SR
jpcconf db vrsetコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」を参照してください。
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保存期間の設定
手順1の見積もり時に設計した保存期間を設定してください。Agent Storeサービスを起動して,PFM - Web Consoleで設定してください。
(2) Storeバージョン2.0のアンセットアップ
Storeバージョン2.0はjpcconf db vrset -ver 1.0コマンドを使用してアンセットアップします。Storeバージョン2.0をアンセットアップすると,Storeデータベースのデータはすべて初期化され,Storeバージョン1.0に戻ります。
jpcconf db vrsetコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」を参照してください。
(3) 注意事項
移行についての注意事項を次に示します。
(a) Storeバージョン1.0からStoreバージョン2.0に移行する場合
StoreデータベースをStoreバージョン1.0からStoreバージョン2.0に移行した場合,PIレコードタイプのレコードの保存期間の設定は引き継がれますが,PDレコードタイプのレコードについては,以前の設定値(保存レコード数)に関係なくデフォルトの保存日数がレコードごとに設定され,保存日数以前に収集されたデータは削除されます。
例えば,Storeバージョン1.0で,Collection Intervalが3,600秒のPDレコードの保存レコード数を1,000に設定していた場合,PDレコードは1日に24レコード保存されることになるので,1,000/24≒約42日分のデータが保存されています。このStoreデータベースをStoreバージョン2.0へ移行した結果,デフォルト保存日数が10日に設定されたとすると,11日以上前のデータは削除されて参照できなくなります。
Storeバージョン2.0へ移行する前に,PDレコードタイプのレコードの保存レコード数の設定を確認し,Storeバージョン2.0でのデフォルト保存日数以上のデータが保存される設定となっている場合は,jpctool db dumpコマンドでデータベース内のデータを出力してください。Storeバージョン2.0でのデフォルト保存日数については,リリースノートを参照してください。
(b) Storeバージョン2.0からStoreバージョン1.0に戻す場合
Storeバージョン2.0をアンセットアップすると,データは初期化されます。このため,Storeバージョン1.0に変更する前に,jpctool db dumpコマンドでStoreバージョン2.0の情報を出力してください。