2.5.2 Hyper-Vの場合
監視対象の仮想環境がHyper-Vの場合,PFM - RM for Virtual Machineでは,監視対象ホストからパフォーマンスデータを収集するためにWMIを使用します。WMIの接続設定を実施していない場合,パフォーマンスデータは収集できません。このため,PFM - RMホストと監視対象ホストでWMIの設定が必要となります。
(1) WMI接続の設定
WMIの接続設定方法について説明します。
WMIを接続するには次のような設定が必要となります。
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DCOMを設定する
PFM - RMホストと監視対象ホストの両方で設定が必要です。
なお,PFM - RMホストをクラスタシステムで運用する場合は,実行系ノードと待機系ノードの両方で設定してください。
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ファイアウォールを設定する
監視対象ホストで設定します。必要に応じて設定してください。
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WMIの名前空間を設定する
監視対象ホストで設定します。必要に応じて設定してください。
設定が完了したら,PFM - RMホストから監視対象ホストに接続できることを確認してください。確認方法については,「(2) WMI接続状態の確認」を参照してください。
- WMIの接続設定時の注意事項
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監視対象ホストのOSのシステム管理情報を提供するWindows Management Instrumentationサービス(サービス名:WinMgmt)のスタートアップの種類が「無効」に設定されている場合は収集できません。
(a) 接続に必要な環境設定
WMIの設定に必要な内容を次に示します。
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ユーザーアカウントの設定
WMIを使用するには,PFM - RMホストと監視対象ホストのアカウントが必要となります。
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PFM - RMホストのアカウント
アカウントを設定する場合は,表2-5のHostUserID,HostPasswordおよびHostDomainの設定値に応じた値を設定してください。設定したアカウントは,インスタンスのセットアップ時に指定します。
なお,クラスタシステムでPFM - RM for Virtual Machineを運用する場合,PFM - RMホストのアカウントは,実行系と待機系で同一のユーザーとパスワードを設定して両方にログオンできるアカウントにしてください。
インスタンスの監視対象ホストにPFM - RMホストのHyper-Vを含む場合は,インスタンスの設定でローカルアカウントユーザーを指定してください。
Windows Server 2008 R2の場合,次のユーザーを使用してください。
1. Built-in Administratorユーザー
Windows Server 2012以降の場合,次のどちらかのユーザーを使用してください。
1. Built-in Administratorユーザー
2. Performance Log UsersグループまたはPerformance Monitor Usersグループのどちらかと,Hyper-V Administratorsグループのメンバー
また,ドメイン環境の場合は,HostDomainにPFM - RMホストのコンピュータ名を指定してください(hostsファイルやDNSのホスト名とは異なる場合があります)。
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監視対象ホストのアカウント
アカウントを設定する場合は,表2-8のUserID,PasswordおよびDomainの設定値に応じた値を設定してください。設定したアカウントは,監視対象のセットアップ時に指定します。
Windows Server 2008 R2の場合,次のどれかのユーザーを使用してください。
ドメインアカウントユーザーの場合
1. ドメイン管理者ユーザー
ローカルアカウントユーザーの場合
1. Built-in Administratorユーザー
2. Administratorsグループのメンバー※
Windows Server 2012以降の場合,次のどれかのユーザーを使用してください。
ドメインアカウントユーザーの場合
1. ドメイン管理者ユーザー
ローカルアカウントユーザーの場合
1. Built-in Administratorユーザー
2. Administratorsグループのメンバー※
3. Performance Log UsersグループまたはPerformance Monitor Usersグループのどちらかと,Hyper-V Administratorsグループのメンバー
PFM - RMホストのHyper-Vを監視する場合,監視対象ホストのアカウント(UserID,Password およびDomain)は指定しないでください。
- 注※
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Administratorsグループのメンバー(Built-in Administratorを除く)を使用した場合,UACによって権限が制限され,一般ユーザーの権限で接続されます。これによって,アクセス拒否が発生し,性能情報を取得できないことがあります。これを回避するためには,監視対象のUACを無効にするか,監視対象で次の設定を実施してください。
reg add HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System /v LocalAccountTokenFilterPolicy /t REG_DWORD /d 1 /f
元に戻す場合は次のコマンドを実行してください。
reg delete HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System /v LocalAccountTokenFilterPolicy /f
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WMIサービスの設定
監視対象ホストのWMIサービスのスタートアップを「無効」以外に設定してください。「無効」に設定されているとパフォーマンスデータが収集できません。
(b) DCOMの設定
PFM - RMホストと監視対象ホストでDCOMを設定する方法について説明します。
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PFM - RMホストでの設定
PFM - RMホストで,DCOMを設定します。
DCOMの設定手順について次に示します。
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Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
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「dcomcnfg.exe」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
[コンポーネントサービス]画面が表示されます。
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[コンポーネントサービス],[コンピュータ]の順にクリックし,ツリーを展開する。
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[マイコンピュータ]を選択して,右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
[マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが表示されます。
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[既定のプロパティ]タブを選択して,[このコンピュータ上で分散COMを有効にする]をチェックする。
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[OK]ボタンをクリックする。
[マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが閉じます。
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ホストを再起動する。
[このコンピュータ上で分散COMを有効にする]の設定を変更していない場合,この作業は不要です。
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監視対象ホストでの設定
監視対象ホストで,DCOMを設定します。
DCOMの設定手順について次に示します。
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Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
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「dcomcnfg.exe」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
[コンポーネントサービス]画面が表示されます。
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[コンポーネントサービス],[コンピュータ]の順にクリックし,ツリーを展開する。
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[マイコンピュータ]を選択して,右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
[マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが表示されます。
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[既定のプロパティ]タブを選択して,[このコンピュータ上で分散COMを有効にする]をチェックする。
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[COMセキュリティ]タブを選択して,[アクセス許可]の[制限の編集]ボタンをクリックする。
[アクセス許可]ダイアログが表示されます。
[グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。
表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
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[グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
[リモートアクセス]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
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[OK]ボタンをクリックする。
[アクセス許可]ダイアログが閉じます。
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[COMセキュリティ]タブを選択して,[起動とアクティブ化のアクセス許可]の[制限の編集]ボタンをクリックする。
[起動とアクティブ化のアクセス許可]ダイアログが表示されます。
[グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。
表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
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[グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
[リモートからの起動]と[リモートからのアクティブ化]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
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[OK]ボタンをクリックする。
[起動とアクティブ化のアクセス許可]ダイアログが閉じ,[マイコンピュータのプロパティ]ダイアログに戻ります。
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[OK]ボタンをクリックする。
[マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが閉じます。
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ホストを再起動する。
[このコンピュータ上で分散COMを有効にする]の設定を変更していない場合,この作業は不要です。
(c) ファイアウォールの設定
Windowsのファイアウォールが有効になっている場合にこの設定が必要です。ファイアウォールの設定状態の確認方法については,「(3) Windowsファイアウォール設定の確認」を参照してください。
ファイアウォールの設定手順について次に示します。
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Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
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「gpedit.msc」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
[ローカルグループポリシーエディタ]画面が表示されます。
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[コンピュータの構成],[管理用テンプレート],[ネットワーク],[ネットワーク接続],[Windowsファイアウォール]の順にクリックし,ツリーを展開する。
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[標準プロファイル]※をクリックして,右ペインにある[Windowsファイアウォール:着信リモート管理の例外を許可する]の右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
[Windowsファイアウォール:着信リモート管理の例外を許可する のプロパティ]ダイアログが表示されます。
- 注※
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ホストがドメイン環境の場合は,[ドメインプロファイル]となります。
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[設定]タブを選択して,[有効]をチェックする。
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[OK]ボタンをクリックする。
[Windowsファイアウォール:着信リモート管理の例外を許可する のプロパティ]のダイアログを閉じます。
(d) WMI名前空間の設定
WMIの名前空間の設定手順を次に示します。
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Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
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「wmimgmt.msc」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
[wmimgmt-[コンソールルート\WMIコントロール (ローカル)]]画面が表示されます。
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[WMIコントロール (ローカル)]を選択して,右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
[WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログが表示されます。
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[セキュリティ]タブを選択して,[Root],[CIMV2]の順にクリックし,[CIMV2]を選択する。
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[セキュリティ]ボタンをクリックする。
[セキュリティ ROOT\CIMV2]ダイアログが表示されます。
[グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
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[グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
[アカウントの有効化]と[リモートの有効化]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
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[OK]ボタンをクリックする。
[セキュリティ ROOT\CIMV2]ダイアログが閉じ,[WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログに戻ります。
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[セキュリティ]タブを選択して,[Root],[virtualization]の順にクリックし,[virtualization]を選択する。
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[セキュリティ]ボタンをクリックする。
[セキュリティ ROOT\virtualization]ダイアログが表示されます。
[グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
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[グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
[アカウントの有効化]と[リモートの有効化]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
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[OK]ボタンをクリックする。
[セキュリティ ROOT\virtualization]ダイアログが閉じ,[WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログに戻ります。
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[セキュリティ]タブを選択して,[Root],[virtualization],[v2]の順にクリックし,[v2]を選択する。(Windows Server 2012 R2以降の場合)
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[セキュリティ]ボタンをクリックする。(Windows Server 2012 R2以降の場合)
[セキュリティ ROOT\virtualization\v2]ダイアログが表示されます。
[グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。
表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
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[グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。(Windows Server 2012 R2以降の場合)
[アカウントの有効化]と[リモートの有効化]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
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[OK]ボタンをクリックする。(Windows Server 2012 R2以降の場合)
[セキュリティ ROOT\virtualization\v2]ダイアログが閉じ,[WMI コントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログに戻ります。
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[OK]ボタンをクリックする。
[WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログが閉じます。
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[wmimgmt-[コンソールルート\WMIコントロール (ローカル)]]画面の[ファイル]−[終了]を選択して,[wmimgmt-[コンソールルート\WMIコントロール (ローカル)]]画面を終了します。
(2) WMI接続状態の確認
Windowsのツール(wbemtest.exe)を使用してPFM - RMホストと監視対象ホストが接続されているかどうかを確認します。
WMIの接続の確認手順を次に示します。なお,この手順はPFM - RMホストで実施してください。
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コマンドプロンプトで次のコマンドを実行する。
runas /user:<ユーザー名> wbemtest
ドメインに所属するユーザーの場合には,ユーザー名を<ユーザー名@ドメイン名>の形式で指定します。
[Windows Management Instrumentationテスト]画面が表示されます。
なお,ユーザー名にはインスタンス環境の設定で「HostUserID」と「HostDomain」に入力する値を指定し,コマンドの実行後にパスワードの入力を要求された場合は「HostPassword」に入力する値を指定します。
「HostUserID」,「HostDomain」および「HostPassword」については,表2-5を参照してください。
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[接続]ボタンをクリックする。
[接続]ダイアログが表示されます。
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[名前空間],[ユーザー],[パスワード]および[機関]に必要な情報を入力する。
入力する内容をそれぞれ説明します。
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名前空間
「\\監視対象ホスト名\root\cimv2」または「\\監視対象ホスト名\root\virtualization」を入力します。監視対象ホスト名には監視対象の設定で「Target Host」に入力する値を指定してください。
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ユーザー
監視対象ホストにログオンするユーザー名を入力します。ユーザーには監視対象の設定で「UserID」に入力する値を指定してください。
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パスワード
ユーザーのパスワードを入力します。パスワードには監視対象の設定で「Password」に入力する値を指定してください。
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機関
「ntlmdomain:監視対象ホストのドメイン名」を入力します。監視対象ホストがワークグループの場合は,未入力のままにしてください。監視対象ホストのドメイン名には,監視対象の設定で「Domain」に入力する値を指定してください。
入力例を次に示します。
「Target Host」,「UserID」,「Password」および「Domain」については,表2-8を参照してください。
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[接続]ボタンをクリックする。
接続に成功すると[接続]ダイアログが閉じ,[Windows Management Instrumentationテスト]ダイアログのボタンがすべて活性化されます。
エラーダイアログが表示される場合は,エラー番号に応じて設定を確認してください。エラー番号とその要因について次に示します。
なお,ツール(wbemtest.exe)を起動したまま設定を変更し,接続を再実施してもエラーになることがあります。その場合は,ツールを再起動してから接続を再確認してください。
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0x8001011c
PFM - RMホストでDCOMが設定されていません。
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0x80070005
次のどれかがエラー要因として考えられます。
・PFM - RMホストでDCOMが設定されていない
・監視対象ホストでDCOMが設定されていない
・監視対象ホストに接続するユーザー名,パスワードまたはドメイン名に誤りがある
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0x80041003
監視対象ホストでWMIの「名前空間」が設定されていません。
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0x80041008
「機関」に指定している値が「ntlmdomain:」で始まっていない。
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0x800706XX
次のどれかがエラー要因として考えられます。
・監視対象ホスト名に誤りがある
・監視対象ホストが起動していない
・監視対象ホストでファイアウォールが設定されていない
・監視対象ホストにログインするユーザーのパスワードが有効期限を過ぎている
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[インスタンスの列挙]ボタンをクリックする。
[クラス情報]ダイアログが表示されます。
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「スーパークラス名の入力」に「Win32_PerfRawData_PerfOS_System」を入力して[OK]ボタンをクリックする。
[クエリ結果]ダイアログが表示されます。
リストに「Win32_PerfRawData_PerfOS_System=@」が表示されているかどうかを確認してください。エラーダイアログが表示されたり,リストに表示されていなかったりする場合は,監視対象ホストに接続するユーザーの権限が要因として考えられます。
なお,ツール(wbemtest.exe)を起動したまま設定を変更し,インスタンスの列挙を再実施してもエラーになることがあります。その場合は,ツールを再起動してから確認を再実施してください。
- 正常の場合
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- エラーの場合
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