17.2.8 アラームの定義に関するトラブルシューティング
- 〈この項の構成〉
(1) アクション実行で定義したプログラムが正しく動作しない
考えられる要因とその対処方法を次に示します。
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マシンにログオンした環境とアクション実行で定義したプログラムの実行環境が異なる
マシンにログオンした環境とアクション実行で定義したプログラムの実行環境が異なる場合,プログラムが実行できないことがあります。定義したプログラムがPerformance Managementのアクションとして実行できるかどうか確認してください。Performance Managementのアクションとして実行される場合の実行環境を,次の表に示します。
表17‒4 Performance Managementのアクションとして実行される場合の実行環境 実行環境
Windows
UNIX
アカウント
システムアカウント
rootユーザー権限
環境変数
Performance Managementプログラムのサービス起動時のシステム環境変数
Performance Management起動時のrootユーザー環境変数
カレントのディレクトリ
Action Handlerサービスのフォルダ
Action Handlerサービスのディレクトリ
起動時のシェル
(該当なし)
rootユーザー権限のログインシェル
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アクション実行で定義したプログラムの実行権限がない
次のプログラムをPerformance Managementのアクションとして定義している場合,実行権限の制限によって,プログラムが実行できないことがあります。
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NFSマウントのディレクトリにあるプログラム
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NFSマウントのディレクトリにあるファイルを参照または更新するプログラム
定義したプログラムがPerformance Managementのアクションとして実行できるかどうか確認してください。Performance Managementのアクションとして実行される場合の実行環境については,「表17-4 Performance Managementのアクションとして実行される場合の実行環境」を参照してください。
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PFM - Managerまたはアクション実行先ホストのPFM - AgentまたはPFM - RMのAction Handlerサービスが起動されていない
PFM - Managerまたはアクション実行先ホストのPFM - AgentまたはPFM - RMのAction Handlerサービスが停止していると,アクションが実行されません。アクションを実行する場合は,PFM - Managerおよびアクション実行先ホストのPFM - AgentまたはPFM - RMのAction Handlerサービスを起動しておいてください。
(2) アラームイベントが表示されない
考えられる要因とその対処方法を次に示します。
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PFM - Managerが起動されていない
PFM - Managerを停止すると,PFM - AgentまたはPFM - RMからのアラームイベントを正しく発行できません。アラームイベントを監視する場合は,PFM - Managerを起動しておいてください。
(3) アラームしきい値を超えているのに,エージェント階層の[アラームの状態の表示]画面に表示されているアラームアイコンの色が緑のまま変わらない
考えられる要因とその対処方法を次に示します。
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PFM - Managerホスト,PFM - Agentホスト,およびPFM - RMホストのLANG環境変数の文字コード種別がそろっていない環境で,マルチバイト文字を使用したアラームテーブルをバインドしている
このような場合,マルチバイト文字を使用したアラームは正常に評価されません。PFM - Managerホスト,PFM - Agentホスト,およびPFM - RMホストのLANG環境変数を,同じ文字コード種別にそろえて運用してください。LANG環境変数の設定は共通メッセージログを確認し,最新のサービス起動メッセージがどの文字コード種別で出力されているかで確認してください。
なお,PFM - Managerホストが英語環境の場合,現在の設定のまま文字コード種別を変更すると,既存のアラーム定義が文字化けして削除できなくなります。このため,次の作業を実施してください。
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アラーム定義内にマルチバイト文字を使用したアラームテーブルが必要な場合は,PFM - Web Consoleからすべてエクスポートする。
エクスポートする際に,jpctool alarm exportコマンドは使用できません。
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アラーム定義内にマルチバイト文字を使用したアラームテーブルをすべて削除する。
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PFM - Managerを停止する。
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PFM - ManagerホストのLANG環境変数の文字コード種別を変更する。
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PFM - Managerを起動する。
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手順1でアラームテーブルをエクスポートした場合は,PFM - Web Consoleまたはjpctool alarm importコマンドを使用して,アラームテーブルをインポートする。
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また,複数の文字コード種別が混在する環境での,そのほかの注意事項については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementの機能について説明している章を参照してください。
(4) アラームテーブルを削除した場合に大量にアラームが発生する
アラームテーブルをエージェントにバインドしている状態で,バインド済みアラームテーブルを削除すると,アラームステータスは必ず「正常」になります。状態変化とイベント発行有無の関係は以下のようになります。
# |
アラームステータス |
イベント発行有無 |
|
---|---|---|---|
アラーム削除前 |
アラーム削除後 |
||
1 |
異常 |
正常 |
アラームイベント発行あり |
2 |
警告 |
正常 |
アラームイベント発行あり |
3 |
正常 |
正常 |
アラームイベント発行なし |
アラームステータスが「異常」または「警告」状態のアラーム定義を,アラームテーブルの削除などで複数同時に削除すると,エージェントのアラームステータスが「異常」または「警告」から「正常」に変化します。そのため,アラームイベントが発行されます。
複数のエージェントにバインドされているアラームテーブルを削除した場合,アラームイベントが大量に発生し,一時的にピーク性能を超える場合があります。
ピーク性能を超過したかどうかは,共通ログに出力される以下のメッセージで確認できます。
「KAVE00422-W 処理待ちのイベント上限に到達しました」
上記ログに加えて,KAVE00429-E,またはKAVE00345-Eが共通ログに出力された場合,Action Handlerサービスからアクション定義の削除に失敗しています。ただし,このケースでは,アクション実行の契機となるアラーム定義が削除済みのため,削除に失敗したアクションが実行されることはありません。Action Handlerサービスが保持しているアクション情報は,Action Handlerサービスの再起動時に回復します。
(5) 運用中にPFM - Managerのポート番号を変更したあと,アラームイベントが表示されない
PFM - Manager 11-50以降では,ポート番号が固定されているMaster ManagerまたはCorrelatorのポート番号の設定を変更したあと,PFM - Base 11-50以降がインストールされたエージェントホストのPFMサービスを再起動していない場合,アラームイベントが表示されません。この場合,PFM - Base 11-50以降がインストールされたPFMサービスを再起動する必要があります。
ポート番号の設定変更手順の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,ポート番号の設定変更手順について説明している個所を参照してください。