4.5.1 レポート作成の概要
JP1/SLMでは,確認したい監視項目をレポートとして表示したり,CSV形式のファイルに出力したりすることで効率的にレポートを作成するための支援をします。
JP1/SLMでは,次のことを実現できます。
蓄積した監視対象サービスのサービス性能,システム性能,および稼働情報のデータをレポートにまとめて画面表示できる
監視対象サービスのサービス性能,システム性能,および稼働情報の監視項目の表示・非表示の設定をテンプレートとして保存できる
性能グラフの値についてCSV形式のファイルに出力できる
なお,レポート画面の詳細については,「10.5 [レポート]画面および[レポート]画面を操作して表示される画面」を参照してください。
(1) レポートに表示できる項目
JP1/SLMでは,次の項目をレポートとして画面に表示して確認できます。
なお,これらの情報はCSVファイルには出力できません。
- サービス性能
JP1/SLMで監視している監視対象サービスのサービスの監視状態を表示できます。監視対象サービスのサービス性能として表示できる項目は,監視対象,監視項目(単位),平均値,SLO遵守率,および前回比です。
選択した監視対象サービス配下の「All Web Access」またはWebトランザクションの監視対象サービスのサービス性能を出力します。
- システム性能
JP1/PFMと連携してサービスを監視している場合に,監視対象サービスを提供しているホストの監視状態を表示できます。システム性能として表示できる項目は,ホスト,監視対象,監視項目(単位),平均値,SLO遵守率,および前回比です。
選択した監視対象サービスがJP1/PFMと連携してない場合,項目は空欄となります。
- 稼働情報
JP1/PFMと連携して監視対象サービスを監視している場合に,稼働情報として,サービス稼働率,MTTR,およびMTBFを表示します。
なお,監視対象サービスが可用性監視をしていない場合は,サービス稼働率,MTTR,およびMTBFの値には「−」(ハイフン)が表示されます。
- サービス稼働概要
可用性監視をしている監視対象サービスについて,レポート期間中のサービス開始時間,および停止時間を表示します。
選択した監視対象サービスが可用性監視をしていない場合,項目は空欄となります。しかし,指定されたレポート期間内で,以前に可用性監視をしており,その後可用性監視をしなくなった場合は,過去の可用性監視の結果が表示されます。
レポートに表示できる項目の詳細について,次の表に示します。
項番 |
項目 |
表中の項目 |
表示される値 |
---|---|---|---|
1 |
サービス性能 |
監視対象 |
選択している監視対象の名称 |
2 |
監視項目(単位) |
|
|
3 |
平均値※1 |
|
|
4 |
SLO遵守率※1 |
(1.0−しきい値超過時間/1か月の稼働時間)×100(単位:%) |
|
5 |
前回比※2,※3 |
(レポート期間中の平均応答時間/レポート期間に応じた比較対象となる期間の平均応答時間−1.0)×100(単位:%) |
|
6 |
システム性能 |
ホスト |
選択した監視対象サービスのホスト名称 |
7 |
監視対象 |
ホストに含まれる監視エージェントの名称 |
|
8 |
監視項目(単位) |
監視エージェントに含まれる監視項目の名称 |
|
9 |
SLO遵守率※1 |
(1.0−しきい値超過時間/1か月の稼働時間)×100(単位:%) |
|
10 |
平均値※1 |
監視項目に応じた平均値 |
|
11 |
前回比※2,※3 |
(レポート期間中の平均応答時間/レポート期間に応じた比較対象となる期間の平均応答時間−1.0)×100(単位:%) |
|
12 |
稼働情報 |
サービス稼働率※2 |
レポート期間中の稼働期間の総和/(レポート期間中の稼働期間の総和+レポート期間中の障害期間の総和)(単位:%) |
13 |
MTTR※1 |
レポート期間中の障害期間の総和/レポート期間中の障害期間の数(単位:分) |
|
14 |
MTBF※1 |
レポート期間中の稼働期間の総和/レポート期間中の障害期間の数(単位:分) |
|
15 |
サービス稼働概要 |
時間※4 |
レポート期間中に可用性監視に関するイベントが発生した時刻 |
16 |
イベント |
レポート期間中に発生した次の可用性監視に関するイベントのどれか
|
- 注※1
小数点以下第1位で四捨五入して表示されます。
- 注※2
小数点以下第2位で四捨五入して表示されます。
- 注※3
監視対象サービスのサービス性能とシステム性能について算出される前回比は,レポート期間の設定によって表のヘッダ,および算出に利用する比較対象となる期間が異なります。
レポート期間と前回比の関係を次の表に示します。
項番 |
レポート期間 |
表のヘッダ |
比較対象となる期間 |
---|---|---|---|
1 |
1日 |
前日比 |
起点日の前日 |
2 |
1週間 |
先週比 |
起点日の前日を含む前の7日間 |
3 |
1か月 |
先月比 |
先月の同日から前日まで |
4 |
3か月 |
前4半期比 |
3か月前の同日から前日まで |
- 注※4
JP1/SLM - Managerのタイムゾーンを基にYYYY/MM/DD hh:mm形式で表示されます。
(2) レポートに表示する性能グラフ
(1)で示した監視項目のほかに,レポートには性能グラフも表示できます。表示した性能グラフの情報は,CSVファイルにも出力できます。
指定した年月についての性能グラフが監視項目ごとに表示されます。なお,[レポート確認]画面では監視項目は最大で10個表示できます。表示する監視項目は選択できます。
各性能グラフの軸および表示範囲は次のとおりです。
縦軸:監視項目
レポート期間の最小値〜表示した月の最大値の範囲で表示されます。ただし,SLOしきい値が最大値より大きい場合は,SLOしきい値が最大値となります。
横軸:日付(日)
1〜レポート期間の最終日の範囲で表示されます。
監視項目ごとに,性能グラフに表示される内容を次の表に示します。
項番 |
折れ線の種類 |
表示される内容 |
---|---|---|
1 |
最大値線 |
計測値の最大値をつないだ折れ線グラフが表示されます。 |
2 |
最小値線 |
計測値の最小値をつないだ折れ線グラフが表示されます。 |
3 |
平均値線 |
計測値の平均値をつないだ折れ線グラフが表示されます。 |
4 |
SLOしきい値 |
監視項目のしきい値をつないだ折れ線グラフが表示されます。 |
注 スループットが0となった時刻の計測値は使用しません。
性能グラフのプロット間隔は,レポート期間の設定によって異なります。
レポート期間と性能グラフの関係を次の表に示します。
項番 |
レポート期間 |
性能グラフのプロット間隔 |
---|---|---|
1 |
1日 |
30分ごとの集計値 |
2 |
1週間 |
2時間ごとの集計値 |
3 |
1か月 |
1日ごとの集計値 |
4 |
3か月 |
1日ごとの集計値 |
なお,性能グラフのプロット間隔とCSV出力されたデータの間隔は等しくなります。
(3) CSVファイルのフォーマット
JP1/SLMでは,レポートに表示した性能グラフのデータをCSVファイルとして出力できます。なお,CSVファイルへ出力する場合,監視項目は最大で50個出力できます。
CSVファイルのファイル名,出力フォーマット,および出力文字コードについて説明します。また,出力例を示します。
- ファイル名
デフォルトで表示されるファイル名を次に示します。
表4‒7 デフォルトで表示されるファイル名 項番
レポート期間
ファイル名
グラフに表示する間隔
1
1日
report_YYYYMMDD_d.csv
30分
2
1週間
report_YYYYMMDD_w.csv
2時間
3
1か月
report_YYYYMM_m.csv
1日
4
3か月
report_YYYYMM_q.csv
1日
YYYYMMDD
YYYY,MM,およびDDは,[レポート]画面で選択したレポート起点日になります。ファイル名は任意に変更できます。
- 出力フォーマット
1行目にヘッダ情報が表示されて,2行目以降にデータ情報が表示されます。表示される情報は,[レポート]画面に表示される性能グラフの順序で表示されます。
-
ヘッダ情報とデータ情報の対応
1行目に出力されるヘッダ情報と2行目以降に出力されるデータ情報の対応を次の表に示します。
なお,CSVファイルに出力する監視項目は選択できます。必要に応じてテンプレートを編集または追加し,CSVファイルに出力する監視項目を設定してください。
表4‒8 ヘッダ情報と2行目以降に出力されるデータ情報の対応 項番
監視項目
ヘッダ情報※
2行目以降に出力されるデータ情報
1
−
Date
JP1/SLMが該当データを取得した日時
2
平均応答時間
Average
平均応答時間の平均値
3
Max
平均応答時間の最大値
4
Min
平均応答時間の最小値
5
スループット
Average
スループットの平均値
6
Max
スループットの最大値
7
Min
スループットの最小値
8
エラー率
Average
エラー率の平均値
9
Max
エラー率の最大値
10
Min
エラー率の最小値
11
各監視エージェントの監視項目名
Average
監視項目の平均値
12
Max
監視項目の最大値
13
Min
監視項目の最小値
(凡例)
−:該当しません。
注
平均応答時間およびスループットの値がともに0の時刻の平均応答時間は,情報未取得として扱います。そのため,平均値,最大値,最小値には含まれません。
同様に,エラー率およびスループットの値がともに0の時刻のエラー率は,情報未取得として扱います。そのため,平均値,最大値,最小値には含まれません。
注※
CSVファイルに出力するヘッダ情報は,監視項目ごとにAverage,Max,Minの順番で表示されます。ヘッダ情報は,次の形式で表示されます。
監視対象名 / 監視項目名
監視対象名および監視項目名には,次の内容が表示されます。
監視対象名 = All Web Access | Webトランザクション名 | ホスト名 / 監視エージェント名
監視項目名 = 平均応答時間 | スループット | エラー率 | 各監視エージェントの監視項目名
データ情報の形式
2行目以降のデータ情報は,次の形式で表示されます。
YYYY/MM/DD hh:mm,AA....AA
YYYY/MM/DD hh:mmは,JP1/SLMが該当のデータを取得した日時です。年(4桁),月(2桁),日(2桁),時間(2桁)および分(2桁)が出力されます。
AA....AAには,取得した監視項目ごとのデータ(半角数字)が,コンマで区切られて出力されます。なお,平均応答時間の単位はミリ秒です。
-
- 出力文字コード
UTF-8で出力されます。
- 出力例
CSVファイルに出力する性能グラフは,[レポート確認]画面に表示した順番で出力します。
監視対象がAll Web Accessの場合の出力例を次に示します。データは一部省略しています。
なお,レポートを出力する月の中で,JP1/SLM - URが取得した応答件数が0件だった場合など,1日の一部のデータがないとき,ヘッダ情報は表示されますが,値は表示されません。
- 1日の一部のデータがない場合の出力例
また,監視対象サービスの監視対象の監視を停止していた期間など,1日分の集計データがない場合には,その日の行全体が表示されません。
- 1日分の集計データがない場合の出力例