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JP1 Version 11 パフォーマンス管理 基本ガイド(サービスレベル管理編)


はじめにお読みください

〈はじめにの構成〉

■ JP1/Service Level Managementでできること

近年,業務システムが,サービスとして利用者に提供されることが増えてきました。

サービスの利用者にとっては,業務システム(サービス)が正常に稼働していることは当然のことです。サービスの提供者は,サービスの提供品質(サービスレベル)を維持し,利用者がストレスを感じることがないようサービスを提供できなければなりません。サービスレベルを維持するには,サービスの状況を監視する必要があります。また,ビジネスの場面ではサービスの委託元と委託先の間で,サービスレベルの維持について契約が交わされることもあります。このようなときには,サービスの状況について,より注意深く監視して,契約で定められたサービスレベルを維持するよう努めなければなりません。

JP1/Service Level Management(JP1/SLM)を導入すれば,サービスの状況を監視し,サービスレベルの維持を支援することで,これらの要求に応えられます。

JP1/SLMでは,「サービスレベルを維持するための評価指標(SLO)」となるしきい値に基づいた監視ができます。また,サービスの状況にふだんと異なる様子がないかを監視し,サービス性能の異常の予兆を検知することもできます。

監視対象サービスのサービス性能の異常の予兆である「ふだんと異なるサービスの状況」を検知し,トラブルを事前に対処する場合の例を説明します。

[図データ]

  1. 応答時間の増加という「サービス性能の異常の予兆」がJP1/SLMを使用したサービスの状況の監視によって検知されます。

  2. JP1/SLMでの過去の監視結果から,「サービス性能の異常の予兆」の原因と考えられる事象の発生時期を確認します。

    この確認結果は,検知された事象への対処に役立てることができます。

  3. 原因を特定して対処したあと,JP1/SLMでサービスレベルが回復したことを確認すれば,サービス性能の異常の予兆段階での対処は完了です。

このように,JP1/SLMは監視対象サービスのサービス性能の異常の予兆検知をします。また対処にも役立てられます。サービスにトラブルが発生する前に対処できるようになるため,サービスの利用者の満足度向上にもつながります。

また,JP1/SLMは多様な画面でサービスレベルの維持をサポートします。

[図データ]

なお,このマニュアルでは,JP1/Service Level Management - ManagerおよびJP1/Service Level Management - User Responseを総称して,JP1/SLMと表記します。

■ このマニュアルで説明すること

このマニュアルは,JP1/SLMの基本的な機能,および操作方法について説明しています。このマニュアルを読んだ方が,JP1/SLMを使用してサービスレベルを維持する方法をひととおり理解できるようになることを目的としています。このマニュアルは次の方にお読みいただくことを前提に説明します。

このマニュアルでは,サービスの状況(サービス性能)の監視を主体としたシステム構成(サービス監視構成)のうち,サービス性能だけを監視する場合のシステム構成を前提に説明します。ここで示す構成以外での運用については,マニュアル「JP1/Service Level Management」を参照してください。

[図データ]

JP1/SLM - Manager(JP1/Service Level Management - Manager)

JP1/SLM - URが収集したHTTPパケットを集計・分析し,サービスの状況を監視します。監視結果は,監視者のマシン上で表示できます。また,ファイルに出力してレポートの作成に使用することもできます。1つのJP1/SLM - Managerに対し,複数のJP1/SLM - URを接続できます。

JP1/SLM - UR(JP1/Service Level Management - User Response)

スイッチを通じてサービス利用者とサービスの提供サーバの間でやり取りされるリクエストおよびレスポンスのHTTPパケットを収集します。スイッチごとに配置します。1つのJP1/SLM - URで,複数のサービスを監視できます。また,ネットワーク負荷を軽減させるため,システム構成図に示すように,スイッチと接続するインタフェース,およびJP1/SLM - Managerと接続するインタフェースをそれぞれ用意することを推奨します。

JP1/Base

認証サーバとして,JP1/SLM - Managerにアクセスして監視を実行するユーザー(JP1ユーザー)を管理します。

スイッチ

外部のネットワークと内部のネットワークの間に設置するネットワークスイッチです。ポートミラーリング機能のあるネットワークスイッチでなければなりません。

■ マニュアルの読み方

JP1/SLMには,このマニュアルを含めて2冊のマニュアルがあります。目的に応じて,どちらかのマニュアルをお読みください。

他マニュアルへの参照先は,「〜については,マニュアル「△△」の「○○」の説明を参照してください。」の形式で記載しています。「○○」をキーワードとしてマニュアル「△△」内を検索して,該当する説明をお読みください。

各画面での操作は,次に示す環境を前提としています。

監視者のコンピュータでの操作

Windows Server 2012 R2,Internet Explorer 11を使用している環境

製品の改良などによって,このマニュアルに掲載されている画面はご使用の製品画面と一部異なることがあります。あらかじめご了承ください。