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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


イベントフィルターの文法

イベントフィルターは,イベントIDや発行元ユーザー名などをキーにして,JP1イベントをフィルタリングします。イベントフィルターを設定する個所を次に示します。

注※ 詳細については,「付録J.4 JP1/SESイベントをJP1イベントに変換する」を参照してください。

〈このページの構成〉

イベントフィルターの書式

イベントフィルターは一つ以上の「条件文群」の集まりです。条件文群は一つ以上の「条件文」の集まりです。条件文は1行で表され,条件文を並べることで条件文群が構成されます。条件文群同士の間には「OR」とだけ記述した行を挿入します。なお,1行の最大長は1,024バイトです。一つのイベントフィルター全体の最大長は,64キロバイトです。

条件文群は条件文群を構成する条件文がすべて成立すると成立します。イベントフィルターは,イベントフィルターを構成する条件文群のどれか一つが成立すると成立します。

イベントフィルターの書式の概念を次の図に示します。

図16‒1 イベントフィルターの書式の概念

[図データ]

JP1/Base 08-50以降では,イベントフィルターに除外条件を記述できます。

抽出条件が成立するJP1イベントのうち,特定のJP1イベントを除外したい場合に記述します。

抽出条件と除外条件の間には「EXCLUDE」とだけ記述した行を挿入します。「EXCLUDE」は,一つのフィルターに一つだけ記述でき,「EXCLUDE」より前に記述された条件文群は抽出条件,「EXCLUDE」より後ろに記述された条件文群は除外条件となります。除外条件に記述する条件文の書式は,抽出条件と同じです。

除外条件は省略できるため,以前のバージョンで作成したフィルターをJP1/Base 08-50以降でもそのまま使用できます。

条件文の書式

条件文の書式は次の形式で記述します。

属性名△比較キーワード△オペランド1△オペランド2△…

△は区切りで,一つ以上の連続した半角のスペースまたはタブを示します。オペランドを複数指定した場合は,どれか一つに当てはまるときに条件文が成立します。オペランドとして,半角スペース,タブ,CR,LFおよび%は通常の方法では使用できませんが,次に示すように2桁の16進数で表現できます。

また,半角スペース,タブ,CR,LFおよび%以外の文字も16進数で表現できます。

注意事項
  • JP1/SES形式で登録されたイベントに日本語文字列が含まれる場合,その文字コードと条件文に指定した文字コードが一致しないと,条件に合致しません。

  • 条件文に機種依存文字が含まれる場合,正しく比較できません。

属性名

表16‒8 条件文の属性名

属性名

内容

型および形式

B.SEQNO

イベントDB内通し番号

数値(0〜2,147,483,647)

B.ID

イベントID

イベントID※1

B.PROCESSID

発行元プロセスID

数値(0〜2,147,483,647)

B.TIME

登録時刻

数値

(0〜2,147,483,647 =UTC1970年1月1日00:00:00からの秒数)

B.ARRIVEDTIME

到着時刻

数値

(0〜2,147,483,647 =UTC1970年1月1日00:00:00からの秒数)

B.REASON

イベントDBへの登録要因

数値(1〜4)

B.USERID

発行元ユーザーID

数値(-1〜2,147,483,647)

B.GROUPID

発行元グループID

数値(-1〜2,147,483,647)

B.USERNAME

発行元ユーザー名

文字列※3

B.GROUPNAME

発行元グループ名

文字列※3

B.SOURCESERVER

発行元イベントサーバ名

文字列※3

B.DESTSERVER

送信先イベントサーバ名

文字列※3

B.SOURCESEQNO

発行元別通し番号

数値(0〜2,147,483,647)

B.CODESET

コードセット

文字列※3

B.MESSAGE

メッセージ

文字列※3

E.拡張属性名※2

拡張属性

文字列※3

注※1 イベントIDは,文字列型,数値型と異なります。詳細については,「表16-9 条件文の比較キーワード」の条件内の属性値がイベントIDの場合を参照してください。

注※2 拡張属性名の形式については,「17.1.2 拡張属性」を参照してください。

注※3 文字列は,英字の大小文字を区別します。

比較キーワード

表16‒9 条件文の比較キーワード

比較キーワード

オペランドの数

条件

IN

1以上

属性値がオペランドのどれかと一致する。

属性値が文字列型の場合

オペランドは任意の文字列。

例:B.MESSAGE IN KAJP KAVA

属性値が数値型の場合

オペランドは10進数(符号可)と見なせる文字列。そうでないオペランドは常に不一致。

例:B.REASON IN 1

属性値がイベントIDの場合

オペランドはx:yまたはx(xとyは1〜8桁の16進数)の形式の文字列。xがイベントID基本部に,yがイベントID拡張部に対応。そうでないものは常に不一致。

例:B.ID IN 111:0

NOTIN

1以上

比較キーワードINの否定。

例:B.USERNAME NOTIN hitachi

例:B.SEQNO NOTIN 1004959

例:B.ID NOTIN 00003A71

BEGIN

1以上

属性値が文字列型であり,オペランドに指定した文字列のどれかで始まると成立。属性値が数値型またはイベントIDの場合は常に不成立。

例:B.MESSAGE BEGIN KAVA

RANGE

2

属性名がB.TIMEまたはB.ARRIVEDTIMEの場合

次の条件を満たすと成立。

  • 属性値が数値,または10進数(0〜2,147,483,647)と見なせる文字列。

  • オペランド1およびオペランド2が14桁の数字列。

  • 属性値をUTC1970年1月1日00:00:00からの秒数と見なし,イベントサーバの稼働環境のタイムゾーンに基づくyyyymmddHHMMSSの形式の数字列にしたときに,オペランド1 ≦ 属性値 ≦ オペランド2であるとき。

例:B.TIME RANGE 20140715000000 20140716000000

そのほかの属性名で属性値が数値型の場合

オペランド1およびオペランド2を10進数と見なしたときに,オペランド1 ≦ 属性値 ≦ オペランド2であると成立。

例:B.SEQNO RANGE 1004000 1005000

属性値が文字列型の場合

文字コード順の比較で,オペランド1 ≦ 属性値 ≦ オペランド2であると成立。

例:B.MESSAGE RANGE KAJP1001 KAJP1070

属性値がイベントIDの場合

オペランド1およびオペランド2がx:y(xとyは1〜8桁の16進数)の形式の文字列で,y(拡張部)を上8桁,x(基本部)を下8桁の計16桁の16進数と見なしたときにオペランド1 ≦ 属性値 ≦ オペランド2であると成立。

例:B.ID RANGE 4780 4790

以上のどれでもない場合は不成立。

TRANGE

2

次の条件を満たすと成立する。

  • 属性値が数値,または10進数(0〜2,147,483,647)と見なせる文字列。

  • オペランド1およびオペランド2が14桁の数字列。

  • 属性値をUTC1970年1月1日00:00:00からの秒数と見なし,イベントサーバの稼働環境のタイムゾーンに基づくyyyymmddHHMMSSの形式の数字列にした場合に,オペランド1 ≦ 属性値 ≦ オペランド2であるとき。

例:B.TIME TRANGE 20140716010000 20140716013000

以上の場合でないときは不成立。

DEFINED

0

属性名が拡張属性名を表し,指定の拡張属性が定義されていると成立。定義されていないと不成立。属性名が基本属性を表す場合は常に成立。

例:E.PRODUCT_NAME DEFINED

NOTDEFINED

0

比較キーワードDEFINEDの否定。

例:E.PRODUCT_NAME NOTDEFINED

SUBSTR

1以上

属性値が文字列型であり,オペランドに指定した文字列のどれかが含まれていると成立。属性値が数値型,またはイベントIDの場合は常に不成立。

例:B.MESSAGE SUBSTR エラー

NOTSUBSTR

1以上

比較キーワードSUBSTRの否定。

例:B.MESSAGE SUBSTR 警告

REGEX

1以上

正規表現記述用比較キーワード。

属性値が文字列型であり,オペランドに指定した正規表現のどれかと一致すると成立。

例:B.MESSAGE REGEX KAV.[0-9][0-9][0-9][0-9]-E

正規表現については「付録F 正規表現の文法」を参照のこと。

WITHIN

2

属性名がB.TIMEまたはB.ARRIVEDTIMEの場合

次の条件を満たすと成立。

  • 属性値が数値,または10進数(1〜2,147,483,647)と見なせる文字列。

  • オペランド1がM(分),H(時間),D(日)のどれかの文字列。

  • オペランド2が10進数(符号不可)と見なせる文字列。

  • オペランド1がM(分)およびH(時間)の場合

    属性値をUTC1970年1月1日00:00:00からの秒数と見なし,イベントサーバの稼働環境のタイムゾーンに基づくyyyymmddHHMMSSの形式の数字列にしたときに,(現在時刻−オペランド2) ≦ 属性値 ≦ 現在時刻であるとき。

    例:B.TIME WITHIN M 30

    例:B.TIME WITHIN H 12

  • オペランド1がD(日)の場合

    属性値をUTC1970年1月1日00:00:00からの秒数と見なし,イベントサーバの稼働環境のタイムゾーンに基づくyyyymmddHHMMSSの形式の数字列にしたときに,「今日の日付−(オペランド2−1)」の00:00:00 ≦ 属性値 ≦ 今日の日付の24:59:59であるとき。

    例:B.TIME WITHIN D 7

注※ jevexportコマンドで指定するフィルターファイルでだけ指定できます。

イベントフィルターの記述例

比較キーワード「IN」の記述例
イベントIDが基本部111,拡張部0のJP1イベントを選択します。
B.ID IN 111:0
または
B.ID IN 111
または
B.ID IN 00000111:00000000
発行元ユーザーIDが103のJP1イベントを選択します。
B.USERID IN 103
または
B.USERID RANGE 103 103
発行元イベントサーバ名がreysolのJP1イベントを選択します。
B.SOURCESERVER IN reysol
比較キーワード「BEGIN」の記述例
メッセージがKAJPまたはKAVAで始まるJP1イベントを選択します。
B.MESSAGE BEGIN KAJP KAVA
メッセージがHello, worldで始まるJP1イベントを選択します。なお,「,」と「w」の間の%20はスペースを示します。
B.MESSAGE BEGIN Hello,%20world
拡張属性に関する記述例
拡張属性の属性名がTASK_NAMEで,その値が「在庫管理」のJP1イベントを選択します。
E.TASK_NAME IN 在庫管理
属性名がTASK_NAMEの拡張属性が設定(値は問わない)されているJP1イベントを選択します。
E.TASK_NAME DEFINED
複数の条件文(AND条件)の記述例
イベントIDが222:0以外で,かつ発行元ユーザー名がhanakoのJP1イベントを選択します。
B.ID NOTIN 222
B.USERNAME IN hanako
複数の条件文群(OR条件)の記述例
次に示すJP1イベントを選択します。
  • 拡張属性SEVERITYがWarningまたはErrorかつ拡張属性PRODUCT_NAMEが定義されているJP1イベント

  • 発生元イベントサーバがwww.hitachi.co.jpでかつ拡張属性PRODUCT_NAMEが /HITACHI/JP1/AJSであるJP1イベント

E.SEVERITY IN Warning Error
E.PRODUCT_NAME DEFINED
OR
B.SOURCESERVER IN www.hitachi.co.jp
E.PRODUCT_NAME IN /HITACHI/JP1/AJS
除外条件(EXCLUDE)の記述例
イベントIDが101,102または重大度がエラーのJP1イベントを選択します。ただし,登録元イベントサーバ名がhost3のJP1イベントは除外します。
B.ID IN 101 102
OR
E.SEVERITY IN Error
EXCLUDE
B.SOURCESERVER IN host3
比較キーワード「TRANGE」の記述例
2002年6月16日以降に発生したJP1イベントを選択します。
B.TIME TRANGE 20020616000000 99999999999999
比較キーワード「WITHIN」の記述例
現在時刻(2003年7月16日01:30:00)の30分前から現在までに発生したJP1イベントを選択します。
B.TIME WITHIN M 30
(B.TIME TRANGE 20030716010000 20030716013000と同意)
現在時刻(2003年7月16日01:21:21)の24時間前から現在までに発生したJP1イベントを選択します。
B.TIME WITHIN H 24
(B.TIME TRANGE 20030715012121 20030716012121と同意)
今日(2003年7月16日)を含めた二日間に発生したJP1イベントを選択します。
B.TIME WITHIN D 2
(B.TIME TRANGE 20030715000000 20030716235959と同意)

注※ イベントサーバ環境での時刻を基にしています。