Hitachi

JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


6.6.1 ネットワークを分離した環境でJP1/Baseを運用する際の考え方(jp1hosts2情報の場合)

ここでは,ネットワークを分離した環境でJP1/Baseを運用する際の考え方について,次の図に示すシステム構成例を基に説明します。この構成例では,物理ホストhostAおよび論理ホストlogicalAをマネージャーホストとし,hostXやhostYをエージェントホスト(またはクライアントホスト)として運用すると仮定して説明します。具体的には,hostXのJP1/IM - ViewからhostAのJP1/IM - Managerにログインし,hostYを監視したり,hostYで自動アクションを実行させたりしたい場合です。

図6‒5 分離されたネットワークでJP1/Baseを運用する場合のシステム構成例(jp1hosts2情報の場合)

[図データ]

設定のポイントを次に示します。

JP1/IM - ManagerやJP1/AJS3 - Managerなどのjp1hosts2情報を参照する製品では,jp1hosts2情報を定義すると,jp1hosts情報の定義は無効になります。jp1hosts情報を用いていた運用環境にjp1hosts2情報を設定する場合,jp1hosts2情報へ移行する必要があります。jp1hosts情報からjp1hosts2情報への移行方法については,「6.4.5 jp1hosts情報からjp1hosts2情報への移行」を参照してください。

なお,エージェントホストの追加などで,jp1hosts2情報に他ホストのIPアドレスを追加した場合であれば,JP1/Base,JP1/Baseを前提とする製品,およびJP1/Baseと依存関係のあるプログラムを再起動する必要はありません。ただし,イベントサーバの通信設定の変更,またはjp1hosts2情報の定義で自ホストまたは他ホストのIPアドレスを変更した場合は,JP1/Base,JP1/Baseを前提とする製品,およびJP1/Baseと依存関係のあるプログラムを再起動させる必要があります。

〈この項の構成〉

(1) JP1/Baseの通信方式を採用するかどうか

インストール時には06-71以降の通信設定で動作します。JP1/Baseの通信方式を採用するかどうか,まず検討してください。

(2) JP1/Base 09-50以前から上書きインストールするときに必要な設定

JP1/Base 09-50以前から上書きインストールした環境で,JP1/Baseの通信方式を採用するには,次の設定をする必要があります。

(a) イベントサーバ設定ファイル(conf)の修正

イベントサーバをJP1/Baseの通信方式で通信できるようにするために,イベントサーバ設定ファイル(conf)のportsおよびremote-serverパラメーターのアドレス部分に<jp1hosts2>と設定します。また,client-bindパラメーターの定義は削除してください。

変更前

変更後

ports hostA jp1imevt jp1imevtapi

remote-server hostY close 20.0.0.20

client-bind 192.168.0.3

ports <jp1hosts2> jp1imevt jp1imevtapi

remote-server hostY close <jp1hosts2>

(b) API設定ファイル(api)の修正

イベントサーバへ接続するアプリケーションプログラムをJP1/Baseの通信方式で通信できるようにするために,API設定ファイル(api)のserverパラメーターのアドレス部分に<jp1hosts2>と設定します。

変更前

変更後

server hostA keep-alive 10.0.0.10

server * keep-alive <jp1hosts2>

(3) jp1hosts2情報の定義(JP1/Base本体用)

OSによっては,一つのホスト名から複数のIPアドレスに解決できない場合があります。この場合,jp1hosts2情報を定義すれば,IPアドレス解決ができます。

物理ホスト,論理ホスト共にサブネット1,サブネット2を使用するためには,それぞれが使用するIPアドレスを両NICに割り当てる必要があります(UNIXの場合ifconfigコマンドを使用します)。そして,その情報をjp1hosts2情報として定義します。

また,hostXでping logicalAを実行したときに,サブネット2側の20.0.0.11を検索し,通信ができないことがあります。この場合も,hostXでjp1hosts2情報を定義すれば解決できます。

jp1hosts2情報は物理ホストに定義を設定すれば,論理ホストにも定義がマージされて設定されます。物理ホストと論理ホストで同じホスト名に対して解決するIPアドレスを異なるものとする必要がある場合に限り,論理ホストのjp1hosts2情報にIPアドレスを設定してください。

(4) 送信時と受信時の通信方式の選択(JP1/Base本体用)

複数ネットワークに接続されるホストをクラスタ運用している場合,通信方式を変更する必要があります。図6-5を基にして,以降で簡単に説明します。

複数ネットワークに接続されたホストは,物理ホスト,論理ホストを使用しているため,受信設定をANYバインド方式にすると,物理ホストあてのデータを論理ホストが受け取ったり,論理ホストあてのデータを物理ホストが受け取ったりするようになります。このため,受信設定は,IPバインド方式にする必要があります。

一方,送信設定をIPバインド方式にすると,送信データがサブネット1だけ,またはサブネット2だけしか流れなかったりするため,送信設定はANYバインド方式にする必要があります。

通常,クラスタシステム用の設定をすると,イベントサービス以外の通信方式は受信設定,送信設定共にIPバインド方式となります。このため,送信設定だけをANYバインド方式に変更する必要があります。JP1/Base本体の通信方式の変更は,jbssetcnfコマンドを使って,通信方式設定ファイルを共通定義情報に登録すると反映できます。

通信方式の詳細については,「6.3 JP1/Baseの通信方式の設定」を参照してください。また,クラスタセットアップ時の通信方式については,「付録H.12 クラスタセットアップ時の通信方式」を参照してください。

(5) JP1/Baseの再起動

JP1/Baseの通信設定を変更した場合,JP1/Base,JP1/Baseを前提とする製品,およびJP1/Baseと依存関係のあるプログラムを必要に応じて再起動する必要があります。