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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


5.3.1 ログファイルトラップのクラスタ運用

ログファイルトラップは,物理ホスト単位で起動します。論理ホスト単位での起動はできません。JP1イベントの登録先を論理ホストのイベントサービスにすると,論理ホストでJP1イベントを管理できます。運用方法に応じてJP1イベントの登録先を変更してください。

JP1イベントを論理ホストのイベントサービスへ登録したい場合は,jevlogstartコマンドの-sオプションに論理ホストのイベントサーバ名を指定して実行してください。jevlogstartコマンドの-sオプションを省略すると,JP1イベントは物理ホストのイベントサービスへ登録されます。

共有ディスク上のログファイルを監視する場合と,ローカルディスク上のログファイルを監視する場合の運用方法について次に説明します。

〈この項の構成〉

(1) 共有ディスク上のログファイルを監視する

共有ディスク上のログファイルを監視する場合は,論理ホストの起動と停止に合わせて,ログファイルトラップを起動および停止する必要があります。フェールオーバー時には,切り替え前のサーバのログファイルトラップを停止して,新たに実行系となったサーバでログファイルトラップを起動してください。

ログファイルトラップ起動定義ファイルを使用すると,フェールオーバー時にログファイルトラップをまとめて停止・起動できます。ログファイルトラップをまとめて停止・起動する場合の動作を次に示します。

図5‒2 ログファイルトラップをまとめて停止・起動する場合の動作

[図データ]

ログファイルトラップをまとめて停止・起動する場合,停止・起動するログファイルトラップは,ログファイルトラップ起動定義ファイルに指定します。また,クラスタソフトに,フェールオーバー時に実行するコマンドとしてjevlogstopコマンドおよびjevlogstartコマンドを-clusterオプション指定で登録します。フェールオーバー時,jevlogstart -clusterコマンドが実行されると,新たに実行系となったサーバでログファイルトラップ起動定義ファイルが読み込まれ,起動定義ファイルに指定されたログファイルトラップがまとめて起動されます。また,jevlogstop -clusterコマンドが実行されると,切り替え前のサーバで,以前jevlogstart -clusterコマンドによって起動されたログファイルトラップがまとめて停止されます。

なお,ログファイルトラップ起動定義ファイルを使用した場合は,ログファイルトラップ起動実行結果ログに出力される起動開始情報(KAVA3661-I)および起動結果情報(KAVA3662-I)を参照して,対象のログファイルトラップが起動されたことを確認してください。

フェールオーバー時にログファイルトラップをまとめて停止・起動するための設定方法を次に示します。

  1. ログファイルトラップ起動定義ファイルを編集する。

    実行系と待機系のそれぞれで,ログファイルトラップ起動定義ファイルのSTART_OPT_CLSパラメーターに,フェールオーバー時に停止・起動するログファイルトラップを指定します。このとき,START_OPT_CLSパラメーターの指定は,実行系と待機系で一致させてください。なお,複数のクラスタシステムを運用している場合は,クラスタシステムごとに停止・起動するログファイルトラップを指定します。

    ログファイルトラップ起動定義ファイルの詳細については,「16. 定義ファイル」の「ログファイルトラップ起動定義ファイル」を参照してください。

  2. クラスタソフトに,jevlogstop(クラスタ運用限定)コマンドおよびjevlogstart(クラスタ運用限定)コマンドを登録する。

    コマンドの詳細については,「15. コマンド」の「jevlogstop(クラスタ運用限定)」および「jevlogstart(クラスタ運用限定)」を参照してください。

なお,共有ディスク上のログファイルの監視中は,共有ディスクを常にアクセスできるように割り当てたままにしてください。ファイル監視中に共有ディスクの割り当て状態を変更すると,共有ディスクの割り当てや割り当て解除の制御に失敗したり,監視処理がエラーになったりするなどの問題が生じるおそれがあります。

共有ディスク上のログファイルを監視する場合の構成例を次の図に示します。

図5‒3 共有ディスク上のログファイルを監視する場合の構成例

[図データ]

(2) ローカルディスク上のログファイルを監視する

実行系と待機系両方のローカルディスク上のログファイルを監視する場合は,変換したJP1イベントをいったん物理ホストのイベントサービスに登録してください。そして,転送設定ファイル(forward)で論理ホストのイベントサービスに転送するよう設定してください。転送設定ファイルの詳細については,「16. 定義ファイル」の「転送設定ファイル」を参照してください。

ローカルディスクのログファイルを論理ホストで監視する場合の構成例を次の図に示します。

図5‒4 ローカルディスクのログファイルを論理ホストで監視する場合の構成例

[図データ]