Hitachi

COBOL2002 Professional製品 導入ガイド


付録D 用語解説

(英字)

COBOL

命令文に英語を使用した,事務処理向けのプログラミング言語です。

日立製作所のCOBOL製品を次に示します。

  • COBOL85

    標準的なCOBOLの仕様に対応する製品です。

  • COBOL2002

    標準的なCOBOLの仕様に加え,オブジェクト指向などの新規格をサポートした製品です。

COBOL正書法

COBOLプログラムのコーディング形式です。次に示す種類があります。

固定形式

行番号領域(1〜6カラム)や標識領域(7カラム)が固定されている形式のことです。

自由形式

行番号領域や標識領域のない形式のことです。

COBOLソース解析

COBOL2002 Professional Tool Kitの機能です。

作成済みのCOBOLプログラムを解析し,プログラムの入出力処理やサブルーチンコールが,プログラム同士でどのように関連しているかを判断するための,ソース解析情報を生成できます。作成者が不明で保守できないCOBOLプログラムの解析などに適用できます。また,老朽化したプログラムの再利用や,オープン化に伴うプログラムの流用に役立つので,プログラムを有効活用できます。

解析対象のCOBOLプログラムは,事前にコンパイルしてエラーがないことを確認してください。

COBOLソース解析用データベース

COBOLソース解析で使用する,COBOLソースファイルの解析結果を格納するためのデータベースのことです。組み込みデータベースに作成されます。

COPY登録集

登録集原文のことです。登録集原文を呼び出すときにCOPY文を使用するので,この名称で表記されます。

CRUD

データベースなどの永続記憶装置で必要とされる4つの基本機能のことです。4つの基本機能とは,Create(生成),Read(読み取り),Update(更新),Delete(削除)です。

CSV

データの各項目をコンマ(,)で区切って並べたファイル形式です。

CUI

COBOL2002 Professional Tool Kitが提供するバッチプログラムのことです。例として,COBOLソース解析ではcblcsaコマンド,単体テスト支援ではcblutsコマンドが該当します。

DBユティリティ

COBOL2002 Developer Professionalの組み込みデータベースを操作するコマンドインタフェースです。組み込みデータベースのセットアップと運用で使用します。

GUI

COBOLソース解析画面や影響波及調査ウィンドウなど,COBOL2002 Professional Tool Kitが提供する画面のことです。

HTML

Webブラウザで表示する用途で使用するマークアップ言語です。

ODBC

データベースにアクセスするためのソフトウェアの標準仕様です。

SQL埋め込みCOBOLソースファイル

埋め込みSQL文を含むCOBOLソースファイルのことです。ODBCインタフェース用の埋め込みSQL文を含むCOBOLソースファイル,およびCOBOL言語用SQLプリプロセサのUAPソースファイルがあります。

SQLプリプロセサ

高級言語のコンパイラでコンパイルできるように,SQL文を高級言語用の記述に変換するプログラムのことです。

(ア行)

移行データ回復情報ファイル

eadbloadコマンドの実行結果を格納するファイルのことです。組み込みデータベースのデータ移行用に,組み込みデータベースの情報を回復した結果が格納されます。

デフォルトのファイル名は,dbload_yyyymmddhhmm.logです。

移行データ退避情報ファイル

eadbextrコマンドの実行結果を格納するファイルのことです。組み込みデータベースのデータ移行用に,組み込みデータベースの情報を退避したファイルの情報が格納されます。

デフォルトのファイル名は,dbextr_yyyymmddhhmm.logです。

一意名呼び出し対応付けファイル

一意名で呼び出している文と,その呼び出し先プログラムを対応付けるファイルのことです。自動的に一意名を解決できないときに作成します。

ウィザード

対話形式で質問に答えていくことで,複雑なアプリケーションソフトの操作を簡単にするGUIの機能のことです。

影響2項関係

調査対象データ項目を処理する実行文で,処理する対象のデータ項目(調査対象)と,実行文の処理結果であるデータ項目の関係のことです。

(カ行)

解析結果CSVファイル

データ影響波及分析で,解析結果をCSV形式で出力したファイルです。

データ影響波及分析のメインウィンドウから出力できます。画面に指定したメモを保存できます。

開発マネージャ

プロジェクトの定義やツールの起動などを支援する,COBOL2002の開発環境を統合する機能です。

COBOL2002 Professional Tool Kitの機能である,COBOLソース解析,データ影響波及分析用データベースの作成,COBOLソースファイルを指定して単体テスト支援のテストプロジェクトの作成ができます。

カバレージ

プログラムをテストする手法のことです。COBOLプログラムの分岐条件が正しく実行されているか,または実行されていない処理がないか,などを統計情報として取得し,COBOLプログラムが正しく作成されているかどうかをテストします。

カバレージには,C0メジャー情報,C1メジャー情報,S1メジャー情報,およびこれらの差分情報があります。

カバレージレポート

単体テスト支援でテストを実行した際のカバレージ情報のことです。

プログラムの処理がとおっているかどうかを確認できます。

環境部(ENVIRONMENT DIVISION)

COBOLプログラムの,ハードウェア環境を定義する部(DIVISION)です。

コンピュータの名前や入出力に使用するドライブなどを定義します。

組み込みデータベース

ソフトウェア製品のデータを格納するために組み込まれたデータベースのことです。COBOL2002 Developer Professionalでは,COBOLソース解析とデータ影響波及分析の設定内容を保持するために組み込みデータベースを備えています。組み込みデータベースでは,データの格納効率を改善するための再編成や,バックアップとリストアもできます。

コメント行の文字列

COBOLプログラムの内容がわかりやすくなるように,コメント行にコーディングした日本語の文字列のことです。

コメント行の文字列をCOBOLソース解析のソース解析情報に出力するときは,[解析生成オプション設定]画面で条件を指定します。

(サ行)

再編成

データベースへのデータの書き込みと削除を繰り返すと,データの格納領域の断片化によって,ランダムな空き領域ができてしまいます。このとき,データの格納順を整えて空き領域を増やすことをデータベースの再編成といいます。組み込みデータベースを使用するときは,定期的な再編成をお勧めします。

作業場所節(WORKING-STORAGE SECTION)

COBOLプログラムのデータ部(DATA DIVISION)に定義する節(SECTION)です。ワークとして使用するデータ格納領域を定義します。

サブシステム

データ影響波及分析用データベースの情報を論理的に区切るための単位のことです。開発マネージャのプロジェクトマスタと対応づけて管理します。

実行単位

ルートプログラムが呼び出すプログラム,およびそのプログラムがさらに呼び出すプログラムの呼び出し関係をすべて収集したプログラムの集まりのことです。

スタックコンパイル

複数のCOBOLプログラムを連続してコンパイルする機能のことです。スタックコンパイルでは1つのCOBOLソースファイルに主プログラム,副プログラムを含めることができ,このCOBOLソースファイルから作成される実行可能ファイルと1対1で対応するため管理しやすくなります。

節(SECTION),セクション

COBOLプログラムを構成する単位です。部(DIVISION)の下位に記述します。

節コメント行

COBOLプログラムの節の内容がわかりやすくなるように,コメント行にコーディングした日本語の節名のことです。

節コメント行を抽出する条件は,COBOLソース解析の[解析生成オプション設定]画面にある[節コメント行抽出]タブに指定します。

ソース解析情報

COBOLソース解析の解析結果のことです。HTMLファイル形式またはCSVファイル形式で格納されます。

(タ行)

単体テスト支援

COBOL2002 Professional Tool Kitの機能です。

プログラム単位のテストである,単体テストの実行に必要なダミープログラムやファイルを自動生成し,テストプロジェクトとして管理できます。テストケースを複数設定できるので,あるテストケースの一部を変更して別のテストケースにするなど,単体テストを効率良く実行できます。

中断点

プログラムの処理をすべて実行するには時間が掛かる,または作成できた処理までの範囲をテストしたい場合などに,COBOLプログラムの処理を命令文で中断するときに設定します。

単体テスト支援では,プログラムを中断したときの値が正しいかどうかを判定するための期待値と値の代入を中断点で設定できます。

調査状態保存ファイル

データ影響波及分析の解析結果を調査する画面構成を保存するファイルです。調査状態保存ファイルには,データ影響波及分析で調査中の画面を保存できるので,翌日に続きを調査,ほかの人に調査を引き継ぐ,などの運用ができます。

調査対象一覧ファイル

データ影響波及分析で調査対象となるデータ項目の一覧をCSV形式で出力したファイルです。

調査対象データ項目

データ影響波及分析で,変更することでプログラムに影響があるかどうかを調査する,開始点となるデータ項目のことです。

調査対象データ項目を含むCOBOLプログラムのことを調査対象プログラムといいます。

データ影響波及分析

COBOL2002 Professional Tool Kitの機能です。

COBOLプログラムのデータ項目に対する修正の影響が,ほかのプログラムにどのように波及するのかを調査できます。大量で複雑な呼び出し関係があるCOBOLプログラムを解析し,GUIの操作でデータ項目に対する修正による影響を調査できます。

データ影響波及分析用データベース

データ影響波及分析で使用する,COBOLソースファイルの解析結果を格納するためのデータベースのことです。組み込みデータベースに作成されます。

データ項目

COBOLプログラムのデータ部(DATA DIVISION)で定義する,プログラムで使用するデータとして定義された領域のことです。レベル番号で階層化できます。

データ部(DATA DIVISION)

COBOLプログラムの処理で使用するデータ領域を定義する部(DIVISION)です。次に示す節(SECTION)を定義します。

  • ファイル節(FILE SECTION)

    実際にデータを格納する領域を定義します。

  • 作業場所節(WORKING-STORAGE SECTION)

    一時的に使用する領域を定義します。

  • 連絡節(LINKAGE SECTION)

    プログラムからの呼び出しで参照されるデータ項目を定義します。

データベース回復情報ファイル

earstrコマンドの実行結果を格納するファイルのことです。トラブル時に,状態を回復する目的でバックアップファイルを使用した結果が格納されます。

デフォルトのファイル名は,restore_yyyymmddhhmm.logです。

データベース退避情報ファイル

eabackupコマンドの実行結果を格納するファイルのことです。トラブル時に,状態を回復する目的で取得したバックアップファイルの情報が格納されます。

データベース退避情報ファイルの内容を参照すれば,バックアップを取得したファイルの情報,取得したバックアップの範囲(COBOLソース解析用データベースのバックアップか,データ影響波及分析用データベースのバックアップか,またはその両方か)を確認できます。

デフォルトのファイル名は,backup_yyyymmddhhmm.logです。

データ領域

データ影響波及分析用データベースで,複数のサブシステムを格納できる領域のことです。複数の大規模プロジェクトを持つ場合に,プロジェクトを別々のデータ領域に格納することで大容量のデータを扱えます。

テストケース

単体テスト支援の,1件のテストの単位です。テストプロジェクトに複数のテストケースを作成できます。

テストケース結果レポート

1つのテストケースの単体テストを実行した結果を表示するレポートです。

テストデータ

テストケースに含まれるデータ項目の値の代入設定や表示設定など,テスト実行に必要な設定の総称です。

テストプロジェクト

単体テスト支援のテストを管理する単位です。テスト対象のCOBOLソースファイルとテストプロジェクトは1対1の関係です。テストプロジェクトには,複数のテストケースを作成できます。また,複数のテスト実行結果を格納できるので,テストを実施した履歴も管理できます。

テストプロジェクト結果レポート

単体テスト支援で,テストプロジェクトに属する複数のテストケースを一括でテストを実行した結果を一覧で表示するレポートのことです。

手続き部(PROCEDURE DIVISION)

COBOLプログラムの,プログラムの処理を定義する部(DIVISION)です。

登録集原文

COBOLプログラム中でよく利用される標準化した手続き,ファイル記述,レコード記述,または完全な1つのプログラムを,コンパイルするプログラムとは別のファイルにしたデータのことです。

(ハ行)

バックアップ

トラブルに備え,組み込みデータベースの各種情報を複製し格納することです。COBOLソース解析では,組み込みデータベースのバックアップをサポートしています。トラブル対策に加え,別のマシンにリストア(復元)して,作業環境を複製できます。

COBOLソース解析での表とは,データベースで使用するSQLの表のことです。

部(DIVISION)

COBOLプログラムを構成する単位です。部(DIVISION)には,次に示す4種類があります。

  • 見出し部(IDENTIFICATION DIVISION)

  • 環境部(ENVIRONMENT DIVISION)

  • データ部(DATA DIVISION)

  • 手続き部(PROCEDURE DIVISION)

ファイル

ファイル管理記述項のASSIGN句で指定したファイル名(外部装置名,データ名,定数)の総称です。

ファイル管理記述項

COBOLプログラムで,ファイルの属性(順編成ファイル,相対編成ファイル,索引編成ファイルなど)を定義します。ファイル管理記述項は,SELECT句で始め,ASSIGN句で記憶媒体名または記憶装置名を定義します。

ファイル節(FILE SECTION)

COBOLプログラムのデータ部(DATA DIVISION)に定義する節(SECTION)です。実際にデータを格納する領域を定義します。

プログラムコメント行

COBOLプログラムのプログラム名に半角英数字を使用している場合に,プログラムの内容がわかるように,コメント行にコーディングしている日本語の2バイト文字列のことです。

プログラムコメント行を抽出する条件は,COBOLソース解析の[解析生成オプション設定]画面にある[プログラムコメント行抽出]タブに指定します。

プログラム情報フィルタリングファイル

データ影響波及分析で,COBOLソースファイルの解析結果をフィルタリングするためのファイルです。

プログラム名

COBOLプログラムに付ける名前のことで,見出し部(IDENTIFICATION DIVISION)のPROGRAM-IDに指定します。

(マ行)

マイグレーション

システムで使用しているプログラムおよび関連するデータを別のシステムに移して活用することです。企業の基幹システムの変更に伴い,メインフレームのプログラム資産をWindows環境に移植,などの作業が該当します。

未使用資産

未使用のソフトウェア資産のことです。資産分析(資産の棚卸し)によって洗い出される,未使用資産を保守・運用の対象外にすることで,保守・運用工数,コストを削減できます。

見出し部(IDENTIFICATION DIVISION)

COBOLプログラムの,見出しを記述する部(DIVISION)です。見出し部で記述する項目の例を次に示します。

  • プログラム名(PROGRAM-ID)

メインフレーム

中規模または部門ごとに構築したWindowsまたはUNIXを基盤とするサーバに対し,基幹業務を実行する大型のホストコンピュータのことを指します。日立製作所のメインフレームには基本ソフト(OS)にVOS系(VOS3,VOS1,VOSKなど)を搭載しています。

(ラ行)

リストア

バックアップしたデータを使って,組み込みデータベースを復元することです。COBOLソース解析では,バックアップからの復元に加え,あるWindowsマシンのバックアップを別のWindowsマシンにリストアして,作業環境を複製できます。

リバースエンジニアリング

コーディング済みのCOBOLプログラムを解析し,どのようにプログラムが設計されているのかを導き出す手法のことです。通常のソフトウェア開発工程と逆の手順となることから,リバースエンジニアリングといいます。

ルートプログラム

データ影響波及分析用データベースに登録したCOBOLソースファイルの中で,どのCOBOLソースファイルからも呼び出されないプログラムのことです。

連絡節(LINKAGE SECTION)

COBOLプログラムのデータ部(DATA DIVISION)に定義する節(SECTION)です。プログラムからの呼び出しで参照されるデータ項目を定義します。