COBOL2002 使用の手引 手引編


33.1.2 リポジトリファイルを使用するCOBOLプログラムの作成手順

リポジトリファイルを使用するCOBOLプログラム作成の例として,各翻訳単位の定義と,それを参照する翻訳単位を別々のソースファイルで作成する場合の開発手順について説明します。この手順は,例えば複数の開発者が担当部分の原始プログラムを作成およびコンパイルし,最後にそれぞれのオブジェクトファイルをリンクして実行可能ファイルを作成するようなケースに適用できます。

開発手順を,次に示します。

[図データ]

  1. 翻訳単位間のインタフェースの決定

    まず,参照先の翻訳単位と参照元の翻訳単位の間のインタフェースを決定する必要があります。COBOL2002では,この翻訳単位間のインタフェース情報のことをシグニチャと呼びます。シグニチャの詳細については,マニュアル「COBOL2002 言語 標準仕様編」 「4.12 外部リポジトリ」を参照してください。

    翻訳単位間のインタフェースを決定するためには,参照先の翻訳単位の原始プログラムで,シグニチャを作成しておく必要があります。

    ただし,オブジェクト指向機能の場合,クラス定義のシグニチャを作成する代わりに,インタフェース定義を使用する方法もあります。インタフェース定義は,実装するクラス定義とインタフェースの構成を変更したい場合などに使用します。インタフェースの詳細は,「20 オブジェクト指向機能」を参照してください。

  2. リポジトリファイルの生成

    1.で作成したシグニチャを持つ,参照先の翻訳単位の原始プログラムをコンパイルして,リポジトリファイルを生成します。リポジトリファイルの生成方法については,「33.3.2 リポジトリファイルの単独生成」を参照してください。

  3. 原始プログラムの作成

    原始プログラムを作成します。

    参照元の翻訳単位で,環境部構成節のリポジトリ段落に,参照先の翻訳単位名を指定します。また,1.でシグニチャだけを作成した参照先の翻訳単位の原始プログラムも完成させます。

  4. リポジトリファイルの取り込みとコンパイル

    リポジトリファイルの格納ディレクトリに,2.で生成した,参照先の翻訳単位から生成したリポジトリファイルを格納します。リポジトリファイルの格納ディレクトリについては,「33.2.4 リポジトリファイルの参照方法」を参照してください。

    翻訳単位をコンパイルすると,コンパイラによってリポジトリファイルが読み込まれ,参照先の翻訳単位のシグニチャと,参照元の翻訳単位のINVOKE文,SET文,関数一意名などの参照情報との適合がチェックされます。適合チェックの詳細は,「33.1.3 リポジトリファイルに格納される情報と適合チェック」を参照してください。

  5. 実行可能ファイルまたは共用ライブラリの生成

    4.で生成したオブジェクトファイルをリンカによって結合して,実行可能ファイルまたは共用ライブラリを生成します。