COBOL2002 使用の手引 手引編


32.3.1 原始文操作機能

ここでは,COBOL2002の原始文操作機能について説明します。

〈この項の構成〉

(1) COPY文による登録集原文の取り込み

登録集原文(COPY登録集)は,プログラムでよく利用する標準化した手続き,ファイル記述,完全なプログラムなどを登録したファイルです。プログラム中にCOPY文を記述すると,この登録集原文を複写してコンパイルできます。

(2) 登録集原文のファイル形式

登録集原文は,ファイル単位に登録・複写します。

登録集原文を登録するファイルのファイル形式は,.cbl,.CBL,.cob,.ocb,.cbf,.ocfのどれかの拡張子の付いた形式とします。ただし,環境変数CBLFREEまたはCBLFIXで自由形式拡張子,固定形式拡張子が設定してあれば,該当する拡張子の付いた形式も有効です。

(3) COPY文の指定形式

COPY文の指定形式を次に示します。COPY文の文法の詳細については,マニュアル「COBOL2002 言語 標準仕様編」 「3.2.2 COPY文」を参照してください。

[図データ]

原文名
  • 原文名には,登録集原文が登録されているファイルの名称を,拡張子を付けないで指定します。

  • 原文名には,かな文字と拡張コード文字は使用できません。また,原文名で英大文字と英小文字は区別されます。

  • 原文名は,COBOL語の定義に従い31文字まで指定できます。ただし,-Compati85,Syntaxオプション指定時は,先頭の30文字までしか有効となりません。また,次のオプションを指定している場合は,先頭の8文字までしか有効となりません。

    -V3Rec,Fixed -V3Rec,Variable -CompatiV3

原文名定数

原文名定数は,登録集原文を登録してあるファイルの絶対パス名を引用符で囲んで指定します。このとき,ファイル名には拡張子も付けます。

-V3ConvtNameオプションを指定したときの原文名定数の扱い

-V3ConvtNameオプションを指定する場合,原文名定数には登録集原文を登録してあるファイルのファイル名を引用符で囲んで指定します。

-V3ConvtNameオプションを指定すると,VOS3 COBOL85のソースファイルとの互換のため,原文名定数中の文字が変換されて検索されます。変換規則については,「32.5.12 他システムとの移行の設定」の「(11) -V3ConvtNameオプション」を参照してください。

登録集名

登録集名は,登録集環境変数として次のように設定しておきます。

形式
登録集名=登録集検索ディレクトリ〔; …〕
export 登録集名
規則
  • 登録集検索ディレクトリには,原文名に対応するファイルを検索する任意のディレクトリを絶対パスで指定します。このパス名に,原文名または原文名定数で指定したファイル名を連結して絶対パス名とします。

  • 登録集環境変数名は,先頭が英大文字で始まる,英大文字と数字で構成される8文字以下の文字列でなければなりません。

  • 登録集環境変数に設定するパス名は,複数指定できます。複数指定した場合,左側から指定した順番に検索されます。

(4) 登録集原文の検索順序

原文名で指定したファイルは,拡張子,ディレクトリの二つの条件で検索されます。それぞれの検索順序は次のようになっていて,両者のうちでは拡張子による検索順序が優先します。また,-V3ConvtNameオプションを指定した場合,原文名定数に指定したファイルは,ディレクトリによる検索順序で検索されます。

拡張子による検索順序
  1. 固定形式拡張子(環境変数CBLFIXで設定)

  2. 自由形式拡張子(環境変数CBLFREEで設定)

  3. .cbl

  4. .CBL

  5. .cob

  6. .ocb

  7. .cbf

  8. .ocf

ディレクトリによる検索順序
  1. 登録集環境変数で設定したディレクトリ

  2. 環境変数CBLLIBで指定したディレクトリ

  3. カレントディレクトリ

例えば,固定形式拡張子,自由形式拡張子とも設定されていない場合,"ファイル名.cbl"で1.〜3.の順にディレクトリを検索し,目的のファイルがなければ,次に"ファイル名.CBL"で同様に検索します。