Hitachi

Hitachi IT System Configuration Manager 解説


2.11.4 運用

ここでは,設計書によるマスターイメージ作成機能を使用する場合の運用について説明します。

ISCM導入後,PaaS提供者とPaaS利用者が行う作業の流れを次に示します。

表2‒54 設計書を用いた運用

項番

カテゴリ

作業内容

PaaS提供者

PaaS利用者

1

事前準備

テンプレートの作成と登録

  • テンプレートのカスタマイズ

  • スクリプトの作成

×

2

設計書の作成

  • サンプルファイルの場所

  • カスタマイズが必要な項目

×

3

設計書を用いた業務システムの構築とテスト

×

4

設計書の公開

×

5

マスターイメージの操作

設計書を用いたマスターイメージの登録

  • 入力のカスタマイズ

6

ミドルウェアのセットアップ

  • サービスまたはコマンドの実行

7

ミドルウェアのアップデート

  • サービスまたはコマンドの実行

8

ミドルウェアのアンセットアップ

  • サービスまたはコマンドの実行

(凡例)

○:作業できます。

×:作業できません。

〈この項の構成〉

(1) テンプレートの作成と登録

構成パターンテンプレートとコンポーネントテンプレートを作成し,ISCMに登録します。

(2) 設計書の作成

次のディレクトリに格納されている設計書のサンプルファイルを元に,設計書をカスタマイズします。

表2‒55 設計書のサンプルファイルのパス

項番

構築対象のOS

設計書のパス

1

Linux

<ISCMインストールディレクトリ>

\mgr\sample\VMware\Linux\ddSystem01.xlsx

または

<ISCMインストールディレクトリ>

\mgr\sample\HVM\Linux\ddSystem01.xlsx

2

Windows

<ISCMインストールディレクトリ>

\mgr\sample\VMware\Windows\ddSystem01.xlsx

または

<ISCMインストールディレクトリ>

\mgr\sample\HVM\Windows\ddSystem01.xlsx

設計書ファイルについて,事前準備で記載する必要がある項目を次に示します。なお,ここに示した内容は,最低限PaaS利用者が業務システムを構築する際に必要となる情報であり,下記以外を事前準備で記載していても問題ありません。

表2‒56 設計書の入力項目

項番

シート名

項目

説明

1

マスターイメージ基本情報シート

(1)マスターイメージ基本情報

項番5 構成パターンテンプレート名

このマスターイメージが使用する構成パターンテンプレートを指定します。

2

項番6 サイジングUOCクラス名

サイジングUOCを使用する場合は,サイジングUOCのクラス名を指定します。

3

項番7 サイジングUOCファイル名

サイジングUOCを使用する場合は,サイジングUOCのjarファイル名を指定します。

4

(2)コンポーネント情報

コンポーネントID

このマスターイメージが使用するコンポーネントのIDを指定します。

5

コンポーネントテンプレート名

このマスターイメージが使用するコンポーネントテンプレートの名前を指定します。

6

設定対象識別子

このマスターイメージが使用するコンポーネントテンプレートのミドルウェア識別子を指定します。

7

(3)サイジングUOC入力パラメータ

UOC入力パラメータ

サイジングUOCを使用する場合は,サイジングUOCに渡すパラメータを指定します。

8

パラメータ定義シート

(a)ISCM解析情報

コンポーネントID

このシートでパラメータを定義するコンポーネントのIDを指定します。

項番4で指定したコンポーネントIDと一致している必要があります。

9

設定対象識別子

このシートでパラメータを定義する設定対象識別子を指定します。

10

(2)パラメータと設定値情報

デフォルト設定値

項番11の可変部定義名に対応する,デフォルト値を指定します。

11

可変部定義名

テンプレートで定義した可変部定義名を指定します。

12

ネットワーク情報シート

(1)ネットワーク情報

コンポーネントID

このシートでネットワーク情報を定義するコンポーネントのIDを指定します。

項番4で指定したコンポーネントIDと一致している必要があります。

13

仮想ネットワークデバイス用途

このシートで定義するコンポーネントのNICに対応した仮想ネットワークデバイス用途を指定します。構成パターンテンプレートの仮想ネットワークデバイス用途と合わせる必要があります。

14

設定シート

(1)シート名定義

シート名定義

設計書で解析対象とするシートの名前を定義します。

15

(2)列名定義

列名定義

設計書で解析対象とする列名を定義します。列名を変更した場合は,その他のシートの列名も合わせて更新してください。

16

(3)特殊文字定義

特殊文字定義

パラメータと設定値情報表で使用する特殊文字を定義します。

17

(4)設計書オプション定義

設計書オプション定義

各シートの表を解析する際のルールを定義します。

(3) 設計書を用いた業務システムの構築とテスト

設計書をもとにマスターイメージを登録し,テストを行います。設計書に必要な情報を入力し,次の(5)〜(8)に示す方法で動作確認を行ってください。

設計書に記載する内容についてはマニュアル「Hitachi IT System Configuration Manager リファレンス」の「設計書」の章を参照してください。

(4) 設計書の公開

設計書をPaaS利用者が使用できるようにPaaS利用者に公開します。

(5) 設計書を用いたマスターイメージの登録

ISCMのコマンドまたはJP1/AOのサービスを用いてマスターイメージの登録とリソースの予約を行います。

表2‒57 設計書を用いたマスターイメージの登録手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

構築する業務システムの目的や性能に応じた設計書を入手します。

PaaS提供者から提供された設計書の中から選択します。

2

構築対象ホストの数と設計書のパラメータを確認し,追加・変更する定義があるかを検討します。

定義がある場合は設計書に反映します。

3

設計書をもとに,仮想ホストを構築します。

4

設計書をもとに,マスターイメージを登録します。

「マスターイメージの登録」サービス

または,

csdmiregister -x 設計書

5

設計書に記載されたネットワークのリソースを予約します。マスターイメージの状態は,リソース確保状態になります。

「リソースの予約」サービス

または,

csdmireserve

-n マスターイメージ名

(凡例)

−:該当なし。

(6) ミドルウェアのセットアップ

ISCMのコマンドまたはJP1/AOのサービスを用いてミドルウェアのセットアップを行います。

表2‒58 設計書を用いたミドルウェアのセットアップ手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

構築対象となるマスターイメージの設計書を入手します。

右の手順で登録済みのマスターイメージから出力することも可能です。

「マスターイメージの表示」サービスのエクスポートボタンを押す

または,

csdmiexport

-n マスターイメージ名

-d ディレクトリ名

2

マスターイメージに含まれるミドルウェアのセットアップを行います。

「業務システムのデプロイ」サービス

または,

csdmideploy

-nマスターイメージ名

(7) ミドルウェアのアップデート

ISCMのコマンドまたはJP1/AOのサービスを用いてミドルウェアのアップデートを行います。

表2‒59 設計書を用いたミドルウェアのアップデート手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

更新対象となるマスターイメージの設計書を入手します。

右の手順で登録済みのマスターイメージから出力することも可能です。

「マスターイメージの表示」サービスのエクスポートボタンを押す

または,

csdmiexport

-n マスターイメージ名

-d ディレクトリ名

2

設計書でミドルウェアのパラメータを更新します。

3

マスターイメージに含まれるミドルウェアのアップデートを行います。

「業務システムの更新」サービス

または,

csdmiupdate

-nマスターイメージ名

-x 設計書

(凡例)

−:該当なし。

(8) ミドルウェアのアンセットアップ

ISCMのコマンドまたはJP1/AOのサービスを用いてミドルウェアのアンセットアップを行います。

表2‒60 設計書を用いたミドルウェアのアンセットアップ手順

項番

手順

具体的な処理/コマンド例

1

マスターイメージに含まれるミドルウェアのアンセットアップを行います。

「業務システムのアンデプロイ」サービス

または,

csdmiundeploy

-nマスターイメージ名