1.2.2 SNMPトラップの発行
SNMPエージェントはエージェントシステムで発生した変化をSNMPトラップとしてマネージャーに送信します。SNMPトラップの発行の概要を次の図に示します。
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SNMPエージェントは,起動時やマネージャーからの不当なSNMP要求を受信した場合などに,SNMPトラップメッセージを作成し,マネージャーに送信します。なお,IPv4のSNMPトラップメッセージはSNMPv1に対応しています。IPv6のSNMPトラップメッセージはSNMPv1およびSNMPv2cに対応しています。
- 参考
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ユーザーはマネージャーでどのSNMPトラップを重要と見なし,アラームとして表示するかを制御できます。マネージャーで表示されたアラームを簡単にモニターし,ネットワークを正常に保つために適切なアクションをとることができます。
次に,SNMPトラップについて説明します。
(1) SNMPv1トラップの標準トラップ番号
SNMPv1トラップには一般トラップと拡張トラップがあります。それぞれのSNMPv1トラップはRFC1157で次のように規定されています。
- 一般トラップ
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RFC1157で規定されている標準トラップ番号0〜5で識別されるトラップ。
- 拡張トラップ
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RFC1157で規定されている標準トラップ番号6とユーザーが任意に指定した固有のトラップ番号を結合した番号で識別されるトラップ。
SNMPv1トラップの種別と標準トラップ番号を次の表に示します。
SNMPv1トラップの種別 |
標準トラップ番号 |
意味 |
---|---|---|
一般トラップ※ |
0 |
coldStart |
1 |
warmStart |
|
2 |
linkDown |
|
3 |
linkUp |
|
4 |
authenticationFailure |
|
5 |
egpNeighborLoss |
|
拡張トラップ |
6 |
enterpriseSpecific |
注※ SNMPエージェントが発行する一般トラップは,coldStartトラップおよび,authenticationFailureトラップです。その他の一般トラップは発行しません。
ここでは,一般トラップについて説明します。拡張トラップについては,「1.2.3(2) 拡張トラップの定義」を参照してください。
(2) SNMPトラップ発行時のエージェントアドレス
IPv4のSNMPv1トラップ発行時のエージェントアドレス(SNMPv1トラップPDUのAgent Addressフィールドに設定される値)は,SNMPエージェントがインストールされたマシンのIPv4アドレスです。該当するシステムのOSの関数を使用して取得したホスト名を,OSの関数を使用してIPアドレスに変換して取得します。
IPv6のSNMPv1トラップ発行時のエージェントアドレスは,次のIPv4アドレスが設定されます。
条件 |
値 |
---|---|
default |
0.0.0.0 |
宛先アドレスが::1 |
127.0.0.1 |
宛先アドレスがIPv4射影アドレスで,-ip_protoがipv6ではない。 |
システムのOSの関数を使用して取得したホスト名を,OSの関数を使用してIPv4アドレスに変換した値。 |
エージェントアドレスの値が「0.0.0.0」になる場合は,トラップが正しく処理されないことがあります。例えば,マネージャーがこのフィールドを参照している場合,「0.0.0.0」を未知のIPアドレスからのトラップと判定してしまい,トラップを正しく処理できません。この場合,SNMPv2cトラップを発行するように変更することで対処できることがあります。IPv6のSNMPv2cトラップを発行するための設定は,「2.8 IPv6の設定」を参照してください。
(3) エンタープライズID
SNMPv1トラップ中に設定されるエンタープライズIDを次の表に示します。
注※ SNMPエージェントとNNMiがシステムに共存している場合でも末尾が3のエンタープライズIDが設定されます。
SNMPv1トラップ中に設定するエンタープライズIDは,SNMPエージェントの標準MIBオブジェクトであるSystemグループのsysObjectIDの値が設定されます。
- 参考
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マネージャーでSNMPトラップに対してイベント設定が必要な場合は,SNMPエージェントが発行するSNMPトラップ中に設定されているエンタープライズIDを設定してください。なお,NNMのイベント設定には,SNMPエージェントから通知されるSNMPトラップ情報が設定されています。