Hitachi

JP1 Version 10 JP1/Cm2/Network Node Manager i インストールガイド


2.2 インストール前のNNMi管理サーバー環境を準備する

NNMi管理サーバーとは,NNMiソフトウェアがインストールされているサーバーのことです。各NNMi管理サーバーは,64ビットマシンである必要があります。ハードウェア要件の詳細については,「2.1 ハードウェアおよびソフトウェアを確認する」を参照してください。

NNMi管理サーバーにNNMiをインストールする前に,表2-1のチェックリストでチェックを実施してください。

注意事項

NNMiのインストールや設定作業を行う前に,リモートデスクトップに次の設定を行ってください。なお,この設定を行うとWindowsの使用リソースが増加しますので,作業終了後に必要に応じて設定を元に戻してください。

  • 設定個所

    Windows Server 2008の場合

    [管理ツール][ターミナルサービス][ターミナルサービス構成]

    Windows Server 2008 R2の場合

    [管理ツール][リモート デスクトップ サービス][リモート デスクトップ セッション ホストの構成]

    Windows Server 2012以降の場合

    [ローカル グループ ポリシー エディタ][コンピューターの構成]>[管理用テンプレート][Windowsコンポーネント][リモート デスクトップ サービス][リモート デスクトップ セッション ホスト][一時フォルダ]

    注※ [ローカル グループ ポリシー エディタ]は,スタート画面で「gpedit.msc」と入力して開くことができます。

  • 設定内容

    Windows Server 2008およびWindows Server 2008 R2の場合

    「セッションごとに一時フォルダを使用する」と「終了時に一時フォルダを削除する」を無効(いいえ)に設定する。設定の変更をシステムに反映させるため,一度ログオフし,再度ログオンする。

    Windows Server 2012以降の場合

    「セッションごとの一時フォルダを使用しない」と「終了時に一時フォルダを削除しない」を有効に設定する。設定の変更をシステムに反映させるため,一度ログオフし,再度ログオンする。

表2‒1 NNMi管理サーバーのインストール前チェックリスト

チェック欄

(はい/いいえ)

NNMi管理サーバーの準備

NNMiをインストールするサーバーのホスト名は,RFCに準拠したホスト名にしてください。

ホスト名に使用できる文字は,英数字(A-Z,a-z,0-9),ハイフン(-),およびドメイン名を区切るドット(.)です。

RFCに準拠していないホスト名(例:アンダーバー(_)を含むホスト名)が設定されていると,NNMiコンソールの接続やコマンドの実行に失敗する場合があります。

NNMiをインストールするサーバーで,あらかじめ自ホストの名前解決ができること,およびlocalhostが127.0.0.1で名前解決できることを確認してください。

Windowsの場合

OSのシステムドライブがCドライブであることを確認してください。システムドライブがCドライブ以外の環境には,NNMiをインストールできません。

Windowsの場合

NNMiをインストールするディスクドライブやデータディレクトリを配置するディスクドライブに厳しいセキュリティ設定をしている場合,セキュリティの設定が必要になる場合があります。詳細については,「付録A.1 ディスクドライブのセキュリティ設定(Windowsの場合)」を参照してください。

Windowsの場合

8.3形式の短いファイル名を有効にする必要があります。無効になっている場合,次のコマンドを実行してください。

fsutil behavior set disable8dot3 0

また,インストールディレクトリに指定するディレクトリ,およびその上位ディレクトリの名前が8.3形式を満たさない場合,8.3形式の短いファイル名が設定されている必要があります。設定されていない場合,次のコマンドを実行して設定してください。

fsutil file setshortname 設定するディレクトリ名> <短いファイル名

Windowsの場合

SNMPサービスをチェックしてください。SNMP Serviceがインストールされている場合,このサーバーでSNMP Trap Serviceを無効にする必要があります。

対応Webブラウザをインストールして有効にします。「2.1 ハードウェアおよびソフトウェアを確認する」および「付録A.3 NNMiコンソール用のWebブラウザの有効化」を参照してください。

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)をお使いの場合,NNMi管理サーバーには,常に同じIPアドレスが割り当てられるように設定してください。

Windowsの場合

インストールパフォーマンスの向上のために,NNMiのインストールが完了するまで,ウイルス対策ソフトウェアを無効にしてください。

NNMiのインストールが完了したら,各ウイルス対策サービスを再起動してください。

Linuxの場合

LinuxサーバーにNNMiをインストールするためには,NNMiが必要とする次のライブラリファイルをインストールしておくことが必要です。また,それぞれの依存関係があるライブラリファイルについてもインストールしてください。

/lib64/libaio.so.1

/usr/lib/libstdc++.so.6

/usr/lib64/libXtst.so.6

/usr/lib64/libXi.so.6

詳細については,「付録A.4 Linuxへの必要なライブラリのインストール(Linuxの場合)」を参照してください。

NNMiが使用するすべてのポートが利用できることを確認するまで,NNMiをインストールしないでください。NNMiが使用するポート一覧やファイアウォールの通過方向は,マニュアル「JP1/Cm2/Network Node Manager i セットアップガイド」の「付録C NNMiが使用するポートの一覧」を参照してください。

自ホストのIPアドレスとの通信をファイアウォールなどでブロックしないでください。

Windowsの場合

必ず日本語版で,ユーザーのロケールを日本語に設定して使用してください。日本語版以外のOSを使用し,ユーザーのロケールを日本語に設定して使用した場合,この製品は正常に動作しません。また,その逆に日本語版のOSを使用し,ユーザーのロケールを日本語以外にしてこの製品を使用しないでください。

HP-UXの場合

NNMi管理サーバーのロケールにja_JP.SJISまたはja_JP.eucJPを設定します。

Solarisの場合

NNMi管理サーバーのロケールにja_JP.PCKまたはja_JP.eucJPを設定します。

Linuxの場合

NNMi管理サーバーのロケールにja_JP.UTF-8を設定します。

古いバージョンのNNMをアンインストールしてもその設定情報が残っています。以前の古い情報は,古いバージョンのNNMのリリースノートを参照して,インストール前に削除しておくようにしてください。

Windowsの場合

この製品をインストールする前に,Windowsのサービス画面([コントロール パネル][管理ツール][サービス]より起動される画面)が起動していないことを確認してください。起動している場合はサービス画面を閉じてください。

Windowsの場合

システム環境変数Pathに設定されている文字列の長さと次のディレクトリのパスの長さの和が950バイト以上になる場合,環境変数に1,024バイト以上の文字列を設定できるバージョンのOSであっても,この製品のインストールに失敗することがあります。

  • %NnmInstallDir%bin\;

  • %NnmDataDir%shared\nnm\actions\;

システム環境変数Pathに設定されている文字列を一時的に減らしてからインストールをしてください。インストール後はOSが扱える文字数の範囲内で,システム環境変数Pathに文字列を再度追加してもかまいません。

Windowsの場合

NNMiをデフォルト以外のパスにインストールする場合,インストールディレクトリとデータディレクトリの名称に使用できる文字は,英数字(A-Z,a-z,0-9),ハイフン(-),ピリオド(.),アンダーバー(_),半角スペース( )です。また,それぞれの絶対パスの最大長は60文字です。

Windowsの場合

<drive>:\Documents and Settingsなど接合点を含むパスは指定しないでください。一時ファイルが削除されないなどの不具合が発生する場合があります。

Windowsの場合

環境変数%TEMP%%TMP%の値が異なる環境に,NNMiをインストールすると,インストールに失敗することがあります。インストール前に環境変数%TEMP%%TMP%の値が同じであることを確認してください。異なる場合は,%TEMP%%TMP%に同じ値を設定してください。

Windowsの場合

環境変数に次の変数を設定しないでください。

LANG

LC_で始まるもの

ほかの製品でこれらの環境変数が設定されている場合は,この製品との共存ができない場合があります。これらの環境変数を設定したまま,NNMiをインストールすると,インストールに失敗する場合があります。

Windowsの場合

Windows Server 2008 R2またはWindows Server 2012以降にリモートデスクトップサービスのリモートデスクトップセッションホストがインストールされている場合は,NNMiをインストールする前に次の設定が必要です。

  • change user /installを実行してインストールモードに変更します。

設定の詳細はリモートデスクトップセッションホストのヘルプを参照してください。

Windows Server 2008の場合は,リモートデスクトップサービスのリモートデスクトップセッションホストをターミナルサーバーに読み替えてください。

Windowsの場合

NNMiをインストールするシステムに,OSの再起動が必要な変更をした場合は,NNMiをインストールする前にOSを再起動してください。

OSの再起動が必要な例として,次のレジストリ値が存在する場合があります。値が存在している場合,NNMiはインストールを中断することがあります。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\PendingFileRenameOperations

通常は,OSを再起動することでこのレジストリ値はなくなります。

Windowsの場合

NNMiはインストールおよびアンインストール時に,%TEMP%ディレクトリを最大500MB使用します。ディスク容量が不足していると,インストールやアンインストールが失敗する場合があります。

UNIXの場合

NNMiはインストールおよびアンインストール時に,/tmpディレクトリを最大1GB使用します。ディスク容量が不足していると,インストールやアンインストールが失敗する場合があります。

Windowsの場合

インストール作業中は,[管理ツール][ターミナルサービス][ターミナルサービス構成](Windows Server 2008 R2の場合,[管理ツール][リモート デスクトップ サービス][リモート デスクトップ セッション ホストの構成])の「セッションごとに一時フォルダを使用する」と「終了時に一時フォルダを削除する」を「無効」(いいえ)にしてください。設定の変更をシステムに反映させるため,一度ログオフし,再度ログオンしてください。

Windows Server 2012以降の場合,[ローカル グループ ポリシー エディタ][コンピューターの構成][管理用テンプレート][Windows コンポーネント][リモート デスクトップ サービス][リモート デスクトップ セッション ホスト][一時フォルダ]の「セッションごとの一時フォルダを使用しない」と「終了時に一時フォルダを削除しない」を「有効」にしてください。設定の変更をシステムに反映させるため,一度ログオフし,再度ログオンしてください。

UNIXの場合

この製品を再インストールした場合は,NNMiを前提としているほかのアプリケーションについても再インストールおよびそれに伴う各種設定をしてください。

UNIXの場合

この製品を前提とするアプリケーションのインストールは,この製品のインストール後の環境設定が終了してから行ってください。また,アプリケーションをインストールする際は,必ずovstopコマンドを実行してから行ってください。

UNIXの場合

Hitachi PP Installerが実行されているターミナルウィンドウのサイズは,NNMiインストール中は変更しないでください。インストール中にウィンドウサイズを変更すると,NNMiが正常にインストールできない場合があります。

HP-UXの場合

カーネル設定(/usr/sbin/smhで確認)を行う必要があります。「Kernel Configuration/Tunables」セクションでカーネルパラメータを設定します。

・nprocに50を加算します。最小値は300です。

・max_thread_proc が2048未満の場合,2048を設定します。

・nkthreadが10000未満の場合,10000を設定します。

・ovjbossのヒープが確保できるように,必要に応じてfilecache_maxを調整します。ovjbossのヒープとして最低限必要なサイズは,リリースノートの「4. メモリ所要量およびディスク占有量」の「Javaヒープサイズ」を参照してください。

Linuxの場合

NNMiでは,UDPの受信バッファに8MB,送信バッファに2MB必要です。

バッファ用に確保されているメモリ容量の設定を変更するには,/etc/sysctl.confファイルを編集して,次のエントリを追加してください。

# NNM settings for UDP receive and send buffer sizes

net.core.rmem_max = 8388608

net.core.wmem_max = 2097152

/etc/sysctl.confファイルの編集後にOSを再起動するか,/sbin/sysctl -pコマンドを実行して変更を反映させてください。

Linuxの場合

kernel.shmmaxの値が小さ過ぎる場合があります。この場合,/etc/sysctl.confファイルを編集して次のエントリを追加してください。推奨する値は64GBです。

# NNM settings for embedded database

kernel.shmmax = 68719476736

kernel.shmmaxの値を設定する場合は,/etc/sysctl.confファイルの編集後にOSを再起動するか,/sbin/sysctl -pコマンドを実行して変更を反映させてください。

Solarisの場合

NNMiでは,UDPの受信バッファに8MB,送信バッファに2MBが必要になります。

UDPのメモリ割り当てを変更する場合には,次のコマンドを実行してください。

ndd -set /dev/udp udp_max_buf 8388608

システムの再起動後もUDPのメモリ割り当ての変更を有効にする場合,システム起動スクリプトを作成します。

(設定例)

/etc/init.d/nddファイルを作成します。

[nddファイルの例]

#!/bin/sh

ndd -set /dev/udp udp_max_buf 8388608

ファイルの権限を設定します。

chmod 0744 /etc/init.d/ndd

chown root:sys /etc/init.d/ndd

ランレベル3でNNMiサービスを起動する場合,/etc/rc3.d/S70nddファイルを作成します。

cd /etc/init.d

ln ndd /etc/rc3.d/S70ndd

Solarisの場合

NNMiは共有メモリを使用します。物理メモリの値に応じて,次のように設定してください。

  • 物理メモリが8GB未満の場合は,共有メモリに1GBを確保してください。

  • 物理メモリが8GB以上16GB未満の場合は,共有メモリに2GBを確保してください。

  • 物理メモリが16GB以上24GB未満の場合は,共有メモリに3GBを確保してください。

  • 物理メモリが24GB以上の場合は,共有メモリに5GBを確保してください。

project.max-shm-memoryに設定する場合は,user.rootプロジェクトとsystemプロジェクトの両方に値を設定してください。

project.max-shm-memoryに5GBを設定する例を次に示します。

prctl -n project.max-shm-memory -v 5368709120 -r -i project user.root

projmod -a -K "project.max-shm-memory=(priv,5368709120,deny)" user.root

prctl -n project.max-shm-memory -v 5368709120 -r -i project system

projmod -a -K "project.max-shm-memory=(priv,5368709120,deny)" system

システム起動時にNNMiサービスが自動起動するよう設定する場合は,システム起動時に/etc/init.d/netmgtが実行されます。この実行の前に,systemプロジェクトに対する設定が反映されるようにしてください。

Solarisの場合

セマフォ数を256に増やす必要があります。project.max-sem-idsに設定する場合は,user.rootプロジェクトとsystemプロジェクトの両方に値を設定してください。

project.max-sem-idsに設定する例を次に示します。

prctl -n project.max-sem-ids -v 256 -r -i project user.root

projmod -a -K "project.max-sem-ids=(priv,256,deny)" user.root

prctl -n project.max-sem-ids -v 256 -r -i project system

projmod -a -K "project.max-sem-ids=(priv,256,deny)" system

システム起動時にNNMiサービスが自動起動するよう設定する場合は,システム起動時に/etc/init.d/netmgtが実行されます。この実行の前に,systemプロジェクトに対する設定が反映されるようにしてください。

Solarisの場合

useraddコマンドによってユーザーを作成した場合,デフォルトでは/home/<ユーザー名>がホームディレクトリになります。

しかし,Solarisのデフォルトの設定では,/homeにディレクトリを作成できません。

/homeにディレクトリを作成できない環境になっている場合,useraddコマンドのデフォルトのホームディレクトリをディレクトリが作成できる場所に変更します。

デフォルトのホームディレクトリを/export/home/<ユーザー名>に変更する例を,次に示します。

# /usr/sbin/useradd -D -b /export/home

Solarisの場合

NNMiをバージョンアップする場合,バージョンアップ前にnmsdbmgrユーザーのホームディレクトリを確認します。

ホームディレクトリを確認するコマンドの例を次に示します。

#/usr/bin/finger nmsdbmgr

nmsdbmgrユーザーのホームディレクトリが/home/nmsdbmgrなど,作成できないディレクトリである場合,作成できるディレクトリにホームディレクトリを変更します。

nmsdbmgrユーザのホームディレクトリを/export/home/nmsdbmgrに変更する例を,次に示します。

#/usr/sbin/usermod -d /export/home/nmsdbmgr nmsdbmgr