Hitachi

JP1 Version 10 JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド


7.2.1 JP1/AJS3起動時の動作を一時的に変更する

ここでは,JP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS3 - Agentの起動時の動作を一時的に変更する場合の手順を説明します。

なお,JP1/AJS3 - Managerで常に起動時の動作を指定するには,jajs_configコマンドで環境設定パラメーターSTARTMODEに設定してください。

環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.2 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) Windowsの場合

  1. [コントロールパネル]ウィンドウで[サービス]を選択する,または[管理ツール]−[サービス]を選択する。

  2. 起動させたいJP1/AJS3のサービス名を選択する。

  3. [スタートアップ パラメータ]に起動モードを指定する。

    指定できるオプションを次の表に示します。

    表7‒1 [スタートアップ パラメータ]に指定できるオプション

    オペランド

    起動時の動作

    -cold

    コールドスタートする。

    -warm

    ウォームスタートする。

    -hot

    ホットスタートする。

    -disaster

    ディザスターリカバリースタートする。

    注※

    JP1/AJS3システムをディザスター・リカバリー環境で運用している場合に使用するオプションです。大規模災害などでメインサイト側での運用が停止し,リモートサイト側に運用を切り替えるときに,このオプションを指定してリモートサイト側のJP1/AJS3をディザスターリカバリースタートします。ディザスターリカバリースタートでは,ジョブの実行が抑止された状態でリモートサイト側のJP1/AJS3 - Managerが起動します。

    リモートサイト側に運用を切り替える手順については,「12.2.1 リモートサイトに運用を切り替える」を参照してください。

    なお,-disasterはディザスター・リカバリー時だけ指定できるオプションです。通常のJP1/AJS3の起動モードとしては指定しないでください。

  4. [開始]ボタンをクリックする。

なお,「net startサービス名」コマンドを実行した場合には,一時的な起動時の動作変更はできません。

注意事項
  • 一時的に指定したサービス起動モードと,セットアップ時に設定したサービス起動モードが異なる場合,一時的に指定したサービス起動モードが優先されます。

  • JP1/AJS3 - Managerでオプションを省略した場合,セットアップ時に設定したサービス起動モードで起動します。

  • JP1/AJS3 - Agentでオプションを省略した場合,「-warm」が仮定されます。

指定したサービス起動モードによって,ジョブネットおよびジョブの状態が異なります。サービス起動モードによるジョブネットおよびジョブの状態の詳細については,「(3) 起動モード別のジョブネットおよびジョブの状態」を参照してください。

(2) UNIXの場合

  1. jajs_spmdコマンドに引数を指定して実行する。

    指定できるオプションを次の表に示します。

    表7‒2  jajs_spmdコマンドに指定できるオプション

    オペランド

    起動時の動作

    -cold

    コールドスタートする。

    -warm

    ウォームスタートする。

    -hot

    ホットスタートする。

    -disaster

    ディザスターリカバリースタートする。

    注※

    JP1/AJS3システムをディザスター・リカバリー環境で運用している場合に使用するオプションです。大規模災害などでメインサイト側での運用が停止し,リモートサイト側に運用を切り替えるときに,このオプションを指定してリモートサイト側のJP1/AJS3をディザスターリカバリースタートします。ディザスターリカバリースタートでは,ジョブの実行が抑止された状態でリモートサイト側のJP1/AJS3 - Managerが起動します。

    リモートサイト側に運用を切り替える手順については,「12.2.1 リモートサイトに運用を切り替える」を参照してください。

    なお,-disasterはディザスター・リカバリー時だけ指定できるオプションです。通常のJP1/AJS3の起動モードとしては指定しないでください。

注意事項
  • 一時的に指定したサービス起動モードと,セットアップ時に設定したサービス起動モードが異なる場合,一時的に指定したサービス起動モードが優先されます。

  • JP1/AJS3 - Managerでオプションを省略した場合,セットアップ時に設定したサービス起動モードで起動します。

  • JP1/AJS3 - Agentでオプションを省略した場合,「-warm」が仮定されます。

指定したサービス起動モードによって,ジョブネットおよびジョブの状態が異なります。サービス起動モードによるジョブネットおよびジョブの状態の詳細については,「(3) 起動モード別のジョブネットおよびジョブの状態」を参照してください。

(3) 起動モード別のジョブネットおよびジョブの状態

JP1/AJS3では,マネージャーホスト上のJP1/AJS3のサービスを再起動する場合,JP1/AJS3サービスの起動モードによってジョブネットおよびジョブの状態が異なります。エージェントホスト上のJP1/AJS3サービスを再起動する場合,JP1/AJS3サービスの起動モードによってエージェントホスト上のジョブの状態が異なります。

マネージャーホスト上のJP1/AJS3サービスを再起動する場合と,エージェントホスト上のJP1/AJS3サービスを再起動する場合とに分けて,再起動後のジョブネットおよびジョブの状態を次に説明します。

(a) マネージャーホストのJP1/AJS3サービスを再起動する場合

マネージャーホストのJP1/AJS3サービスを再起動した場合のジョブネットおよびジョブの状態を,起動モード別に示します。なお,表中の「条件」は,JP1/AJS3サービス停止後の実際の状態やJP1/AJS3での確認状況など,ジョブネットおよびジョブの状態が変化する要因を示しています。

■ ホットスタートの場合のジョブネットおよびジョブの状態

マネージャーホストのJP1/AJS3サービスをホットスタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態を次の表に示します。

表7‒3 ホットスタート(-hot)した場合のジョブネットおよびジョブの状態

ユニット

JP1/AJS3停止前の状態

条件

JP1/AJS3起動後の状態

ジョブネット

先行終了待ち

なし

先行終了待ち※1

開始時刻待ち(ルート)

なし

開始時刻待ち※2,※3

開始時刻待ち(ネスト)

なし

開始時刻待ち※1

保留中(ルート)

なし

保留中※2

保留中(ネスト)

なし

保留中※1

実行中

なし

実行中※4

警告検出実行中

なし

警告検出実行中※5

異常検出実行中

なし

異常検出実行中

監視中

なし

監視中

終了状態

なし

変更なし

リモートジョブネット

先行終了待ち

なし

先行終了待ち※1

開始時刻待ち(ルート)

なし

開始時刻待ち※2,※3

開始時刻待ち(ネスト)

なし

開始時刻待ち※1

保留中(ルート)

なし

保留中※2

保留中(ネスト)

なし

保留中※1

実行中(ルート)

なし

異常検出終了

実行中(ネスト)

なし

異常検出終了

終了状態

なし

変更なし

ジョブ(標準ジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブ)

先行終了待ち

なし

先行終了待ち※1

保留中

なし

保留中※1

実行待ち

ジョブがキューイング状態である(JP1/AJS3のデータベース構成が標準構成の場合)

先行終了待ち※6

ジョブがキューイング状態である(JP1/AJS3のデータベース構成が互換用ISAM構成の場合)

キューイング

ジョブが他ホストで実行され終了前にJP1/AJS3サービスが停止した

実行中

ジョブが自ホストで実行され終了前にJP1/AJS3サービスが停止した

強制終了

ジョブが終了状態である

終了状態※7

  • サーバのダウンなどによってJP1/AJS3サービスの停止処理が正しく行われないで,ジョブ状態が管理できなくなった

  • ジョブの状態取得に失敗した

    ・JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

    ・ジョブ情報の保存日数を過ぎたため,ジョブ情報がすでに削除されていた※8

終了状態不明

キューイング

ジョブがキューイング状態である(JP1/AJS3のデータベース構成が標準構成の場合)

先行終了待ち※6

ジョブがキューイング状態である(JP1/AJS3のデータベース構成が互換用ISAM構成の場合)

キューイング

ジョブが他ホストで実行され終了前にJP1/AJS3サービスが停止した

実行中

ジョブが自ホストで実行され,終了前にJP1/AJS3サービスが停止した

強制終了

ジョブが終了状態である

終了状態※7

  • サーバのダウンなどによってJP1/AJS3サービスの停止処理が正しく行われないで,ジョブ状態が管理できなくなった

  • ジョブの状態取得に失敗した

    ・JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

    ・ジョブ情報の保存日数を過ぎたため,ジョブ情報がすでに削除されていた※8

終了状態不明

実行中

実行先が他ホストである

実行中

実行先が自ホストである

強制終了

ジョブが終了状態になっている

終了状態※7

  • サーバのダウンなどによってJP1/AJS3サービスの停止処理が正しく行われないで,ジョブ状態が管理できなくなった

  • ジョブの状態取得に失敗した

    ・JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

    ・ジョブ情報の保存日数を過ぎたため,ジョブ情報がすでに削除されていた※8

終了状態不明

終了状態

なし

変更なし

キューレスジョブ

先行終了待ち

なし

先行終了待ち※1

保留中

なし

保留中※1

実行待ち

キューレスエージェントサービスに設定している最大同時ジョブ実行数を超えたため,ほかのキューレスジョブの終了を待っている

実行待ち

キューレスジョブが実行中になっている

実行中

キューレスジョブが終了状態になっている

終了状態※7,※9

  • JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

  • JP1/AJS3サービス再起動時に,キューレスジョブ機能が無効になっている

終了状態不明

実行中

キューレスジョブが実行中になっている

実行中

キューレスジョブが終了状態になっている

終了状態※7,※9

  • JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

  • JP1/AJS3サービス再起動時に,キューレスジョブ機能がアンインストールされている

終了状態不明

終了状態

なし

変更なし

イベントジョブ

ジョブネット中

先行終了待ち

なし

先行終了待ち※1

保留中

なし

保留中※1

キューイング,実行中

  • 実行先が他ホストである

  • 実行先が,他ホストまたは自ホストで,システムダウンしたあとの再起動である

キューイング,実行中

実行先が自ホストである

異常検出終了※10

終了状態

なし

変更なし

起動条件中

先行終了待ち

なし

先行終了待ち

キューイング,実行中

イベントジョブが実行中である

実行中

イベントジョブが終了状態である

終了状態※7

終了状態

なし

変更なし

ジョブネットコネクタ

先行終了待ち

なし

先行終了待ち※1

実行中

接続先のジョブネットが正常終了になっている

正常終了

接続先のジョブネットが警告検出終了になっている

警告検出終了

接続先のジョブネットが実行中になっている

実行中

接続先のジョブネットが警告検出実行中になっている

警告検出実行中

接続先のジョブネット配下に異常終了扱いになったユニットがある

異常検出実行中

警告検出実行中

接続先のジョブネットが警告検出終了になっている

警告検出終了

接続先のジョブネットが警告検出実行中になっている

警告検出実行中

接続先のジョブネット配下に異常終了扱いになったユニットがある

異常検出実行中

異常検出実行中

なし

異常検出実行中

終了状態

なし

変更なし

注※1

先行ユニットが異常終了扱いになった場合は,「未実行終了」状態になります。

注※2

ホットスタートした時刻がジョブネットの打ち切り時間を過ぎていた場合は,「繰り越し未実行」状態になります。

注※3

ホットスタートした時刻がジョブネットの打ち切り時間に満たないが,開始予定時刻を超過している場合は,「実行中」状態になります。

注※4

配下に異常終了扱いになったユニットがある場合は,「異常検出実行中」または「異常検出終了」状態になります。

配下に異常終了扱いになったユニットがなく,「警告検出実行中」または「警告検出終了」状態のユニットがある場合は,「警告検出実行中」または「警告検出終了」状態になります。

注※5

配下に異常終了扱いになったユニットがある場合は,「異常検出実行中」または「異常検出終了」状態になります。

注※6

JP1/AJS3のデータベース構成が標準構成の場合,再サブミットするためにジョブ実行制御にキューイングされていたジョブは,キャンセルされて「先行終了待ち」状態に戻ります。そのあと,「先行終了待ち」状態のジョブは,再サブミットによって再度ジョブ実行制御にキューイングされます。ただし,先行ユニットが異常終了している場合は,再サブミットされないで「未実行終了」状態になります。詳細については,「7.4 JP1/AJS3サービス再起動時のジョブの再サブミット」を参照してください。

注※7

終了状態とは,次の状態のどれかです。

  • 正常終了

  • 警告検出終了

  • 異常検出終了

  • 強制終了

  • 起動失敗

注※8

JP1/AJS3のデータベース構成が互換用ISAM構成の場合に,例えば,ジョブ情報の保存日数に0日を設定していて,JP1/AJS3サービスを再起動するまでの間にジョブの保存時間(デフォルトは10分)を過ぎてしまってジョブ状態を管理するために必要なジョブ情報がすでに削除されていた場合などです。

ジョブ情報の保存日数を0日にする場合は,JP1/AJS3サービスの停止から起動までの所要時間を見積もり,ジョブ情報の保存時間に所要時間以上の値を設定してください。また,見積もりができない場合は,保存日数を1日以上にしてください。ジョブ情報の保存日数の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.3 ジョブ実行環境設定」を参照してください。

注※9

キューレスジョブで使用するステータスファイルを作成しておく必要があります。ステータスファイルが作成されていない場合,ジョブは「終了状態不明」状態になります。

注※10

システムダウンによるフェールオーバーの場合,またはイベントジョブ実行継続オプションを有効にしている場合は「実行中」状態になります。

■ ウォームスタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態

マネージャーホストのJP1/AJS3サービスをウォームスタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態を次の表に示します。

表7‒4 ウォームスタート(-warm)した場合のジョブネットおよびジョブの状態

ユニット

JP1/AJS3停止前の状態

条件

JP1/AJS3起動後の状態

ジョブネット

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

開始時刻待ち(ルート)

なし

開始時刻待ち※2,※3

開始時刻待ち(ネスト)

なし

未実行終了

保留中(ルート)

なし

保留中※2,※4

保留中(ネスト)

なし

未実行終了

実行中

なし

中断※5

警告検出実行中

なし

中断※5

異常検出実行中

なし

中断※5

監視中

なし

監視中

終了状態

なし

変更なし

リモートジョブネット

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

開始時刻待ち(ルート)

なし

開始時刻待ち※2,※3

開始時刻待ち(ネスト)

なし

未実行終了

保留中(ルート)

なし

保留中※2,※4

保留中(ネスト)

なし

未実行終了

実行中(ルート)

なし

中断

実行中(ネスト)

なし

中断

終了状態

なし

変更なし

ジョブ(標準ジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブ)

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

保留中

なし

未実行終了

実行待ち

ジョブがキューイング状態である

未実行終了

ジョブが終了状態である

終了状態※6

  • ジョブがキューイング状態になる前に,JP1/AJS3サービスが停止した

  • ジョブが実行中である

  • ジョブの状態取得に失敗した

    ・JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

    ・ジョブ情報の保存日数を過ぎたため,ジョブ情報がすでに削除されていた※7

終了状態不明

キューイング

ジョブがキューイング状態である

未実行終了

ジョブが終了状態である

終了状態※6

  • ジョブが実行中である

  • ジョブ情報の保存日数を過ぎたため,ジョブ情報がすでに削除されていた※7

終了状態不明

実行中

  • ジョブが実行中である

  • ジョブ情報の保存日数を過ぎたため,ジョブ情報がすでに削除されていた※7

終了状態不明

ジョブが終了状態である

終了状態※6

終了状態

なし

変更なし

キューレスジョブ

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

保留中

なし

未実行終了

実行待ち

キューレスジョブが終了状態である

終了状態※6,※8

キューレスエージェントサービスに設定している最大同時ジョブ実行数を超えたため,ほかのキューレスジョブの終了を待っている

終了状態不明

実行中

キューレスジョブが終了状態である

終了状態※6,※8

  • キューレスジョブが実行中である

  • JP1/AJS3サービス再起動時に,メモリー不足や通信障害が発生してジョブの状態取得に失敗した

  • JP1/AJS3サービス再起動時に,キューレスジョブ機能が無効になっている

終了状態不明

終了状態

なし

変更なし

イベントジョブ

ジョブネット中

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

保留中

なし

未実行終了

キューイング

なし

終了状態不明

実行中

なし

終了状態不明

終了状態

なし

変更なし

起動条件中

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

キューイング,実行中

イベントジョブが実行中である

実行中

イベントジョブが終了状態である

終了状態※6

終了状態

なし

変更なし

ジョブネットコネクタ

先行終了待ち

ルートジョブネットが「開始時刻待ち」または「保留中」状態である

変更なし

ルートジョブネットが実行中状態である※1

未実行終了

実行中

なし

終了状態不明

警告検出実行中

なし

終了状態不明

異常検出実行中

なし

終了状態不明

終了状態

なし

変更なし

注※1

実行中状態とは,次の状態のどれかです。

  • 実行中

  • 警告検出実行中

  • 異常検出実行中

注※2

スケジューラーサービスの環境設定パラメーターOVERSCHEDULEに「plan」を設定した場合,当日実行予定があるジョブネットは「繰り越し未実行」状態になります。「skip」を指定した場合,またはジョブネットの実行登録時に[実行登録]ダイアログボックスの[デーモン起動時に予定時刻超過]で[次回から実行する]を選択した場合は,スケジューラーサービスの起動時より前に実行を予定していたジョブネットは,「繰り越し未実行」状態になります。

また,スケジューラーサービスを起動した時刻がジョブネットの打ち切り時間を過ぎている場合も,「繰り越し未実行」状態になります。

注※3

ウォームスタートした時刻が,開始予定時刻を超過していて,注※2のケースに該当しない場合,ジョブネットは「実行中」状態になります。

注※4

スケジュールを再計算するため,いったん「開始時刻待ち」状態になってから「保留中」状態になります。

注※5

サービス停止前にジョブネット配下のジョブが「実行待ち」状態または「実行中」状態である場合,ジョブネットはすべてのジョブの実行結果を確認して終了状態に遷移してから「中断」状態になります。

注※6

終了状態は,次の状態のどれかです。

  • 正常終了

  • 警告検出終了

  • 異常検出終了

  • 強制終了

  • 起動失敗

注※7

JP1/AJS3のデータベース構成が互換用ISAM構成の場合に,例えば,ジョブ情報の保存日数に0日を設定していて,JP1/AJS3サービスを再起動するまでの間にジョブの保存時間(デフォルトは10分)を過ぎてしまってジョブ状態を管理するために必要なジョブ情報がすでに削除されていた場合などです。ジョブ情報の保存日数を0日にする場合は,JP1/AJS3サービスの停止から起動までの所要時間を見積もり,ジョブ情報の保存時間に所要時間以上の値を設定してください。また,見積もりができない場合は,保存日数を1日以上にしてください。ジョブ情報の保存日数の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.3 ジョブ実行環境設定」を参照してください。

注※8

キューレスジョブで使用するステータスファイルを作成しておく必要があります。ステータスファイルが作成されていない場合,ジョブは「終了状態不明」状態になります。

■ コールドスタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態

マネージャーホストのJP1/AJS3サービスをコールドスタート(-cold)した場合,登録済みのジョブネットはすべて「未登録」状態になり,前回までのジョブネットおよびジョブの実行結果がすべて削除された状態で,JP1/AJS3サービスが起動されます。

■ ディザスターリカバリースタートした場合のジョブネットおよびジョブの状態

マネージャーホストのJP1/AJS3サービスをディザスターリカバリースタート(-disaster)した場合のジョブネットおよびジョブの状態を次の表に示します。

表7‒5 ディザスターリカバリースタート(-disaster)した場合のジョブネットおよびジョブの状態

ユニット種別

JP1/AJS3 - Managerの運用切り替え前の状態

JP1/AJS3 - Managerの運用切り替え後の状態

ジョブネット

実行中

中断

警告検出実行中

中断

異常検出実行中

中断

開始時刻待ち(ルート)

開始時刻待ち※1,※2

開始時刻待ち(ネスト)

未実行終了

先行終了待ち

未実行終了

保留中(ルート)

保留中※1,※3

保留中(ネスト)

未実行終了

監視中

監視打ち切り終了

終了状態

変更なし

ジョブ(標準ジョブ,アクションジョブ,およびカスタムジョブ)

実行中

終了状態不明

先行終了待ち

未実行終了

保留中

未実行終了

実行待ち

終了状態不明

キューイング

終了状態不明

終了状態

変更なし

イベントジョブ

ジョブネット中

実行中

終了状態不明

先行終了待ち

未実行終了

保留中

未実行終了

キューイング

終了状態不明

終了状態

変更なし

起動条件中

実行中

終了状態不明

先行終了待ち

未実行終了

キューイング

終了状態不明

終了状態

変更なし

リモートジョブネット

実行中(ルート)

中断

開始時刻待ち(ルート)

開始時刻待ち※1,※2

開始時刻待ち(ネスト)

未実行終了

実行中(ネスト)

中断

先行終了待ち

未実行終了

保留中(ルート)

保留中※1,※3

保留中(ネスト)

未実行終了

終了状態

変更なし

キューレスジョブ

実行中

終了状態不明

先行終了待ち

未実行終了

保留中

未実行終了

実行待ち

終了状態不明

終了状態

変更なし

オペレーションジョブ

実行中

終了状態不明

先行終了待ち

未実行終了

保留中

未実行終了

実行待ち

終了状態不明

キューイング

終了状態不明

終了状態

変更なし

ジョブネットコネクタ

先行終了待ち

未実行終了

実行中

終了状態不明

警告検出実行中

終了状態不明

異常検出実行中

終了状態不明

終了状態

変更なし

注※1

スケジューラーサービスの環境設定パラメーターOVERSCHEDULEに「plan」を設定した場合,当日実行予定があるジョブネットは「繰り越し未実行」状態になります。「skip」を指定した場合,またはジョブネットの実行登録時に[実行登録]ダイアログボックスの[デーモン起動時に予定時刻超過]で[次回から実行する]を選択した場合は,スケジューラーサービスの起動時より前に実行を予定していたジョブネットは,「繰り越し未実行」状態になります。

また,スケジューラーサービスを起動した時刻がジョブネットの打ち切り時間を過ぎている場合も,「繰り越し未実行」状態になります。

注※2

ジョブの実行が抑止されているため,実行抑止を解除するまでは,開始予定時刻に到達しても実行されません。

また,ディザスターリカバリースタートした時刻が,開始予定時刻を超過していて,注※1のケースに該当しない場合,実行抑止を解除するまでは,「開始時刻待ち」のまま実行されません。

注※3

スケジュールを再計算するため,いったん「開始時刻待ち」状態になってから,ジョブの実行抑止が解除されたあとで,「保留中」状態になります。

■ 起動モードの指定を省略した場合のジョブネットおよびジョブの状態

マネージャーホストのJP1/AJS3サービスの起動モードの指定を省略した場合,セットアップ時に設定したサービス起動モードで起動されます。セットアップ時に設定が省略されている場合,ウォームスタートと同様になります。

■ イベントリセット時のジョブネットおよびジョブの状態

イベントリセットを行った場合のジョブネットおよびジョブの状態は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド jpomanevreset」を参照してください。

(b) エージェントホストのJP1/AJS3サービスを再起動する場合

エージェントホストのJP1/AJS3サービスを再起動したときの,エージェントホスト上のジョブの状態は,起動モードおよびジョブの種類によって異なります。

なお,エージェントホストのJP1/AJS3サービスの起動モードの指定を省略した場合は,ウォームスタートと同じです。

各起動モードでJP1/AJS3を起動したときのジョブの状態を,ジョブの種類別に次の表に示します。

表7‒6 エージェントホストのJP1/AJS3起動時の起動モードとジョブの状態

起動モード

PCジョブ,UNIXジョブ,QUEUEジョブ

イベントジョブ

起動条件中に指定されたイベントジョブ

ウォームスタート

マネージャーホストにジョブの状態を報告できなかったジョブは,マネージャーホストで「異常検出終了」状態になります。ただし,jpqjobsubコマンドの-rsオプションを利用し,ジョブの回復状態を指定した場合は,指定した状態になります。

強制終了となります(マネージャーホスト上でのジョブは「異常検出終了」状態になります)。

ただし,次のどれかに該当する場合は,それぞれの状況に従った状態になります。

JP1/AJS3が停止する前にエージェントホストで検知したイベント情報のうち,マネージャーホストに通知できなかったイベント情報は,エージェントホスト起動後にマネージャーホストに通知します(マネージャーホスト上でのジョブは「監視中」状態のままになります。エージェントホストの再起動時に引き続き実行されます)。

ホットスタート

コールドスタート

エージェントホストの再起動時に引き続き実行されます。

JP1/AJS3が停止する前にエージェントホストで検知したイベント情報のうち,マネージャーホストに通知できなかったイベント情報は破棄されます(マネージャーホスト上でのジョブは「監視中」状態のままになります)。

(4) エージェントホストを再起動する場合のマネージャーホスト上でのジョブの状態

マネージャー・エージェント構成で,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを再起動する場合,次に示す状況ではマネージャーホスト上のジョブの状態が異なります。

停止したエージェントホストを再起動する場合の,マネージャーホスト上でのジョブの状態を表7-7に示します。システムダウンしたエージェントホストを再起動する場合の,マネージャーホスト上でのジョブの状態を表7-8に示します。

表7‒7 停止したエージェントホストを再起動する場合のマネージャーホスト上でのジョブの状態

ユニットの種類

エージェントホストが停止する前の状態

エージェントホストが停止したあとの状態

ジョブ※1

先行終了待ち

先行終了待ち

保留中

保留中

キューイング中

キューイング中※2

実行中

強制終了※3

その他の状態

変更なし

キューレスジョブ

先行終了待ち

未実行終了※4

保留中

保留中※4

実行待ち

終了状態不明※4

実行中

終了状態不明※4

その他の状態

変更なし

イベントジョブ

ジョブ

ネット中

先行終了待ち

先行終了待ち

保留中

保留中

キューイング中

キューイング中

実行中

異常検出終了※5

その他の状態

変更なし

起動条件中

先行終了待ち

先行終了待ち

キューイング中

キューイング中

実行中

実行中

その他の状態

変更なし

注※1

ジョブとは,標準ジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブを示します。

注※2

シャットダウン処理中にジョブ実行要求を受け付けた場合,ジョブプロセスの起動に失敗して「起動失敗」状態になることがあります。また,エージェントホストがジョブ実行要求に対してマネージャーホストへ応答する前に停止した場合は,ジョブ実行要求はタイムアウトエラーとなります。そのあと,マネージャーホストからのポーリングによる状態確認の結果,「強制終了」状態になります。

注※3

ジョブを強制終了するときの動作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 4.5.10 実行中のジョブネットやジョブを強制終了する」を参照してください。

注※4

エージェントホスト起動後,状態が変更されるまで時間が掛かる場合があります。

注※5

次のどれかに該当する場合は,それぞれの状況に従った状態になります。

  • イベントジョブ実行継続オプションを有効にしている場合は,「実行中」状態になります。

  • マネージャーホストのスケジューラーサービスが停止している場合,またはマネージャーホストのJP1/AJS3サービスが停止している場合は,「(3)(a) マネージャーホストのJP1/AJS3サービスを再起動する場合」に示す状態になります。

表7‒8 システムダウンしたエージェントホストを再起動する場合のマネージャーホスト上でのジョブの状態

ユニットの種類

エージェントホストがシステムダウンする前の状態

エージェントホストが停止したあとの状態

ジョブ※1

先行終了待ち

先行終了待ち

保留中

保留中

キューイング中

キューイング中

実行中

強制終了※2

その他の状態

変更なし

キューレスジョブ

先行終了待ち

未実行終了※3

保留中

保留中※3

実行待ち

終了状態不明※3

実行中

終了状態不明※3

その他の状態

変更なし

イベントジョブ

ジョブ

ネット中

先行終了待ち

先行終了待ち

保留中

保留中

キューイング中

キューイング中

実行中

実行中

その他の状態

変更なし

起動条件中

先行終了待ち

先行終了待ち

キューイング中

キューイング中

実行中

実行中

その他の状態

変更なし

注※1

ジョブとは,標準ジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブを示します。

注※2

ジョブを強制終了するときの動作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 4.5.10 実行中のジョブネットやジョブを強制終了する」を参照してください。

注※3

エージェントホスト起動後,状態が変更されるまで時間が掛かる場合があります。