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JP1 Version 10 JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド


7.2.4 監視プロパティの設定

業務スコープに定義したAJS3ユニット監視オブジェクトをどのような方法で監視するかを定義したものを監視プロパティといいます。監視プロパティの定義内容には,次の三つがあります。

〈この項の構成〉

(1) 監視方法の設定

監視方法には,監視対象のジョブネットのどこからどこまでの世代を監視するか,監視範囲内にある世代のどのような状態を優先して表示するか,という二つの概念によって次の四つの方法があります。

それぞれの監視方法について,監視する世代の範囲と,状態の表示優先度の二つに分けて説明します。

なお,ログイン先のJP1/AJS2 Console ManagerとしてJP1/AJS2 - Console 06-71をお使いの場合,監視方法に「当日時刻予定優先」および「全世代時刻予定優先」は設定できません。また,監視対象となるジョブネットが定義されているマネージャーホストのバージョンがJP1/AJS2 - Manager 06-71の場合は,監視方法に「当日時刻予定優先」または「全世代時刻予定優先」を設定すると,AJS3ユニット監視オブジェクトは「状態不明」状態となり,監視できません。

(a) 監視する世代の範囲

AJS3ユニット監視オブジェクトの実体であるジョブネットは,複数の世代を持ち,また世代ごとにそれぞれの状態があるため,どこからどこまでの世代を監視するのかを決めておきます。

  • 当日対象

    「当日対象」は,基準時刻から24時間の範囲内にある世代を監視の対象とします。

    当日対象の例を,次の図に示します。

    図7‒9 当日対象の例

    [図データ]

    日またがりの世代については,基準時刻から24時間の範囲内に含め,監視の対象とします。

    日またがりの世代がある場合の当日対象の例を,次の図に示します。

    図7‒10 当日対象の例(日またがりの世代がある場合)

    [図データ]

    また,前日以前の世代でも,再実行することでその開始時刻や終了時刻が基準時刻から24時間の範囲内に含まれる場合は,監視の対象とします。

    前日以前の世代を再実行した場合の当日対象の例を,次の図に示します。

    図7‒11 当日対象の例(前日以前の世代を再実行した場合)

    [図データ]

    監視対象のジョブネットが48時間運用の場合でも,監視の対象となる世代は基準時刻から24時間の範囲内の世代です。

    48時間運用の場合の当日対象の例を,次の図に示します。

    図7‒12 当日対象の例(48時間運用の場合)

    [図データ]

  • 全世代対象

    「全世代対象」は,監視対象のジョブネットが持つすべての世代を対象とします。

    全世代対象の例を,次の図に示します。

    図7‒13 全世代対象の例

    [図データ]

(b) 状態の表示優先度

監視対象の状態の表示優先度には,予定より結果を優先する場合の優先度と結果より予定を優先する場合の優先度の2とおりがあります。監視方法と表示優先度について,次の表に示します。

表7‒3 監視方法と表示優先度

監視方法

表示優先度

当日時刻優先

予定より結果を優先的に表示する

全世代時刻優先

当日時刻予定優先

結果より予定を優先的に表示する

全世代時刻予定優先

それぞれの場合の,状態の表示優先度を次に示します。

  • 予定より結果を優先する場合

    結果を優先する場合の状態の表示優先度を,次の表に示します。

    表7‒4 結果を優先する場合の状態の表示優先度

    優先度

    対象世代の状態

    同じ状態の世代が複数あるときの優先順位

    1(高)

    実行中

    開始時刻(再実行開始時刻)が現在時刻に近い順

    2

    保留中

    開始予定時刻が現在時刻に近い順

    3

    開始時刻待ち

    (再実行時)

    その世代が持つ開始時刻が現在時刻に近い順

    4

    閉塞

    5

    結果

    終了時刻が現在時刻に近い順(再実行も含む)

    6

    監視中

    開始時刻が現在時刻に近い順

    7(低)

    予定

    開始予定時刻が現在時刻に近い順

    (凡例)

    −:該当なし

    注※

    再実行時の世代に限り,通常の世代の開始時刻待ち状態よりも表示優先度が高くなります。通常の開始時刻待ちの世代は「予定」に含まれます。

  • 結果より予定を優先する場合

    予定を優先する場合の状態の表示優先度を,次の表に示します。

    表7‒5 予定を優先する場合の状態の表示優先度

    優先度

    対象世代の状態

    同じ状態の世代が複数あるときの優先順位

    1(高)

    実行中

    開始時刻(再実行開始時刻)が現在時刻に近い順

    2

    保留中

    開始予定時刻が現在時刻に近い順

    3

    開始時刻待ち

    (再実行時)

    その世代が持つ開始時刻が現在時刻に近い順

    4

    閉塞

    5

    監視中

    開始時刻が現在時刻に近い順

    6

    予定

    開始予定時刻が現在時刻に近い順

    7(低)

    結果

    終了時刻が現在時刻に近い順(再実行も含む)

    (凡例)

    −:該当なし

    注※

    再実行時の世代に限り,通常の世代の開始時刻待ち状態よりも表示優先度が高くなります。通常の開始時刻待ちの世代は「予定」に含まれます。

二つの表からわかるように,「実行中」の世代が最も優先して表示されます。また,同じ状態の世代が複数ある場合は,各状態の開始時刻,開始予定時刻,終了時刻などの時刻が現在時刻に最も近い世代を優先します。

同じ状態の世代が複数ある場合の表示例を,次の図に示します。

図7‒14 同じ状態の世代が複数ある場合の表示例

[図データ]

(c) 結果優先と予定優先の状態表示例

結果優先の場合と予定優先の場合の当日対象および全世代対象の状態表示例を,次に示します。

■ ジョブネットの予実績とJP1/AJS3 Consoleの状態表示

監視の対象範囲にある各世代の状態(予実績)と,JP1/AJS3 Consoleで表示される状態を,次の表に示します。

表7‒6 各世代の状態(予実績)とAJS3ユニット監視オブジェクトの状態表示

各世代の状態(予実績)

AJS3ユニット監視オブジェクトの状態表示

前日

以前

当日

翌日

以降

結果優先

予定優先

現在

当日

全世代

当日

全世代

未登録

未登録

未登録

未登録

未登録

未登録

未登録

未登録

未登録

未計画

未計画

未計画

未計画

結果

未計画

結果

未計画

結果

結果

結果

結果

結果

結果

実行中

実行中

実行中

実行中

実行中

予定

予定

予定

予定

予定

予定

未計画

予定

未計画

予定

結果1

結果2

実行中

予定1

予定2

実行中

実行中

実行中

実行中

結果1

結果2

結果2

結果2

結果2

結果2

結果

実行中

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

予定

予定

結果

予定

予定

結果

予定

未計画

結果

未計画

予定

結果

実行中

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

予定

結果

結果

予定

予定

結果

予定

結果

結果

結果

予定

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

予定1

予定2

予定1

予定1

予定1

予定1

結果1

結果2

実行中

実行中

実行中

実行中

実行中

結果1

結果2

予定

結果2

結果2

予定

予定

結果1

結果2

予定

結果2

結果2

結果2

予定

結果

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

予定1

予定2

予定1

結果

予定1

予定1

結果

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

予定1

予定2

結果

結果

予定1

予定1

実行中

予定1

予定2

実行中

実行中

実行中

実行中

結果1

結果2

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

結果1

結果2

実行中

予定

実行中

実行中

実行中

実行中

結果1

結果2

予定1

予定2

結果2

結果2

予定1

予定1

結果

実行中

予定1

予定2

実行中

実行中

実行中

実行中

結果

実行中

予定1

予定2

実行中

実行中

実行中

実行中

(凡例)

−:世代なし。

監視の対象範囲に世代(予実績)がない場合は,「未計画」と表示されます。また,「起動条件待ち」の世代は,表示の対象外です。

■ 起動条件が設定されているジョブネットの状態表示

監視対象のジョブネットに起動条件が設定されている場合の状態表示について,次の表に示します。

表7‒7 起動条件付きジョブネットの状態表示

起動条件の成立

状態

AJS3ユニット監視オブジェクトの表示

起動条件

ルートジョブネット

結果優先

予定優先

不成立

監視中

起動条件待ち

監視中

監視中

監視未起動終了

監視未起動終了

監視未起動終了

または

開始時刻待ち

監視打ち切り終了

監視打ち切り終了

監視打ち切り終了

または

開始時刻待ち

監視中断

監視中断

監視中断

または

開始時刻待ち

成立

監視中

実行中

起動条件待ち

実行中

実行中

結果

起動条件待ち

結果

監視中

監視打ち切り終了

実行中

実行中

実行中

監視打ち切り前結果

監視打ち切り終了

監視打ち切り終了

または

開始時刻待ち

監視打ち切り後結果

結果

結果

または

開始時刻待ち

監視中断

結果

監視中断

監視中断

または

開始時刻待ち

監視正常終了

実行中

実行中

実行中

結果

結果

結果

または

開始時刻待ち

(凡例)

−:世代なし。

■ スケジュールスキップ,多重スケジュールが設定されているジョブネットの状態表示

監視対象のジョブネットにスケジュールスキップ,または多重スケジュール(多重起動なし)が設定されている場合の状態表示について,次の図に示します。

図7‒15 スケジュールスキップ・多重スケジュール(多重起動なし)の状態表示例

[図データ]

スケジュールスキップを設定しているジョブネットの場合,スキップされた世代は「繰り越し未実行」状態になりますが,スキップされた世代の前世代の結果の方が現在時刻に近いため,「繰り越し未実行」状態は表示されません。

また,多重スケジュール(多重起動なし)を設定しているジョブネットの場合は,前の世代が終了するまで「開始時刻待ち」状態になりますが,前世代の「実行中」の状態の方が優先度が高いため,「開始時刻待ち」状態は表示されません。

■ 再実行したジョブネットの状態表示

ジョブネットが終了状態になってから再実行した場合は,再実行開始時刻を使って表示する世代を決定します。ルートジョブネットが終了状態になってから再実行した場合の動作の例を,次の図に示します。

図7‒16 ルートジョブネットが終了状態になってから再実行した場合の動作例

[図データ]

この場合,「実行中2」の実行開始時刻よりも「実行中1」の再実行開始時刻の方が現在時刻に近いため,「実行中1」が表示されます。

一方,ルートジョブネットの状態が実行中のときに再実行した場合は,実行開始時刻を使って表示する世代を決定します。ルートジョブネットが実行中のときに再実行した場合の動作の例を,次の図に示します。

図7‒17 ルートジョブネットが実行中のときに再実行した場合の動作例

[図データ]

この場合,「実行中1」の実行開始時刻よりも「実行中2」の実行開始時刻の方が現在時刻に近いため,「実行中2」が表示されます。

(2) 保留予定の表示方法

監視対象のジョブネットに保留属性が設定されている場合,表示の対象が実行予定世代のときに保留予定を示す表示色で状態表示するかどうかについて定義します。

保留予定の表示方法には,ルートジョブネットの保留属性が「保留する」と設定されている場合および保留属性変更で保留属性設定した場合(保留「あり」にした場合)に保留予定を表示する方法と,保留属性変更で保留属性設定した場合だけ保留予定を表示する方法の二つがあります。

ジョブネットの保留属性と保留予定の表示について,次の表に示します。

表7‒8 ジョブネットの保留属性と保留予定の表示

保留属性

ルートジョブネットの保留属性定義

保留属性変更

保留あり

保留なし

保留しない

×

×

保留する

×

前回異常時保留

×

×

前回異常警告時保留

×

×

(凡例)

○:保留予定として表示する

×:保留予定として表示しない

△:「保留属性変更分だけを表示する」の場合は表示しない

補足事項

ログイン先のJP1/AJS2 Console ManagerとしてJP1/AJS2 - Console 06-71をお使いの場合,保留予定の表示機能は使用できません。また,監視対象のジョブネットが定義されているマネージャーホストのバージョンがJP1/AJS2 - Manager 06-71以前の場合も,保留予定を表示できません。

なお,保留予定を状態色表示するのは,AJS3ユニット監視オブジェクトだけです(ネスト業務スコープは状態色表示しません)。

(3) 監視間隔

「監視間隔」では,JP1/AJS3 Console AgentがJP1/AJS3 Console Managerに状態を通知する間隔を秒単位で設定します(デフォルトは300秒)。

JP1/AJS3 Consoleでは,監視対象のジョブネットに状態の変化があった場合,状態通知されます。

ジョブネットの状態通知の流れを次の図に示します。

図7‒18 状態通知の流れ

[図データ]

まず,JP1/AJS3 Console Agentが監視対象のジョブネットを定期的に監視しています。ジョブネットの状態に変化があると,JP1/AJS3 Console AgentからJP1/AJS3 Console Managerへ更新された状態が通知されます。JP1/AJS3 Console Agentから通知を受けた状態がJP1/AJS3 Console ManagerからJP1/AJS3 Console Viewに通知され,AJS3ユニット監視オブジェクトおよびそれを含む業務スコープアイコンの表示色が更新されます。