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JP1 Version 10 JP1/Automatic Operation 運用ガイド


12.14 バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する手順

JP1/AOサーバが何らかの理由で停止しても,バックアップファイルを使用して,遠隔地でJP1/AOサーバを復元できます。この方法は,大規模な災害やシステム障害が起こった際の,ディザスター・リカバリーにも使用できます。

例を次の図に示します。

図12‒1 バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する例

[図データ]

メインサイトであるA支社では,営業終了後,毎日深夜0:00にバックアップファイルを取得し,リモートサイトであるB支社に送付しておきます。B支社では,常に前夜0:00のA支社のバックアップファイルを保持していることになります。そのため,A支社で災害などが発生してJP1/AOサーバが停止しても,前夜0:00のバックアップファイルからA支社のJP1/AOサーバをB支社に復元できます。

バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する手順について説明します。

前提条件

バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する流れ

メインサイトのバックアップファイルを使用して,リモートサイトでJP1/AOサーバを復元する流れを次に示します。

表12‒1 バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する流れ

タイミング

メインサイトでの作業

リモートサイトでの作業

通常運用時

バックアップファイルを取得する。

取得したバックアップファイルをリモートサイトに送付する。

災害・障害発生時

取得した中で最新のバックアップファイルを使用して,メインサイトのJP1/AOサーバを復元する。

(凡例)

−:なし

注※

バックアップファイルは,定期的に自動で取得することをお勧めします。

通常運用時の手順

メインサイトの最新のバックアップファイルを取得し,リモートサイトに送付します。

  1. メインサイトの最新のバックアップファイルを取得します。

    JP1/AOサーバのバックアップファイルを取得する手順については,「12.1 JP1/AOシステムをバックアップする手順(非クラスタ構成の場合)」を参照してください。

    ただし,JP1/Baseの設定情報やデータベース情報をバックアップする手順は実施不要です。

  2. 取得したメインサイトのバックアップファイルを,リモートサイトに送付します。

ポイント
  • backupsystemコマンドでは,次のファイルはバックアップされません。メインサイトとリモートサイトで同じファイルを使用する場合は,必要に応じて手動でバックアップし,リモートサイトに送付しておいてください。

    • https接続用のSSLサーバ証明書ファイル

    • https接続用の秘密鍵ファイル

    • 公開鍵認証用の秘密鍵ファイル

    なお,これらのファイルはメインサイトとリモートサイトで別のファイルを使用することもできます。その場合は,メインサイトとリモートサイトで別に取得または作成し,配置してください。

災害・障害発生時の手順

メインサイトの最新のバックアップファイルをリモートサイトにリストアして,メインサイトのJP1/AOサーバを復元します。

ポイント

手順4〜6は,メインサイトのJP1/AOサーバとリモートサイトのJP1/AOサーバで次の設定内容が同じ場合,実施不要です。

  • 外部認証サーバ連携コンフィグファイル(exauth.properties)

  • セキュリティ定義ファイル(security.conf)

  • ポート番号変更の設定(httpsd.confまたはuser_httpsd.conf)

  • https接続の設定(httpsd.confまたはuser_httpsd.conf)

  • JP1/AOとWebブラウザー間のポート番号

  • JP1/AOとタスク処理エンジンとの通信で使用するポート番号

  1. リモートサイトで,実行中,応答待ち中,異常検出,または停止中の状態のタスクがないことを確認します。ある場合は,タスクを実行停止するか,正常終了または失敗の状態になるまで待ちます。

  2. JP1/AOシステムが稼働している場合は,hcmdssrvコマンドまたはhcmds64srvコマンドにstopオプションを指定して実行し,JP1/AOシステムを停止します。

  3. restoresystemコマンドを実行して,メインサイトのJP1/AOの設定情報やデータベース情報をリストアします。

    ポイント

    restoresystemコマンドでは,次のファイルはリストアされません。メインサイトとリモートサイトで同じファイルを使用する場合は,必要に応じて手動で再配置してください。

    • https接続用のSSLサーバ証明書ファイル

    • https接続用の秘密鍵ファイル

    • 公開鍵認証用の秘密鍵ファイル

    https接続用のファイルはhttpsd.confファイル(Windowsの場合)またはuser_httpsd.confファイル(Linuxの場合),公開鍵認証用のファイルはプロパティファイル(config_user.peroperties)で定義されている,それぞれの格納先に配置してください。

  4. リモートサイトの環境に合わせて,次の定義ファイルを再設定します。

    これらの定義ファイルは,backupsystemコマンドでバックアップはされますが,restoresystemコマンドでリストアはされません。

    • 外部認証サーバ連携コンフィグファイル(exauth.properties)

    • セキュリティ定義ファイル(security.conf)

    • ポート番号変更の設定(httpsd.confまたはuser_httpsd.conf)

    • https接続の設定(httpsd.confまたはuser_httpsd.conf)

    なお,定義ファイルは次のフォルダに格納されています。

    • バックアップ先フォルダ¥HBase¥base¥confまたはバックアップ先フォルダ/HBase/base/conf

    • バックアップ先フォルダ¥HBase¥base¥httpsd.confまたはバックアップ先フォルダ/HBase/base/httpsd.conf

  5. 必要に応じて,https接続を設定します。

  6. 次のポート番号をデフォルトから変更している場合は,ポート番号の変更手順に従い,再設定します。

    • JP1/AOとWebブラウザー間の通信で使用するポート番号

    • JP1/AOとタスク処理エンジン間の通信で使用するポート番号

  7. hcmdssrvコマンドまたはhcmds64srvコマンドにstartオプションを指定して実行し,JP1/AOシステムを開始します。

  8. 次のコマンドを実行します。

    • Windowsの場合

      set JP1_USERNAME=ビルトインサービス共有プロパティ「JP1ユーザー名」に設定した値

      Linuxの場合

      export JP1_USERNAME=ビルトインサービス共有プロパティ「JP1ユーザー名」に設定した値

      注※ Bourne Shell系のエディタを使用する場合の例です。

    • ajsagtalt -a loop -s リモートサイトのホスト名

    • ajsagtalt -a userResponse -s リモートサイトのホスト名

    ポイント

    コマンド名の先頭にajsが付くコマンドは,タスク処理エンジンのシステムファイルの格納先フォルダに格納されています。詳細については,マニュアル「JP1/AO 構築ガイド」−「フォルダ一覧(Windowsの場合)」,または「フォルダ一覧(Linuxの場合)」のトピックを参照してください。

  9. hcmdschgurlコマンドまたはhcmds64chgurlコマンドを実行して,リモートサイトの環境に合わせてURL情報を更新します。

リモートサイトに,メインサイトのJP1/AOサーバが復元されます。

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