3.1.2 インストールとセットアップの前に
PFM - Agent for Oracleをインストールおよびセットアップする前に確認しておくことを説明します。
- 〈この項の構成〉
(2) ネットワークの環境設定
Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。
(a) IPアドレスの設定
PFM - Agentのホストは,ホスト名でIPアドレスを解決できる環境を設定してください。IPアドレスを解決できない環境では,PFM - Agentは起動できません。
PFM - Agent for OracleではOSがLinuxの場合,IPv4に加えIPv6およびデュアルスタック環境で動作させることができます。IPv6環境で動作させる場合,監視対象のOracleデータベースがIPv6環境をサポートしている必要があります。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。
-
監視ホスト名に実ホスト名を使用している場合
Windowsシステムではhostnameコマンド,UNIXシステムではuname -nコマンドを実行して確認したホスト名で,IPアドレスを解決できるように環境を設定してください。なお,UNIXシステムでは,hostnameコマンドで取得するホスト名を使用することもできます。
-
監視ホスト名にエイリアス名を使用している場合
設定しているエイリアス名でIPアドレスを解決できるように環境を設定してください。
監視ホスト名の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
ホスト名とIPアドレスは,次のどれかの方法で設定してください。
-
Performance Managementのホスト情報設定ファイル(jpchostsファイル)
-
hostsファイル
-
DNS(Domain Name System)
- 注意事項
-
-
Performance Managementは,DNS環境でも運用できますが,FQDN形式のホスト名には対応していません。このため,監視ホスト名は,ドメイン名を除いて指定してください。
-
複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
-
Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上では運用できません。Performance Managementを導入するすべてのホストに,固定のIPアドレスを設定してください。
-
Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でも,Performance Managementを運用できます。
PFM - Agent for Oracleでは,PFM - ManagerとIPv6で通信できます。ただし,PFM - Agent for OracleおよびPFM - Managerが導入されているホストのOSが,Windows Server 2008 R2またはLinuxの場合に限ります。
IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録M IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。
IPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - AgentホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,コマンドの実行要否は次のとおりです。
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が必要なケース
-
-
それぞれのホストで,IPv4環境からIPv6環境に変更する場合
-
IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerをIPv4環境からIPv6環境に変更する場合
-
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が不要なケース
-
-
それぞれのホストが,すでにIPv6環境である場合
-
IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerがIPv6環境である場合
-
jpcconf ipv6 enableコマンドの実行例を次に示します。
jpcconf ipv6 enable
jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。
なお,PFM - Agent for OracleとPFM - ManagerをIPv6で通信する場合,名前解決できるホスト名を指定してください。
PFM - Agent for OracleとPFM - Managerとの通信は,解決できるIPアドレスで通信します。また,PFM - Agent for OracleとPFM - Managerとの通信では,IPv4とIPv6が共存した環境の場合,解決できるIPアドレスで通信に失敗したとき,別のIPアドレスで通信することはありません。
例えば,IPv4で接続に失敗した場合,IPv6でリトライすることはありません。また,IPv6で接続に失敗した場合に,IPv4でリトライすることもありません。事前に接続できることを確認してください。
(b) ポート番号の設定
Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
機能 |
サービス名 |
パラメーター |
ポート番号 |
備考 |
---|---|---|---|---|
サービス構成情報管理機能 |
Name Server |
jp1pcnsvr |
22285 |
PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。Performance Managementのすべてのホストで設定される。 |
NNM連携機能 |
NNM Object Manager |
jp1pcovsvr |
22292 |
PFM - ManagerおよびPFM - BaseのNNM連携機能で,マップマネージャとオブジェクトマネージャの間の通信で使用されるポート番号。PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
サービス状態管理機能 |
Status Server |
jp1pcstatsvr |
22350 |
PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。 PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
監視コンソール通信機能 |
View Server |
jp1pcvsvr |
22286 |
PFM - ManagerのView Serverサービスで使用されているポート番号。 PFM - Managerがインストールされているホストで設定される。 |
Webサービス機能 |
Web Service |
− |
20358 |
PFM - Web ConsoleのWeb Serviceサービスで使用されているポート番号。 |
Webコンテナ機能 |
Web Console |
− |
20359 20360 |
PFM - Web ConsoleのWeb Consoleサービスで使用されているポート番号。 |
JP1/ITSLM連携機能 |
JP1/ITSLM |
− |
20905 |
JP1/ITSLMで設定されるポート番号です。 |
これらのPFM - Agentが使用するポート番号で通信できるように,ネットワークを設定してください。
(4) 前提プログラム
ここでは,PFM - Agent for Oracleをインストールする場合に必要な前提プログラムを説明します。プログラムの構成を次に示します。
|
(a) 監視対象プログラム
PFM - Agent for Oracleの監視対象プログラムを次に示します。
-
Oracle Database Standard Edition
-
Oracle Database Standard Edition One
-
Oracle Database Enterprise Edition
これらの監視対象プログラムは,PFM - Agent for Oracleと同一ホストにインストールする必要があります。また,仮想化OS上で監視対象プログラムを監視する場合,監視対象プログラムが仮想化OS上で保障している機能だけが監視対象となります。
(b) Performance Managementプログラム
監視エージェントには,PFM - AgentとPFM - Baseをインストールします。PFM - BaseはPFM - Agentの前提プログラムです。同一ホストに複数のPFM - Agentをインストールする場合でも,PFM - Baseは1つだけでかまいません。
ただし,PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。
また,PFM - Agent for Oracleを使ってOracleの稼働監視を行うためには,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが必要です。
(5) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて
クラスタシステムでのインストールとセットアップは,前提となるネットワーク環境やプログラム構成が,通常の構成のセットアップとは異なります。また,実行系ノードと待機系ノードでの作業が必要になります。詳細については,「4. クラスタシステムでの運用」を参照してください。
(6) 障害発生時の資料採取の準備
トラブルが発生した場合に調査資料として,コアダンプファイルが必要になることがあります。コアダンプファイルの出力はユーザーの環境設定に依存するため,次に示す設定を確認しておいてください。
- コアダンプファイルのサイズ設定
-
コアダンプファイルの最大サイズは,rootユーザーのコアダンプファイルのサイズ設定(ulimit -c)によって制限されます。次のようにスクリプトを設定してください。
ulimit -c unlimited
この設定が,ご使用のマシンのセキュリティポリシーに反する場合は,これらのスクリプトの設定を次のようにコメント行にしてください。
# ulimit -c unlimited
- 注意事項
-
コメント行にした場合,プロセスで発生したセグメンテーション障害やバス障害などのコアダンプファイルの出力契機に,コアダンプが出力されないため,調査できないおそれがあります。
コアダンプに関連するカーネルパラメーターの設定(Linux限定)
Linuxのカーネルパラメーター(kernel.core_pattern)で,コアダンプファイルの出力先,およびファイル名をデフォルトの設定から変更している場合,コアダンプファイルを採取できないときがあります。このため,Linuxのカーネルパラメーター(kernel.core_pattern)の設定は変更しないことをお勧めします。
(7) 注意事項
ここでは,Performance Managementをインストールおよびセットアップするときの注意事項を説明します。
(a) 環境変数に関する注意事項
Performance ManagementではJPC_HOSTNAMEを環境変数として使用しているため,ユーザー独自に環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
(b) 同一ホストにPerformance Managementプログラムを複数インストール,セットアップするときの注意事項
Performance Managementは,同一ホストにPFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentをインストールすることもできます。その場合の注意事項を次に示します。
-
PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - Agentの前提プログラムはPFM - Managerになるため,PFM - Managerをインストールしてから PFM - Agentをインストールしてください。
-
PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,すべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - Manager とPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,すべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
-
PFM - ManagerがインストールされているホストにPFM - Agentをインストールすると,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,PFM - Agentの接続先PFM - ManagerをリモートホストのPFM - Managerに変更できません。リモートホストのPFM - Managerに接続したい場合は,インストールするホストにPFM - Managerがインストールされていないことを確認してください。
-
PFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールすると,PFM - Agentの接続先PFM - Managerは自ホスト名に設定し直されます。共通メッセージログに設定結果が出力されています。結果を確認してください。
-
PFM - Web Consoleがインストールされているホストに,PFM - Agentをインストールする場合は,Webブラウザの画面をすべて閉じてからインストールを実施してください。
-
Performance Managementプログラムを新規にインストールした場合は,ステータス管理機能がデフォルトで有効になります。ただし,07-50から08-00以降にバージョンアップインストールした場合は,ステータス管理機能の設定状態はバージョンアップ前のままとなります。ステータス管理機能の設定を変更する場合は,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの障害検知について説明している章を参照してください。
- ポイント
-
システムの性能や信頼性を向上させるため,PFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentはそれぞれ別のホストで運用することをお勧めします。
(c) バージョンアップの注意事項
古いバージョンのPFM - Agentからバージョンアップする場合の注意事項を次に示します。
なお,バージョンアップの詳細については,「付録H 移行手順と移行時の注意事項」を参照してください。
-
Performance Managementのプログラムをインストールするときは,ローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止しておいてください。なお,停止するサービスは物理ホスト上および論理ホスト上のすべてのサービスです。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
-
PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,すべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - ManagerとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,すべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
-
バージョン08-00以降のPerformance Managementプログラムでは,Store実行プログラム(jpcstoおよびstpqlpr)の配置先が変更されています。PFM - Agentを08-00以降にバージョンアップする際に,旧配置先のStore実行モジュールは削除されます。
-
バージョンアップでStoreデータベースのデータモデルバージョンが変更される場合,既存のStoreデータベースが自動的にバージョンアップされるため,一時的にStoreデータベースのディスク占有量が2倍になります。バージョンアップインストールする前に,Storeデータベースの格納先のディスクに十分な空き容量があるかどうか確認してください。必要な空き容量は,現在のStoreデータベースの合計サイズを基準に考慮してください。例えば,現在のStoreデータベースの合計サイズが100ギガバイトの場合,バージョンアップインストールに必要なディスクの空き容量は200ギガバイト以上です。Storeデータベースの格納先ディスクを変更している場合は,変更後のディスク容量に対して考慮してください。
(d) その他の注意事項
-
Solaris,AIX,またはLinux (x64)を使用して,Oracle Database 11gR2を監視する場合,Oracle Client 32-bitのインストールと環境設定が必要です。
-
Oracle Database 12c Release 1以降を監視する場合,マルチテナント(CDB)環境を監視することはできません。非CDB環境だけ監視できます。
-
Performance Managementのプログラムをインストールする場合,次に示すセキュリティ関連プログラムがインストールされていないかどうか確認してください。インストールされている場合,次の説明に従って対処してください。
-
セキュリティ監視プログラム
セキュリティ監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのプログラムのインストールを妨げないようにしてください。
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ウィルス検出プログラム
ウィルス検出プログラムを停止してからPerformance Managementのプログラムをインストールしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中にウィルス検出プログラムが稼働している場合,インストールの速度が低下したり,インストールが実行できなかったり,または正しくインストールできなかったりすることがあります。
-
プロセス監視プログラム
プロセス監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのサービスまたはプロセス,および共通コンポーネントのサービスまたはプロセスを監視しないようにしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中に,プロセス監視プログラムによって,これらのサービスまたはプロセスが起動されたり停止されたりすると,インストールに失敗することがあります。
-
-
Solaris,AIX,およびLinux (x64)の場合,Oracle OCI 64ビットモード・ライブラリだけでなく,Oracle OCI 32ビットモード・ライブラリが必要です。必ず,PFM - Agent for Oracleが動作するマシン上に,Oracle OCI 32ビットモード・ライブラリをインストールしてください。
-
Performance Managementのプログラムが1つもインストールされていない環境に新規インストールする場合は,インストール先ディレクトリにファイルやディレクトリがないことを確認してください。
-
インストール時のステータスバーに「Installation failed.」と表示されてインストールが失敗した場合,インストールログを採取してください。なお,このログファイルは,次にインストールすると上書きされるため,必要に応じてバックアップを採取してください。インストールログのデフォルトのファイル名については,「8.4.2(2) Performance Managementの情報」を参照してください。
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インストール先ディレクトリにリンクを張りPerformance Managementのプログラムをインストールした場合,全Performance Managementのプログラムをアンインストールしても,リンク先のディレクトリに一部のファイルやディレクトリが残る場合があります。削除する場合は,手動で行ってください。また,リンク先にインストールする場合,リンク先に同名のファイルやディレクトリがあるときは,Performance Managementのプログラムのインストール時に上書きされるので,注意してください。
-
/opt/jp1pc/setupディレクトリにPFM - Agent for Oracleのセットアップファイルがある場合,新規PFM - Agent for Oracleの追加セットアップが実行されます。PFM - Agent for Oracleの追加セットアップが成功した場合の実行結果は共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されます。確認してください。