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JP1 Version 10 JP1/Performance Management - Agent Option for Service Response


4.2.4 ナビゲーションに関する注意事項

「ナビゲーション」とは,IE Recorderの操作によって記録されるページ遷移のことです。操作されない状態か,または操作と関連づけられないタイミングでページ遷移が発生した場合に記録されます。

ここでは,ナビゲーションの記録状態と再生方法,およびエラーが発生したときの対処方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) ナビゲーションの記録状態と対処方法

ナビゲーションの記録状態と対処方法を次の表に示します。

表に示した対処方法を試みると解決できる場合もありますが,Webサイトすべてに対応できるわけではありません。また,記録状態は,複数重なって発生することもあり,状況に応じて対処方法を組み合わせることで解決できる場合もあります。

なお,必ずIEシナリオのバックアップを取得してから操作リストを編集してください。IEシナリオのバックアップを取得する方法については,「2.5.1 バックアップ」を参照してください。

表4‒5 ナビゲーションの記録状態と対処方法

項番

操作後の記録状態

記録時の状況

対処内容※1

参考個所

1

入力操作が記録されないで,ナビゲーションだけが記録される。

FlashなどのActiveXコントロールや,Javaアプレット内の操作,またはスクリプト独自のウィンドウからの操作(createPopupで生成した画面からの入力操作など)は,記録できない。

しかし,これらの操作によってページ遷移が発生した場合にナビゲーションだけが記録される※2

操作待ち時間設定

(a)

ページ遷移途中に,タイミングによって入力操作を行ったことをIE Recorderが捕捉できないときがある。

しかし,ページ遷移は記録されるため,ナビゲーションだけが記録される。

再度記録

(b)

タイマーを指定するなどの方法で自動的にページ遷移するWebサイトを記録すると,入力操作を行わないでページ遷移するため,ナビゲーションだけが記録される。

操作待ち時間設定

(c)

2

入力操作が記録されたあとにナビゲーションが記録される。

Webページの表示完了後に一部のフレームページを表示させている場合など,ページ遷移が複数回発生する場合に,2回目以降のページ遷移がナビゲーションとして記録される。

操作の削除

(d)

複数回ページ遷移が発生するとき,目的のページを表示するページ遷移より前に発生したページ遷移がそれぞれのページ遷移の完了を待たないで中断して,次のページ遷移が開始されるような場合に,2回目以降のページ遷移がナビゲーションとして記録される。

(e)

クリック操作したフレームページとほかのフレームページが並行にページ遷移するなど,フレーム間で並行にページ遷移する場合,正しくページ遷移の完了を検知できないでナビゲーションが記録された。

・操作の削除

・次の操作に待ち時間設定

(f)

3

ナビゲーションが記録されたあとに入力操作が記録される。

Webページ内のスクリプトがIE Recorderよりも先に入力操作を捕捉して,すぐにページ遷移を発生させるような場合に,入力操作の直前にナビゲーションが記録される。

操作の削除

(g)

注※1

対処方法の詳細については表4-6を参照してください。

注※2

通常,ActiveXコントロールや,Javaアプレット内の操作,スクリプト独自のウィンドウに対する操作は,ページ遷移が発生することによってナビゲーションだけが記録されます。対処方法は,そのナビゲーションを正しく再生するための方法で,操作の記録自体を行うための対処ではありません。

表4‒6 ナビゲーションの操作の対処方法

対処方法の種類

対処方法

操作待ち時間設定

ナビゲーションの[操作の設定]から,操作の待ち時間を必要に応じて変更して,ページ遷移するまでの時間を調整します

そのまま再生できる場合もありますが,ある一定時間単位に最新情報に更新するようなページには,待ち時間が合わないで強制的にページ遷移が発生してナビゲーションエラーなどが発生し,再生が中断されるような場合があります。このような場合は,待ち時間を大きめに設定するなどの調整を行うことで再生できるようになる場合があります。

再度記録

問題のあったナビゲーションとそれ以降の操作を削除して,再度記録し直します。

操作の削除

再生したときにナビゲーションで止まる,または再生エラーになる場合は,ナビゲーション操作を削除します。

次の操作に待ち時間設定

ナビゲーションを再生したあとに次の操作で再生エラーになる場合,ナビゲーションの次の操作の[操作の設定]で待ち時間を設定してページ遷移のタイミングを合わせると,正しく再生できるようになる場合があります

注※

[操作の設定]画面で[この操作の再生を待つ]をチェックしている場合で,待ち時間に指定した時間だけ経過しないと処理が進まない状態を指します。

待ち時間に指定した時間経過すると,強制的にナビゲーションが実行され,以降の再生で,再生エラーが発生することがあります。エラーの内容は,IEシナリオの内容と監視対象のページによって異なります。例えば,タグがありません,シナリオにないポップアップダイアログが出現した(KAVK38753-E,KAVK38756-E,KAVK38752-Eなど)などのエラーが発生します。

(a) Flash内部の操作は記録されないで,ナビゲーションだけが記録されるケース(対処できないケース)

図4‒5 Flashを使用したページの記録例

[図データ]

図4‒6 Flashを使用したページの再生例

[図データ]

解説

[2.ナビゲーション]は,Flash内の操作を記録しているわけではなく,何らかのユーザー操作と結びつかないページ遷移を検知して記録したものです。

《4.の再生エラー発生》は,[2.ナビゲーション]を記録したときのURLが動的に変わる場合によく発生します。

(b) ページ遷移中にクリック操作したが,クリックは記録されないで,ナビゲーションだけが記録されるケース

図4‒7 表示に時間の掛かるページの記録例

[図データ]

図4‒8 表示に時間の掛かるページの再生例

[図データ]

解説

非常に重い画像を多数表示したり,複数のフレームを時間を掛けて同時に表示したりする場合に,タイミングによってはユーザー操作を捕捉できないでナビゲーションだけが記録される場合があります。

このケースの[2.ナビゲーション]は,このようなタイミングで記録されたケースを想定したものです。

再生時は,[2.ナビゲーション]で設定された時間だけ待ったあと(《3.の待ち時間処理》),記録時のURLに強制的にページ遷移(《3.の強制ページ遷移実行》)したものですが,このケースは静的URLへページ遷移した場合を想定しています。

このため,クリック操作は記録されていませんが,目的のページは表示されます。

しかし,正しい記録内容にするためには,[2.ナビゲーション]を削除したあと,追加記録操作を行って正しいボタンクリック操作をIEシナリオに記録してください。

(c) 記録のときは10秒後に自動的にページ遷移するWebページを,再生のときには30秒後にページ遷移するように変更されたケース

図4‒9 一定時間後にページ遷移する場合の記録例

[図データ]

図4‒10 一定時間後にページ遷移する場合の再生例

[図データ]

解説

HTMLのMETAタグのREFRESHなどで一定時間が経過したあとに自動的に目的のページへページ遷移するような場合を記録すると,自動発生したページ遷移がナビゲーションとして記録されます([2.ナビゲーション](記録時に待ち時間20秒が設定されている))。

経過時間の設定に変更がない場合は問題なく再生できますが,記録したときよりも長い時間(10秒を30秒)に変更した場合は,「3.[2.ナビゲーション]再生」のあとの《3.の待ち時間処理》で20秒が経過してもページ遷移が発生しないため,記録時のURLへ強制的にページ遷移させます(《3.の強制ページ遷移実行》)。

このため,Webページに設定したとおりの経過時間を待たないでページ遷移してしまい,想定していた計測時間にずれが生じることがあります。

一定時間が経過してページ遷移するときに記録されるナビゲーションは,IE Recorderの「操作の設定」で待ち時間を30秒より大きい値(例えば40秒)に設定することで,期待した計測時間を得られるようになります。

(d) 記録したときには表示されたフレームページが,再生したときには表示されなかったケース

図4‒11 一定時間後にページ遷移する場合の記録例

[図データ]

図4‒12 一定時間後にページ遷移する場合の再生例

[図データ]

解説

フレームページの表示は,Webページのページ遷移完了後に発生するような場合があります。フレームページの表示もページ遷移として検知されますが,Webページのページ遷移とは分かれて発生するため,ナビゲーションとして記録されます([2.ナビゲーション])。

このケースは,フレームページが状況に応じて表示しないような場合があることを想定しています。

実際にフレームページが表示されないときに再生すると,ナビゲーション再生時にページ遷移が発生しないため,記録時のURLへ強制的に遷移します(《3.の強制ページ遷移実行》)。

この例は,URLが動的に変化するものを想定していて,ナビゲーションエラーが発生するケースです。

もし,フレームページ内を操作しない場合は,フレームページの表示を待たないで次の操作へ進んでも問題ないため,このようなケースの場合は,[2.ナビゲーション]を削除することでフレームページの表示有無に関係なく再生できるようになります。

(e) 記録のときはクリック後にページ遷移を途中で2回中断したあと目的のページを表示していたが,Webシステムの変更によって,ページ遷移の途中の中断回数が1回に変更された場合

図4‒13 ページ遷移が途中で中断される場合の記録例

[図データ]

図4‒14 ページ遷移が途中で中断される場合の再生例

[図データ]

解説

[2.ボタンクリック]後,ページ遷移を2回中断させたあとに3回目で目的のWebページを表示させていた場合,ページ遷移を途中で中断しても,そこまでのページ遷移を切り出してナビゲーションとして扱います。初回ページ遷移は,[2.ボタンクリック]に関係付けられて記録されませんが,2回目以降はナビゲーションとして記録されます。

このケースは,Webシステムのメンテナンスなどによって,ページ遷移途中での中断回数が1回減った場合を想定しています。

再生では,「5.[4.ナビゲーション]再生」に対応するページ遷移が発生しないため,記録時のURLへ強制的に遷移します(《5.の強制ページ遷移実行》)。

この例は,URLが動的に変化するタイプを想定していて,ナビゲーションエラーが発生するケースです。

Webシステムの都合で,発生していたページ遷移の回数が減った場合などは,[3.ナビゲーション]または[4.ナビゲーション]のどちらかを削除することで再生できるようになる場合があります(IEシナリオを記録し直さなくても,対応できる場合があります)。

(f) メニューフレームと結果フレームが並行に画面遷移するWebページを記録して再生すると「操作対象となるタグがありません」が表示されて再生が中止されるケース

図4‒15 2つのフレームページが並行にページ遷移する場合の記録例

[図データ]

図4‒16 2つのフレームページが並行にページ遷移する場合の再生例

[図データ]

解説

[2.ボタンクリック]によって検索結果フレーム(フレームB)とメニューフレーム(フレームA)が並行して画面遷移すると,それぞれのページ遷移を正しく検知できません。このケースの場合は,フレームAのページ遷移完了を正しく検知できない場合を示しています。

(3.[2.ボタンクリック]再生後)最初にフレームBのページ遷移が開始されたあと(《3.のページB遷移開始》),次にフレームAのページが開始されますが(《3.のページA遷移開始》),IE Recorderは個々のフレームを区別できないため,フレームBのページ遷移が中断されたと誤認して(《3.のページB遷移中断》),ここでページ遷移が終わったものとして処理します。

この結果,フレームAのページ遷移の完了を待たないでページ遷移がすべて完了したものと判断して(《3.のページB遷移完了》)次の操作の再生を行いますが(5.[4.ボタンクリック]再生),フレームAのページ遷移が完了していないため,再生エラーとなります(《5.の再生エラー発生》)。

この場合,[3.ナビゲーション]を削除しても再生できるようにはなりません。もし,フレームAのページ遷移時間がある程度わかる場合は,[3.ナビゲーション]の次の操作である[4.ボタンクリック]に対して[操作の設定]−[待ち時間]を設定する(フレームAがページ遷移完了するまで次の操作を待たせておく)ことで,このIEシナリオは再生できるようになります。

(g) クリック後,IE Recorderがクリックを捕捉する前に,Webページ内のスクリプト処理が先に捕捉して強制的にページ遷移させるケース

図4‒17 クリックよりも先にページ遷移が発生する場合の記録例

[図データ]

図4‒18 クリックよりも先にページ遷移が発生する場合の再生例

[図データ]

解説

Webページ内でクリック操作を捕捉してすぐにページ遷移させている場合,このページ遷移が操作と関連性を持たないページ遷移と認識してナビゲーションが記録されます。その後,遅れてIE Recorderはクリックを記録しますが,先に記録したナビゲーションとの関連性を識別できないため,別々に記録されます。このため,このIEシナリオを再生すると,3.[2.ナビゲーション]再生のところで,記録時同様にクリックしているわけではないためページ遷移が発生しないで,記録したときのURLへ強制的にページ遷移が発生します(《3.の強制ページ遷移実行》)。

この例は,URLが動的に変化するタイプを想定していて,ナビゲーションエラーが発生するケースです。

このケースでは,[2.ナビゲーション]を削除することで,再生できるようになります。

(2) ナビゲーションエラー発生時の動作

ナビゲーションエラーは,Webページが見つからないなどの理由で監視対象のサーバがエラーを返したとき,または監視対象のサーバが起動していないなどの理由でWebページを表示できなかった場合に発生します。

ナビゲーションエラーが発生したときのIE RecorderおよびIEプローブの動作を次の表に示します。

表4‒7 ナビゲーションエラーが発生したときのIE RecorderおよびIEプローブの動作

ナビゲーションエラー発生時の状態

ナビゲーションエラー発生時の動作

ナビゲーションエラー発生後のモード

IE Recorder

編集モード

Internet Explorerと同様に,エラーページを表示する。

編集モード

記録モード

記録を中止し,メッセージダイアログ(KAVK38760)を表示する。ナビゲーションエラー発生までに記録したIEシナリオは保持する。

テスト再生

再生を中止し,メッセージダイアログ(KAVK38757)を表示する。

ステップ再生

レポート再生

再生を中止し,再生レポート(KAVK38757)を表示する。

IEプローブ

計測中

再生を中止し,レポートを出力する。また,PLレコード(Result Code 89102)を出力する。

IE Probe Daemonは,IE Master Daemonからの,次の計測要求を待つ状態

(3) ナビゲーションエラー発生時のユーザー操作の確認方法

IE RecorderでIEシナリオを作成中または再生中にナビゲーションエラーが発生した場合,ユーザーの操作がWebページを正しく表示できる操作であるかを確認する必要があります。確認方法を次に示します。

  1. Internet Explorerで操作してエラーにならないことを画面上で確認する。

  2. 画面上で異常を確認できない場合は,Internet Explorerでの操作中の次のどれかのログを取得し,HTTPプロトコルのステータスコードがエラーを示していないことを確認する。

    • Internet Explorer − Webサーバ間の通信トレース

    • Webサーバのログ

(4) ページを変更していないのに「操作対象が見つかりません」エラーになる場合の対処方法

監視対象のページを変更していないのに「KAVK38752-E 指定した位置に操作対象になるタグがありません。」や「KAVK38753-E 操作対象となるタグがありません。」などのエラーが発生した場合,次に示す手順で対処を試みてください。

  1. IEシナリオファイルをバックアップする。

  2. エラーが発生した操作の[操作の設定]画面で,[待ち時間]を設定し,再生確認する。

操作の待ち時間は,「複数の子フレームを同時に遷移させるような動作の契機となる操作のあと,ページ遷移が完了するまでの時間」を目安にしてください。設定後,計測テストを実施し,再生できれば問題ありません。計測できなかった場合,待ち時間を延長してみてください。

なお,ここで設定した操作の待ち時間は,IEプローブ,計測テストで計測した際のIEシナリオの再生時間に含まれます。

補足事項

IE Recorderの再生では問題なく再生できたが,計測テストでは上記のようなエラーが発生する場合は,この方法で回避できることがあります。

ページを変更していないのに「操作対象が見つかりません」エラーになるという現象が発生する操作の例を次に示します。

(例)複数の子フレームを同時に遷移させるような操作のあとに,遷移したページに対するHTML操作を記録した場合

図4‒19 複数の子フレームを同時にページ遷移させる操作を含むシナリオの例

[図データ]

操作31

リンククリック(この操作を契機としてフレーム2とフレーム3に同時にページ遷移が発生)

操作32

ナビゲーション

操作33

リンククリック(ページ遷移したフレーム2'での操作) → KAVK38752-E発生