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JP1 Version 10 JP1/Performance Management リファレンス


jpcasrec update

〈このページの構成〉

形式

jpcasrec update    [-mx 最大ヒープサイズ]
                   [-ms 初期ヒープサイズ]
                   入力ファイル

機能

jpcasrec updateコマンドは,エージェントに接続しStoreデータベースの記録方法に関する定義情報を変更するコマンドです。変更する定義情報は,コマンドライン引数として指定されたXML形式のパラメーターファイルから取得します。1つのパラメーターファイルに複数のStoreデータベース定義情報を指定し,一括して変更できます。

コマンドを実行できるホスト

PFM - Web Console

実行権限

Windowsの場合

Administrators権限を持つユーザー

UNIXの場合

rootユーザー権限を持つユーザー

また,コマンドを実行するためには,事前にPerformance Managementに対する管理ユーザー権限のユーザーアカウントで認証用のキーファイルを作成する必要があります。詳細については,「jpcmkkey」コマンドを参照してください。

注※

Performance ManagementユーザーまたはJP1ユーザーが必要とする,Performance Managementに対する実行権限です。

格納先ディレクトリ

Windowsの場合

インストール先フォルダ\tools\

UNIXの場合

/opt/jp1pcwebcon/tools/

引数

-mx 最大ヒープサイズ

java.exeの最大ヒープサイズをメガバイト単位で指定します。デフォルトは,64メガバイトです。実際に取得できる最大サイズは,システムに依存します。指定する値が次の条件を満たさない場合は,コマンドライン形式不正となります。指定値の条件を次に示します。

  • 1〜1,024の整数

  • 「-mxの指定値 >= -msの指定値」

-ms 初期ヒープサイズ

java.exeの初期ヒープサイズをメガバイト単位で指定します。デフォルトは,32メガバイトです。指定する値が次の条件を満たさない場合は,コマンドライン形式不正となります。指定値の条件を次に示します。

  • 1〜1,024の整数

  • 「-mxの指定値 >= -msの指定値」

入力ファイル

Storeデータベースの記録方法定義情報を変更するための,XML形式のパラメーターファイルを指定します。このパラメーターファイルは,後述の「パラメーターファイルの形式」に基づいて作成されたファイルです。絶対ファイルパス名,相対ファイルパス名,ファイル名を指定でき,絶対ファイルパス名以外の場合,カレントディレクトリを基点とします。

パラメーターファイルの形式

XMLタグ仕様

  • agent-store-db-record-definition

    種別

    説明

    意味

    Storeデータベース記録方法変更定義情報のルートタグ

    指定可能値

    なし

    省略

    不可

    属性

    なし

    親要素

    pr-cli-parameters

    子要素

    service(複数指定できる)

  • service

    種別

    説明

    意味

    エージェントを特定するサービスを指定する。

    指定可能値

    なし

    省略

    不可

    属性

    id

    サービスID(4〜258文字)

    1桁目はエージェントのプロダクトIDを指定する。プロダクトIDについては,各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルを参照。

    2桁目は「A」(Agent CollectorまたはRemote Monitor Collector)を指定する。

    親要素

    agent-store-db-record-definition

    子要素

    record(省略できない。複数指定できる)

  • record

    種別

    説明

    意味

    変更するレコードIDを指定する。

    指定可能値

    なし

    省略

    不可

    属性

    id

    レコードID(1〜8文字)。各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルに記述されているレコードIDを指定する。

    親要素

    service

    子要素

    log(1recordに1回だけ指定できる。省略できる)

    collection-interval(1recordに1回だけ指定できる。省略できる)

    collection-offset(1recordに1回だけ指定できる。省略できる)

    logif(1recordに1回だけ指定できる。省略できる)

    注※

    子要素を省略した場合,該当項目は更新しません。また,子要素を指定する場合は,記載順に指定します。

  • log

    種別

    説明

    意味

    Storeデータベースに記録するかしないかを指定する。

    指定可能値

    半角英字

    • 「Yes」:Storeデータベースに記録する。

    • 「No」:Storeデータベースに記録しない。

    ただし,大文字・小文字どちらでも指定できる。

    省略

    可(省略時はlogを更新しない)

    属性

    なし

    親要素

    record

    子要素

    なし

  • collection-interval

    種別

    説明

    意味

    パフォーマンスデータの収集間隔を秒数で指定する。

    指定可能値

    半角数字

    0〜2,147,483,647(0指定時は,パフォーマンスデータを収集しない)

    省略

    可(省略時はcollection-intervalを更新しない)

    属性

    なし

    親要素

    record

    子要素

    なし

  • collection-offset

    種別

    説明

    意味

    パフォーマンスデータの収集を開始するオフセットを秒数で指定する。

    指定可能値

    半角数字

    0〜32,767(0指定時は,パフォーマンスデータの収集を同時に開始する)

    省略

    可(省略時はcollection-offsetを更新しない)

    属性

    なし

    親要素

    record

    子要素

    なし

  • realtime-report-data-collection-mode

    種別

    説明

    意味

    履歴データの収集をリアルタイムレポートの表示処理より優先する場合に,動作モードを指定する

    指定可能値

    半角英字

    • 「Reschedule」:再スケジュールモード

    • 「Temporary Log」:一時保存モード

    ただし,大文字・小文字どちらでも指定できる。

    省略

    可(省略時はrealtime-report-data-collection-modeを更新しない)

    属性

    なし

    親要素

    record

    子要素

    なし

    注※ 履歴データの収集を優先するように設定されていない監視エージェントについては,このタグを指定するとエラーになります。履歴データの収集をリアルタイムレポートの表示処理より優先する方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,トラブルへの対処方法について説明している章を参照してください。

  • logif

    種別

    説明

    意味

    パフォーマンスデータをStoreデータベースに記録する判断条件を指定する。

    指定可能値

    なし

    省略

    可(省略時はlogifを更新しない)

    属性

    delete

    "yes"(この属性の指定時は,子要素の指定は無視して登録されているexpressionを削除する。この属性の省略時は,子要素の指定に従って判断条件を登録する)

    親要素

    record

    子要素

    expression(複数指定できる。省略できる)

    and(複数のexpressionがある場合に複数指定できる。省略できる)

    or(複数のexpressionがある場合に複数指定できる。省略できる)

  • expression

    種別

    説明

    意味

    パフォーマンスデータをStoreデータベースに記録する判断条件を指定する。

    指定可能値

    条件式は「フィールド 条件 "値"」の形式で指定する。フィールド・条件・値の区切りに空白は使用できない。

    • 右辺にフィールドは指定できない。

    • expression属性を複数指定する場合は,2つのexpression属性を,論理演算子を表すタグ「and」または「or」で囲って指定する2項演算子の形式とし,2項演算子のネストを許す。多項演算の指定はできない。

    • 条件以外に等号,不等号の文字を使用する場合は,直前に「\」を指定する。「\」を指定する場合は,「\\」を指定する。

    フィールド

    • フィールドは,レコードに含まれるフィールドを「PFM - Manager名」で指定する。PFM - Manager名については,各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルのレコードの説明を参照。

    条件

    条件に指定する値を次に示す。

    • 「=」:フィールドの値と"値"が等しい。

    • 「<」:フィールドの値が"値"より小さい。

    • 「<=」:フィールドの値が"値"より小さいか等しい。

    • 「>」:フィールドの値が"値"より大きい。

    • 「>=」:フィールドの値が"値"より大きいか等しい。

    • 「<>」:フィールドの値と"値"が異なる。

    XMLの表記として「<」は「&lt;」,「>」は「&gt;」を指定する。

    文字列フィールドの場合は,ASCIIコードの昇順に比較する。

    "値"

    各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルに記述されているフィールドの形式に合わせ指定する。次に示す設定範囲で指定する。

    • 文字(指定値をそのまま設定)

    • 整数(Integerで許される範囲の値)

    • 小数(Doubleで許される範囲の値で,小数点以下が4桁以上の場合,IEEE754規格のRound to nearestの仕様に従って4桁に丸める)

    • 日付(時刻を"HH:mm:ss"固定の形式で指定する)

    値に制御文字および「( ) [ ] < > = ''」の文字は指定できない。指定した場合はエラーになる。

    省略

    不可

    属性

    なし

    親要素

    logif

    and

    or

    子要素

    なし

    注※

    IEEE754規格のRound to nearestの仕様を次に示します。

    • 丸める対象となる数と2つの近似値との距離を比べて,丸める対象となる数に最も近い近似値に丸めます。

    • 丸める対象となる数と2つの近似値との距離が同じ場合,2つの近似値を2進表現していちばん下の桁が「0」となる近似値に丸めます。

  • and

    種別

    説明

    意味

    expressionで指定した論理式のAND演算を指定する。

    指定可能値

    なし

    省略

    属性

    なし

    親要素

    logif

    and

    or

    子要素

    expression(複数指定できる。省略できる)

    and(複数のexpressionがある場合に複数指定できる。省略できる)

    or(複数のexpressionがある場合に複数指定できる。省略できる)

  • or

    種別

    説明

    意味

    expressionで指定した論理式のOR演算を指定する。

    指定可能値

    なし

    省略

    属性

    なし

    親要素

    logif

    and

    or

    子要素

    expression(複数指定できる。省略できる)

    and(複数のexpressionがある場合に複数指定できる。省略できる)

    or(複数のexpressionがある場合に複数指定できる。省略できる)

パラメーターファイルの記述例を次に示します。

パラメーターファイル記述例

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE pr-cli-parameters SYSTEM "asrec_params.dtd">
<pr-cli-parameters ver="0110">
<agent-store-db-record-definition>
    <service id="TA1host1">
        <record id="PD_CIND">
            <log>Yes</log>
            <collection-interval>60</collection-interval>
            <collection-offset>0</collection-offset>
            <realtime-report-data-collection-mode>Temporary Log</realtime-report-data-collection-mode>
            <logif>
                <and>
                    <and>
                        <expression>RECORD_TIME="10:26:50"</expression>
                        <expression>UNIQUE_KEYS&gt;="40"</expression>
                    </and>
                    <or>
                        <expression>INSTANCE="abc"</expression>
                        <expression>INSTANCE="xyz"</expression>
                    </or>
                </and>
            </logif>
        </record>
        <record id="PD_CINF">
            <log>Yes</log>
            <collection-interval>300</collection-interval>
            <collection-offset>10</collection-offset>
            <logif delete="yes"/>
        </record>
        <record id="PD_DEV">
            <log>No</log>
        </record>
    </service>
</agent-store-db-record-definition>
</pr-cli-parameters>

注意事項

戻り値

0

正常終了した。

1

コマンドラインの形式が不正である。

2

コマンドの実行権限がない。

3

出力ファイルの作成に失敗した。

5

DTDファイルと不整合のためパラメーターが解析できない。

10

1件以上のStoreデータベース定義の更新に失敗した。

11

PFM - Managerへの認証処理に失敗した。または,認証時に指定したユーザーに実行権限がない。

100

環境が不正である。

200

メモリーエラーが発生した。

202

ファイルアクセスエラーが発生した。

222

通信処理でエラーが発生した。

255

予期しないエラーが発生した。

使用例

Storeデータベースの記録方法に関する定義内容を記述したパラメーターファイル(asrec_update.xml)を指定する場合のコマンド実行例を次に示します。

jpcasrec  update  asrec_update.xml

出力例

コマンド処理の詳細情報を標準出力,標準エラー出力,トレースログファイルに出力します。ログ仕様については「3. Performance Managementで出力するログ情報」を参照してください。

3つのサービスIDを指定し,1つがエラーとなった場合の標準出力形式を次に示します。serviceタグで指定したサービスIDごとに実行結果を表示します(OKまたはERR)。

標準出力の出力例

jpcasrec update connected to hostname at yyyy MM dd HH:MM:SS.mmm
update result  OK  : TA1host1
update result  OK  : TA1host2
update result  ERR : TA1host3
jpcasrec update disconnected at yyyy MM dd HH:MM:SS.mmm