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JP1 Version 10 JP1/Performance Management 運用ガイド


9.3.4 パフォーマンスデータの部分バックアップについて(Storeバージョン2.0の場合)

Storeバージョン2.0の場合に部分バックアップができます。部分バックアップは,Agent StoreまたはRemote Monitor Storeサービスが起動しているときだけ実行できます。なお,部分バックアップでは,バックアップ先に過去のバックアップ先ディレクトリを指定することで差分を蓄積できます。

〈この項の構成〉

(1) バックアップされるデータの範囲について

バックアップでは,グリニッジ標準時でバックアップ開始から終了までの期間を指定します。バックアップ期間の設定はコマンド実行日からの相対で指定します。例えば,コマンド実行日(バックアップ当日)の3日前から前日までを指定したい場合は,開始を3,終了を1と指定すると,3日前から前日までが対象になります。指定したバックアップ期間に含まれるファイルをコピーしてバックアップします。

PD,PLデータベースおよびPIデータベースの分,時レコードは日ごとにファイルが分割されるため,指定した日付の単位DBがバックアップされます。一方,PIデータベースの日,週,月,年レコードでは,指定したレコード開始日から終了日に収まらないデータもバックアップデータに含まれます。

(2) パフォーマンスデータを部分バックアップする

  1. PFM - Managerホストにログインする。

  2. jpctool service listコマンドを実行して,サービスの起動を確認する。

    Name Serverサービス,Master Managerサービスおよびバックアップしたいパフォーマンスデータを管理しているAgent StoreまたはRemote Monitor Storeサービスが起動されているか確認します。

    jpctool service listコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

  3. jpctool db backupコマンドを実行する。

    非クラスタシステムで運用している場合

    例えば,ホストhost02のPFM - Agent for OracleのStoreデータベースにあるパフォーマンスデータの3日前の分から前日分を部分バックアップしたいとき,次のようにコマンドを実行します。

    jpctool db backup -id OS* -host host02 -partial 3,1

    クラスタシステムで運用している場合

    例えば,論理ホストjp1-ha2のPFM - Agent for OracleのStoreデータベースにあるパフォーマンスデータの3日前の分から前日分を部分バックアップしたいとき,次のようにコマンドを実行します。

    jpctool db backup -id OS* -lhost jp1-ha2 -partial 3,1

    コマンドを実行すると,デフォルトではバックアップディレクトリに,次の名称でバックアップファイルが作成されます。

    表9‒35 パフォーマンスデータの部分バックアップファイル

    条件

    バックアップ対象ファイル

    非クラスタシステムで運用

    PFM - AgentまたはPFM - RMホスト

    Windowsの場合

    インストール先フォルダ\xxxx※1\store\インスタンス名※2\partial\stデータベースID※3ディレクトリ以下

    UNIXの場合

    /opt/jp1pc/xxxx※1/store/インスタンス名※2/partial/stデータベースID※3ディレクトリ以下

    クラスタシステムで運用

    共有ディスク

    Windowsの場合

    環境ディレクトリ\jp1pc\ xxxx※1\store\インスタンス名※2\partial\stデータベースID※3ディレクトリ以下

    UNIXの場合

    環境ディレクトリ/jp1pc/ xxxx※1/store/インスタンス名※2/partial/stデータベースID※3ディレクトリ以下

    注※1

    xxxx」は,各PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスキーを示します。各PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスキーについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,命名規則について説明している個所を参照してください。

    注※2

    PFM - AgentまたはPFM - RMがインスタンス環境の場合に作成されます。

    注※3

    データベースIDを次に示します。

    PI:PIレコードタイプのレコードのデータベース

    PD:PDレコードタイプのレコードのデータベース

    PL:PLレコードタイプのレコードのデータベース

    パフォーマンスデータのバックアップをPFM - AgentまたはPFM - RMがインストールされているホストで実行することもできます。PFM - AgentまたはPFM - RMがインストールされているホストで実行するには,jpctool db backupコマンドで-aloneオプションまたは-directオプションを指定します。

    jpctool db backupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

部分バックアップで格納されるファイルのディレクトリ,ファイル構成を次の表に示します。

表9‒36 部分バックアップのディレクトリ,ファイル構成

ディレクトリ/ファイル

レコードタイプ

形式

最小

最大

説明

PI

PD

PL

STXX

要約区分

×

×

n

1

6

PIレコードの場合の要約区分

1:分

2:時

3:日

4:週

5:月

6:年

YYYY

1900

2027

年(西暦)

月日

MMDD

0101

1231

月日

世代番号

nnn

001

002

世代番号

レコードタイプ.DB

レコードタイプごとのDBファイル

(凡例)

○:該当するディレクトリ/ファイルがある

×:該当するディレクトリ/ファイルがない

−:該当しない

XX:データベースID

PI:PIレコードタイプのレコードのデータベース

PD:PDレコードタイプのレコードのデータベース

PL:PLレコードタイプのレコードのデータベース

(3) 可能な限りバックアップデータの重複を最小にする

Storeバージョン2.0のデータベースは,時系列に分割された複数の単位DBから構成されますが,最新の単位DB以外は更新されることがありません。例えば,日単位で分割される単位DBの場合,当日分の単位DBにはエージェントが収集したデータが逐次書き込まれますが,前日の単位DBはグリニッジ標準時23時59分の状態が保存期間切れによって削除されるまで変わりません。そこで,前回のバックアップ取得日からバックアップ取得前日までの範囲を部分バックアップの対象とすることで,日単位で分割される単位DBを重複させないでバックアップできます。

(例)n日前に前回のバックアップを取得した場合
jpctool db backup -id DS1inst1[host1] -d d:\backup01 -partial (n+1),1

注※ d:\backup01はバックアップディレクトリを示します。

(4) 可能な限り最新のデータをバックアップする

最新のデータベースをバックアップしたい場合,次のようにコマンドを実行します。

(例)最新のデータベースをバックアップする
jpctool db backup -id DS1inst1[host1] -d d:\backup01 -partial 0,0

注※ d:\backup01はバックアップディレクトリを示します。

(5) 部分バックアップの運用例について

JST(日本標準時 GMT(グリニッジ標準時)+9:00)での運用例について説明します。

毎日AM3:00に夜間バッチジョブを実行し,次のバックアップコマンドをプロダクトIDがDのマルチインスタンスエージェントで,インスタンス名inst1のAgent StoreおよびRemote Monitor Storeサービスに対して実行します。

jpctool db backup -id DS1inst1[host1] -partial 1,1

この場合,指定範囲内のバックアップ実行時刻を含む単位DBがバックアップされます。例えば,10/15のAM3:00にバックアップコマンドを実行した場合,また,この週の週単位の始まりが10/12である場合を考えます。

  1. 10/15のAM3:00(JST)にコマンドを実行します。

  2. 10/15のAM3:00(JST)は,GMTでは9時間前のため,10/14のPM18:00です。

  3. コマンドは「-partial 1,1」(1日前)と指定しているので,10/13のAM0:00を起点としてPM23:59(GMT)までのデータがバックアップ対象になります。

  4. JSTでのバックアップ範囲は,10/13のAM0:00からPM23:59(GMT)に9時間を足した10/13のAM9:00から10/14のAM9:00のデータになります。

上記のことから,分レコードの場合は,JSTで10/13 9:00〜10/14 9:00のデータがバックアップされます。翌日の同時刻にバックアップを実行すれば,前日からの続きのデータがバックアップされます。分レコードのバックアップ範囲を次の図に示します。

図9‒2 分レコードのバックアップ範囲

[図データ]

週レコードの場合は,指定した期間を含む単位DBがバックアップされるため,最新のデータを含めて10/12 9:00〜10/15 3:00までのデータがバックアップされます。翌日の同時刻にバックアップを実行すれば,週の初めの日(10/12)以降のデータは再度バックアップされます。週レコードのバックアップ範囲を次の図に示します。

図9‒3 週レコードのバックアップ範囲

[図データ]