Hitachi

JP1 Version 10 JP1/IT Service Level Management


付録E 用語解説

(英字)

All Web Access

JP1/ITSLMの監視対象です。監視対象サービスに含まれるすべてのリクエストとレスポンスについて,平均応答時間,スループットおよびエラー率を監視できます。

BNF記法

プログラムのソースコードやネットワーク,プロトコルなどのコンピュータが扱う言語の文法を定義するために使うメタ言語のことで,文字だけで表現します。

JP1/Base

JP1/ITSLM - Managerの前提となるプログラムです。イベントサービス機能を提供し,サービスの起動順序を制御できます。また,JP1イベントを送受信できます。

JP1/ITSLMでは,認証サーバとしても使用します。

JP1/IM

JP1/IM - ManagerとJP1/IM - Viewで構成されるプログラムです。

JP1/IM - Managerは,システム全体の一元的な監視と操作を実現し,システムを統合管理します。

JP1/IM - Viewは,JP1/IMでのシステム統合管理を実現するためのビューアー機能を提供します。

JP1/ITSLM - Manager

JP1/ITSLM - URが収集したHTTPパケットを集計・分析し,サービスの状況を監視するプログラムです。

監視者は,JP1/ITSLM - Managerにアクセスしてサービスの状況を確認します。

JP1/ITSLM - UR

スイッチごとに配置することで,スイッチを通じてサービス利用者とサービスの提供サーバの間でやり取りされるリクエスト,およびレスポンスのHTTPパケットを収集するプログラムです。

収集結果は,JP1/ITSLM - Managerに送信されます。

JP1/PFM - Agent

JP1/PFMを構成するプログラムプロダクトの一つです。監視対象のホストと同一のホストに配置して,ホストやミドルウェアといったシステムの性能情報を監視する監視エージェントとなるプログラムです。

JP1/PFM - Agentには,次の機能があります。

  • 監視対象のパフォーマンスの監視

  • 監視対象のデータの収集および記録

JP1/PFM - Agentには,監視対象となるアプリケーション,データベース,OSなどに応じたプログラムプロダクトがあります。

JP1/PFM - Agent for Service Response

JP1/PFMを構成するプログラムプロダクトの一つです。監視対象のホストに配置して,監視対象サービスの稼働情報を監視するプログラムです。

JP1/PFM - Base

JP1/PFMを構成するプログラムプロダクトの一つです。JP1/PFMで監視を実行するための基盤機能を提供します。JP1/PFM - AgentおよびJP1/PFM - RMを動作させるための前提製品です。

JP1/PFM - Manager

JP1/PFMを構成するプログラムプロダクトの一つです。JP1/PFMのプログラムプロダクトを管理するプログラムです。

JP1/PFM - Managerは,JP1/ITSLM - Managerからの要求を受け,監視エージェント,およびJP1/PFM - Agent for Service Responseが収集した構成情報をJP1/ITSLM - Managerへ送信します。

JP1/PFM - RM

JP1/PFMを構成するプログラムプロダクトの一つです。監視対象のホストとは異なるホストに配置して,ホストやミドルウェアといったシステムの性能情報をリモートで監視する監視エージェントとなるプログラムです。

JP1/PFM - RMには,次の機能があります。

  • 監視対象のパフォーマンスの監視

  • 監視対象のデータの収集および記録

JP1/PFM - RMには,監視対象となるアプリケーション,データベース,OSなどに応じたプログラムプロダクトがあります。

JP1/PFM - Web Console

JP1/PFMを構成するプログラムプロダクトの一つです。WebブラウザでJP1/PFMのシステムを一元的に監視するための機能を提供します。

JP1イベント

システムで発生した事象をJP1で管理するための情報です。

JP1イベントは,次のような属性に分けて,事象を記録しています。

基本属性

すべてのJP1イベントが持つ属性です。

属性名を表記する場合,例えばイベントIDはB.ID(または単にID)のように記述します。

拡張属性

JP1イベントの発行元が任意に指定できる属性です。拡張属性は,次の共通情報と固有情報で構成されます。

・共通情報(形式が統一されている拡張属性の情報)

・固有情報(共通情報以外の各製品固有の形式の情報)

属性名を表記する場合,例えば重大度はE.SEVERITY(または単にSEVERITY)のように記述します。

JP1イベントは,JP1/Baseのイベントサービス機能が管理しています。システムで発生した事象をJP1イベントとしてデータベースに記録しています。

JP1権限レベル

管理対象(資源)に対してJP1ユーザーがどのような操作ができるかを表します。ジョブ,ジョブネット,イベントなどの管理対象(資源)の種類に応じて,操作項目を定めています。管理対象(資源)の種類と,それに対する操作項目の幾つかを組み合わせた形式でJP1ユーザーのアクセス権限を管理します。

JP1/ITSLMでは,「JP1_ITSLM_Admin」(サービスグループ管理者)と「JP1_ITSLM_User」(サービスユーザー)の2種類のJP1権限レベルを使用します。

JP1ユーザー

JP1/ITSLMを使用するときのユーザーです。JP1ユーザーは,認証サーバに登録され,他ホストへのアクセス権限を認証サーバで管理されます。OSに登録されているユーザーとは異なる場合があります。

PDCAサイクル

設計(Plan),行動(Do),評価(Check),改善(Action)の4段階で管理業務を円滑に進めるための手法です。

RDエリア

データベースのデータ格納領域です。JP1/ITSLM導入の際にセットアップ処理を実行したとき,絶対パスで指定したフォルダにRDエリアが作成されます。JP1/ITSLMでは,RDエリアを使用してJP1/ITSLM運用時のデータ管理を実現しています。

SLA

サービスの委託元と委託先の間での契約で交わされる,サービスの提供品質についての保証内容です。

SLO

SLAを遵守するために,監視項目に設定した具体的な評価指標です。

URI

インターネット上にある情報資源を指し示す識別子です。情報資源の場所,情報資源の名前などを表しています。

Webアクセス

JP1/ITSLMの監視対象となる,リクエストとレスポンスの組み合わせのことです。

Webトランザクション

JP1/ITSLMの監視対象です。監視対象サービスに含まれる複数のリクエストとレスポンスで構成される業務処理のまとまりのことです。処理のまとまりは,リクエストおよびレスポンスのURI,ならびにURIに含まれるクエリやCookieの情報を基に判別されます。

(ア行)

アクセス履歴

JP1/ITSLMの監視対象となる,リクエストとレスポンスに関する情報のことです。

イベント

エラーまたは警告に該当する事象が発生したことを通知する情報です。また,可用性監視(JP1/PFMとの連携)をしている場合は,監視対象サービスが停止から復旧したときに正常に該当する情報も通知します。

(カ行)

稼働情報

監視対象サービスが稼働しているか停止しているかを監視した結果のデータです。

可用性監視

監視対象サービスの稼働情報を基に,稼働率,平均復旧時間(MTTR),平均故障間隔(MTBF)などを監視する監視方法です。JP1/PFM - Agent for Service Responseを使用している場合に実行できます。

監視エージェント

ホストやミドルウェアのシステム性能を収集するJP1/PFM - AgentおよびJP1/PFM - RMのサービスのことです。

監視項目

サービスレベルの維持のためにJP1/ITSLMで監視する項目です。サービス性能を監視する場合は,平均応答時間,スループット,およびエラー率が該当します。システム性能を監視する場合は,監視エージェントが収集した情報が該当します。可用性を監視する場合は,JP1/PFM - Agent for Service Responseが収集した情報が該当します。

なお,システム性能および可用性の監視は,JP1/PFMと連携している場合に実行できます。

感度

外れ値検知での,検知のされやすさを決定する設定です。感度を高くすると検知されやすくなり,感度を低くすると検知されにくくなります。[設定]画面で設定します。

業務グループ

JP1/PFMの監視対象ホストをまとめるための単位です。業務グループを割り当てられたユーザーは,その業務グループ内の監視対象ホストを監視対象とする監視エージェントが収集した情報を参照できます。

クラスタシステム

複数のサーバシステムを連携して1つのシステムとして運用することで,障害が発生しても業務を継続できるようにすることを目的としたシステムです。障害が発生したシステムで実行していた処理を正常なシステムに引き継ぐことをフェールオーバーといいます。業務を実行中のサーバ(実行系)で障害が発生すると,待機していた別のサーバ(待機系)が業務の処理を引き継ぎます。実行「系」から待機「系」へ業務を切り替えるため,「系切り替えシステム」とも呼びます。

なお,クラスタシステムの種類には,複数のサーバが並列処理をして負荷分散することを目的としたシステム構成などもありますが,このマニュアルでは,フェールオーバーによって業務の中断を防ぐ機能のことだけを指します。

クラスタソフト

クラスタシステムで運用している場合に,クラスタシステム全体を制御するソフトウェアのことです。クラスタソフトは,システムが正常に動作しているかを監視し,異常を検知した場合にはフェールオーバーを実行して業務が止まることを防ぎます。

傾向監視

監視対象サービスのサービス性能の傾向を計算して,傾向からサービス性能のしきい値超過を事前に検知する監視方法です。

現用系

クラスタシステムで運用する場合に,最初に実行系サーバとして起動する系のことです。フェールオーバーによって実行系サーバが待機系サーバになった場合でも,呼び方は変わりません。

構成情報

JP1/PFMと連携する場合に必要となる情報です。システム性能監視と可用性監視の監視項目,および監視対象にする業務グループに関する情報が該当します。

(サ行)

サービス

業務システムのことです。

サービスグループ

JP1/BaseでのJP1資源グループと同じものです。監視対象を,業務システムを委託した顧客ごと(企業ごとなど)に管理するための単位です。

サービスグループ管理者

JP1権限レベルで「JP1_ITSLM_Admin」を設定したユーザーです。

サービスグループ情報,およびサービスグループ内の監視対象サービスの情報を参照できます。また,監視対象サービスの情報の設定もできます。

サービス性能

監視項目である平均応答時間,スループット,およびエラー率を監視した結果のデータです。

サービス性能監視

監視対象サービスのサービス性能が,外れ値検知やSLO監視で設定した値を超過しているかどうかを監視する監視方法です。

サービスユーザー

JP1権限レベルで「JP1_ITSLM_User」を設定したユーザーです。

サービスグループ情報,およびサービスグループ内の監視対象サービスの情報を参照できます。

しきい値監視

監視対象サービスのサービス性能が,設定したしきい値を超過した場合に検知する監視方法です。

システム性能

JP1/PFMと連携する際に,監視エージェントが収集したホストやミドルウェアの監視項目の監視結果のことです。JP1/PFMのパフォーマンスデータに該当します。

システム性能監視

監視対象サービスのシステム性能が,JP1/ITSLMで設定した外れ値検知やSLO監視の値を超過しているかどうかを監視する監視方法です。

システム定義ファイル

JP1/ITSLMの動作を指定する定義ファイル(プロパティファイル)です。ホスト名,ポート番号などを指定します。

実行系サーバ

クラスタシステムで運用しているサーバのうち,業務処理を実行中のサーバのことです。

性能データ

JP1/ITSLMの監視で使用するデータです。次のデータを基に作成されます。

  • JP1/ITSLM - URが収集したサービス性能のデータ

  • 監視エージェントが収集したシステム性能のデータ(JP1/PFMと連携する場合)

  • JP1/PFM - Agent for Service Responseが収集した稼働情報のデータ(JP1/PFMと連携する場合)

(タ行)

待機系サーバ

クラスタシステムで運用しているサーバのうち,実行系の障害時に業務を引き継げるよう待機しているサーバのことです。

ドリルダウン

データ分析の手法の一つです。

データの集計レベルを1段階ずつ掘り下げて集計項目を詳細化します。

(ナ行)

認証サーバ

JP1ユーザーのアクセス権限を管理するサーバです。

1つのユーザー認証圏に1台設置する必要があります。このサーバを利用してJP1ユーザーを一括で管理します。JP1/ITSLMを導入する場合,JP1ユーザー名をこのサーバに登録する必要があります。

(ハ行)

外れ値検知

監視対象サービスのサービス性能がふだんのサービス性能と大きく異なっている場合に,トラブルの予兆として検知する監視方法です。

フェールオーバー

クラスタシステムで運用している場合に,障害発生時に実行系サーバから待機系サーバに処理を引き継ぐことです。これによって,業務処理の停止を防ぎます。

ベースライン

外れ値検知の検知の基準となる,ふだんのサービス性能のことです。蓄積した過去のサービス性能の平均値で作成されます。外れ値検知では,このベースラインと大きく異なるサービス性能を検知することで,ふだんのサービス性能と異なることを検知します。

(ヤ行)

予備系

クラスタシステムで運用する場合に,最初に待機系サーバとして起動する系のことです。フェールオーバーによって待機系サーバが実行系サーバになった場合でも,呼び方は変わりません。

(ラ行)

レコード

JP1/PFMと連携する際に,監視エージェントが収集したシステム性能に関するデータ(パフォーマンスデータ)を格納する形式のことです。レコードの種類は,Storeデータベースの各データベースによって異なります。

論理ホスト

クラスタシステムで運用する場合に,フェールオーバーする単位となる論理的なサーバのことです。サービス,共有ディスク,および論理IPアドレスの3つの要素で構成されています。JP1/ITSLMの場合,サービスにはJP1/ITSLMを構成するWindowsサービスが該当します。