4.6.4 監視対象サービスの状況の定期的な評価の実行例
ここでは,JP1/ITSLMを使用した監視対象サービスの状況の定期的な評価について,ある条件に基づいて具体的にどのように実行するとよいかを,例を用いて説明します。
(1) 前提条件
この実行例の条件は,次のとおりです。
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監視対象サービスの登録,および監視に必要な設定は完了していて,監視が開始されてから一定の期間が経過している。
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この作業に関わる担当者の関係は次の図のとおり。
図4‒18 監視対象サービスの状況の定期的な評価(実行例)に関わる担当者の関係 -
すべてのサービスの監視者
監視対象サービスの状況を定期的に評価し,サービスレベルの維持に当たって現在のシステムの性能(サーバのメモリやCPUなど)が妥当かどうかをシステム運用者と検討する。また,1か月ごとにサービスレベルに関する報告書を作成し,サービスの提供者であるサービスの委託元の担当者に定期報告する。報告の際には,必要に応じて報告書を使用してシステムの増強を提案することもある。
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システム運用者
社内のIT機器,ネットワークなどを運用している。すべてのサービスの監視者からの連絡を受け,システムの増強を検討する。
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サービスの委託元の担当者
サービスの委託元の,サービスの提供者である。委託先のすべてのサービスの監視者から定期報告を受ける。定期報告時にシステムの増強について提案を受けた場合は検討の上,妥当であれば承認する。
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(2) 監視対象サービスの状況の確認
- JP1/ITSLMでの作業
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すべてのサービスの監視者は,監視中の監視対象サービスについて[レポート確認]画面を表示して,直近1か月の監視対象サービスの状況を確認することにしました。あらかじめレポートとして表示する項目を設定したテンプレートを選択し,レポートを表示しました。
[レポート確認]画面での直近1か月の監視対象サービスの状況の表示例を次の図に示します。
図4‒19 [レポート確認]画面での直近1か月の監視対象サービスの状況の表示例 この画面では,2012年4月1日から1か月間の平均応答時間,スループットおよびエラー率について,平均値,SLO遵守率,および先月比がわかります。また,グラフからは1か月間のサービス性能の変化の傾向がわかります。
- 作業の結果
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すべてのサービスの監視者は,[レポート確認]画面での確認の結果,各監視項目の最大値や平均値が上昇傾向にあることに気づきました。このまま放置すると,SLOしきい値を超過するおそれがあるため,システム管理者に連絡し,システムの増強が必要かを検討して,サービスの委託元の担当者への定期報告時にシステム増強を提案することにしました。
(3) 監視対象サービスの状況の定期報告
- JP1/ITSLMでの作業
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定期報告が間近に迫ったため,すべてのサービスの監視者は,サービスの委託元の担当者に報告するためのレポートを作成することにしました。
レポートの作成に使用する監視対象サービスの状況の監視結果は,[レポート確認]画面からCSV形式で出力することにしました。
監視対象サービスの状況の監視結果をCSV形式で出力した例を次の図に示します。
図4‒20 監視対象サービスの状況の監視結果をCSV形式で出力した例 CSVファイルには,時刻に対する各サービス性能の平均値,最大値,最小値が出力されます。
- 作業の結果
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CSV形式で出力した監視対象サービスの状況の監視結果は,表計算ソフトウェアでグラフ化してレポートに記載しました。
すべてのサービスの監視者は,定期報告の中でグラフを基にサービスレベルの維持のためにシステム増強が必要であることを説明し,サービスの委託元の担当者の承認を得ることができました。