1.19.2 JP1/IM - Managerの障害に備えた設定
JP1/IM - ManagerはJP1/IM - Manager自身に障害が発生した場合に備えて,トラブル解決の調査資料を採取するツールや,プロセスの異常終了時に自動で再起動する機能などを提供しています。
ここでは,JP1/IM - Managerの障害に備えた設定項目について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 障害発生時の資料採取の準備
JP1/IM - Managerではトラブル発生時に資料を採取するためのツールをバッチファイル(jim_log.bat)として提供しています。このツールは,トラブルの解決の調査資料となる情報を一括して採取するツールです。
JP1/IM - Managerの資料採取ツールで採取できるのは,JP1/IM - Manager,JP1/BaseおよびJP1/IM - View(同一ホストにある場合)のトラブルシュート資料です。採取できる資料の詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 運用ガイド」の「10.3 トラブル発生時に採取が必要な資料」を参照してください。
- 資料採取ツールについて
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jim_log.batについて
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「jim_log.bat(Windows限定)」(1. コマンド)
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なお,トラブルが発生した場合にメモリーダンプおよびクラッシュダンプが必要となることがあります。トラブル発生時にこれらのダンプを採取する場合は,あらかじめメモリーダンプおよびクラッシュダンプが出力されるように,次の設定をしてください(出力設定がされていれば,資料採取ツールでこれらのダンプも採取できます)。
ここでは,Windows Server 2003の場合の設定方法を説明します。Windows Server 2012およびWindows Server 2008では設定する必要はありません。
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[コントロールパネル]から[システム]をダブルクリックする。
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[詳細設定]ページの[起動と回復]の[設定]ボタンをクリックする。
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[デバッグ情報の書き込み]で,[完全メモリダンプ]を選択し,出力先のファイルを指定する。
- 注意事項
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メモリーダンプのサイズは,実メモリーのサイズによって異なります。搭載している物理メモリーが大きいと,メモリーダンプのサイズも大きくなります。メモリーダンプを採取できるだけのディスク領域を確保してください。詳細は,Windowsのヘルプの「STOPエラー」の項目を参照してください。
ここでは,Windows Server 2003の場合の設定方法を説明します。Windows Server 2012およびWindows Server 2008では設定する必要はありません。
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スタートメニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
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テキストボックスに「drwtsn32」と入力し,[OK]ボタンをクリックする。
ワトソン博士のダイアログボックスが開きます。
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[クラッシュ ダンプ ファイルの作成]チェックボックスをチェックし,[クラッシュ ダンプ]テキストボックスに出力先のファイルを指定する。
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[OK]ボタンをクリックする。
- 注意事項
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クラッシュダンプに出力される情報はJP1だけでなく,ほかのアプリケーションプログラムのトラブル情報も出力されます。また,クラッシュダンプが出力されると,その分ディスク容量が圧迫されます。クラッシュダンプが出力されるように設定する場合は,十分なディスク領域を確保しておいてください。
(2) プロセス異常終了時の再起動の設定
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プロセス再起動の定義
プロセス再起動が有効になるよう,次の拡張起動プロセス定義ファイル(jp1co_service.conf)を編集します。
Consoleパス\conf\jp1co_service.conf
「再起動可否」パラメーターは「|」で区切られた3番目の値で,0(再起動しない:デフォルト)または1(再起動する)を設定します。なお,「|」で区切られた1番目の値は変更しないでください。
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定義内容の反映
JP1/IM - Managerが稼働している場合は,プロセス再起動の設定が有効になるよう,JP1/IM - Managerのリロードコマンドを実行します。
jco_spmd_reload
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ワトソン博士の設定
ここでは,Windows Server 2003の場合の設定方法を説明します。Windows Server 2012およびWindows Server 2008では設定する必要はありません。
プロセス再起動を有効にする場合は,ワトソン博士のダイアログボックスが表示されないようにします。アプリケーションエラーのときに,ワトソン博士のダイアログボックスが表示されると,プロセスの再起動ができないためです。
スタートメニューの[ファイル名を指定して実行]で「drwtsn32」を実行します。ワトソン博士のダイアログボックスが表示されるので,[メッセージボックスによる通知]チェックボックスのチェックを外します。
なお,ワトソン博士の設定はシステム全体で共通のため,ここでの設定がシステム全体のプログラムの設定になります。
また,ワトソン博士の設定を有効にするため,コマンドプロンプトで次のコマンドを実行してください。
drwtsn32 -i
ワトソン博士が既定のアプリケーションデバッガとしてインストールされます。
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Microsoftへのエラー報告の抑止設定
ここでは,Windows Server 2003の場合の設定方法を説明します。Windows Server 2012およびWindows Server 2008では設定する必要はありません。
プロセス再起動を有効にする場合は,エラー検知時に表示されるMicrosoftへのエラー報告のダイアログボックスを,表示されないようにします。ダイアログボックスが表示されると,プロセスの再起動ができないためです。
1. [コントロールパネル]から[システム]をダブルクリックする。
2. [詳細設定]ページの[エラー報告]ボタンをクリックする。
3. [エラー報告を無効にする]を選択し,[重大なエラーが発生した場合は通知する]チェックボックスのチェックが外れていることを確認する。
- プロセス再起動の定義について
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拡張起動プロセス定義ファイル(jp1co_service.conf)について
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「拡張起動プロセス定義ファイル(jp1co_service.conf)」(2. 定義ファイル)
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- 注意事項
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異常終了時の再起動設定は,クラスタ運用時には設定しないでください。JP1/IM - Managerの障害時にはプロセス再起動の機能も障害の影響を受けるおそれがあります。クラスタ運用時に再起動をしたい場合は,JP1/IM - Manager外部のクラスタソフトから再起動を制御してください。
(3) プロセス異常検知時のJP1イベントの発行の設定
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JP1イベント発行を設定する。
次のIMパラメーター定義ファイル(jp1co_param_V7.conf)を編集します。
Consoleパス\conf\jp1co_param_V7.conf
このファイルの「SEND_PROCESS_TERMINATED_ABNORMALLY_EVENT」と「SEND_PROCESS_RESTART_EVENT」がJP1イベント発行の設定パラメーターです。JP1イベントを発行するには,値を「dword:1」に変更します。
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jbssetcnfコマンドを実行して,定義内容を反映する。
jbssetcnf Consoleパス\conf\jp1co_param_V7.conf
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JP1/BaseおよびJP1/Baseを前提とする製品を再起動する。
再起動後に設定内容が反映されます。
- JP1イベント発行の設定について
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IMパラメーター定義ファイル(jp1co_param_V7.conf)について
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「IMパラメーター定義ファイル(jp1co_param_V7.conf)」(2. 定義ファイル)
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(4) ヘルスチェック機能の設定
ヘルスチェック機能を使ってJP1/IM - Managerプロセスのハングアップを検知したい場合に設定します。
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ヘルスチェック定義ファイル(jcohc.conf)を開き,パラメーターを設定する。
ヘルスチェック機能を有効にするため,ENABLE=trueにします。
また,ハングアップ検知時にJP1イベントを発行する場合にはEVENT=trueを,通知コマンドを実行する場合にはCOMMAND=実行するコマンドを指定します。
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jco_spmd_reloadコマンドでJP1/IM - Managerをリロードする。または,JP1/IM - Managerを再起動する。
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通知コマンドを設定した場合は,jcohctestコマンドを実行して動作確認する。
jcohctestコマンドを実行して,正しくCOMMANDで指定したコマンドが実行されるか確認します。正しく動作しなかった場合は指定を見直してください。
- 注意事項
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Windows 8.1 (x64),Windows 8 (x64),Windows Server 2012 (x64),Windows 7 (x64),Windows Server 2008 (x64)およびWindows Vista (x64)では,%WINDIR%¥System32フォルダ以下に配置されているコマンドを実行すると,WOW64のリダイレクト機能によって,%WINDIR%¥SysWow64フォルダ以下に配置されているコマンドにリダイレクトされます。リダイレクト先のコマンドがない場合,コマンドの実行に失敗することがあります。%WINDIR%¥System32フォルダ以下に配置されているコマンドを実行コマンドに指定する場合は注意してください。
- ヘルスチェック機能の設定について
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ヘルスチェック定義ファイル(jcohc.conf)について
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「ヘルスチェック定義ファイル(jcohc.conf)」(2. 定義ファイル)
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jcohctestコマンドについて
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「jcohctest」(1. コマンド)
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(5) 監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー設定
セントラルスコープの機能を使用する場合に設定します。
監視ツリーの更新中に,OSがシャットダウンしたり,クラスタ運用時にフェールオーバーしたりすると,監視オブジェクトDBが破損するおそれがあります。このため,監視ツリーの更新時に監視オブジェクトDBを自動でバックアップ・リカバリーするよう設定します。
なお,新規インストールの場合は有効,旧バージョンのJP1/IM - ManagerまたはJP1/IM - Central Scopeで設定を無効にしていた場合は無効となっています。運用に合わせて,設定を変更してください。
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JP1/IM - Managerを停止する。
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次のファイルを引数にしてjbssetcnfコマンドを実行する。
監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー機能を有効にする:auto_dbbackup_on.conf
監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー機能を無効にする:auto_dbbackup_off.conf
jbssetcnfコマンドを実行すると,JP1共通定義情報に設定内容が反映されます。
jbssetcnfコマンドについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- ファイルの設定内容について
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ファイルの設定内容については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー設定ファイル(auto_dbbackup_xxx.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。
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JP1/IM - Managerを起動する。